木山京/裏山制作部 2022/03/26 22:43

サンプル用フリー台本1 サキュバスの女剣士

以前書いて、noteに載せてあったフリー台本です。
ト書きなど含めて書くとだいたいこんな感じ、というサンプルになればと思います。

ストーリーは……ぶっちゃけなんとなく書いただけなので特に考えてないんですが、なんか、こう……異世界転生とかしてきた剣士の男の子(主役)が、現地でサキュバスの子と仲間になった感じ、じゃないすかね。


実際には縦書きで、Wordとテキストにて、それぞれト書き有り・無しで提出という形になり、ト書き無しのみのご依頼もお引き受けさせていただいております。
なお、料金計算の文字数は基本的に「台詞の文字数のみ」をカウントさせていただいてます。
また三点リーダーも本来「……」が正しいのですが、これだけで二文字になってしまいますので「…」だけで書かせていただいております。


それでは、↓がサンプルです。





フリー台本「サキュバスの女剣士」

*全体の流れ
 月明かりが差してる夜の森で、理由があって半裸でいるサキュバスの女の子と、様子を見に来た人間の相棒の話。


*本編

<真夜中の森。拓けた丘の上で、木の幹に隠れるように上半身をはだけてるヒロイン>
<後ろから聞こえた足音に驚く>
(驚き方は明確な声というより、悲鳴を上げかけた喉が鳴る感じ)
 ひっ…⁉
 …な、なんだ、お前か。
 驚かすな。
 …心臓に悪いな。

<自分の恰好を思い出して恥ずかしがる>
 別に、何もしてない。
 じ、じろじろ見るな…。
 なっ!
 だ、誰が露出狂だ!
 違うわ!
 まったく…! 
 わかった、説明する!
 説明するから…もうちょっと、近寄れ。

<落ち着いた声で>
 …サキュバスやインキュバス、いわゆる夢魔という私たちの一族はな。
 あまり月の眩しい夜は、理性が薄れてしまうんだ。
 太陽が水を蒸発させるように、月の光は地上の魔力を揮発させる。
 この森は特に魔力が濃い。
 一晩限りの力を得られる反面、夜明けの反動は二日酔いなんてもんじゃないんだ。
 夢魔は元々、その影響を受けやすくてな。
 中でも私は生まれつき、特に弱い。
 こういう夜は、肌を晒して魔力を放出していないと、正気を保っていられないんだよ。

<悪戯っぽく笑う>
 ふふっ…逆に言えば、今ならお前を魅了するくらいわけないんだよなぁ?

<ひと呼吸入れ、落ち着いた声に戻る>
 冗談だよ。
 私はサキュバスである前に剣士だ。
 魅了の呪いに頼るのは、私の生き方じゃない。

<心細く>
 …あの、さ。
 まだ寝るつもりがないなら、もうちょっと……近づいてくれ。
 こ、こっちは見るな、バカッ!
 背中でくっつけばいいだろ…は、早くしろ。
 寒いんだから。

<不安を押し殺しながら。本音を避けて遠回しに尋ねる>
 …いつか言ってたよな。
 お前は、魔王を倒すために別の世界から送られたって。
 倒したら、やっぱり帰っちゃうのか?
 …そっか。
 いや、うん…そうだよな。
 でもさ。
 なんで倒さなきゃならないんだ?
 陛下は…魔王は、別に悪いことなんてしてないだろ。
 侵略だとか征服だとか、そういうのは先代がやってたことだ。
 それだって、あの頃のこの国を考えたら仕方なかったのかもしれないけど。
 でも今はもう、魔族は戦争なんてしてないんだぞ?
 こんな田舎にも人間がいるし、首都に行けばもっとたくさん魔族じゃない奴がいる。
 今の魔王を倒したら、それこそ平和を壊すことになるとか、考えないのか?
 …わからない、か?
 そうか…剣士って言うのは、便利な言葉だよな。
 私もお前も、ただ相手が強いから挑みたいんだ。
 挑んで負かして、それで誰かを泣かせても、もっと速く剣を振るいたいだけなんだ。
 …まるで獣だよ。
 獣同然だ。
 剣のためなら理性を捨ててしまうんだから…。

<すっごい小声で>
 私は…お前には人で居てほしいのに。

<静かな声。決意を固める>
 …なあ。
 夜が明けたら、賭けをしないか?
 私とお前で。
 お前が勝ったら、お前は魔王を斬りに行くんだ。
 私が勝った時には…ひとつだけ、私の頼みを聞いてくれ。
 うん。
 月が消えてからでいいんだよ。
 やっぱり私は、剣を振るうのが好きだし…。
 結局、剣を振るうお前が好きだから。

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