サンプル用フリー台本1 サキュバスの女剣士
以前書いて、noteに載せてあったフリー台本です。
ト書きなど含めて書くとだいたいこんな感じ、というサンプルになればと思います。
ストーリーは……ぶっちゃけなんとなく書いただけなので特に考えてないんですが、なんか、こう……異世界転生とかしてきた剣士の男の子(主役)が、現地でサキュバスの子と仲間になった感じ、じゃないすかね。
実際には縦書きで、Wordとテキストにて、それぞれト書き有り・無しで提出という形になり、ト書き無しのみのご依頼もお引き受けさせていただいております。
なお、料金計算の文字数は基本的に「台詞の文字数のみ」をカウントさせていただいてます。
また三点リーダーも本来「……」が正しいのですが、これだけで二文字になってしまいますので「…」だけで書かせていただいております。
それでは、↓がサンプルです。
フリー台本「サキュバスの女剣士」
*全体の流れ
月明かりが差してる夜の森で、理由があって半裸でいるサキュバスの女の子と、様子を見に来た人間の相棒の話。
*本編
<真夜中の森。拓けた丘の上で、木の幹に隠れるように上半身をはだけてるヒロイン>
<後ろから聞こえた足音に驚く>
(驚き方は明確な声というより、悲鳴を上げかけた喉が鳴る感じ)
ひっ…⁉
…な、なんだ、お前か。
驚かすな。
…心臓に悪いな。
<自分の恰好を思い出して恥ずかしがる>
別に、何もしてない。
じ、じろじろ見るな…。
なっ!
だ、誰が露出狂だ!
違うわ!
まったく…!
わかった、説明する!
説明するから…もうちょっと、近寄れ。
<落ち着いた声で>
…サキュバスやインキュバス、いわゆる夢魔という私たちの一族はな。
あまり月の眩しい夜は、理性が薄れてしまうんだ。
太陽が水を蒸発させるように、月の光は地上の魔力を揮発させる。
この森は特に魔力が濃い。
一晩限りの力を得られる反面、夜明けの反動は二日酔いなんてもんじゃないんだ。
夢魔は元々、その影響を受けやすくてな。
中でも私は生まれつき、特に弱い。
こういう夜は、肌を晒して魔力を放出していないと、正気を保っていられないんだよ。
<悪戯っぽく笑う>
ふふっ…逆に言えば、今ならお前を魅了するくらいわけないんだよなぁ?
<ひと呼吸入れ、落ち着いた声に戻る>
冗談だよ。
私はサキュバスである前に剣士だ。
魅了の呪いに頼るのは、私の生き方じゃない。
<心細く>
…あの、さ。
まだ寝るつもりがないなら、もうちょっと……近づいてくれ。
こ、こっちは見るな、バカッ!
背中でくっつけばいいだろ…は、早くしろ。
寒いんだから。
<不安を押し殺しながら。本音を避けて遠回しに尋ねる>
…いつか言ってたよな。
お前は、魔王を倒すために別の世界から送られたって。
倒したら、やっぱり帰っちゃうのか?
…そっか。
いや、うん…そうだよな。
でもさ。
なんで倒さなきゃならないんだ?
陛下は…魔王は、別に悪いことなんてしてないだろ。
侵略だとか征服だとか、そういうのは先代がやってたことだ。
それだって、あの頃のこの国を考えたら仕方なかったのかもしれないけど。
でも今はもう、魔族は戦争なんてしてないんだぞ?
こんな田舎にも人間がいるし、首都に行けばもっとたくさん魔族じゃない奴がいる。
今の魔王を倒したら、それこそ平和を壊すことになるとか、考えないのか?
…わからない、か?
そうか…剣士って言うのは、便利な言葉だよな。
私もお前も、ただ相手が強いから挑みたいんだ。
挑んで負かして、それで誰かを泣かせても、もっと速く剣を振るいたいだけなんだ。
…まるで獣だよ。
獣同然だ。
剣のためなら理性を捨ててしまうんだから…。
<すっごい小声で>
私は…お前には人で居てほしいのに。
<静かな声。決意を固める>
…なあ。
夜が明けたら、賭けをしないか?
私とお前で。
お前が勝ったら、お前は魔王を斬りに行くんだ。
私が勝った時には…ひとつだけ、私の頼みを聞いてくれ。
うん。
月が消えてからでいいんだよ。
やっぱり私は、剣を振るうのが好きだし…。
結局、剣を振るうお前が好きだから。