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2022年 02月の記事 (1)

赤キギリ 2022/02/28 19:00

【小説】縮小管理士お嬢様・ふとももサウナ

金持ちの家に仕えて良かった点といえば、
広々とした浴場とそこに備え付けられたサウナであろう。

お嬢様の日々の無理難題を
四苦八苦とこなし、汗に滲んだこの身体に
サウナという純粋な水蒸気施設は心にダイレクトに効いて沁みる。

もちろん『お嬢様の思い付き』が悪いというわけではないが、
カロリーばかりの生活では飽いてしまうように、
普通の刺激が欲しいという日もあってしまう。

その点で言えば、
サウナというものはまさにうってつけだと言えるだろう。


ただただ蒸気のある部屋で、たらたら汗を流し続ける。

皮膚の表面から雨雫のようにぽつりぽつりと汗が湧き、
表面を落ちるたびに清められて行く感覚が心を満たし活力が湧く。

汗を流して、水を飲んで…
じわじわと身体が馴染んで行くのを感じるのだ。

そんな風に4分、5分、と過ごし…。
そろそろ替えのペットボトルを持ってこようか考えた時…。

グアッ…と、
サウナの内蓋が開け放たれた音がした。

誰が来たんだろう、と。
汗でひたひたになりつつあるタオルから頭を上げて、見上げると…そこには…。

薬獅子お嬢様がそこに居た。

「あら…!執事さん、いらっしゃったのですね…!
 私(わたくし)てっきり、誰も居ないと思ってしまって…!
 タオル1枚も持ちこんでいないのですが、ご一緒してもよろしいでしょうか!」

「出ます」

このままでは
サウナの熱より早く、お嬢様のせいで頭がクラクラとなってしまう。
もうひとしきり汗は流したわけだし、出ようと腰を上げようとすると…。

「ま、待ってくださいませ!
 少しだけでもいいのでご一緒できませんか!?」

「ダメです、もう一日の仕事は終わったはずです」

「残業代出しますから!」

「それでもダメです、ここからは自分の時間ですから」

この時間に、このタイミング。
偶然を装う気の無い鉢合わせに
絶対『思い付き』が発生したと魂で直感した。

そうとなればもうサウナに平穏なんて無い。
ならばとそそくさと出ようとするが…
それでも、サウナ正面の扉には薬獅子お嬢様が居て出られない。

いつもは見上げるほど
靴底を盛りに盛った180㎝超の身長ではあるが…
裸足の今、自分と同じ172㎝ほどしかない等身大。

けれども、ここでちんたらしてると
一生身長では勝てなくなるので払い除ける様に肩を掴む。
…が、それを黙らせんとばかりに胸を押し付けてきた…!

ふにゅんと、首の下、
サウナで温められたそこに外気で熱を持っていない胸は
それこそマシュマロのように柔く繊細で、それでも圧力を持ち…。

熱を奪いながら、
先ほどまで座っていたサウナの段差へと押し付けた。

…自分の汗でべったりとした部分だ。
一度離れてしまったばかりにそれに清涼感は感じられず、
ぬめぬめと感じられ、次に来る淫靡な行為を想起させて狂おしい。

だが、今はその気分ではなかった。

「今日は…ダメです。
 ただ汗を流したいだけなんですよ、自分は」

「あっ…ご、ごめんなさい…」

ちょっと強い語気になってしまった。
少し、悪いと思って反省したのか…薬獅子お嬢様はシュンとしてしまい…。

うっ…流石に言い過ぎてしまったか。
背が高いとはいえ、相手はまだまだ子供。
甘えたい気持ちもあると加味すると…少し譲歩するべきか…。

「分かりました、ちょっとだけ…ですからね?」

「あ、ありがとうございます…!」

「いつもみたいにオナニー道具として使わないでくださいよ?」

「ぜ、善処いたしますわ!」

…本当に大丈夫なのだろうか?
まぁそれでも一度決めたことだ、信用するとしよう。
座っていたサウナの段差も汗が蒸発して、元に戻ってしまっていた。
とりあえずは…仕切り直しとばかりにお湯で流し準備を整えていると…。

ふと、薬獅子お嬢様が持って来たペットボトルが目に付いた。

「あ、こちらですか?あなたの為に持ってきましたの!」

「………」

「何も入っていない、正真正銘水分補給のお水ですからね!?」

まぁ…それもそうかと手渡された水を飲んでみる。

渇いた喉と身体に効く、純粋な飲み水だ。
少し含まれた塩気が食欲を刺激して飲みやすい。

問答も終え、熱気が肺を満たし始め、身体がサウナに染まって行く…。
先ほどまでと同じ、汗をたらたら流すただそれだけの行為。
それだけなのに、精神が研ぎ澄まされて行くので素晴らしい。

ただ、それでも薬獅子お嬢様が気になった。

どうあっても世話を焼きたがるのが自分のようで、
ふと横を見るとそこには…
目を爛々と輝かせこちらを見つめるお嬢様の姿がそこにあった。

全裸でタオル一枚も持っていないので、その姿はあまりにも無垢。
ただそうなると…ドキドキと性的に見えて目の毒だ。
しょうがない…恥ずかしいけれどもタオルを手渡しすると…。

「あら?私の裸は見慣れているでしょう?」と、断られてしまった…。

小人を身体に住まわせるため、
抜群のプロポーションを維持するため努力していると豪語するお嬢様だ。

その身体には絶対の自信があり、
見られてもなんとも思わないどころか崇拝されていると感じるらしい。

まぁ…それならそれでいいか。
目の毒といっても、見つめなければそれでいいだけ。
先ほどまでと同様、タオルに目を落とし、ジッ…と汗が垂れるのをただただ待つ。

すると…
あぁ、視界が…歪み始めてしまった。こうなることは分かっていたのに。

「あら…あらあら!身体が縮み始めてしまいましたよ!」

「分かっています、大丈夫です」

「感想を聞かせていただいてもよろしいかしら!」

「少し…縮小化でも汗をかいているので水分が欲しいです」

「分かりましたわ!さぁどうぞ!」

こうなることを多少予測してたのか、
薬獅子お嬢様は予備のペットボトルを取り出し、
蓋を開けてくいっと口元まで運んできてくれた。

薬獅子お嬢様は、特殊性癖を持っている。
人間を小さくし管理することに快楽を求めるという性癖だ。

最初聞いた時は
まぁ…そういう人も居るよな
とは思ったのだが、お嬢様にもなるとレベルが違う。

人が小さくなるという
縮小薬を、飲んでいるのだ、
常日頃、それが飲み水であるかのように。

己には耐性を作ったようで、
その効能は常に他者へと差し向けられる。主に、自分に。

その縮小薬は身体に染み出し、体液ともなるとすぐに現れる。
汗一滴でも、それは効果を発揮し、ひとなめで数㎝も小さくなる。

曰く、自分が小さくしているようで快感を感じると。

そんな変態的な趣向を持ったお嬢様と一緒のサウナに居る。
今回は汗の熱気で小さくするという『思い付き』らしい。
なんとも…まぁ、度し難く執念を持った性癖である。

そして、
今回の趣向には満足しているようで…。

こちらがお嬢様の熱気で蒸され、
小さくされて行くことに興味津々らしい。
しきりに身体の調子とか、どんな感情かなどを聞いて来る。

対する自分は、
それでもサウナを楽しむことに集中した。

薬獅子お嬢様はだんだんと大きくなって行く…
それこそ自分を見下ろし、汗雫が雨のように垂れ、
巨大なスコールのように木床に跳ねても…自分はサウナを楽しんだ。

汗が皮膚から湧き出る感覚が全て。
じわじわと表皮からたれるそれは小さくなっても変わらず…。

けれども縮小中だからか、
湧いた汗がゴルフ玉のような大きさになり、
それを拭えばびっしょり腕が濡れてしまう。

自分の汗だが、サウナなので何故だか大きくても悪くない。
ただ、それ以上にこの様子を
くすくすと微笑みながら見つめるお嬢様に少し恥ずかしくなってしまった…。

そして…縮小化する以上、サウナの変化には抗えない。
膝に敷いていたタオルはいつの間にか下半身全体を覆い尽くし…。

縮小化が止まり、お嬢様の手の平サイズになった頃には
タオルは一面体育館に敷き詰められたブルーシートのような大きさになっており…。
びっちりと汗で濡れたタオルは重みをもって、この小さな身体をサウナの木床に張り付ける。

そうなるともう、解放感を求めて足がパタパタ動き出し…。

この様子が面白かったか、
ずいっと影を作るほど見下ろして来たお嬢様と目が合った。

「あら…?
 もしかして…どかせられませんの?そのタオル」

いたずら心が出たのだろう
薬獅子お嬢様がニィ…と、微笑みかけるも釘を刺す。

「ここで交渉したら二度とサウナに一緒に入りませんよ」

「えっ…また入ってくださいますの?」

「まぁ何もしなければ…悪くないですし…」

「それならすぐにどかしてもらいますわね!」

お嬢様は…
まぁ、ちょっと奇天烈だが根はいい子だ。
言われればやめてくれるし…
今後も一緒に入ると約束してしまったが、そこはそこ。

自分でも持ち上げられなさそうな
汗でまみれた重量級のタオルを
お嬢様は持ち上げ…膝にかけ、今度は逆に自分が全裸になってしまった。

完全に裸になってしまったのは恥ずかしいが、
こうも小さくなってしまえば開き直るというものだ。

じっ…と、楽しそうにお嬢様は見つめるも
最早股間を見つめられても足を拡げられまじまじ見もしない限り恥ずかしくない。

けれどもどうだろう…。
お嬢様は裸を…小さな裸を見つめるというより、より好奇な…。
『思い付いた』時のような目をしているではないか…!

「あ、あの…少し思い付いたのですがいいですか…?」

「…聞くだけ聞きます」

「私の太ももの間に入れて、
 タオルで覆ってサウナを作ってもよろしいでしょうか?」

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