ツバキ 2022/01/08 17:00

ヴァルキリーズ:経過報告その1 プロローグ

新作発売中

https://ci-en.dlsite.com/creator/11878/article/573538

アンケートの期日を3月31日まで延長しました。

対魔忍Orderについて

1.任務(導入)
2.改造(媚薬ローション、肉体改造、放尿)
3.洗脳(洗脳)
上記、3話は無料公開しています。
興味がある方はぜひ、以下のURLからどうぞ。
https://ci-en.dlsite.com/creator/11878/article/579622

経過報告

 新作、戦姫戦隊ヴァルキリーズの経過報告です。

 主要な登場人物はレッド、ブルー、イエロー、ピンク、ブラックの5人、サブに司令とオペレーターたちとなっています。もちろん、全員女性。
 想定しているシーンは脳姦(グロくはさせない)しながら情報を抜き取り、敵に改造されて、敵になる。しっかり者がふたなりにされ、甘やかせられながら洗脳させる等、色々考えています。
 プロローグからエピローグまで全9章を想定しており、洗脳、機械○、脳姦、ふたなり、再洗脳、マゾ、催○などなど、様々なジャンルを取り入れていきます。

 題名にはヴァルキリーという名前がついていますが、戦隊たちの格好は鎧やらドレスのような物を着ているというわけではなく、戦隊もののようにそれぞれの色ごとのスーツを着ています。申し訳程度に、左胸上部にクロスさせた槍とそれを挟むようにヴァルキリーの双翼のエンブレムが刻印されているという設定です。

 今作は一応戦隊ものと銘打っていますが、実際、私は特撮の戦隊を一回も見たことなく、もしかしたら戦隊らしさがないかもしれません。でも自分なりに戦隊らしさを出していければいいかなと思っています。

あらすじ

 世界征服を企む悪の天才女科学者、皇美沙(すめらぎ みさ)。彼女は人々を攫って人造人間へと改造し、手始めに日本の征服に着手した。
 彼女の企みを察した同じ天才女科学、者御神楽香織(みかぐら かおり)は美沙に対抗するため女性だけで構成された政府非公認組織、ヴァルキリーズを結成し、見事美沙率いる人造人間たちを撃退したが、彼女を捕らえることはできなかった。
 それから200年。自らを人造人間へと改造し、不老の存在となった美沙は人造人間を繰り返し送り込むたびにヴァルキリーズに撃退され、中々日本を征服できないでいた。しかし負けず嫌いな性格の美沙は日本の征服に固執し、再び人造人間を送り込んできた。ヴァルキリーズは故、御神楽香織の意思を継ぎ、彼女に立ち向かうが、ヴァルキリーズのすぐ近くまでひっそりと美沙の魔の手が伸びていた。
 陵○、洗脳、調教、快楽○問。様々な手段で美沙は彼女達を堕としにかかる。
 果たして彼女達は美沙の魔の手から逃れ、無事、日本を守ることが出来るのだろうか。

プロローグ

プロローグが完成しました。
文字数は約7000文字ほど。少し多すぎるかな?

プロローグは全体に公開し、1章からは全体、ちょっと、ガッツリに分けて投稿します。プロローグにHシーンはありません。プロローグはちょっとした導入で敵も現れますが、詳しいことは書いておらず、第1章から敵の詳細を語っていきます。

※プロローグは改変される可能性があります。ご了承ください。

「キャアアアアアアアアッッ!!!!!」
「逃げろッ!! 早く逃げろッ!!」
「ウワァァアアァァッッ!! 化け物がッ!! 来るなッ、来るなぁああぁぁぁッッ!!!!」

首都、東京。
日本の中心地であるこの地は今、混沌に支配されていた。
人々が叫びながら、何かから逃げるように、同じ方向へと走っている。
その向かう方向とは逆。
そこには異形の怪人がいた。

「ヒヒャアアハァァァァッッ!! 人間どもぉっ!! この俺、バラギラン様に恐怖しろぉおぉぉぉっっ!!!」

ゴツゴツとした岩のような身体で、手が巨大なハサミになっている、自らをバラギランと称するその怪人は50名ほどの——顔に白い妙な紋章があり、中には胸に膨らみがある者たちが混ざっている——黒一色の全身タイツの部下たちを連れて、建物を破壊し、人々を襲っていた。
彼らの後方には何人か血を流して倒れており、死んでいる。

「止まれ、人造人間!! 止まらなければ撃つぞッ!!」

通報され、急いで駆け付けた警官たちが、パトカーを盾にしつつ、拳銃を構えている。

「ギャハハハハッ!! そんな貧弱な武器では戦闘員すら倒せんぞぉっ!!」

バラギランは警察官たちを嘲笑した。
バラギランの岩のような身体は勿論、戦闘員たちが着ているタイツですら、貫けないと確信し、バラギランたちは進行していく。

「ふっ、バカめ」

と、パトカーで拳銃を構えている警察官たちの少し後方、この中で一番職位が高いであろう人物がニヤリと笑った。
拳銃を構えている警察官たちはただの警察官ではない。
彼らは自衛隊が到着するまで、人造人間を足止めする専門組織の先遣隊だった。
人造人間の襲撃は今回が初めてではなく、人造人間が初めて出現したのが数百年前で、前回の襲撃があったのが10年前。
今までもそうだが、10年前も、警察官の拳銃は効果がなく、自衛隊の武器も効果がなかった。
が、しかし、ようやく科学的に怪人の死体を研究することに成功し、今彼らが使っている拳銃が作られた。
正確には弾の方だが。
彼らが使っている弾の先端には研究の末に開発された怪人の特殊な皮膚を瞬時に溶かす特殊な薬品が込められていた。
撃って、弾の先端が衝撃を受けると薬品が瞬時に漏れ、皮膚を溶かし、銃弾を体内へと打ち込むという仕組みだ。

「これまで我々はお前たち人造人間に苦しめられてきた。だが、それもここまで。あの連中ではなく、我々警察が、市民を守って見せる。全員、狙えっ!!」

指揮官の号令に警察官たちが一斉に銃口をバラギランへと向けた。
そして。

「——撃てぇえっ!!!!」

——パンッ、パンパンッ、パンッ、パパパンッ、パンッ!!!!

銃声が一斉に鳴り、弾がバラギランへと殺到し、何発もの銃弾がバラギランへと命中する。

「グオオォォオオオォォォォッッ!!!!」

バラギランの身体が何度も揺れ、膝をついて倒れた。
それでも警察官たちは拳銃を打つのを止めない。
もはやバラギランは身動き一つしておらず、ただ倒れつくすだけだった。

「死んだか?」

そう、後方にいた人物が呟いた瞬間。

「くくく……」

倒れているバラギランから笑い声が漏れてきた。

「クハハハハハッッ!! ギャハハハハハハハハハァァァァァッッ!!」
「馬鹿な……!!」

バラギランが笑いながら立ち上がった。
背中や胸に打ち込まれたはずの弾丸がポロポロと地面に落ちる。
銃弾は皮膚を貫通していなかった。

「バカめぇ!! 貴様らが新しい武器を開発してるなど、あのお方はお見通しよぉ!! 我ら人造人間の身体は常にアップデートされるのだぁっ!! 貴様らが俺たちの身体を運よく手に入れ研究し、新しい武器を開発しようとも、次現れるときには俺たちにその武器は効かぁんっ!!」
「な、にぃ……!!」

明かされる衝撃の事実。
それならば、我々の努力はいったい何だったのか。
改造人間を倒せる武器が開発された喜び。
危険な薬品が入った弾の慎重な扱い方。
人造人間に友を、家族を殺され、家を、職場を破壊された被害者たちの憎しみの声を聴き、憎しみを晴らす瞬間を今か今かと待ち続けた時間。
様々な思いが音を立てて崩れ、費やした10年という時間がすべて無駄だったのかという虚無感に襲われる。

「人造人間用のミサイルなら俺を倒せるかもしれんなぁ。だがぁ……こんな街中に打ち込めるならなぁ。ギャハハハハハハハハハッッ!!!!」
「くぅ……」
「さぁ、行け。戦闘員どもぉ!! 殺して壊せ!! そしてあのお方に全てを捧げるのだぁっ!!」
「「「キキーーーーー!!」」」

バラギランの号令に戦闘員たちが甲高い声を上げ、警察官たちに襲い掛かった。
と、丁度その時、後方から複数の黒く頑丈そうな車が数台がやってきた。

「総員降車!! 急げ!!」

車から黒の全身プロテクターと小銃を持った人たちが降りてきた。
彼らこそが本隊であり、警察の特殊部隊だ。
特殊部隊の面々が警察官たちの援護に向かう中、一人の男が指揮官へと近づき、現状を訪ねた。

「現状は?」
「弾が効かない!! 我々の武器では太刀打ちできない。市民の非難を優先しながら後退し、自衛隊が到着まで時間を稼ぐんだ」
「なるほど、了解した。総員、撃ちながら後退だ。市民の安全を確保しろ」

無線越しに命令を下した男は自身も戦列へと加わり、小銃を打ちながら後退する。
銃弾は確かに効いていないが、指揮官の言う通り、牽制にはなっている。
襲い掛かろうとした戦闘員たちの歩みは遅い。

「ほう。物量作戦と来たか。確かに戦闘員たちの防御力は弱い。だが、俺はどうかなぁ?」

——ヒヒャアアハァァァァッッ!!!!

そう笑いながら、バラギランはその鈍重そうな見た目に似つかわしくないほど大きく跳躍した。
バラギランは警察官たちと特殊部隊の戦列を一気に飛び越し、後方にいた二人の元へとたどり着いた。

「な……!!」
「く……!!」
「死になぁっ!!」

バラギランの鋏が二人の下半身と上半身をあっという間に真っ二つにする。

「グガッ……」
「ガガッ……」

二人はそう短く叫ぶことしかできず、即死した。

「明石さんが……!!」
「動揺するなっ!! 挟まれたぞ!! 前方の黒服どもに突撃だ!! 強行突破しろ!!」

動揺し、恐怖が広がる前に、次席だった人物が声を荒げ、そう命令した。
その命令に咄嗟に従い、全員が銃を撃ちながら、前方へと一気に駆け出した。
その動きは秩序なく、バラバラだ。

「ガハッ!!」
「うおぉぉっ、来るなぁぁぁっ!!」
「お前だけは逃げ——」
「敦さん!!」

次席の人物の命令は失敗だった。
銃が全く効かない相手に突撃するよりも、銃が少しでも効く相手に突撃した方が逃げられると思ったのだろうが、戦闘員たちには弾幕を張れば足止めできたが、一人の小銃から撃たれる弾数では足止めにもならなかった。
バラバラに、それぞれが相対する戦闘員に小銃を撃っても近づいてくる戦闘員の動きを止めることができず、一人、また一人と戦闘員たちに殴られ、首の骨が折れて死んでいく。

「糞!! また俺たちは負けるのか!! 何のために俺は……、この部隊に」

そう嘆く特殊部隊員に戦闘員の拳が迫る。

(母さん、ごめんよ。敵……討てなかった)

10年前の襲撃時に死んだ母。
その復讐を誓い、警察が応募していた対人造人間部隊に志願した彼。
厳しい訓練を乗り越え、ようやくこの手であいつらを殺せると思っていた。
それらは全て無駄だった。

「……」

ギュッと目を瞑る。

「ギギャァアアアアッッ!!」
「え……?」

ドサァアアと何かが倒れる音が聞こえた。
目を開くと、目の前で赤いスーツを身にまとい、黒いフェイスガードが付いている赤いヘルメットをかぶった女性が迫り来ていた戦闘員を殴りつけていた。
スーツのため体つきはよく分かり、胸は平均的で、身長も平均的な中肉中背の女性だ。
左胸上部にはクロスした槍2つと、クロスしている槍を挟む天使の双翼のエンブレムの刻印があった。

「ここまでだよっ、人造人間たちっ!! これ以上暴れるのはボクたち、ヴァルキリーズが許さないよっ!!」

彼女だけではない。
他にも3人の女性たちがそれぞれ武器を持って、戦闘員たちを倒していた。
倒された戦闘員たちはピクリとも動かず、時間が経つと全身タイツとともに身体が溶けている。

(こいつらが……政府非公認組織ヴァルキリーズというやつらか)

助かったという気持ちよりも、男の中で憎悪の炎が渦巻く。
なぜあれだけの力を持ちながら、政府に協力しない。
彼女らが政府に協力すれば、被害ももっと少なく済ませることができるのに、と。
その思いを抱くのはこの男だけはない。
助けてもらった特殊部隊の面々のほとんどや、政府、自衛隊、警察などが抱いていた思いだった。
そんなことを知ってか、知らずか、彼女たちは助けた特殊部隊員に大丈夫ですか、などの声をかけず、次々と戦闘員たちを倒していく。

「レッド、大丈夫か?」

レッドと呼ばれた女性同様、ヘルメットとスーツの色は黄色の女性が語りかけてきた。

「うん!! 大丈夫だよ、イエロー。ありがとう、心配してくれて」

レッドと呼ばれたのが、ヴァルキリーレッドで、拳を武器に戦っている。
そしてレッドに話しかけのがヴァルキリーイエロー。
彼女は背が170cmほどあり、女性にしては身長は高いが胸は非常に小さい、スレンダーな体型の女性だ。
剣を片手に持っており、剣術で戦っている。

「アタシはがさつで、ブルーは肝が据わっているし、ピンクはのほほんとしている割にはしっかりしているからな。あいつら心配しなくても大丈夫だろ。でも、お前はアタシらより強くないからな」
「そうだね。ボクは手が震えているよ……」

そう言う彼女の手は確かに震えている。
彼女たちにとって今日が初陣であった。
が、初めての実戦に恐怖を感じ、手が震えているのではない。
彼女たちは、彼女は戦闘員がどうやって作られているのか知っている。
戦闘員たちの正体は人である。
彼ら、彼女たは攫われて、人造人間へと改造され、今、この場にいるのだ。
バラギランもそう。
彼らは被害者だ。
だが、彼らを救う術はない。
ただ、殺してしまう他ないのだ。

「あいつらが消えているのは、私たちに肉体を残さないためだ。私たちが殺しているわけじゃない」
「分かってはいるんだけどね……。でも、やっぱり……救ってあげたいんだ」

戦闘員が消えた場所をレッドは見つめている。
その様子にイエローはフェイスガードの下で笑みを浮かべた。

「お前は優しい奴だな。けど、ここは戦場だ。その気持ちは今は仕舞っとけ。今考えたところで救う方法が思いつくはずないからな」
「うん。ありがとう、イエロー」
「年下を心配するのも、年上の仕事だ。行くぞ」

そして二人は駆けた。
その先ではすでに戦闘員たちは全員倒されており、仲間たちがバラギランとにらみ合っていた。

「来たわね。レッド、イエロー」

青いスーツに青いヘルメットをかぶった女性が凛とした声でそう言った。
彼女がヴァルキリーブルー。
イエローより低いが、レッドよりは高い身長で、胸はEカップはありそうだ。
彼女は槍を武器に戦う冷静沈着な女性で、ヴァルキリーズの頭脳だ。

「ふふ、これで全員揃いましたね~」

のほほんとした雰囲気でそう言ったのは、ヴァルキリーピンク。
レッドと同じ身長だが、Iカップはありそうな豊満な胸が特徴的であり、銃を武器に戦い、彼女は主に後方支援を担っている。

「くくく、ついに来たなヴァルキリーズ」
「人造人間!! これ以上の悪事はボクたちヴァルキリーズが許さない!!」

レッドが先頭に立ってバラギランに言い放った。

「戦闘員を倒したからと調子に乗るなよ。このバラギラン様はあのお方に作られた至高の人造人間!! これまでの人造人間とは違う!! 今日が貴様らの最後だ!! ギャハハハハッ!! 行くぞぉっ!!」

バラギランがハサミを前方に向けながら突進してきた。
4人はサッと四方に散って、攻撃を避け、すぐにイエローが攻撃を仕掛けた。

「オラァアァァッ!!」

上段からの切りつけ。
その攻撃はハサミで防がれた。
だが、まだ攻撃は終わらない。

「オラオラオラオラァァァッッ!!!!」

斜め。下段。中段。
様々な方向から神速の剣撃がバラギランを襲う。
バラギランは防戦一方だ。
しかし、流石は至高の人造人間と自称するまではある。
僅かな隙を見つけ、バラギランは反撃を繰り出した。

「そこだぁっ!!」

バラギランのハサミによる突きがイエローの腹部へ迫る。

「——ッ。おっと、あぶねー」

イエローは後方へ飛び、紙一重でバラギランの反撃を避けた。
だが、腹部から少しだけ出血をしている。

「チッ。少し食らっちまったか」

腹部を抑えたイエローにブルーが近づく。

「あなたはそこにいなさい。今度は私が行くわ」

今度はブルーがバラギランへと襲い掛かった。
まずは小手調べの突き。
容易くハサミで防がれた。
ならばと、ブルーはバラギランを飛び越えるほどの跳躍をし、バラギランの背後へ回ると鋭い突きを放った。
しかしそれも、振り向きと同時に振るわれたハサミによって防がれた。
そして反対にバラギランが反撃する。
その重そうな身体からは想像もできない素早い動きでブルーに接近し、ハサミを振るう。

「ギャハハハハァァッッ!! 死ねっ、死ねぇええぇぇぇっっ!!!!」
「っ、はっ、くぅっ……。なかなかやるわね……!!」

間合いが近いせいで柄の長い槍は思うように振るうことができず、ブルーは防戦一方だ。
距離を取ろうにもその度にバラギランはブルーへと近づき、間合いを広げさせてはくれない。

「レッド。もう傷は大丈夫だ。アタシたちも行くぞ」
「うん」

苦戦しているブルーに、レッドとイエローが加勢する。
3対1。
バラギランが不利な状況に思われるが、バラギランは攻撃を加えつつ巧みに動き回り、時折同士討ちを狙ってくる。

「はっ!!」

ブルーが気合いの籠った突きを放った。
その攻撃を察知し、バラギランはレッドからの打撃をハサミで防ぎながら、その攻撃を避ける。
その背後にはバラギランの身体に隠れていたイエローがいた。

「うぉっ!! あっぶねー」
「ちっ」

間一髪、イエローがブルーの攻撃を避けた。

(上手ぇな、コイツ)

イエローが内心、舌を巻く。
なかなかバラギランにクリーンヒットが当たらない。
それは彼女たち3人の連携が未熟というわけではなく、バラギランの戦闘技術が3人を上回っていた。
ゆえに、3対1でやっと対等に戦えているのだ。

(あの全身タイツの人たちとは全然違う……!! 人造人間ってこんなに強いんだ)

レッドはそう思いつつ、バラギランの隙を見つけアッパーカットを放つ。
しかし、それはバラギランが誘った罠。
バラギランは冷静にレッドのアッパーカットを避け、ハサミで挟もうとしてくる。

「ッ……!! させっか!!」

イエローがハサミを蹴り上げ……。

「はあぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」

いつの間にか宙へと飛んだブルーが空からバラギランの頭に自らの体重も載せて、槍を垂直に打ち込もうとしてきた。

「ギャハハッ!!」

バラギランはさっと避け、3人から距離を取った。

「なかなかやるではないか。だが、そんなものでは俺を倒すことはできんぞぉ!!」

バラギランはギャハハと笑いながらそう叫んだ。
確かに、バラギランの言う通りだ。
レッド、ブルー、イエローの攻撃はバラギランの巧みな動きで全て防がれ、躱されている

「そうかしらね」

だが、そんな挑発に彼女たちは乗らない。
彼女たちには策があった。

「一人忘れているんじゃないかしら?」
「最初は警戒していたが、今ではすっかり忘れているだろう?」
「何ぃ?」

そう言われ、バラギランは考える。
確かに、戦闘員を倒していたやつらは4人だ。
そして自分に戦いを仕掛けていたのは、青い奴と……。

(ピンクの奴はどこにいる……?)

と、思い、周りの気配を探ろうとした瞬間、

「ガハッ……!!」

人間の心臓と同じ位置にある、人造人間の核が撃ち抜かれた。

(そうか……。気配を消して、俺の背後に……)

そう。3人は囮だった。
本命はピンクだ。
バラギランの背後で、ピンクが伏せ撃ちの状態でいた。
構えている対物ライフルのようなゴツイ銃の銃口からは白い煙が吐き出され、風に吹かれて消える。

(申し訳ございません、美沙様。ですが、最後のお役目だけは全うします)

バラギランは最後の力を振り絞った。

「ギハハハハハーーーーッッ!!!!」
「「「「——!!」」」」

バラギランは跳躍した。
ピンクの元へ。

「ピンク!!」

レッドが走る。
遅れて、ブルーもイエローも走る。
ピンクは急いで立ち上がるが、その立ち上がった瞬間に……。

——ズンッ!!

と、バラギランが降り立った。
そしてハサミを振り下ろす。

「おっと~」

ピンクはライフルを盾にするが、ライフルは簡単に壊れた。

「これは絶体絶命のピンチだね~」

こんな状況にも関わらず、ピンクはのほほんとしていた。
だが、バラギランにはそんな余裕はない。
命の灯が消えるまであと……少し。

「ギャハハハハァァッッ!!!!」

もう一閃。
それは簡単にピンクに避けられ、ピンクの手にはいつの間にか拳銃が握られていた。

「さようなら~」

——パンッ、パンパンパンッ!!

バラギランの身体に4発の銃弾が打ち込まれた。
その弾は特殊部隊が使っていた弾より強く、人造人間には効果てき面であり、バラギランがよろめく。
死ぬ。
灯が消える。
使命を果たさねば。

(何一つ全うできず、俺は死ねん……!!)

ピンクは油断している。
バラギランがそのまま死ぬと思っている。
その隙を狙って。
バラギランの最後の、最速の一撃が放たれた。

「——ッッ!!」

ピンクの顔を守り、素顔を隠しているフェイスガードが半分削がれた。
そしてバラギランは顔半分だけであるが、ピンクの素顔を見た。

(これで役目は果たした)

バラギランがそう満足した瞬間。

——パン!!

脳天を撃たれたバラギランはそのまま仰向けに倒れ、その身体が溶けていった。
そしてレッド、ブルー、イエロー、ピンクの4人の女性はすぐさま姿を消した。
残ったのは傷ついた特殊部隊の面々だ。

「終わったのかよ……。畜生……!!」

期待を込めて開発した武器は効かず、指揮官を喪い、守るはずの街と市民の命は全く関係のない奴らに守られた。
無力感、喪失感を感じ、彼女たちに対する怒り、いや憎悪が彼らの中で渦巻く。
なぜ名乗り出て、協力しようとしないのか。
被害はゼロではない。
彼女たちが現場に到着する間に市民の中で死人は何人かおり、建物もいくつか損傷している。
名乗り出て、連携すれば被害を抑えられたはずなのに。
隊員たちはそう思わずにはいられない。

「クソ……!! クソ、クソ、クソォ!!」

人造人間を倒すのは自分たちだけで、我々は必要ないと言いたいのか。
唯一人造人間を倒せるという優越感に浸り、いたずらに被害を増やす存在。
彼女たちの存在は、彼らにそう思われていた。
その怒りの矛先を向ける存在はどこにもなく、ただ彼らの胸の中で渦巻く。
いつまでも。
いつまでも。

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