次のお話
まだ冒頭部分のみ
ちまちま進めていこうと思います
ルビ用のタグとかあります。すみません
(――遅くなっちゃった)
リュックサックのファスナーを閉めながら、<ruby>石山<rt>いしやま</rt></ruby><ruby>理緒<rt>りお</rt></ruby>は心の中で呟いた。
担任でもある国語教諭に頼まれたプリントの仕分けに思いの外時間を取られてしまった。
冬も間近に迫った今日この頃、窓の外は薄闇に包まれ始めている。
(せっかくバイト休みだから買い物とか行こうと思ってたけど、今日はまっすぐ帰ろうかな……)
しん、と静まり返った教室を見回す。
理緒は小さくため息をついた。
いつも遊ぶ友人たちは最近揃いも揃って彼氏ができた。
相手は三年生の先輩だったり、バイト先の他校の生徒だったりだ。
「――……いいなぁ」
ぽつりと心の声を漏らす。
理緒にだってそういう機会がなかったわけではない。それこそ上の学年の男子やバイト先の大学生などから誘われることも多少あった。けれど彼女はそのどれもを断ってきたのだ。
(<ruby>世唯<rt>せい</rt></ruby>のとこ寄ってみようかな。でも忙しかったら悪いよね……)