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2024年 06月の記事 (2)

鶯命丹 2024/06/22 00:56

 DK×ガチムチ用務員おじさん【全文10,000文字】

 【お試し読み】DK×ガチムチ用務員おじさん【全文10,000文字】
 お付き合いを始めたふたりの初めてのお泊り話

 年下攻め×年上受け・美形攻め×ガチムチおっさん受け・挿入なし、初夜・兜合わせ・攻めフェラ・♡、濁点喘ぎ
 
 受け視点
 攻めに「好き♡」って言われたから気持ちを受け入れた受けが「俺も好きだけど…でもな~、俺の好きはお前の好きと違うかもしれないしほんとにいいのかな~」ってもだもだ悩む描写あり
 攻めの方がリードされたり、喘いだりしてる
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「あのさ……明日金曜日でしょ? マサさんち、泊まりに行ってもいい? ちゃんと課題も持ってくし、家事も手伝うから」
 そうおずおずと聞いて来た和津沙に、博雅は一瞬固まった。
 ――これは、アレだ。とうとう来た。
 内心の動揺を悟られないように博雅は「おう、いいぞ」といつも通りに返答した。
「やった。ありがとうマサさん。じゃあまた明日」
 和津沙は嬉しそうにはにかむと、ソファーに投げ出していた博雅の手を握る。男にしては細くすらりとした綺麗な手だ。
 その手がぎゅっと自身の手を握り、愛おしげに指先が動くのを肌で感じて博雅はますます動揺した。
「ああ、また明日な」
 反射的に、和津沙の手の動きを封じ込めるように、ぎゅっと握り返して答える。
 握りしめられた手を見た和津沙はまた嬉しそうに口元を綻ばせると立ち上がり、用務員室のドアへ向かった。
 離すタイミングを見失った博雅はそれに着いて行く。
「それじゃあ……」
 別れを惜しむ瞳がじっと博雅を見つめている。
「そんな顔すんなって! また明日会うんだろ?」
 正直に、真っ直ぐに、愛情のこもった視線を向けられることが気恥ずかしい博雅は笑って誤魔化し、和津沙の背を強く叩いた。
「そうだよね……じゃあバイバイ」
 和津沙は咽せながら笑って部屋を出ていく。
 廊下を遠ざかっていく足音が聞こえなくなった後、博雅は大きく息を吐いた。

 
 最近、付き合うことになった和津沙はまだ若い。
 絆されて、つい交際の申込を受け入れてしまったが、若さ故か、和津沙の気性なのか、真っ直ぐに好きと伝えてくるその姿勢がありがたくもむずがゆい。
 嬉しい。
 嬉しいが、恥ずかしい。
 同じ熱量で返してやれないのが心苦しい。
「若さかなぁ……」
 見慣れた職場の天井を見上げて博雅はひとり呟いた。
 歳の差もあり、特段見かけの良いとも稼ぎが良いとも言えないと自負する博雅は、一体どこに若く綺麗な和津沙に選ばれる理由があるのか、理解できなかった。
 最初は断りもしたが、情を向けられ続けて避け続けるのも辛い。
 結局のところは己も和津沙を憎からず思っていたのだと気づき、付き合うことに了承はした。
 そんないきさつではあるが、決して同情だけで応じた訳ではない。
 ――そんなはずはない……けど、なぁ。
 和津沙から向けられる強い愛情に戸惑っている矢先の宣言。
 博雅も男だからわかる。あれは絶対そういうことをしたいと思っている時の目だ。
 困ったな。というのが博雅の正直な感想だった。
 確かに和津沙の気持ちは受け入れたが、博雅の心の準備は、まだ艶ごとには対応しきれない。
 ――和津沙で勃つかな……俺。
 下世話な思考だが、切実な悩みに博雅は眉間に皺を寄せる。
 今まで博雅の恋愛対象は女性だった。
 和津沙は普段、長い前髪でわかりづらいが実は綺麗な顔をしている。
 すらりと華奢な体躯ではあるが、骨格は男だ。
 肩幅はあるし、手は細いが筋張っているし、足も大きい。
 どこからどう見ても男にしか見えない和津沙に対して、そういう事ができるかわからない。
 和津沙があまりに健気に好いてくれるのを嬉しく思うが、しかしそこには、応えないと申し訳ないという罪悪感にも似た気持ちが、まったく無いわけではなかった。
 ――そうなると……そもそもこんな形で和津沙を受け入れたのが間違いだったのか? やっぱり断る方が良かったのかなぁ……
 ぐるぐると、自問自答が脳内を巡っている。
 和津沙の綺麗な顔が、悲しげにひそめられるさまを思い浮かべると博雅の胸が痛む。
「はぁ〜……」
 和津沙に悲しい顔はさせたくない……だが、気持ちに応えてやれるか不安だった。


 中略

 驚嘆と喜びに満ちた吐息が漏れ、細い腕が博雅の首にしがみつく。
「……ぁ……は、あぁ、マサさん」
 あわく開いた和津沙の唇が、何度も唇を啄んでくる。
 その感触がくすぐったく、いたいけで、博雅は少しの間共に暮らした猫の事を思い出していた。
 甘えてくる猫を撫でるように、和津沙の細いうなじを撫でると、首をすくめて小さく笑っていた。
「ふふ、くすぐったい」
 喜色のこもった吐息が唇に触れ、その熱に博雅の腹の奥がぞわりと蠢いた。
「……マサさん……」
 熱を帯びた呼びかけに薄く瞼を開くと、蕩けた顔をした和津沙がじっと瞳を覗き込んでいる。
 腹と腹がぴったり重なり、寄りかかってくるのを受け止めると、硬い感触が下腹部に当たる。
 思わずびくっと肩が跳ねた。
 端正な顔をした和津沙の男の部分を押し付けられて、博雅は動揺する。
「マサさん……好き」
 うっとりと呟く和津沙の腕が、きつく博雅の首すじに抱きつく。柔らかい唇が博雅の下唇を食み、熱い舌が挿し込まれ歯列を舐られる。
 隙間なく重なった腹に、へコヘコと擦り付けられる和津沙の肉棒を意識して、博雅は息継ぎを忘れてしまった。
「はっ、はっ! まて和津沙っ……」
 まるで初心な生娘のように固まっている博雅の手を取って、和津沙は艶然と微笑むと、それを自身の下腹部へと導いた。
 手のひらに触れた他人の性器の感触に、博雅は息を呑む。
 興奮に頬を紅くして、欲のとらわれた若い男の勢いに飲まれて、碌に制止もかけられなかった。
 戸惑う博雅の耳元に、熱に浮かされた和津沙の声が落ちる。
「俺も、マサさんの触っていい?」
 お願いの様相を呈しているが、和津沙の手は既に博雅のゆるく勃ち始めた陰茎を撫でている。
「マサさんも、ちょっと勃ってる。嬉しい」
 布団の中を覗き込んで、和津沙は嬉しそうに笑っている。
 和津沙が再びきつくしがみついてきた。
「一緒にしよ? マサさんお願い……」
 熱っぽく囁く和津沙に弱点を握り込まれ、ゆるゆると扱かれると、抗いがたい快感が腰から全身を駆け巡った。
「う、ぅ」
 思わず声が漏れる。羞恥に唇を噛もうとした瞬間、和津沙の唇にふさがれた。
 片腕は首に巻き付いて、片手で器用にスウェットと下着をずらされた。
「はっ、はぁ♡」
 剥き出しになった陰茎をじかに扱かれ、博雅は自身でも恥ずかしくなるくらい熱のこもった息を吐いていた。
「……俺のも、して♡」
 和津沙の切羽詰まった声が舌に絡まってぞくりと肌が粟立った。
 腹の奥で疼く熱に浮かされ、気づいたら博雅は和津沙のスウェットの中に手を入れていた。ガチガチに固くなっている肉棒を握り、激しく扱く。
「あっ♡あっ♡あっ♡マサさん♡あっ♡あっ♡きもちい♡好き♡んっ♡んぁ♡」
 和津沙は、面白いように博雅の手に翻弄され、甘く艶めいた声を上げて、はしたなく腰を揺らしている。
「あぅ♡うっ♡ふぁ♡……はぁ♡はっ♡あぅ♡」
 トロトロとした粘液を垂らす亀頭を撫でると、和津沙の腰がびく♡びく♡と不規則に震えた。
 喘ぐ唇が、必死に吸い付いてきて、ねっとりと濡れた舌を絡ませてきた。
「ん゛♡うぅ♡」
 縋るように絡む舌に、口内を舐られて博雅の喉から呻きが漏れた。
 快感の礼に、扱く手を速めると和津沙の背が反り甘い嬌声が上がる。 



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鶯命丹 2024/06/17 19:00

 ツノ舐め【全文10900字】

【お試し読み】ツノ舐め【全文10900字】



 夫婦♂になった鬼退治得意な桃瀬くんと鬼のおじさん鬼田さんが仲良く一緒にお風呂に入る話。
 攻めが受けのこと奥さん呼びしたりします。
 
 濁点喘ぎ・♡喘ぎ・いちゃらぶ・野外立ちバック・玉舐め・尻舐め
 



――――――――――――――――――


 夫婦となり、ともの暮らすようになって数日。
 桃瀬の視線が、隣で汁物をすする鬼田の髪をじっと見つめている。
 生えるままに自由に伸びてる蓬頭を見て桃瀬は「鬼田さん、髪を洗いましょうか」とぽつりと言った。
 すげなく断られるかと思っていたら、鬼田は椀から顔を上げて上機嫌に返答をくれた。
「おう、いいな。じゃあ風呂に行くか」
 思ってた以上の快い返答に、桃瀬は切れ長の目を見開いて鬼田を見返している。
「なんだよその顔」
「いえ、なんでも」
 静かに頭を振る桃瀬に、鬼田は一瞬眉根を寄せて訝しむが、すぐに飯をかきこんで昼餉を終えた。
「まぁいいや。とりあえず飯を食ったら早速行くぞ。早い方が良い」
「出かけるんですか?」
「ああ」
 桃瀬の想定としては、近くに掘った井戸から水を汲んできて沸かした湯で髪を洗うつもりだったが、鬼田はどうやら違うらしい。
「鬼田さんいつもどこで髪を洗ってるんですか?」
 慌てて昼餉をかきこみながら問いかける桃瀬に、鬼田はにやりと笑って立ち上がると、自分の食い終わった食器を土間へと運び、洗い桶につけて戻って来た。
「早く食え。先に行くぞ」
 ニヤニヤと意地悪を言う鬼田に、最後のひとくちを口に入れた桃瀬がバタバタと食器を洗い桶につけに行く。
 鬼田は、桶を出してくるとその中に洗って畳んでおいた着物とふんどし、手ぬぐいを入れ、立ち上がる。
「よし、行くか」
「どこへ行くんですか?」
 慌てて後を追う桃瀬に、鬼田はいたずらを企む子どものように含み笑いを浮かべるだけだった。

 


 棲み処から、少し山中を歩いたところに川がある。
 ごうごうと流れる川のしずくが風にあおられ、午後の明るい陽射しにきらきらと反射しながら大小数々の石が転がる川原に散っている。
「川で洗うんですか? まだ少し寒くありません?」
 首を傾げる桃瀬に向かって、鬼田はニヤリと笑うと「まぁ手伝えよ」と着ていた着物を脱ぎ、ふんどしに一丁となって川に入って行く。
 川原との境になる浅瀬に立ち、屈むと太い腕で川底を掘っていく鬼田。彼に続いて、桃瀬も着物を脱ぐ。
 川底を掘る鬼田の近くへ駆け寄ると同じように川底の石をどかして掘っていく。
 石を退かしていくたびに砂土が水中に、煙のように沸き上がり、川の水に流れていく。
 黙々と川底を掘る鬼田に合わせて、桃瀬も手を動かしていくと、もわっと水中に蜃気楼が立ち昇ったように見えた途端、手指に熱気が当たる。
「わっ、あつっ! えっ? お湯だ! これが目的だったんですね」
 突然の熱さに、驚いた桃瀬が顔を上げて鬼田を見ると彼はにっと顔を綻ばせて頷いた。
「やっと湯が出てきたな。熱いだろ。あとは俺がやるからお前は下がってろ」
「はい、ありがとうございます」
 皮膚の強い鬼は、沸く源泉の熱さを物ともせず、鬼田は川底を掘って行く。
 川原と川のはざまに出来ていく大きな窪み。
 土に濁ってた窪みの水は、鬼田の大きな手のひらが深く広く掘ることでこんこんと湧き出てる湯に押し流されて澄んで行った。
 窪みに溜まった熱い源泉の湯は、すぐ脇を流れる川との境目を曖昧に崩すと、冷たい川の水が流れ込んで来て、ちょうど良い温度に覚ましてくれる。
「そろそろ大丈夫か? おい、桃瀬。ちょっと湯を触ってみてくれ」
「すごい。あっという間に温泉が……」
 広く掘られた湯船に感心しながら桃瀬は、湯に手を入れる。
 川の水が常に流れ込み、触れる湯は滑らかでちょうど良い。
「大丈夫です。とてもいい湯加減ですよ」
「よし! じゃあ入るか」 
 顔を綻ばせ頷くと、鬼田は得意げに笑って早速ふんどしを解いた。
 ざぶざぶと湯を蹴立てて掘った湯船の中心に来ると、肩まで浸かる。
「あ〜……あったけぇ……ほら、お前も早く来い」
「……お邪魔します」
 呼ばれた桃瀬もふんどしを解き、恐る恐る湯へ足を浸ける。きちんと適温になっている湯の中に肩まで浸かるとじわぁ、と身体を包む多幸感に桃瀬もため息をついた。
「おわ〜……あったかいですねぇ……」
「そうだろ……」
「そっちに行ってもいいですか?」
「お~……」
 だらけた返事の鬼田に向かってぷかぷかと浮かびつつ近づいて行く桃瀬。
「あち! うわっこの辺、下が熱い!」
 温泉はどうやら鬼田の居る湯船の中心から湧いてくるらしい。
 足の裏をかばいつつ、桃瀬は湯船の中を跳ねながら川の水が流れ込んでくる方に逃げた。
「あれ、熱ぃか? もっと川の水が入るように掘れば良かったな」
 湯の中に後頭部さえ浸けてだらけていた鬼田が頭を上げて桃瀬を見た。
「いえ、お湯はちょうど良いんですけど、そこの辺だけ足元が熱くて」
「そっか、下から湧いてくるからなぁ。そんならここ座るか?」
 鬼田は桃瀬の方へ腕を伸ばし、腋の下に手を入れて抱き上げると自身のあぐらの上に乗せた。
「あ、ありがとうございます」
 鬼田の膝に乗せられた桃瀬は裸の肌が触れてしまわないように、なるべく小さく丸まった。
 真っ赤に染まった顔は湯の熱さだけではなく、潤んだ瞳は落ち着きなく彷徨う。
 それに比べて鬼田は、桃瀬を膝に乗せたまま湯船のふちに頭を預けてだらりと脱力している。
 無防備な鬼田の存在を裸の背中で感じた桃瀬はますます動揺した。
 桃瀬は鬼田をよこしまな目で見ているというのに、彼の方はまったくそんな事も考えつかないような素振りで、だらりと脱力している。
 純粋に温泉を楽しむ鬼田を邪魔するのは忍びない。桃瀬は腹の中にもやもやとくすぶる熱を理性で抑え付けて、鬼田の分厚い胸板に頭を預けた。この弾力を味わうくらいは許してもらいたい。
 張りのある分厚い肉に頭を擦り寄せると、ほかほかと温かい。
 目を閉じて鬼田の弾力と熱を堪能していると、川の流れる音や、木々の葉の擦れる音が意識にのぼってくる。
 閉じた目蓋越しに差す午後の柔らかい日差しに、涼しい風が熱った頬を冷ます感触に、桃瀬の気持ちも次第に落ち着いてきた。自然と深く息を吐く。
「……はぁ〜……気持ちいいですねぇ……」
「……お〜……」
 話しかけると、随分と間延びした返事が返って来た。

 

「ふぅ〜……すみません。熱くなってきたので先に出ます。ついでに鬼田さんの髪、洗ってあげますね」
「おぉ、助かる」
 桃瀬は持ってきた桶の中身を乾いた大きい岩の上に置くと、その桶に湯汲んで湯船の淵に預けた鬼田の頭にそっとかけた。
 湯をすくっては髪を濡らし、頭皮を温めるのを繰り返す。濡れ髪に持って来た櫛を何度も通して、湯で温まり柔らかくなった頭皮を指先で揉むと、鬼田は大きく長く息を吐いた。「……あぁ〜……極楽だぁ……」
「気持ちいいですか?」
「あぁ、いい心地だ……」
 ぐにゃりと脱力する鬼田を見下ろして、桃瀬は笑った。
 よく湯で洗って、櫛で丁寧に梳かしていくと、広がってボサボサとしていた鬼田の髪は真っ直ぐ流れるようにまとまってなめらかに櫛が通るようになる。
 乾いた手ぬぐいで水気を拭き取って「はい! 綺麗になりました」と桃瀬が満足げに言うと、鬼田は湯船のふちから頭を上げた。
「じゃあ次はお前だな」と桃瀬を振り返ってにやりと笑った鬼田。
「え、いや、私は……」
「いいからいいから。ほら、交代しろ」
 のっそりと湯から立ち上がると、桃瀬を抱き上げ湯船に下ろす。押し切られてしまった桃瀬はおずおずと湯船のふちに頭を預け、鬼田を見上げた。
「それでは、お願いします……あの! 優しくしてくださいね。頭の皮剥がさないで」
「そんなに乱暴じゃねぇよ」
 不安げに言う桃瀬に苦笑すると、鬼田はまとめていた少年の長い髪を解いて手櫛を通す。
 桶からすくった湯をかけて、頭皮を洗う鬼田の手つきは桃瀬が思っていた以上に丁寧で優しい。
「う、本当に優しいですね……」
「そうだろ。痛くねぇか?」
「痛くないです。気持ちいい……」
 太い鬼田の指が、慎重な手つきで髪をくしけずっていく。大切な壊れ物に触れるような丁寧な所作を感じて、桃瀬は頬を赤らめた。
「なんだ、お前顔真っ赤じゃないか。熱いか?」
「い、いえ! 大丈夫です」
「そうか? なるべく早く済ますから」
 丁寧に扱われることへの嬉しさと、気恥ずかしさに紅潮した桃瀬の顔を見た鬼田が心なしか手早く髪に櫛を通し、手拭いで髪を拭う。
 急いでいる手つきではあったが、髪が絡むことも、引っかかって頭皮に痛みが走ることもなく洗い終えた。
 桃瀬ははにかみつつ「髪を洗うの、お上手ですね」と話しかけた。
「そうか?」
「ええ。梳かされててちっとも痛くなかったです」
「痛くないなら良かったよ。おし、大体拭けたぞ」
「ありがとうございました。私は熱くなってしまったので出てますね」
「おう。俺はもう一度あったまってから出るわ」
 桃瀬は湯の中から上がり、交代するように湯の中に戻る鬼田のそば、湯船のフチに座って涼む。
 ほかほかと火照った身体に吹き抜ける川辺の風が涼しい。
「風が気持ちいいですね」
「ああ」
「なんだか贅沢ですね」
「そうだなぁ……酒持ってくれば良かったなぁ」
 桃瀬は、午後の明るい日差しの中で湯に浸かる贅沢に笑い、少し下にある鬼田の顔を見下ろす。
 鬼田の顔や肩口は赤らんでいた。
「鬼田さん。顔赤いですよ? 熱くないんですか?」
「そうか? そこまでじゃないぞ」
「真っ赤ですよ。こんなに赤いのにお酒なんか呑んだら身体に良くないですよ」
「人間じゃねえんだ、そんなヤワじゃねぇよ」
 鬼田は、湯船のフチに頭と腕をだらりと預けてくつくつと笑っている。
「本当に? だって角の根元の皮膚まで赤くなってますよ」
 鬼田の額、髪の生え際にある皮膚を突き破って生える角の根元は、顔と同じくらい赤く熟れたように色づいていた。
 赤くなった根元に指先で触れるとほかほかと火照っている。
「ああ、ほらやっぱり。ほかほかしてますよ」
「そうか?」
「ええ、こんなところも赤くなるんですね。でも角の部分は冷たい、かな?」
 桃瀬は角をよしよしと撫でた。鬼田はそれを意に介さず、じっと目を瞑ったままされるがままになっている。
「痛くない?」
「痛くねぇよ」
「感覚は、ある?」
 そう問うと、鬼田はちらりと瞼を開けて桃瀬を見た。薄くすがめた鬼田の瞳と、桃瀬の視線がかち合う。
 少し考えるように軽く頭が傾き、その後すぐに「根本のとこだけ。皮膚の境のとこだけちょっとある」と鬼田は言った。
「そうなんだ」
 呟くように返事をすると桃瀬は角を撫でていた手を下げて、額近くの、盛り上がった皮膚を指先で撫でた。
 硬いような、柔いような、不思議な感触に夢中になって桃瀬は指先でいじくり、擦り、指圧をし続ける。
 長く湯に浸かっていたせいか、ぼーっとしながら、桃瀬は指を動かして肉の盛り上がりに触れ続けている。すると低い笑い声が聞こえて来た。
「くすぐってぇよ」
 小さく頭を振って自分の手から逃げようとする鬼田がおかしく、桃瀬は手を伸ばして逃げる角を追った。
 桃瀬の指が鬼田の額に触れる。
「やめろって」
 顔を逸らして逃げる鬼田の表情は柔らかい。
 逸らされた顔を腕に抱きしめて桃瀬は角に唇を寄せた。
 ちゅっ、ちゅっ、と可愛らしい音を立てて、桃瀬は盛り上がった肉を吸い、舌先を伸ばして角と、めくれ上った皮膚とのさかいを舐めた。
「んっ、ふふ」
 くすぐったいのか、鬼田は首をすくめて小さく笑っている。
 甘い反応が返ってきた事が嬉しく、桃瀬はますます鬼田の頭をかき抱き、角に愛撫を繰り返した。
 角の先から口付けを落としていき、根本にまで降りてきたら舌でべろりと一周舐る。
「ふ、ふふ……んっ、何がそんな楽しいんだ」
「あなたの反応が可愛らしいから……あと、このめくれた皮膚が、私を受け入れてくれた時の尻の穴みたいで……♡」
 言い訳をしながらも、桃瀬の唇は角に吸い付いき、角と皮膚の間に舌先を挿しこみ、舐め回していた。
「ははっ見るもんすべてがすけべに見えて、そんでこんなに興奮してんのか?」
 鬼田はからかうと、自分の頭を抱え込み角を舐める桃瀬の細腰を抱き寄せた。
 桃瀬の下腹部には既に甘く勃ち始めている陰茎がある。鬼田はそこに、ふっ、と息を吹きかけ指先でくすぐるように裏筋を撫でた。



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