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ショタ攻めの記事 (39)

鶯命丹 2024/05/18 12:24

桃○郎×鬼(全文16000字)

「お試し読み」



 節分の時に考えてたのに出来たのは今。
 物語はフィクションです。この世の現実のあらゆる事象とは関係ありません。
 
「注意」
 飲酒・飲酒からの性行為・攻めのフェラ・年下攻め・美形攻め・ガチムチ受け・おっさん受け・人間×人外・軽度の損傷
 

「あらすじ」
 山奥でひっそりと暮らす人畜無害の鬼、鬼田さんはある日はやとちりで鬼・怨霊特攻持ちの若武者、桃瀬くんに襲われ命からがら逃げ出す。
 誤解を謝罪して傷モノにしたお詫びに鬼田さんを娶る桃瀬くんの話


「登場人物」
攻め――桃瀬。人間・若武者・美しい

受け――鬼田。鬼・ガチムチ・おっさん

――――――――――――――――――――
 

 昔々、あるところに鬼がいました。
 鬼の名は鬼田。
 ザンバラ髪からのぞくツノに、恐ろしい牙。
 七、八尺は、あろうかという巨体は筋骨隆々。
 吊り上がったまなじりに鋭い三白眼。
 いかにも鬼と言った恐ろしげな容貌の鬼は、人里はなれた山奥で静かに暮らしています。
 里に降りる事もあるが山で採った山菜や育ち過ぎた木を伐採した薪木などと、里の米や野菜と交換するためであり里の者たちとの関係は良好でありました。
 しかし、そんな人畜無害の鬼のもとに、嵐のような出来事が起こるのでした。

 

「お前がこの山に棲みつく悪鬼であるか!」
「ん?」
 森にこだまする大声に鬼田が振り返ると、そこには若武者が立っていた。
 美しい武者であった。
 緑なす黒髪をひとつに結び、すらりとした体躯は若い牡鹿のように生命力に溢れている。
 少女にも見える顔立ちは険しく、柳眉をひそめて鬼田を睨んでいた。
 腰に差した刀を既に抜き放ち、切先を鬼田の方へ向けている武者に鬼田は応えた。
「鬼狩りかぁ? オレは鬼だが悪さはしとらんぞ」
「問答無用!」
 どっこいしょ……とのんびり立ち上がる鬼田に対し若武者は力強く踏み込み、刀を振りおろす。
「おっと! いやいや、ちょっとは話を聞けや!」
 紙一重で身体捻り刀を避ける鬼田に、若武者は二度三度と剣戟を繰り出した。
 渋面を浮かべる若武者のうら若き容貌とは裏腹に、その剣戟は熟達と言っても過言ではなかった。
 ――これは、当たったらタダじゃすまねぇな。
 鬼田は内心冷や汗をかきながら、空気を切り裂く音を立て振り回される切先を避け、少しずつ後退していった。
 鬼田の足さばきから、逃走する腹積もりを見切った若武者は、自らの懐から素早く何かを取り出して鬼へと投げつける。
「うがっ!」
 それは豆だった。
 思わず右腕をかざし顔を庇う。
 ただの変哲もない豆は信仰によって鬼の苦手な物とされ、鬼田も例外なく豆が苦手だ。
 当たるとやたら痛い。当たった後もじくじくと痛み、不快なあざが長く残ってしまう。
「いででっ! こらっやめろ!」
 叫んだと同時にシュッ、と風が切る音が鳴り、顔の前に翳した腕にひやりとした感触が走る。
「い゛っ! ぐあ゛」
 翳していた腕がごろりと落ちて、鬼田の視界が開ける。
 正面には刀を振り下ろしている若武者の姿があった。
 顔を庇った腕が、若武者の刀によって切り落とされたのだと理解したとともに、鬼田の全身が痛みと熱さに支配される。
「お゛、ぐぅっ……あ゛っ……ぎ、い゛っ」
 痛みに喉が潰れ、脂汗がどっと噴き出る。
 落ちた腕は草土の上を、ぼと、ぼとっ、と跳ねて転がり若武者の方へ行ってしまった。若武者の草履が、転がる鬼田の腕を踏み付ける。
 刀を振り、切先についた血を払う若武者は、冷酷な目を光らせて再び駆けた。
 ――まずい! ありゃ相当力のある退治屋だ。分が悪すぎる。逃げ切れるか?
 背中につたう冷や汗とともに思考し、ほんの一瞬、背後の気配を探る為に走る速度をわずかに落とした瞬間。
「逃すか」
「ぎゃっ」
 鋭い声が背後からかかる。
 温度の無い冷えた声に、鬼田の顔から、さぁ、と血の気が引く。
 反射的に地面に飛び込むように転がり逃げた後、シュッ! と空気を裂く鋭い音が鬼田の鼓膜を震わせた。
 ――まずいっまずいっまずいぞ!
 地面を転がる勢いで再び立ち上がり走り出す鬼田。
 すぐ後ろから、恐ろしい殺気が追って来ていた。
 純粋な脚力では鬼の鬼田に及ばないようだが、しかし、着々と向かって来る気配は乱れることがない。
「俺が何したってんだよっ」
 悪態をつきながら鬼田はひたすら地を蹴った。
 必死で山を駆けて、駆けて、そして鬼田は滝へと追い詰められていた。
「ああっ! くそっどうする……」
 下を覗けば大量の滝の水が、ごうごうと音を立てて落ちている。
 白い飛沫を上げる滝壺が遥か下に見えた。
 滝壺は深く、常に上から落ちて来る多量の水のせいで水流が下へ下へと流れているので、一度落ちるとなかなか浮かんで来れない。
 しかし、後ろからは若武者の気配が迫っている。
「イチかバチか……」
 渋面とともに低く呟くと、鬼田は滝に飛び込んだ。


 
「滝壺に落ちたか……いくら鬼とは言え、この高さの滝から落ちれば這い上がれずに死ぬだろう……よし。これで周辺の里の者も安心して暮らせるな」
 遠目から鬼田の動向を睨んでいた若武者は、辿り着いた滝の上から、滝壺を覗き込む。
 ドドド、と轟音を立てて落ちる滝の勢いは激しく、たとえ鬼といえども片手を無くし、血を失った状況で無事でいるとは思えない。
 若武者は刀を鞘に納めると来た道を戻っていった。
 
 
 鬼と遭遇した場所へ戻ると、若武者――桃瀬は、切り落とした鬼の腕を探した。
「あった、あった。これを首級の代わりに持ち帰るか」
 鬼の腕は血溜まりの中にあった。血を失っているはずなのにいまだ血色が良く、しめたての魚のようにぴく、ぴくと痙攣している。
 鬼の屈強な腕の肘から下を、封印の札だらけにすると立ち上がる。
「これで父上は私を跡目にしてくださるはずだ」
 桃瀬は切り落とした鬼の腕にほほ笑みながら、鬼の棲家である山を降りた。

 
 
 鬼の棲みついていた山を降り、一番近くの集落にたどり着いた桃瀬は、村の長のもとを訪れ、得意げに語った。
「三角山の奥に棲む悪鬼は無事にこの桃瀬が調伏致しましたゆえ、どうぞ皆様ご安心ください」
「……はぁ……? 悪鬼なぞ、三角山におりましたかな?」
 息巻く桃瀬とは対照的に、村長は呆けた顔で小首を傾げた。
「いましたよ。三角山の大きな滝の上流にある洞窟の付近に棲む身の丈が七、八尺はある大きな鬼が……」
「ああ、鬼田さん。この村とも馴染みですよ。鬼田さんが見繕って持って来てくれる木材は良い物でしてね。村で使っても、よそに売っても高値がついて助かってます」
「えっ?! 助かって、る?」
「ええ。助かってます。山菜がよく採れる所に子どもらを連れてってくれたり、狩った猪の肉を分けてくれたりね」
「えっ……」
「わしらも米や芋なんかを代わりに渡したりして、上手くやっとりますよ」
 村長はそう言って朗らかに笑った。表情に嘘は見えない。本当に真実を語っているのだろう。
 桃瀬は嫌な予感に冷や汗をかきながら問いかける。
「……ち、近くにある他の集落はどうです? 鬼に攫われた女子どもやら、家畜が喰われたりとか、されてるんじゃないですか?」
「他の村で? 鬼田さんが? ナイナイ! あんな気のいい鬼田さんが人攫いだなんだとする訳ないでしょう。三角山の周辺で鬼田さんの世話になってない村は無いですし……むしろうちの娘を是非嫁にって方々から親が殺到しますよ!」
 大口を開けて快活に笑う村長を見て、桃瀬の嫌な予感は的中した。


――― 中略 ―――

酒豪を誇る鬼だとて、大きな背負いカゴいっぱいの徳利を飲み干せば、前後不覚になる程に酔っ払ってしまう。
 ヘラヘラと笑いながら壁に寄りかかって目を閉じ、盃に入った酒を舐めている。
「鬼田さん、このお酒気に入りました?」
「おう! こりゃあいい酒ら! 毎日水代わりに呑みたいぐれぇら」
 鬼田は目尻を下げて呂律の回らない物言いをしてくすくすと身体を揺らして笑っている。
 その言葉に桃瀬は喜色満面に頷くと、鬼田の身体にもたれかかり、耳元で囁いた。
「そんなに気に入ってくれて嬉しいです。実はこのお酒、私と結婚したら毎日いっぱい飲めますよ?」
 大きな鬼の耳に、桃瀬の薄い唇が触れる。
 吐息交じりに囁かれた言葉に、鬼田はぐるりと首を巡らせて酒に蕩けた目でじっと桃瀬を見つめている。
 酔った頭は桃瀬の言葉を正しく理解できず、普段であれば怒り出していただろうに鬼田はにっかりと笑って言った。
「お~! そりゃあいいらぁするか〜結婚!」
「本当に? 本当に結婚してくれますか?」
「するぞ〜! してやるからもっと酒よこせぇ~」
「ああ、嬉しい……約束ですよ」
 蕩けた三白眼を覗き込む桃瀬の瞳は重い熱情がこもっている。
 細い手で徳利を持ち上げると、それにそのまま口を付けて中身をあおる。
 酒気混じりの息を吐く厚い唇に、桃瀬はそっと酒に濡れた唇を合わせた。
「ん、ふ……もっとくれぇ~さけぇ」
 鬼田は桃瀬の小さな顔を両手で包み、若く可憐な唇にちゅっちゅっ、と音を立てて吸い付いている。
 酒の味を求めて舌を伸ばし、桃瀬の口内へと侵入した鬼田の舌は、入念に小さな歯列を舐め、舌に舌を絡めていた。
「ん♡あっ♡はぁ……♡鬼田しゃ、ん♡夫になった私がたくさん呑ませてあげますね♡」
 桃瀬は鬼田の分厚い胸を押し、唇を離すと手に持った徳利をあおる。
 口内に馥郁たる香りが満ち、舌を刺激する酒の味を与えるために桃瀬は再び鬼田の唇に唇を合わせた。
 わずかに唇を開くと、ひんやりとした酒が互いの唇を冷やす。鬼田はそれが何かいち早く気付くと、乳飲子のように桃瀬の唇を吸った。
「んっふぅ……酒……酒もっろ……」
「んん♡んっ♡あぁ♡鬼田さんたら♡一気に飲みすぎでふよ♡」
 桃瀬は、自身の舌に絡まる鬼田の舌を吸いながら笑った。
 ちゅぷ♡、と音を立てて鬼田の舌を解放すると、酒をあおる。
「ぶ、はぁ♡……うめぇ、ん」
「んっ♡あっ♡おにらひゃ♡はぁ♡あっ♡吸うのつよ♡鬼田ひゃ♡んぅ♡」
 ふたりの口付けは、深く長く、既に周囲には空になった徳利がいくつも転がっている。
「んっふ……はぁ……ぁ♡」
「鬼田さん♡私たち、夫婦になったのだから、たくさんまぐわいましょうね♡」
 桃瀬の手が、鬼田の分厚い筋肉を撫でた。
「んッ♡、ふははっおい、やめろって! くすぐったいだろ」
「鬼田さんがむちむちしてて気持ちいいから触りたくなってしまうですよ♡」
 桃瀬は鬼田の頬に吸い付き、筋肉の詰まった胸を揉みしだく。
 鬼田はくすくすと笑い、屈強な肉体をくねらせて桃瀬の手から逃げようとする。
 不安定な体勢になったのを見逃さず、桃瀬は鬼田の身体へ乗り上げた。
「うお、おっと! あぁ〜……あぶね〜だろ?」
 鬼田はごろりと仰向けになり、くつくつと身体を揺らして笑っている。
「すみません。頭とか大丈夫でした?」
「こんなもん、なんともねぇよ〜」
 鬼田は酒精にぼんやりとした目を細めて桃瀬を見ると、大きな手で桃瀬の頭をワシワシと撫でた。
「……鬼田さん」
 桃瀬は鬼田の手の優しさに感極まって、組み敷いた男の唇に食いついた。
 酒の味のする舌を舐ると、ぞわぞわと身体中に快感が広がる。
「んぶ、んっ♡……ふ、ぅ♡」
 鬼田の喉から低く甘く唸る声が漏れ、それは桃瀬の情欲を大いに刺激した。
 ちゅうぅっ♡とひときわ強く舌を吸った後、桃瀬の唇は鬼田の屈強な顎を優しく啄み、猪首を吸い、分厚い胸板を食む。
「ん゛っ、ふはっ♡……くすぐってぇ」
 脂肪と隆々とした筋肉にまみれた鬼田の胸板は肉厚であり、はむはむと甘噛みする桃瀬の歯にずっしりとした噛み心地を与えてくれる。
 機嫌良く静かに笑う鬼田の手がくしゃくしゃと桃瀬の髪をかき混ぜる。大きく皮膚の硬い手のひらが、惜しげもなく頭を撫でるその仕草は、桃瀬の心に甘い悦びをもたらした。
「あぅ♡あっ……こら♡はははっ、待て。ぐ、ふふっ……んぁ♡」
「鬼田さん、くすぐったい?」
「んふふっ、ふはっ♡く、すぐってぇよ……お♡、ふははっあ♡やめろってぇ♡」
 酒精に酔った鬼田の筋骨隆々とした肉体は、赤みを増している。盛り上がった筋肉の谷間まで赤く、桃瀬がそれを面白がってなぞると、屈強な肉体が滑稽にくねった。
「ああ……鬼田さん、かわいらしいですね♡」
 だらしない笑みを浮かべる鬼田を見下ろす桃瀬は、身の内から湧き上がる衝動に任せて、筋肉に覆われて尖る乳首へむしゃぶりついた。
「ん゛っ♡……ふ、くく、やめろ桃瀬。んっ♡……ふふふっ」
 鬼田は忍び笑いに熱った肉体を震わせている。
 低く喉から漏れる笑い声に甘さが滲んでいた。
 桃瀬は小さな舌で鬼田の肉体を味わい、硬く尖る乳首を舐め、甘く歯を立て扱く。
「うぐ♡くふ♡乳首、くすぐったいって♡あッ♡吸うなよぉ♡」
 夢中で乳首を吸う桃瀬の髪を、鬼田の手がくしゃりと握った。乳首から引き剥がそうとしているふりをして、胸に押し付けるようにする不埒な手の動きに、桃瀬はにんまりと目を細め、更に強く乳首を吸い、尖ったそこを舐めしゃぶった。
「あっ♡おいっ! ちんぽ触んなっあ♡あうっ♡ちんぽと乳首やめろってぇ♡ん゛ん゛っ♡」
「あ♡鬼田さんてば、おちんちんガチガチに勃起してますね♡ふんどし濡れてますよ♡」
 桃瀬は、乳首を吸いながら鬼田の肉体をまさぐる。ふんどしを押し上げ勃起している巨根をよしよし♡と撫でた。
「お゛ッ♡ちんぽ♡ちんぽやめ、お♡も、おっ♡お゛ん♡」
 酔いと快感が鬼田を乱れさせる。乳首を吸われ、勃起肉を撫でられた鬼田は淫猥に腰を揺らし、桃瀬の手に濡れた亀頭を擦り付けていた。
「わあ♡鬼田さんのおちんちんおっきい♡」
 桃瀬はふんどしから鬼田の勃起肉を解放する。巨躯に見合った巨根が、天をつくようにそびえ勃っている。
「鬼田さんはおちんちんまでかっこいいですね♡先走り汁もトロトロ垂れて……♡ぬるぬるでとてもいやらしいです♡」
「んっ♡ふ、ぅ♡ちんぽいい♡お♡おッ♡いいッ♡いいぞッ♡お゛っ♡ぉお゛っ♡もっと扱いてくれ♡」
 桃瀬は乳首を吸いつつ、先走り汁を垂らして勃起する鬼田の肉棒を握りしめ扱く。
 くちゅっ、ぐちゅ、ぬちゅっ
 じっとりと濡れていた肉棒は、手淫に合わせて淫らな水音を立てる。貪欲に快感を求め桃瀬の手淫に合わせて鬼田の腰がヘコ♡ヘコ♡と揺れた。
「ん゛ぉ♡お゛っ♡ちんぽいい♡ふぅ♡うッ♡うぅ♡」
「鬼田さんおちんちん気持ちいいですか? もっと気持ちよくなりたくない?」
 桃瀬は吸い付いていた乳首から口を離し、更なる快楽に鬼田を誘い出す。
 ぐちゅ、ぬちゅっ、と続く手淫は鬼田から正常な判断力を奪い、一方で快感を与え続けていた。



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鶯命丹 2024/04/26 21:00

元奴○ショタDom×武人おっさんSub【全文12200文字】

【試し読み】 

 続き物

 元奴○ショタDom×武人おっさんSub【全文12200文字】

 前回上げたDomSubユニバースもの
 元奴○のショタDom攻め×武人おっさんSub受け
 DomSubの名称を変えてたりするので、そういうややこしくて厨二っぽいのが苦手な方はご注意ください。
 
 【あらすじ】
 元奴○で身寄りのない少年マリ(Domのショタ)は、貴族のアノンデア(Subのおっさん)に養子として引き取られることになる。
 前回少ししかUPしてなかったものの続きです。
 元奴○少年は養子に、武人のおっさんは養父になりました。
 義理でも近sin相kanがあるのでご注意ください
 
【あるもの】
 ショタ攻め・エロ・尻舐め・攻めによる手コキ・首輪をあげる・受けのストリップ・連続絶頂
 

――――――――――――――――――――――――
 
 夢の中から呼び起こされて目を開けると、窓の向こうはすっかり夕暮れの色になり始めていた。
 よく寝てましたね。と微笑むオーサ。
 マリは、うん……と寝ぼけた声で返事をしながら枕に顔を擦りつける。
「お父様ももう帰られてますよ」
「お父様って……首長様のことですか?」
 枕に頭をつけたままオーサへ問うと、彼女はころころと笑って「そうですよ。首長様だなんて呼ばないで、お父様と呼んで差し上げましょうね」と優しく諭す。
 ――親子と言っても俺らは利害が一致して一緒にいるだけだけどな。まぁ表面上はお父様で間違いないか。
 マリはひとり納得して、枕から顔を上げるとオーサへ微笑み、頷いた。

 
 夕食にもたくさんの料理がテーブルに並び、マリはそれを少年らしい勢いで料理を平らげた。
 アノンデアも、使用人も、それを目を細めて眺めている。
 穏やかな食事風景だった。

 
 マリが食事に満足し食後の茶を飲んでいると、既に食事を済ませていたアノンデアが席を立つ。
「私は執務室へ戻る」
 アノンデアは使用人の長であろう年かさの男に告げ、食堂の扉へと歩いていく。
「待って!」
 マリはテーブルを立ち、アノンデアの元へ速足で寄っていく。
 マリの動きをじっと見つめるアノンデアの金の瞳には、疑問がありありと浮かんでいた。
 マリは大柄な養父を見上げ、にっ、笑うと自身の服のポケットに手を入れて、握りしめた拳を差し出した。
「これ、渡そうと思って」
 それは、色とりどりの紐を組み上げて作った飾り紐であった。
「これ、俺が編んだやつです。故郷の村で作ってた飾り紐で、作物が育たない冬に編むんだけど……俺、これ得意だから、お父様になる首長様にあげたくて」
 差し出したマリの手元を覗き込んだアノンデアはそっと、飾り紐を摘まみ、まじまじと見つめる。そして、目元を僅かにほころばせて「ああ、ありがとう」と低く呟いた。
 唸るような声音だが、弛む表情で喜んでいるのがわかる。
 マリは再び手を出すとアノンデアの手から飾り紐をそっと取り上げて弧を描く赤い唇を開いた。
「じゃあ……“座って”お父様。俺がつけてあげます」
 マリの言葉に、目を見開いたアノンデアは崩れるように床に膝を着く。
 辛うじて、床に尻もちをつくようなだらしない座り方はせずに済んでいたが、アノンデアは驚きに目を白黒させてマリを見ていた。
 巨漢のアノンデアは、跪いてもまだマリより高い。
 マリは背伸びをして腕を伸ばし、アノンデアの太い首元へ飾り紐をかけると、するすると手早く飾り紐を結った。
「うん。よし、できた」
 太く逞しいアノンデアの首に、丁寧に編まれた飾り紐を結ぶとマリは笑った。
 給仕のために隅に控える使用人たちには、養父と養子の心温まる交流に見えているだろう。
 しかし笑みの形に細めたマリの瞳を正面から見つめているアノンデアにだけ、少年の瞳の奥に光る嗜虐性を見た。
 そしてマリもまた、人前で"戯れる”羞恥と、主人に首輪をかけてもらう快感に戸惑い、密かに身悶えているアノンデアを正面から見つめている。
 アノンデアはきつく奥歯を噛み締めて、とろりと蕩けただらしない顔にならぬように努めているようだった。
 自分のしもべに首輪をつける喜悦に、マリの心臓が早鐘を打つ。腹の奥から燃えるような熱が全身に駆け巡り、ぞわぞわと肌が粟立つ。
 きっとこの抗い難い甘い悦びを、目の前の男も得ているのだと思うと、マリは腹を抱えて笑い転げたい気分になった。
 身の内から滲み出る悦びにマリの表情が綻ぶと、アノンデアに結んだ飾り紐が動いた。間近に覗き込む金の一つ目は揺れている。噛み締めた唇がわなわなと震え、熱い息が漏れた瞬間、アノンデアは素早く立ち上がった。
「マリを部屋に案内してやってくれ。私は仕事に戻る」
 アノンデアの声が小さく聞こえたのは、顔の距離が離れたからだけではないだろう。
 さっさと食堂を出て行った男の足取りに妙なところはない、ように見える。
 食堂を出て行く広い背中を見送りながら、マリは頬を弛ませていた。
 
 
 夕食後、アノンデアは執務室で書類を睨み付けていた。
 書かれる文字を目で追うも、内容が頭に入ってこない。
「……ふぅ……」
 息を吐き、椅子の背もたれに身体を預けたとき、首元にかすかな圧迫感を得てアノンデアは首すじに手を当てる。
 そこには先ほどマリに贈られた飾り紐が付いていた。
 指先に触れる滑らかな組紐の感触は、アノンデアの背すじにぞわりと甘い痺れを走らせる。
 
 飾り紐と首の隙間に指を入れた瞬間、コツコツと扉を叩く音が響く。
「誰だ」
「俺です、マリです」
 返ってきた声に、アノンデアの肩がわずかに跳ねる。
 無意識に、ごくりと唾を飲み込むと「入れ」とだけ応じた。
 重厚な扉を開き、入室してきた華奢な身体。
 その姿を視界にとらえた瞬間、アノンデアの顔にカッと熱が昇る。
 思わず机の上に視線を落として書類を睨むアノンデアの耳に残る、ゆっくりと絨毯を踏み締める軽い足音。
 耳と気配に神経が集中してしまうのに、視線をマリへ向ける事はできなかった。
 

 
「ここがお父様のお仕事部屋ですか?」
 問いかけるマリ。視線の先には書類に向かうアノンデアがいた。
 マリの方を見向きもしないその態度は、不機嫌で無愛想な武人そのものであり、アノンデアの部下であれば恐れ縮み上がっただろう。
 しかし、マリはそんな顰めっ面のアノンデアに構うことなく無遠慮に近づき、ひょい、と彼の使う大きな机に乗り上がって腰掛けた。
「……そんなところに座るな」
 机に座ってにんまりと笑うマリに、アノンデアは口の端をぐっと下げて不機嫌な顔をする。
 だが、マリは執務室の机に座ったまま。更には机の上に完全に乗り上がって、膝で這ってアノンデアへ近づいていく。
「……おい」
 野太い声で静かに叱るアノンデアだが、マリはそれに構わず、アノンデアの目の前に来ると、再び机に腰掛ける。
 机からぶらりと投げ出されたマリの足はアノンデアの腿の上に、踏みつけるように置いた。
 鍛え上げ肥大化した筋肉の厚みと、むっちりとついた脂肪の軟さを楽しむために、マリは靴底をぐにぐにと動かす。
「……マリ、降りなさい」
 アノンデアの言葉には、先程まであった鋭さも厳しさもない。マリの視線を間近にして、眉間に険しい皺を刻んでいながらも、居心地が悪そうに瞳を彷徨わせている。
 義眼だけが、正面のマリを見つめていた。
 マリはアノンデアの注意を無視して、彼の太い首に巻き付く飾り紐に指を当てて「これ、嬉しい?」と問いかけた。
 問われたアノンデアはためらいがちに「嬉しい……だが、ああいうのはもう、止めてほしい」と懇願する。
「ああいうのって?」
「あ、あの時は、周りに人が、たくさんいて……そういう、人の前で“戯れる”のは、良くない……だから、今後はそういう事は、しないで欲しい」
「ええ? 人前でやるのが楽しいんじゃねぇの? 興奮しなかった?」
「それは……」
 アノンデアは苦虫を噛み潰したような渋面で、訥々と語っていたが、マリの新たな問いにかすかに肩を跳ね上げた。
 言いづらそうに唇を噛み、大きな手でしきりに顔を撫でている。
「“言って”アノンデアは興奮した?」
 命じるマリの言葉は、アノンデアにとって卑しい内心を暴露させる残酷なものだった。
 唇の端を上げ、意地悪く笑むマリの顔は美しい。
 美しい笑顔で、涼やかな声で、残酷な命令で、マリはアノンデアを支配した。
「こ、興奮した……主人が……マリが私の為に首輪をかけてくれて……嬉しかった……心臓が痛いほど速くなって、喜びに……叫び出したい気持ちだった」
 アノンデアは、耳まで真っ赤に染めて、心の内を告白する。
 屈強な顎を食い締め、金の目にうっすらと涙を浮かべているアノンデアの姿は、マリの笑みを一層深くする。
「そっか……俺も。俺のしもべに首輪をかけたのすっげぇ興奮したよ」
 マリが微笑むとアノンデアは嬉しそうに口元をわずかに綻ばせた。
 マリは赤く染まった猪首にかかる首輪に、細い人差し指をかけて軽く引く。
「ね。“キスして”」
 黒い瞳が、じっとアノンデアを見つめ、そしてつぅと視線を下げた。
 アノンデアは、主人の命令にこくりと深く頷くと、自身の太腿を踏み付けているマリの脚にそっと触れ、恭しく持つと、身体をかがめて少年の靴へ口付けをした。
「ふ……はぁ……マリ」
 アノンデアはうっとりと、熱い息を漏らしながらマリの靴の爪先へ額を摩り寄せている。
 マリはそんなアノンデアをにやにやと見ながら、自由な方の脚を伸ばして、彼の股間を踏みつけた。
「あ゛っ、ぐ……ぁ、マリ゛ッ……」
「はは、なんだよ。もうガッチガチじゃねえか」
 鼻で笑いつつ、マリは固く勃起したアノンデアの陰茎をぐにぐにと踏みつける。
「う、あ゛っ……マリ……はぁ、あ……ふ、ぅぅ」
「はははっ! ねぇアノンデア、このバキバキのやつ、"見せてよ”」
 マリの命令に、アノンデアはおとなしく椅子から立ち上がり、震える指でもたもたとズボンを下ろす。
 下着から解放された勃起肉は太く逞しく天を衝いている。
 アノンデアの裸の下半身。両の太腿は筋肉に覆われて太く、筋肉の溝も深い。屈強な下半身の中心にある勃起する巨根を見て、マリは下品な口笛を吹いた。
「すっげぇ巨根。こんなでっかいの初めて見たわ」
「は、ぅっ! ん……う、ふぅ……」
 足先でぺちぺちと陰茎を叩かれ、陰嚢を突かれる。
 からかわれるアノンデアは、真っ赤な顔でじっと辱めに耐えていた。
「”全部脱いで”」
 マリの言葉にアノンデアは唇を噛む。潤んだ目でマリをちらちらと見ながら、おずおず、もたもた、と服を脱いでいく。
 男らしい容姿とは裏腹に、生娘のように恥じらうアノンデアの姿はマリを大いに満足させた。
 躊躇いがちに脱いでいく仕草は、マリを楽しませるだけであるのに、アノンデアはそれに気づかない。
 震える指で衣服をすべて脱ぎ去り、裸になったアノンデアは羞恥に顰めた顔を真っ赤に染めて、執務室の机の前に立ちつくしている。
 武骨な髪は衣服を脱いだ事でわずかに乱れ、裸の肌には無数の傷がある。傷のいくつかは紅潮しており艶めかしい。
 山のような肩に力こぶの盛り上がる腕、巨大に隆起する胸、丸太のような屈強な太もも。
 その肉体は、何よりも雄々しく、猛々しい。
「すっげ……神殿の武神像みたいだ」
 マリはうっとりと呟き、目の前の裸体に手を伸ばして、傷の多い男の肌をつぅ、と撫でた。
「んっ、ぅ……」
 アノンデアは、マリの手にびくっびくっと身体を痙攣のように震わせている。
 主人の手に翻弄されるしもべは、恨みがましくマリを睨む。しかしその瞳は甘く蕩けており、恐ろしさなどみじんもない。
「顔、真っ赤。ほら“おいで”」
 呼ばれた瞬間、アノンデアは屈強な身体をびくっと跳ねさせ、よろよろと頼りない足取りで、机に座るマリの足元に跪いた。
 マリの細い指先が、自身が贈った飾り紐越しにアノンデアの首筋をぐるりとなぞると、盛り上がった喉仏が上下する。
「ははは、うっとりした顔してる。“いい子”……首輪嬉しい?」
「……うれしい……」
 アノンデアの唇から、熱い息が漏れる。
「そっか、そっか。喜んでくれて俺も嬉しいよ」
 マリの手がアノンデアの顎をぐりぐりと撫でまわしながら彼の傷付いた瞼に、頬に、唇に口付ける。
「え、あっ……マリ、ふ、ぅ……マリ、待てっ! う、ゔっ」
 アノンデアの男らしい肉厚の唇を食み、舐める。
 マリの手のひらは、アノンデアの屈強な顎を優しく撫でたまま。
「ん、ふっ……う、んっ♡」
 きゅっと唇を引き結んでいるアノンデアだが、顎を撫でられ、唇を啄まれると頑強に鍛えられたはずの腰からよろよろと力が抜けた。 
「ほら、アノンデア“口開けて”。あー、は?」
 唇を親指で撫でられ、アノンデアは震えながら薄く口を開ける。
「は、あ……」
 命令に従順に開かれた唇を食み、吸って、口内に舌を挿し入れる。
「んっ♡んぅ♡あ゛、あ゛っ♡マリ、んっ♡」
 柔い粘膜を舌先で撫でるとアノンデアの身体が跳ねた。それが愉快でマリは更に舌を奥へと伸ばし、アノンデアの舌をつつく。
 ぬちゅ♡、くちゅ♡
 甘く淫らな音を立て、舌が絡まる。
「ふ、ぁ゛ッ♡あ、はぁ♡あ♡うぅ♡」
 ぢゅる゛♡と、アノンデアの分厚い舌を啜ると、男の大きな手が、マリの手首を掴む。
「あ゛♡マリ……♡はぁ♡は♡うぅ♡」
 力は籠ってない。震える弱々しい力で、ほっそりとしたマリの手首を掴んだまま動かない。


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鶯命丹 2024/03/18 18:00

DomSubユニバースもの④ 元奴○少年×武人おっさん 

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すみません今回めちゃくちゃ短いので、今週中にもうちょっと足します 足したら無料公開分も作ります(24.3/18)

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鶯命丹 2024/02/19 20:00

DomSubもの 元奴○ショタDom×ガチムチおっさんSub【全文8000文字】

【試し読み】


続き物③

 前回上げたDomSubユニバースもの
 元奴○のショタDom攻め×武人おっさんSub受け
 今回もエロなし・続き物
 DomSubの名称を変えてたりするので、そういうややこしくて厨二っぽいのが苦手な方はご注意ください。
 
 【あらすじ】
 保護された元奴○のマリ(Domのショタ)に「自分を雇ってくれ」と交渉されるアノンデア(Subのおっさん)。
 おっさん初めてのドムサブプレイを味わう回。

 
 

 
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

  血の性(サガ)、性質、特性……
 そんな風に言われる病のような症状がある。
 主人の血としもべの血を持つ者は、互いに惹きあう。両者は互いが必要で、番えない者はその性(サガ)に苦しめられるという。
 この世界に生きる種族であるなら、どんな種族にも発現する可能性のある不思議な性質だった。
 発現に規則性は見当たらず、人だろうが巨人だろうが獣人だろうが発現する者はするし、しない者は死ぬまでしない。
 おおよそ思春期と言われる頃に発現する者が多いが、もっと早く出る者も、逆に遅く出る者もいる。
 遺伝的要因も今のところ無い。親がそうでも、子は違う場合もあれば、何代かに渡って特性が発現する家系もあるらしい。
 認知はされているが何しろ数が少なく、研究が進まない。
 それが更に世間の視線を冷たくさせていた。
 主人の血の気質を持つ者は、野蛮な危険人物として扱われることが多い。
 主人の血はしもべを屈服させ支配することを是とし、それが満たされないと心身が病んでいく。
 主人の血の気質を上手く緩和できず攻撃的になり暴力事件を○す者が多いと思われている。その世間の偏見や不理解が、主人の血の特性を持つ者を孤立させ、犯罪率を上げてしまう悪循環に陥りやすい。
 しもべの血の気質を持つ者は、身近な人物に蔑まれることになる場合が多い。
 しもべの血は、主人に尽くすことで満たされる。気質の出方によってはかなり暴力的な扱いを好む者や、激しい独占欲を露わにする者もいて、主人を見つけられずに病んだしもべの者は、その気質を近しい友人や恋人に向けてしまいがちになる。その結果大切な人間を傷つけ、失ってしまい、孤独が更にしもべの血を持つ者を追い詰めてしまう。
 絶対数の少ない気質を持つ者同士が巡り合うこと自体が難しく、しもべの血の者は、友人や恋人に執着して犯罪沙汰になるのが現状だった。
 罪を○す者が居れば偏見が強まる。
 実数としては血の性質に縛られない者の犯罪行為の方が圧倒的に多いはずだが、大衆の印象を変えるのは難しい。
 
 
 アノンデアは、しもべの血の気質を持っていた。
 発現は思春期の頃。
 医師に診断された時にはあまり実感が湧かなかった。
 対処療法として胸の内に迫る焦燥感と苛立ちを抑える作用のある薬草を煎じた物を飲むことになった。
 薬師と呼ばれる老婆に診断されて出されたやたらと苦い薬は、確かにアノンデアの心に平穏をもたらしてくれた。
 しかし一時しのぎにしか過ぎない。アノンデアは血が目覚めてからずっと満たされない乾きにじりじりと炙られるような苦しみに苛まれていた。
 アノンデアの心身が悲鳴を上げ、堪えきれない乾きに追い立てられた時には、口の硬い娼館で買った娼婦に犬のように扱ってくれと頼んだこともある。
 乾いた土に数滴水が落ちた程度の潤いが得られ、それだけでもアノンデアは衝動が満たされ歓喜に震えた。
 
 地位のある者の定めとして、アノンデアには決められた結婚相手がいた。
 上手く伝えられれば、妻となった彼女に主人の真似事を頼むことが出来たかもしれないが、結局それも叶わなずに終わってしまった。
 アノンデアは戦士としては勇猛だったが、ひとりの男としては臆病であり、政略として結ばれた結婚相手には、ついぞ己の特殊な性(サガ)を告白できなかった。
 ただでさえアノンデアの姿形に怯えていた新妻に、世間に偏見を持たれる性質を打ち明けるのは酷だと思った。
 それでも長く連れ添っていれば白状する機会もあったかもしれないが、妻は嫁いで一年後身ごもるが、産後の肥立ちが悪く、数ヶ月で亡くなってしまった。
 屋敷の使用人や、乳母のおかげで産まれた息子は今やいっぱしの若者に育ったが、アノンデアは後添えを持つこともなく、独り身のままこの地をより良くする事業に没頭していた。



 硬い口調で訥々と語るアノンデアは、マリから視線を逸らし、きつく拳を握りしめていた。傷の残る険しい顔をきつく噛み締め、様相は恐ろしい鬼神と大差ない。
 マリは、恐ろしく強張ったアノンデアを見てますます笑みを深くすると、色形の良い唇を開いて鈴のような声で言った。
「まぁまぁそんなガチガチになるなって。ほら“こっちへおいで”」
 マリの言葉に、アノンデアの身体がビクッと揺れた。
 思考が真っ白になり、固まっていた身体中の筋肉がゆるく滑らかに動く。アノンデアは無心で歩き出していた。
 マリの目の前に立ってようやく、自分が自分の足で歩き、ここまで来た事に気づく。
 意識を取り戻し、目を見開いたアノンデアに向けてマリの命令は続く。
「“ここに座って”」
 告げられた言葉と指差された床。それに従って、アノンデアの膝は流れるように床に着く。
 マリの座る椅子の足元に跪く自分の動きにアノンデアは言葉も出ないほど驚き、目を白黒させている。
「“こっちを見ろ”」
 下された命令は、抵抗する必要など感じさせないほど自然にアノンデアの脳を心地よく揺らす。
 顔を上げ、目線の会った少年の顔は満足そうに美しい黒い瞳を細め、笑っている。
 その顔を見た瞬間、アノンデアの胸は強烈な感動と喜びに支配された。
「あ……ま、て……」
 掠れた声で静止を願うアノンデア。
 戦場で勇ましく戦う姿を知る部下が見たら目をむいて卒倒するかもしれないほど、弱々しい声であった。
 ――逃げたい……今、逃げなければ……
 怯え、警告を鳴らす理性とは裏腹に、膝は床に着いたまま、視線すら逸らせず震える唇を噛みしめ、アノンデアはじっとマリを見つめ続ける。
 そんなアノンデアの顎を両手ですくうように触れ、短く刈り揃えた髭をさわさわと撫でる、細いマリの手のひら。
 にんまりと蠱惑的に細められた瞳でアノンデアを見下ろし、マリは言った。
「ほら、この眼。ご主人様を見る従順な犬の目。俺の大好きな目だ“いい子だなぁ、アノンデア”」
 アノンデアの脳が、ぐらぐらと揺れた。脊椎が、ぞくぞくと歓喜で震える。
「あ、ぅ……」
 アノンデアの心の内は甘い感動に支配され、喜びに嗚咽が漏れる。視界が潤んだと自覚したとき、マリの手がアノンデアの頬を撫でた。ひや、濡れた感触に自分が涙を流していることに気づく。
「泣くなって! 首長様」
 マリは破顔している。
 その笑顔は、アノンデアの心身を恍惚で支配する。
 なんてことのない。ただ、とある事件で間接的に救う事になっただけの、被害者のひとりだ。
 アノンデアとの面識は他の被害者と同じく、ほぼない。
 今までの人生に関わりなど無かった他人。
 それなのに、目の前の少年が笑っているとアノンデアの胸には言いしれぬ多幸感が込み上げる。
 ――なんだ、この感覚は……この、激しい感情は、なんだ?
 強烈な歓喜に痺れた脳で自問して気づいた。
 ――ああ、そうか……これが、戯れるということか。ずっと飢えていた血の欲求が満たされた喜びだ……
 アノンデアは思わずマリの膝に顔を埋めて目を閉じた。
 まるで母の膝に甘える幼子のように、マリの細く若い膝に、アノンデアは自身の顔を擦り付ける。
「う、ぅ゛……ふっ、ぅ……」
 情けない嗚咽で、喉が震えていた。
「持つモン同士で遊ぶのは、すげえイイよなぁ」
 マリは歌うような声音で自分の膝に伏せたアノンデアの後ろ髪を梳いた。
 その柔らかい手つきは強過ぎる喜びの波に翻弄されるアノンデアを更に惑わせ、蕩かせる。
「……ずっと飢えていた……こんな、満たされた心地は初めてだ……」
 ぽつぽつと語るアノンデアの言葉を、マリは上体を寄せ、うん、うん、と鷹揚に頷いている。
「だよな。俺もだよ……これがずっと満たされてたら嬉しいだろ?」
 マリの言葉に、アノンデアはこくりと頷いた。


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鶯命丹 2024/02/06 17:27

DomSubユニバースもの 元奴○少年×武人おっさん2【全文8200文字】

【試し読み】【全文8200文字】

前回上げたDomSubユニバースもの続きというか本筋
 元奴○のショタDom攻め×武人おっさんSub受け
 今回はエロなし・続き物終わってない
 一部差別的な用語や表現がありますが、作中でのみの表現でありそのような状況を歓迎する意図はありません。
 世界観の説明や、国名やら種族名やらが出てくる
 DomSubの名称を変えてたりするので、そういうややこしくて厨二っぽいのが苦手な方はご注意ください。
 
 【あらすじ】
 とある国の辺境の地で非合法のパーティーが行われた。
 そこに集められた奴○のひとりマリ(Domのショタ)と、自治地域でけしからんパーティー開かれる情報を知った偉い人アノンデア(Subのおっさん)が初めて出会う話。
 



 
 
  狭い荷馬車に押し込められたマリは車窓から見える景色をぼんやりと見つめている。
 ――ずいぶん遠くまで来たもんだなぁ……
 流れていく景色は、マリの知らない物ばかりで構成されている。
 居心地が悪くなり、身じろぐと足首につけられた鎖がガチャと耳障りな音を立てた。
 
 マリが生まれ育った村が隣国に攻め込まれたのは、まだ一桁の歳の頃だったように思う。
 騎士という名の野盗に村は焼かれ、破壊され尽くされた。
 女子どもは攫われた。
 マリもその時から奴○に身をやつし、売られ売られてここまで来た。
 だだっ広い荒野を見て、マリは大きくため息をついた。
 ガタンッ!
 大きく振動して荷馬車が停まった。
 荷物とともに詰め込まれた同じ奴○たちが口々に悲鳴や文句を言っている。
 しばらくして荷馬車の幌がまくられて奴○商の男がしかめっ面で命令する。
「オラッさっさと出ろ! あ、出る時荷物も持って出て来いよ!」
 奴○商はそう言うと幌を叩いてその場を後にする。
 マリを含めた奴○たちは命令に従いノロノロと手近な荷物を持って荷馬車を降りた。
「うわ、すげ……」
 マリは目の前の景色に思わず声を上げる。
 そこには先ほどまで何もない荒野だったのが嘘のように緑が生い茂り堅牢な石壁に囲まれた街の景色があった。
「おい! ボサボサしてんな! 早くしろっ」
 奴○商の部下の男が、大きくムチを振る。
 バチンッとなった地面の音に奴○たちは皆一斉に肩を跳ね上げ動きを止めた。
 しかし、すぐに動き出す。次は地面じゃなく自分の皮膚が抉られるからだ。
 マリもすぐさま荷物を持ち直して命じられた建物へと入って行った。
 マリたち奴○が命令通りに荷物を運び込んだ先は、どう見ても高級な建物。学も贅沢も知らないマリたち奴○ですらわかるほど華美であった。
 圧倒的な資金力を見せつけられた奴○たちは一様に俯き、小さく背を丸めて建物の裏手から入場した。
「さてと……小汚ねぇおめぇらをピッカピカに磨き上げておかねぇとなぁ」
 命じられたままに入った部屋では奴○商が舌舐めずりをして機嫌良く奴○たちを見た。
 マリはこっそりため息をつく。
 この後湯浴みだの、化粧だのさせられた後、自分たちはお貴族様らのおもちゃになるのだ。
 ――どうせならうんと金持ちのおもちゃとして貰われて、かったりぃ移動生活からおさらばしてぇな。
 心のうちで悪態を吐きながらマリは、物のように洗浄される順番を待っていた。


 
  ザザーバル帝国の端。
 辺境の地を統治するのはキーターシ族の町。
 一族の長であるアノンデアの執務室に、秘書官が入室した。
「首長。例の件の奴らの尻尾を掴みました。明後日、ホテルの地下カジノにて行われるようです」
 秘書官の男――ニレは口の端を上げて言った。
「奴○商が入り込んだアレだな?」
「ええ、そうです。元締めの貴族は今はホテルの最上級の部屋に泊まって優雅に遊んでやがるようですよ。今すぐ素っ首切り落としに行きますか?」
 ニレはにんまりと笑みを深くしている。
「そう悪い顔で笑うな。うちの秘書は血の気が多くて困る……現行犯で捕えたい。当日まで泳がす」
 そう伝えたアノンデアの顔も、同じくらいかそれ以上凶悪な表情で笑っていた。


  キーターシ族は、サザーバル帝国の領土の端にある巨大な湖を取り囲む、険しい山々の麓で暮らす種族だ。
 キーターシ族の住む地域は、自然豊かで風光明媚な土地であるが、豊かな自然が人に優しいとは限らない。自然のまま美しい土地は人が暮らすには過酷であり、更には凶暴な魔獣が多く棲息していた。
 その魔獣に対抗しうる屈強な力を持つキーターシ族は神の作った獣から進化したと言われる頑強な巨人族だからこそ、この地で生き延びた種族である。
 サザーバル帝国は、領土拡大の為全力の武力と侮蔑を持ってこの地を襲撃したが、軍隊のほとんどが脆い人族で構成されていた。
 脆弱な人族では、キーターシ族との戦争になる前に過酷な自然と、生息していた魔獣に、あわや全滅寸前まで追い込まれ、そこを救ったのがキーターシ族である。
 当時のサザーバル皇帝は過酷なこの地を、キーターシ族の地と認めざるを得なかった。
 そうしてキーターシ族は自分たちの住む地を、人に荒らされる事なく自治してきた。

 そして現在。
 キーターシ族の街は栄えている。
 過酷な環境を少しずつ開拓し、豊富な自然資源を帝国や他の国々へと輸出する事で富み、凶暴であるが貴重な魔獣から獲れる素材は高値で取引された。
 また、辺境ゆえの風光明媚な自然は、観光地として名を馳せることになる。
 
 その栄えてはいるが辺境である不思議な土地の中心街で、奴○市が行われるという情報を得た族長のアノンデアは、街で最も格式の高いとされるホテルを警備隊と、自らの兵で取り囲んでいた。
「このホテルは包囲した! 無駄な抵抗はやめろ! 全員頭の上に手を挙げ床に伏せるんだ!」
 地面を轟かす程の怒号に、爛れた会場は悲鳴の坩堝となった。
 慌てふためき逃げる者たちを捉え、美しく装飾され搾取されていた奴○たちを保護し、金勘定をしていた奴○商たちに縄をかけた隊士たちの姿を見ながら、アノンデアは護送車へ運び込むことを指示する。
「被害者たちは丁寧にな! 負傷している者が優先だ! 貴族だろうが誰だろうが激しく抵抗する者は切っても構わんッ!」
 雷のように轟く声アノンデアの声と重い足音に、助けられた奴○たちすら小さく悲鳴をあげている。
 どかどかと部屋を開け放ち突入してくる大岩のような男の姿に、腐敗した客たちは震え縮み上がった。
「ここで最後か」
 奥まった部屋のドアを蹴り破ると、そこには艶やかに波打つ黒長い髪を振って、男の上で腰を振る美しい少女の姿があった。
 大きな音に振り返る少女と、アノンデアの瞳が交差した。
 髪と同じ黒い瞳が、蝋燭の灯りに妖しく照らされ、驚いた表情でアノンデアを見ていた。
「ご主人様」
 甘くしわがれた声に、少女の視線がアノンデアを見るのをやめて、下に寝転がる醜く太った男へ向いた。
 しわがれた声の主の男は恍惚として少女を見つめており、部屋のドアを破壊する轟音にも、ドアの前に立つ巨漢にも気付いていない。
 アノンデアはその瞬間、激しい怒りに駆られた。
 一足飛びに少女を○す男のベッドへ足をかけ、仰向けに寝転がる男の首を切り落とした。
「ひっ」
 横から小さな悲鳴が聞こえ、アノンデアは咄嗟にそちらを見た。
 ――しまった!
 いくら助けるためとはいえ目の前でまぐわっていた相手を斬り殺すのは大きな恐怖になるだろう。
 哀れな奴○の少女を慰めるため唇を開いたアノンデアだったが、言葉は出てこなかった。開いたままの唇が、ぱくぱくとかすかに開閉し、隻眼が大きく見開かれている。
 アノンデアの隻眼に映ったのは、驚いた奴○の少女の顔と、薄い胸……組み敷いた男の肛門に入り込んだ男根――つまり少女と思っていた奴○は少年であり、犯されていると思ってた性交は犯している方だった。
 ……まさか少年だったとは……いや、奴○の立場的には合意の上の性交とは言えないので、間違いではないか?
 驚愕に思考がごちゃごちゃと騒がしいが、アノンデアは驚きつつも少年の身体をマントで包み、死体からなるべく優しく剥がす。ぬちゅ、とかすかに淫靡な音がした。
 その音に、アノンデアの血流が一気に頭に登ってくる心地がする。耳が熱く、視界が潤んだ。
 内心の動揺を悟られぬよう、アノンデアは少年を、共に突入してきた部下へ任せて指示を出す。
 救護班が、奴○の少年を手厚く保護して部屋を出ていく様子を視界の端で見つめていれば、少年がペコと小さな頭を下げてくれた。
 その仕草だけで、アノンデアの胸が熱くなり、多幸感が身体中に力を漲らせる。
「部屋の隅々まで確認しろ! 被害者も加害者もひとりも取りこぼすな!」
 地を揺るがすような重低音に、部下たちは緊張した応答をする。
 探る巨人族の兵士たちの足音で、その日ホテルはずっと地響きのように揺れていた。

 
  
 長い黒髪が艶めかしく身体に沿ってうねる。
 暗い部屋にぼんやりと浮かぶ真っ白い肌。
 少女のような華奢な身体には、美しい装飾品のみ。
 薄い腹の下、すらりと伸びた足のあいだに勃起する陰茎を見て、アノンデアはごくりと唾を飲み込んだ。
 少年はアノンデアを見下ろして、薄い唇をにこりと笑みの形にすると、すぅ、と猫の伸びのように四つん這いで顔を近づけてきた。
 その美しい唇からこぼれ落ちたのは、アノンデアへの無情の“命令”だった。
 あの美しい少年に、命じられ、無理矢理に身体を暴かれたい……そう思った瞬間、アノンデアは目を開いて自室の天井を睨み付けていた。

 
「はぁぁ……なんて夢だ……」
 大きく重いため息を吐いて、アノンデアはズキズキと痛む頭と下半身を、まぶしい朝日の中で気づかぬふりでやり過す。
 
 人身売買と、無許可の買春現場に突入してから数日、アノンデアの脳内から、あの時見た少年と醜い男の情事が離れない。
 職務の合間、日常生活のふとした瞬間に、頭をよぎるのは少年の黒く光る瞳。あの瞳に見つめられたら、どんな心地だろうか……と、妄想に耽っているのに気付き、自己嫌悪にハッとする。
 それを繰り返すアノンデアは、ここ数日の日課になってしまった重いため息を吐き出した。
「首長、お疲れですか?」
 ニレは気遣わしげに眉根を寄せてアノンデアを見ている。
 新たに持ち込んだ書類をアノンデアの机に置いて「少し休憩にしましょうか? お茶を淹れます」とそそくさと部屋を出ていく。
 部下が真面目に、手厚く補助をしてくれればくれるほど、アノンデアは己が身のやましさに項垂れた。

「そういえば、施設の慰問の日程ですが……急遽明日の午前中になりました」
 盆に乗せたティーポットを持ち上げたニレが告げる。
「慰問……」
「そうです。保護した元奴○たちが身を寄せている施設です。保護した者はほとんどが若い女子どもでしたので孤児院に引き取られています。首長、なるべく笑顔……いや、普通の顔で訪問をお願いします。首長は笑顔も怖いので」
「……そうか、気をつける」
 ニレの遠慮ない物言いも、普段より心に響く。
 ――あの時の少年は居るだろうか。彼を怯えさせる訳に
 いかないな。
 思い詰めた表情でカップに注がれた茶を一口啜る。
 アノンデアのその真剣な表情はまるで敵に、毒を煽るように罠に嵌められたかのごとく眉間にシワが寄っている。俯く隻眼と、ぎろりと正面を睨む義眼が闘神のような凄みを放っていた。
 ニレは見慣れた首長の、恐ろしい真顔を見て、慰問どころか恐怖を与えかねないと思ったが、笑い声とともに余計な口は、ぐっと噛み締めて黙っていた。
 
 
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