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ショタ攻めの記事 (43)

鶯命丹 2024/09/20 22:00

【後編】ドムサブユニバースシリーズ3作目 元気っ子ドム×気弱おっさんサブ【全文12000文字】

【お試し読み】【後編】ドムサブユニバースシリーズ3作目 元気っ子ドム×気弱おっさんサブ【全文12000文字】

【お試し読み】この話はフィクションです【後編】
 ドムサブユニバースなのでフィクションです
 実在の事件事故事象宗教……この現実のあらゆるものと関係はありません。
 フィクションをフィクションとして楽しめる方のみ閲覧をお願いいたします。
 
 ドムサブユニバース頑張ったシリーズ③
 途中まで書いてたけど書けなくて放り投げてたやつが一応出来たので上げます。
 現代日本風の舞台でガチ年下なので、お察しいただけたお好きな方だけお読みください

 物怖じしない元気っ子年下攻め×図体デカいくせにノミの心臓ガチムチおっさん受け【後編】

 【あるもの】攻めドム×受けサブ・受け側のオナニー/アナニー描写・受け、攻めを想ってのオナニー描写・受けサブからの別れ話・ハート濁点喘ぎ
 ドムサブユニバース設定なので、それっぽい設定が常識の世界です。ドムサブユニバースが苦手な方、作り込まれたドムサブユニバースでない物が苦手な方も、閲覧をお控えください。

あと「書けないな。他のやつを進めるか…」みたいに書き進めていったからか、前にアップした他のドムサブものとなんとなく似てると思います。
 すみません


 【登場人物】
 矢熊 慎也(やぐま しんや)
   一般的なサラリーマンサブおじさん。実は30歳。筋トレ趣味のガチムチ高身長おぢだけど、気が小さくて、内向的。具合が悪くて困ってたところを蒼楽君に助けてもらう。

 木地谷 蒼楽(きじたに そら)
   ヤンチャ、元気っ子のドム。塾通いに忙しい生意気盛り。具合悪そうにしてる慎也を見つけて声をかける。物怖じしない外向的な性格で、勉強も運動もそつなくこなす目立つ子

 


――――――――――――――――――

「なんかさぁ〜……最近クマちょっと変じゃね? 慌ててる、てか……なんか忙しいの?」
「いや、そんなことないよ」
 眉を下げ、微笑む慎也をじっと見る蒼楽。
 まっすぐな黒い瞳は、慎也の曖昧な誤魔化しを見透かしているのか、逸らされる事なく注がれている。
 先に目を逸らしたのは慎也だった。
 顔を伏せ、視線をうろうろと彷徨わせて、もじもじと手遊びをしているさまは、叱られる前の子どものようである。
「クマ、なんか困ったりしてんならちゃんと言えよ?」
 諭すように言う蒼楽の言葉に、慎也は重い口を開き、訥々と内心を吐露する。
「なんというか……蒼楽君にはとても感謝してて、本当に助かってるんだけど……あの、えっと、歳が離れ過ぎてるっていうか……こんな、子どもに、プレイをさせてしまっている罪悪感というか……犯罪行為っていうか……そういうのが気になってて」
 もごもごと、図体に見合ない小声で語る慎也に対して蒼楽はよく通る声ではっきりと否定する。
「犯罪行為? プレイは別に犯罪じゃなし、歳の差は気にしすぎだろ。そんなコソコソしたり、慌てなくても大丈夫だって!」
「いやいや……だって、ほら……子どもとこんな……ふしだらっていうか……不純っていうか……」
「不純、って? 別に学校の特別授業でもやったコマンドだけど?」
「えっ?! あ、そっか、そっか……そうだよね! あぁ〜、そうだったかぁ! ごめん、僕が気にしすぎてたみたいだなぁ!」
 訝しげに眉をひそめ、首をかしげる蒼楽の姿を見て、慎也は自身の異常さに愕然とした。
 健全にプレイを楽しんで、それで問題のない蒼楽は、プレイ中に湧き上がる色欲に苛まれてしまう自分とは違うのだと、あらためて突き付けられて、慎也はおおいに動揺した。
「あ、ごめん蒼楽君。そろそろ帰ろう。僕、ちょっとこの後家で仕事をしないといけないんだった」
「えぇ〜! ……はぁ、わかったよ……じゃあ送って」
 いつもならもう少し駄々をこねる蒼楽が、肩を落としながらも素直に頷く。
 本当は、慎也とてもっと一緒にいたい。
 ふたりで共に居て、蒼楽の目を見て、蒼楽の言葉だけを聞いている時間がもっと欲しい。
 パートナーである以上、きっと蒼楽とて同じ気持ちで居てくれるはず。なのに、自分の穢れた欲望のせいで、満足にプレイも出来ないなんて……
「ほら、クマ。手は?」
 慎也の沈む思考を断ち切る蒼楽の声。
「えっ! あ、はい」
 差し出された手を握ると、強い力でしっかりと握り返される。
「……今度はちゃんと、仕事片付けてから来いよな」
「う、うん。ごめんね蒼楽君……」
「いいよ。謝んな」
 手を繋いで、夜の街を並んで歩く。
 暗いガラスに映るふたりの姿を見て、慎也は自分たちがどう見えるか考えた。
 どう見ても大人と子どもだ。親子には見えても、きっとパートナーには見えないだろう。
 蒼楽の快活さそのままに、引き締まった手足は慎也の半分もない太さで、身長も全く違う。
 欲の感じ方も違うのは当然だ。こんなにも多くの差が慎也と蒼楽のあいだにあるのだから。
 

―――――― 中略 ――――――

 
「うわ〜……ただいまぁ〜……」
 自宅に戻った慎也は、精神的疲労でベッドへと身体を投げ出した。
 ――ああ、疲れたな……嫌だなぁ……蒼楽君と会うの楽しいのに、いつも別れた後、疲れたって思っちゃう……
 重い疲労感に瞼を閉じる。
 目を閉じると、ベッドからかすかに香る蒼楽の匂い。
 ――あ、蒼楽君……。蒼楽君の匂いがする♡……うわぁ、蒼楽君が、本当にここに居たんだ♡
 犬のようにベッドを嗅ぎ回って蒼楽の匂いを吸い込むとどうしようもなく発情してしまう。
 ――蒼楽君♡蒼楽君の匂い好き♡蒼楽君がぎゅってしてくれたの、嬉しかったぁ♡
 ベッドに顔を埋め、ボトムと下着を下ろす。
 ぶるっ♡、と勃起した巨根が飛び出して慎也の下腹にぶつかった。
「ふぅッ♡ふぅーッ♡ゔゔっ♡蒼楽君♡あ゛ッ♡あ゛♡はぁっ♡はぁ♡蒼楽君♡好き♡蒼楽君♡」
 蒼楽の名を呼びながら勃起肉を握りしめた。尻を上げてヘコヘコと腰を振りながら素早く扱く。
「あ゛ゔっ♡ゔっ♡ふぅぅッ♡蒼楽ぐん゛ッ♡もうイく♡出ちゃう♡蒼楽君の匂い♡はぁ♡あ゛ッ♡好ぎぃ゛っ♡」
 びゅっ♡びゅっ♡
 ベッドに叩きつけた精液が、鈍い音を立てる。
「はっ♡はぁ♡はぁっ♡……く、ゔっ♡ん゛、ふっうぅ♡」
 一度射精した慎也だが、それだけでは欲情は満たせずベッドサイドに隠していた玩具を取り出す。
 すっかり受け入れることに慣れた尻穴がローションに濡れた指を食い、きゅん♡きゅん♡と窄まる。
「んっ♡ん゛ぅ゛♡うぅ♡……いい♡気持ちぃ♡きもぢぃ゛よ゛♡蒼楽ぐん゛♡うぅ゛♡おもぢゃ゛♡あ゛♡あ゛♡おもちゃ挿入れま゛しゅ♡ん゛♡あ゛ッ♡はッ♡」
 慎也は、脳内に思い描いた蒼楽へ報告をして、玩具を挿入していく。
 にゅる♡、くちゅ♡
 黒い玩具は、甘い淫音を立てて慎也の尻穴に入り込み、身の内と外から前立腺をぐに♡ぐに♡と揉み込む。
「ん♡ふっ♡うぅ♡いい♡きもちい♡お尻いいよぉ♡うぅ♡蒼楽君♡ん゛あ゛ッ♡あ゛♡あ゛♡あ゛ぁ゛ぁ゛♡」
 玩具を嵌め込んだまま、勃起した陰茎を扱く。
 慎也の口は、快感にだらしなく開き、鍛えた逞しい腰はその逞しさにふさわしい腰振りを見せて、自慰に没頭していた。
 丸く大きな尻たぶの奥には、会陰を押し込む玩具と、黒い玩具を飲み込み、ひく♡ひく♡としゃぶる尻穴があった。


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鶯命丹 2024/09/19 19:00

ドムサブユニバースシリーズ3作目 元気っ子ドム×気弱おっさんサブ【前編】

【試し読み】ドムサブユニバースシリーズ3作目 元気っ子ドム×気弱おっさんサブ【全文13000文字】


この話はフィクションです
 ドムサブユニバースなのでフィクションです
 実在の事件事故事象宗教……この現実のあらゆるものと関係はありません。
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 ドムサブユニバース頑張ったシリーズ③
 途中まで書いてたけど書けなくて放り投げてたやつが一応出来たので上げます。
 現代日本風の舞台でガチ年下なので、お察しいただけたお好きな方だけお読みください

 あと「書けないな。他のやつを進めるか…」みたいに書き進めていったからか、前にアップした他のドムサブものとなんとなく似てると思います。
 すみません

 物怖じしない元気っ子年下攻め×図体デカいくせにノミの心臓ガチムチおっさん受け【前編】

 【あるもの】攻めドム×受けサブ・受け側のオナニー/アナニー描写・受け、攻めを想ってのオナニー描写・モブドムからサブおじさんがバカにされる描写あり
 ドムサブユニバース設定なので、それっぽい設定が常識の世界です。ドムサブユニバースが苦手な方、作り込まれたドムサブユニバースでない物が苦手な方も、閲覧をお控えください。

 【登場人物】
 矢熊 慎也(やぐま しんや)
   一般的なサラリーマンサブおじさん。実は30歳。筋トレ趣味のガチムチ高身長おぢだけど、気が小さくて、内向的。具合が悪くて困ってたところを蒼楽君に助けてもらう。

 木地谷 蒼楽(きじたに そら)
   ヤンチャ、元気っ子のドム。塾通いに忙しい生意気盛り。具合悪そうにしてる慎也を見つけて声をかける。物怖じしない外向的な性格で、勉強も運動もそつなくこなす目立つ子

 
 ――――――――――――――

  矢熊 慎也(やぐま しんや)は、暗い公園でぐったりと座り込んでいた。
 梅雨時期のじめっとした湿気が、肌にまとわりつくようで不快だった。
 気圧のせいか頭が痛み、慎也はずっと眉間に拳を当てて俯いている。
 じっとしていても、じわじわと汗が噴き出て怠さを助長し、もわっとした空気に喉が詰まり、呼吸すら満足にできないような気がする。
 痛みだした眉間を揉み込みながら、大きく息を吐いた瞬間「おじさん、大丈夫?」と小さくひそめた高い声が問いかけてきた。
 目を開けると心配そうに覗き込むひとりの少年の姿があった。
「あ……ああ、大丈夫だよ。わざわざありがとう」
 いきなり顔を覗き込まれた慎也は驚き、なんとか笑顔を作って返答する。
 少年は屈めてた腰を伸ばして腕を組むとうーんと唸っている。
 心配してくれる気持ちはありがたいが、子どもにどうにかできるとも思えず、慎也は体調の悪さから来る苛立ちを、心優しい少年に向けていた。
 ――大丈夫だから、早くどっかへ行ってほしい……そっとしておいてくれ。
 流石に口には出さないが心の中で文句を言い、瞼を閉じてズキズキと痛むこめかみを押さえる。
 少年の立ち去った気配はない。
「おじさんさ、もしかしてサブ? ちゃんとプレイしてる?」
 突拍子もない言葉に、慎也はつい顔を上げて眉をひそめて返事をしてしまった。
「え? っと……サブってあの、第三の性とか言われるやつ、だよね? いや、僕は違うよ……それに、ああ言うのは今の若い子から発見されてるって話だよね?」
「えぇ〜! 違うって! 最近は大人になってから発見される事もあるって授業で習ったよ。それにさ〜、おじさんからめちゃくちゃサブの匂いするし」
 少年特有の、はっきりきっぱりとした主張。
 否定するのも面倒で慎也は曖昧に相槌を打つ。
「最近の授業ではそう教えるんだねぇ。サブの匂い? ってのはよくわかんないけど……それも、学校で習ったの?」
 水を向けると、少年は力強く頷いて語る。
「なんか、たまに居るんだって。ドムのことが分かるサブとかサブの匂いが分かるドムとか。俺もそうで、サブの匂いがわかんの! 今まで百発百中! すごいっしょ」
「そうなんだ、そりゃ凄いね。でも僕は違うんだよー、わざわざ声かけてくれてありがとね……」
「え〜、そうかぁ? でもさ〜、おじさんは最近具合悪くて、でも風邪じゃないっぽかったりしない?」
 話を早々に切り上げ、何処かへ行って欲しいと匂わせる大人な文法は、いたいけな少年には通用しない。
 それどころか、ますます食い下がってくる。
「え、ああ……うん、そうだよ」
 実際、慎也の体調不良は症状が曖昧だった。
 頭痛と、倦怠感があるが、熱はなく、咳や鼻水などといった症状もない。吐き気や腹痛もなく、周囲で同じような症状の人も居ないので、流行り病でもない。
 慎也が頷いたのを見て、少年は不敵に笑った。
「じゃあさ、試しにやってみようぜ」


 ―――――― 中略 ――――――

  慎也が最近体調が良いのは、ドムのパートナーを得て定期的にプレイを行っているからだろう。
 週5で塾に通う蒼楽に合わせて帰宅時間を調節し、ほんの少しの合間でプレイをしている。
 お互い塾帰りと仕事帰りに待ち合わせして公園に寄り、蒼楽の指示を聞き、褒められると、身も心もうっとりとするような充足感に満たされる。
 しかし……
「“よしよし、クマはいい子だなぁ~”」
「ふ……っ、んぅ……あっ、ありがとう蒼楽君! えっと……そ、そろそろ帰ろうか! 送るよ!」
 いまだ柔らかい少年の腕が、慎也の首に腕を回して、よしよしと頭を撫でる。
 慎也はぶる、と身震いをして、蒼楽の腕から離れると、そそくさと立ち上がりベンチから一歩離れた。
「えぇ~もう? もうちょっといいじゃん」
 むくれる蒼楽が、慎也の分厚い手を握り、引っぱった。
「ううん……でも、もう遅いから……」
 蒼楽の手を握り返してベンチから立たせると、慎也はそのまま手を引いて公園から出て行く。
「えぇ~! まだそんな遅くないよ」
 ぶつぶつとぐずる蒼楽をなだめすかし、なんとか家に送り届けた。


 慎也は速足で自宅へ帰宅すると、すぐさま風呂場へ向かった。
 裸になってため息を吐き、顔を覆う。
「うぅ……なんでこんな事になっちゃうんだよぉ……」
 慎也の下半身は、ガチガチに勃起していた。
 情けないことに、脱ぎ捨てた下着には白く乾いた痕さえある。
 慎也は自己嫌悪に眉をひそめながらも、びく♡、びく♡、と痙攣している自身の肉棒を放っておくことが出来ず、風呂場の床にぺったりと座り込み、硬い肉を握りしめる。



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鶯命丹 2024/08/02 22:27

エロトラップに遭うタンク受けの話【全文2万文字】

【お試し読み】才能あふれるがまだまだ未熟な魔法使い君×用心棒の屈強なタンクおじさん【全文2万文字】
 
 ファンタジー世界のエロトラップにかかるためだけのCP
 タンクってドスケベすぎんか???って思ってずっとタンクおじさんを書きたかったけどタンクのこと1ミリも知らんにわかが書きました。
 そういうのでも大丈夫な方は是非!
 

 【あらすじ】
 催淫効果のある体液を持つモンスターの攻撃を、攻め君を庇って受けてしまうおっさん。
 淫毒に侵されて苦しむおっさんにお詫びセッ○スしてあげる攻め君と、こんな事させてごめんねって言いながら感じまくりイキまくるおっさんの話
 
 【あるもの】
 年下攻め、年上受け、ガチムチおっさん受け、催淫、媚薬、攻めのフェラ、連続絶頂、だいしゅきホールド

 すごい!私の好きなものしか入ってない!
 同じ志の方がいれば是非

 魔法使い君
 エイル――黒いローブに尖ったフードを被ったメガネ男子。魔法が希少な世界で魔法が使える選ばれし存在だけど未熟ゆえに発動に時間がかかる。そのせいで自信がなくオドオドしがち

 タンクおじさん
 ガズー――用心棒をしている屈強なおじさん。顔は怖いけど基本的に親切。ガッチリむっちりしているドスケベボディーで魔法の発動に時間がかかるエイル君をモンスターの攻撃からガードする。王都へ無事にエイル君を届けるのが今回の仕事。





――――――――――――――――――


 とある街のギルドに寄ったガズーは、ギルド互助会の役所員ヤヴドに声をかけられた。
「おお! ガズーちょっと頼みたいことがあんだよ」
 ヤヴドはにんまり笑うと、ガズーを手招く。
「なんだ? 面倒な仕事か?」
 既知の気安さで笑い返すと、ヤヴドの近くに隠れるように小さくなっているひとりの少年を見つけた。
 少年は大きな丸メガネの奥から不安げな目でヤヴドとガズーを交互にちらちらと見ている。
「面倒……っていやぁ面倒なんだが、そう言うとこの坊主に悪いからなぁ。な! 坊主!」
 職員は太い腕でドンっと少年の背を叩きぐっとガズーの前に押し出す。
「うわぁっ!」
 よろよろとよろけながらつんのめりそうになる少年の肩を支えてやると「す、すみません……」と蚊の鳴くような声で謝られた。
「おい、ヤヴド。気を付けろよ。お前は馬鹿力なんだから」
 ガズーが注意してもヤヴドはガハハと笑うだけである。
「で。なんだってんだ面倒な依頼ってのは」
「この坊主のお守りだよ」
 ヤヴドが親指を立てて傍らに立つ少年を指差すと、彼はさらに縮こまってペコリと頭を下げた。
「お守りって……お前さんを? 魔術師なら魔物も野盗も怖い物無しじゃないか?」
 ガズーは少年の身なりをまじまじと見つめる。
 少年の黒いローブも、尖ったフードも、両手に抱える曲がりくねった木の杖も彼が世にも珍しい魔術師であることを示している。
「確かに魔術師ってのはひとりいりゃ旅だってなんだって格段に楽になるがな。この坊主はまだまだひよっこなのよ。何をするにもやたらめったら時間がかかるんで、全く役に立たねえんだ」
 歯に衣着せぬヤヴドの言葉に、少年はますます俯いて「すみません……」と小さく鳴いた。
「でな、この坊主は王都に行きてえんだと。なぁ。ガズーよ。この坊主頼まれちゃくんねえか?」
「お、お願いしますっ!」
 間髪入れずに少年が深々と頭を下げる。
 そうしてガズーは、少年魔術師エイルとともに王都を目指して旅立った。


~中略~



 室内は、性の匂いが充満していた。
 熱を帯びた低い唸り声が、エイルの鼓膜を震わせ、腹の奥を火照らせる。
 ガズーはベッドの上に寝ていた。
 装備を外し、シャツだけを着ているが、胸元までまくれ上がっている。下に至っては裸だった。
 用心棒らしく傷と、加齢によって蓄えられた脂肪と、生きるために鍛え上げられた筋肉に覆われた肌を、あらわにしている。腹の上には白濁の汁が飛び散っていた。
 体格に見合ったずっしりと重そうな巨根が、下腹にぴったり着くほど勃起している。
 ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐぢゅっ。
 大きなそれを、大きな手のひらで掴み、激しく扱いている生々しい音が部屋に響いており、エイルは唾を飲み込んだ。
 普段のガズーならとっくにエイルに気づいているだろう。なのに、彼は眉間に皺を寄せて瞼を閉じ、自慰するのに夢中になっていた。
「……ガズーさん」
 掠れた小声で話しかけると、ガズーの目がバッと開く。
 慌てた様子で身体を起こすと、股間にシーツを当ててエイルを睨む。
「エイルッ! なんで……っ!?」
 普段の冷静沈着な姿からは考えられないほど、動揺し、震えた声でガズーは叫んだ。
 その弱り切った姿は、魔物の淫毒を抜きにしてもエイルの情欲に火を灯すほど、扇情的だった。
「ご、ごめんなさい……ガズーさんが、心配で寄ってみたら、扉の鍵が開いてて……」
 ガズーは自身の失態に目を見開き、苛立ちを滲ませて低く呻いた。
「あ゛ー……そうか、それは悪かった……だが、早く出てってくれ……」
 苦し気に眉を顰めるガズーを見て、エイルは喉を鳴らし速足でベッドへと近づいた。
「おいっ、来るなエイルッ……頼む! 近づかないでくれ……ッ」
 あっという間にベッドに乗り上げ、近づいてくるエイルに、ガズーは片手を前に出して制止するように命じている。
 しかし、エイルは止まるどころか挙げていたガズーの手を両手で包みこむ。手が触れた途端、ガズーの身体が跳ね、エイルから、さっ、と紅潮した顔を逸らした。
 エイルはそっぽを向くガズーに更に近く、互いの体温を感じられるほどの距離まで詰める。
「……ッ! エイルッ……く、るなっ!」
「ぼ、僕、が治します」
 エイルは、シーツを押し上げて主張する、勃起した亀頭を摩る。
「あ゛ッ♡ お、い゛っ! やめろっ……触るな、あ゛っ♡うぅっ♡」
 魔物の淫毒によって刺激に敏感になった肉体は、ガズーの意思とは裏腹に、カクカクと腰を上げ、エイルの手のひらに亀頭を押し付けている。
 シーツにぬめる体液が染みて、エイルのいまだ未成熟な手のひらを汚した。
「すごい……べとべとだ」
 熱のこもった息とともに、呟いたひと言。エイルは自身の発情し切った声にぞっとする。滾る欲情の止め方もわからず、そのまま身を屈め、染みてぺったりと張り付いたシーツごと、ガズーの亀頭を吸った。
「お゛、い゛っ♡ やめろ゛っ♡お゛♡お゛っ♡うぅ♡」
 シーツのざらりとした感触の奥に、肉の硬さを感じて、エイルはそれを必死に舐めた。舌先を硬く尖らせると、くぽ、とわずかにへこむ箇所があって、それが妙に面白く繰り返しへこみに舌先をはめた。
「エ゛ッ♡エ゛イルッ♡エイル゛ッ♡ゔゔっ♡やめ゛っ♡お゛っ♡それや゛だッ♡あ゛ッ♡あ゛ッ♡はなせっ♡え゛ぅっ♡」
 ガズーの腰は、明らかに刺激を求めてヘコ♡ヘコ♡と持ち上がっている。もっと欲しいと貪欲にエイルの与える刺激を求めて動くので、エイルはシーツ越しにガズーの陰茎を握り、あちこちへ振れないようにする必要があった。
「……い、痛い、ですか?」
 シーツ越しに、陰茎の根本を掴んだ手にも、滑るほどのぬめりを感じられる。ぬめりを借りて、ぬるぬるとシーツごと手を上下に扱くと、ガズーは太い喉元を晒して淫らな呻きを上げた。
「あぁ゛ぁ゛♡エイル゛ッ♡い゛っ……♡いたくな、いっ♡あ゛っ♡だめだっ♡やめろ゛♡お゛ぐっ♡うぅ♡」
「痛くないならよかったです♡僕、不慣れだけど……ガズーさんを助けるために頑張りますから♡」
 エイルははにかみ笑うと、染みの滲む亀頭に口付けて、ずる、と吸った。茎の根本を扱くことも忘れずに扱くとぬちゃ、と卑猥な音がなる。
「い゛♡いい♡きも゛ち゛い゛からっ♡あ゛っ♡だめだっ♡エイル♡離れてくれ♡あ゛あ゛っ♡あ゛っ♡あ゛っ♡エイル♡うぅ♡」
 エイルの手に翻弄され、ガズーは甘く、低く吠える。
 何ものにも怯まない逞しい肉体がいやらしく身悶えていた。
 快感を享受し、淫らに動くその動きに合わせて、エイルは舌を伸ばし、唇で包み込んでガズーの苦しみを取り除くために尽力した。
「あっ♡あっ♡あ゛っ♡ぅぐッ♡エイル゛ッ♡離せっ♡あっ♡あ゛っ♡イ゛くッ♡ぐ……っ♡でるッ♡、出るから゛っ♡あ゛っ♡」
 腰をへこつかせて、ぽっかりと開いた口からひっきりなしに蕩けた嬌声を溢し、ガズーはガチガチに硬くなった巨茎から射精した。
「んぅッ! んっ♡く、ぅ」
 噴き出す精液の勢いは、シーツ越しのエイルの舌を叩くほどに強い。
「あ゛っ♡あ゛、ぁぁぁ……す、すまんっ! 大丈夫か?」
 慌てて手を伸ばして、エイルの頬を包むガズーの分厚い手のひらは、じっとりと汗で湿っていた。
「んっ……あ、大丈夫です。ありがとうございます。ガズーさんも大丈夫でしたか?」
 エイルは自身の頬を包む分厚い手をそっと握り、頬をすり寄せて微笑んだ。
「あ、ああ……俺は全然……エイル、気持ちは嬉しいが……こんなことは、もうさせられない……だから、早く出ていってくれ……」
 低く、威厳のある声でエイルに言い聞かせる姿は、いつものガズーに戻ったように見える。
 しかし、男らしく厚い唇から漏れる息は荒く、瞳はとろりと蕩けて揺れていた。
 目線を下げれば下半身を隠していたシーツは、ガズーの溢した体液でぐっしょりと濡れ、透けており、巨根に張り付いている。最早シーツ越しでさえ、ガズーの陰茎の形や色が丸わかりであり、更にそれは萎えることなく隆起し続けている。
 エイルは、ガズーの潤んだ目をじっと見つめて言った。
「ガズーさん……僕、この毒の中和方法聞いて来たんです。ちゃんとできますから、協力させてください」
 エイルの手が、いまだ硬く勃起したガズーの肉棒を撫でる。
「うっ♡ぐぅ♡うっ♡……エイル……だめだ♡あ゛ゔ♡」
 淫毒に侵されたままのガズーの肉体は快感に弱く、エイルの手のひらがぐりぐりと陰茎を撫でる不慣れな愛撫にさえ、抵抗できない。
 エイルは片腕で、ガズーの屈強な肉体を抱き締めて体重を乗せると、彼は無抵抗にベッドに倒れてしまった。
 逞しい肩に額を擦り寄せ顔を上げると、揺れる瞳とかち合う。
 動揺と、罪悪感を隠すように、ガズーは目を閉じて掠れた声で呟いた。
「う、ぅ……エイル、たのむ……」
 震える唇が、言葉を紡ぎ切る前に、エイルはそれに吸い付いた。
「ぅん゛ッ♡んっ♡……は、あ゛っ♡はぁ、エイル♡う、ぅ♡」
 エイルが想像していたよりもずっと柔い唇を啄み、動く舌を追って舐ると、乗り上げてぴったりと重ねた肉体がぶるッ♡と震えた。
 阻んでいたシーツを避けて、勃起する巨根を握ると、手のひらがまわり切らないほどに硬く太い。
「うわ、おっきい……♡」
 エイルは、手に触れたものの巨大さに思わず驚嘆の声を上げて、ぎこちなく手を上下させた。
 濡れた唇に、エイルの吐息がかかり、肉棒を撫でられて腰が跳ねるガズー。彼は瞼を開けて、涙目でエイルを睨んだ。
「う♡……だから、嫌な思いをする前に、やめろって言ったんだ……あ゛♡」
「あ、違うんです。おっきくてかっこいいなって……♡嫌じゃないです。ガズーさんに触れて、僕、すごい興奮してます」
「ん゛♡……う、っ♡」
 エイルは恍惚とした瞳でガズーを見下ろすと、再び薄く形の良い唇を触れ合わせた。
 小さな唇が、ちゅ♡ちゅ♡と啄むようにガズーの唇に触れて離れて行く。
 ガズーはその甘い口付けを貪欲に求めた。
 大きく分厚い手でエイルの細いうなじを掴み撫で、更なる快楽を求めて舌を伸ばしてエイルの口内を舐る。薄い舌に舌を絡めると、ガズーの肉体が快感にぶるりと震えた。
「あ♡ん♡はぁ♡あ♡」
 エイルも必死に、ガズーの舌に自身の舌を絡める。
 太い首すじを撫でると、ガズーが首をすくめて喘ぐその反応はエイルの情欲をおおいに刺激する。
「んお♡お♡エイル♡ふぅ♡……うぅ♡」
 ゆるく開き、熱い息をこぼす唇に吸い付きながら、エイルはじっとりと汗ばんだガズーの肉体を撫でた。
 厚い筋肉の感触は、思っていたよりも柔らかく弾力がある。エイルは興奮に息を弾ませて、男の肉体を撫で回していた。
「ガズーさん♡はぁ♡やぁらかい♡あ♡んぅ♡ひもちいいよぉ♡」
「ん゛ッ♡ゔぅ♡エイル゛♡ゔっ♡ん゛ぅ♡」
 エイルは夢中で、ガズーの分厚い胸板を揉みしだき、手のひらに触れる弾力のある尖りを捏ねるように転がすと、合わさった口内に低く甘い呻きが響く。エイルが乳首をぐにぐにと指先でいじくり、分厚い舌を吸うのに熱中していると、ガズーの切羽詰まった声がする。
「うぅっ♡エ、イル゛♡、あ゛♡もう無理だっ♡は、やぐっ♡早くほじッ♡頼む♡ゔゔっ♡」
 ガズーは眉を下げた情けない顔で、泣きごとのように呟くと、屈強な足を広げてエイルの肉体を自身の足のあいだに招く。
「うわっ♡あっ♡ガズーさん♡あっ♡あたってる♡んぅ♡」
 へコ♡ヘコ♡と尻を動かし、エイルの固く勃ち上がった陰茎に擦り付けて、ガズーは必死に挿入をねだっていた。



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鶯命丹 2024/06/17 19:00

 ツノ舐め【全文10900字】

【お試し読み】ツノ舐め【全文10900字】



 夫婦♂になった鬼退治得意な桃瀬くんと鬼のおじさん鬼田さんが仲良く一緒にお風呂に入る話。
 攻めが受けのこと奥さん呼びしたりします。
 
 濁点喘ぎ・♡喘ぎ・いちゃらぶ・野外立ちバック・玉舐め・尻舐め
 



――――――――――――――――――


 夫婦となり、ともの暮らすようになって数日。
 桃瀬の視線が、隣で汁物をすする鬼田の髪をじっと見つめている。
 生えるままに自由に伸びてる蓬頭を見て桃瀬は「鬼田さん、髪を洗いましょうか」とぽつりと言った。
 すげなく断られるかと思っていたら、鬼田は椀から顔を上げて上機嫌に返答をくれた。
「おう、いいな。じゃあ風呂に行くか」
 思ってた以上の快い返答に、桃瀬は切れ長の目を見開いて鬼田を見返している。
「なんだよその顔」
「いえ、なんでも」
 静かに頭を振る桃瀬に、鬼田は一瞬眉根を寄せて訝しむが、すぐに飯をかきこんで昼餉を終えた。
「まぁいいや。とりあえず飯を食ったら早速行くぞ。早い方が良い」
「出かけるんですか?」
「ああ」
 桃瀬の想定としては、近くに掘った井戸から水を汲んできて沸かした湯で髪を洗うつもりだったが、鬼田はどうやら違うらしい。
「鬼田さんいつもどこで髪を洗ってるんですか?」
 慌てて昼餉をかきこみながら問いかける桃瀬に、鬼田はにやりと笑って立ち上がると、自分の食い終わった食器を土間へと運び、洗い桶につけて戻って来た。
「早く食え。先に行くぞ」
 ニヤニヤと意地悪を言う鬼田に、最後のひとくちを口に入れた桃瀬がバタバタと食器を洗い桶につけに行く。
 鬼田は、桶を出してくるとその中に洗って畳んでおいた着物とふんどし、手ぬぐいを入れ、立ち上がる。
「よし、行くか」
「どこへ行くんですか?」
 慌てて後を追う桃瀬に、鬼田はいたずらを企む子どものように含み笑いを浮かべるだけだった。

 


 棲み処から、少し山中を歩いたところに川がある。
 ごうごうと流れる川のしずくが風にあおられ、午後の明るい陽射しにきらきらと反射しながら大小数々の石が転がる川原に散っている。
「川で洗うんですか? まだ少し寒くありません?」
 首を傾げる桃瀬に向かって、鬼田はニヤリと笑うと「まぁ手伝えよ」と着ていた着物を脱ぎ、ふんどしに一丁となって川に入って行く。
 川原との境になる浅瀬に立ち、屈むと太い腕で川底を掘っていく鬼田。彼に続いて、桃瀬も着物を脱ぐ。
 川底を掘る鬼田の近くへ駆け寄ると同じように川底の石をどかして掘っていく。
 石を退かしていくたびに砂土が水中に、煙のように沸き上がり、川の水に流れていく。
 黙々と川底を掘る鬼田に合わせて、桃瀬も手を動かしていくと、もわっと水中に蜃気楼が立ち昇ったように見えた途端、手指に熱気が当たる。
「わっ、あつっ! えっ? お湯だ! これが目的だったんですね」
 突然の熱さに、驚いた桃瀬が顔を上げて鬼田を見ると彼はにっと顔を綻ばせて頷いた。
「やっと湯が出てきたな。熱いだろ。あとは俺がやるからお前は下がってろ」
「はい、ありがとうございます」
 皮膚の強い鬼は、沸く源泉の熱さを物ともせず、鬼田は川底を掘って行く。
 川原と川のはざまに出来ていく大きな窪み。
 土に濁ってた窪みの水は、鬼田の大きな手のひらが深く広く掘ることでこんこんと湧き出てる湯に押し流されて澄んで行った。
 窪みに溜まった熱い源泉の湯は、すぐ脇を流れる川との境目を曖昧に崩すと、冷たい川の水が流れ込んで来て、ちょうど良い温度に覚ましてくれる。
「そろそろ大丈夫か? おい、桃瀬。ちょっと湯を触ってみてくれ」
「すごい。あっという間に温泉が……」
 広く掘られた湯船に感心しながら桃瀬は、湯に手を入れる。
 川の水が常に流れ込み、触れる湯は滑らかでちょうど良い。
「大丈夫です。とてもいい湯加減ですよ」
「よし! じゃあ入るか」 
 顔を綻ばせ頷くと、鬼田は得意げに笑って早速ふんどしを解いた。
 ざぶざぶと湯を蹴立てて掘った湯船の中心に来ると、肩まで浸かる。
「あ〜……あったけぇ……ほら、お前も早く来い」
「……お邪魔します」
 呼ばれた桃瀬もふんどしを解き、恐る恐る湯へ足を浸ける。きちんと適温になっている湯の中に肩まで浸かるとじわぁ、と身体を包む多幸感に桃瀬もため息をついた。
「おわ〜……あったかいですねぇ……」
「そうだろ……」
「そっちに行ってもいいですか?」
「お~……」
 だらけた返事の鬼田に向かってぷかぷかと浮かびつつ近づいて行く桃瀬。
「あち! うわっこの辺、下が熱い!」
 温泉はどうやら鬼田の居る湯船の中心から湧いてくるらしい。
 足の裏をかばいつつ、桃瀬は湯船の中を跳ねながら川の水が流れ込んでくる方に逃げた。
「あれ、熱ぃか? もっと川の水が入るように掘れば良かったな」
 湯の中に後頭部さえ浸けてだらけていた鬼田が頭を上げて桃瀬を見た。
「いえ、お湯はちょうど良いんですけど、そこの辺だけ足元が熱くて」
「そっか、下から湧いてくるからなぁ。そんならここ座るか?」
 鬼田は桃瀬の方へ腕を伸ばし、腋の下に手を入れて抱き上げると自身のあぐらの上に乗せた。
「あ、ありがとうございます」
 鬼田の膝に乗せられた桃瀬は裸の肌が触れてしまわないように、なるべく小さく丸まった。
 真っ赤に染まった顔は湯の熱さだけではなく、潤んだ瞳は落ち着きなく彷徨う。
 それに比べて鬼田は、桃瀬を膝に乗せたまま湯船のふちに頭を預けてだらりと脱力している。
 無防備な鬼田の存在を裸の背中で感じた桃瀬はますます動揺した。
 桃瀬は鬼田をよこしまな目で見ているというのに、彼の方はまったくそんな事も考えつかないような素振りで、だらりと脱力している。
 純粋に温泉を楽しむ鬼田を邪魔するのは忍びない。桃瀬は腹の中にもやもやとくすぶる熱を理性で抑え付けて、鬼田の分厚い胸板に頭を預けた。この弾力を味わうくらいは許してもらいたい。
 張りのある分厚い肉に頭を擦り寄せると、ほかほかと温かい。
 目を閉じて鬼田の弾力と熱を堪能していると、川の流れる音や、木々の葉の擦れる音が意識にのぼってくる。
 閉じた目蓋越しに差す午後の柔らかい日差しに、涼しい風が熱った頬を冷ます感触に、桃瀬の気持ちも次第に落ち着いてきた。自然と深く息を吐く。
「……はぁ〜……気持ちいいですねぇ……」
「……お〜……」
 話しかけると、随分と間延びした返事が返って来た。

 

「ふぅ〜……すみません。熱くなってきたので先に出ます。ついでに鬼田さんの髪、洗ってあげますね」
「おぉ、助かる」
 桃瀬は持ってきた桶の中身を乾いた大きい岩の上に置くと、その桶に湯汲んで湯船の淵に預けた鬼田の頭にそっとかけた。
 湯をすくっては髪を濡らし、頭皮を温めるのを繰り返す。濡れ髪に持って来た櫛を何度も通して、湯で温まり柔らかくなった頭皮を指先で揉むと、鬼田は大きく長く息を吐いた。「……あぁ〜……極楽だぁ……」
「気持ちいいですか?」
「あぁ、いい心地だ……」
 ぐにゃりと脱力する鬼田を見下ろして、桃瀬は笑った。
 よく湯で洗って、櫛で丁寧に梳かしていくと、広がってボサボサとしていた鬼田の髪は真っ直ぐ流れるようにまとまってなめらかに櫛が通るようになる。
 乾いた手ぬぐいで水気を拭き取って「はい! 綺麗になりました」と桃瀬が満足げに言うと、鬼田は湯船のふちから頭を上げた。
「じゃあ次はお前だな」と桃瀬を振り返ってにやりと笑った鬼田。
「え、いや、私は……」
「いいからいいから。ほら、交代しろ」
 のっそりと湯から立ち上がると、桃瀬を抱き上げ湯船に下ろす。押し切られてしまった桃瀬はおずおずと湯船のふちに頭を預け、鬼田を見上げた。
「それでは、お願いします……あの! 優しくしてくださいね。頭の皮剥がさないで」
「そんなに乱暴じゃねぇよ」
 不安げに言う桃瀬に苦笑すると、鬼田はまとめていた少年の長い髪を解いて手櫛を通す。
 桶からすくった湯をかけて、頭皮を洗う鬼田の手つきは桃瀬が思っていた以上に丁寧で優しい。
「う、本当に優しいですね……」
「そうだろ。痛くねぇか?」
「痛くないです。気持ちいい……」
 太い鬼田の指が、慎重な手つきで髪をくしけずっていく。大切な壊れ物に触れるような丁寧な所作を感じて、桃瀬は頬を赤らめた。
「なんだ、お前顔真っ赤じゃないか。熱いか?」
「い、いえ! 大丈夫です」
「そうか? なるべく早く済ますから」
 丁寧に扱われることへの嬉しさと、気恥ずかしさに紅潮した桃瀬の顔を見た鬼田が心なしか手早く髪に櫛を通し、手拭いで髪を拭う。
 急いでいる手つきではあったが、髪が絡むことも、引っかかって頭皮に痛みが走ることもなく洗い終えた。
 桃瀬ははにかみつつ「髪を洗うの、お上手ですね」と話しかけた。
「そうか?」
「ええ。梳かされててちっとも痛くなかったです」
「痛くないなら良かったよ。おし、大体拭けたぞ」
「ありがとうございました。私は熱くなってしまったので出てますね」
「おう。俺はもう一度あったまってから出るわ」
 桃瀬は湯の中から上がり、交代するように湯の中に戻る鬼田のそば、湯船のフチに座って涼む。
 ほかほかと火照った身体に吹き抜ける川辺の風が涼しい。
「風が気持ちいいですね」
「ああ」
「なんだか贅沢ですね」
「そうだなぁ……酒持ってくれば良かったなぁ」
 桃瀬は、午後の明るい日差しの中で湯に浸かる贅沢に笑い、少し下にある鬼田の顔を見下ろす。
 鬼田の顔や肩口は赤らんでいた。
「鬼田さん。顔赤いですよ? 熱くないんですか?」
「そうか? そこまでじゃないぞ」
「真っ赤ですよ。こんなに赤いのにお酒なんか呑んだら身体に良くないですよ」
「人間じゃねえんだ、そんなヤワじゃねぇよ」
 鬼田は、湯船のフチに頭と腕をだらりと預けてくつくつと笑っている。
「本当に? だって角の根元の皮膚まで赤くなってますよ」
 鬼田の額、髪の生え際にある皮膚を突き破って生える角の根元は、顔と同じくらい赤く熟れたように色づいていた。
 赤くなった根元に指先で触れるとほかほかと火照っている。
「ああ、ほらやっぱり。ほかほかしてますよ」
「そうか?」
「ええ、こんなところも赤くなるんですね。でも角の部分は冷たい、かな?」
 桃瀬は角をよしよしと撫でた。鬼田はそれを意に介さず、じっと目を瞑ったままされるがままになっている。
「痛くない?」
「痛くねぇよ」
「感覚は、ある?」
 そう問うと、鬼田はちらりと瞼を開けて桃瀬を見た。薄くすがめた鬼田の瞳と、桃瀬の視線がかち合う。
 少し考えるように軽く頭が傾き、その後すぐに「根本のとこだけ。皮膚の境のとこだけちょっとある」と鬼田は言った。
「そうなんだ」
 呟くように返事をすると桃瀬は角を撫でていた手を下げて、額近くの、盛り上がった皮膚を指先で撫でた。
 硬いような、柔いような、不思議な感触に夢中になって桃瀬は指先でいじくり、擦り、指圧をし続ける。
 長く湯に浸かっていたせいか、ぼーっとしながら、桃瀬は指を動かして肉の盛り上がりに触れ続けている。すると低い笑い声が聞こえて来た。
「くすぐってぇよ」
 小さく頭を振って自分の手から逃げようとする鬼田がおかしく、桃瀬は手を伸ばして逃げる角を追った。
 桃瀬の指が鬼田の額に触れる。
「やめろって」
 顔を逸らして逃げる鬼田の表情は柔らかい。
 逸らされた顔を腕に抱きしめて桃瀬は角に唇を寄せた。
 ちゅっ、ちゅっ、と可愛らしい音を立てて、桃瀬は盛り上がった肉を吸い、舌先を伸ばして角と、めくれ上った皮膚とのさかいを舐めた。
「んっ、ふふ」
 くすぐったいのか、鬼田は首をすくめて小さく笑っている。
 甘い反応が返ってきた事が嬉しく、桃瀬はますます鬼田の頭をかき抱き、角に愛撫を繰り返した。
 角の先から口付けを落としていき、根本にまで降りてきたら舌でべろりと一周舐る。
「ふ、ふふ……んっ、何がそんな楽しいんだ」
「あなたの反応が可愛らしいから……あと、このめくれた皮膚が、私を受け入れてくれた時の尻の穴みたいで……♡」
 言い訳をしながらも、桃瀬の唇は角に吸い付いき、角と皮膚の間に舌先を挿しこみ、舐め回していた。
「ははっ見るもんすべてがすけべに見えて、そんでこんなに興奮してんのか?」
 鬼田はからかうと、自分の頭を抱え込み角を舐める桃瀬の細腰を抱き寄せた。
 桃瀬の下腹部には既に甘く勃ち始めている陰茎がある。鬼田はそこに、ふっ、と息を吹きかけ指先でくすぐるように裏筋を撫でた。



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鶯命丹 2024/05/18 12:24

桃○郎×鬼(全文16000字)

「お試し読み」



 節分の時に考えてたのに出来たのは今。
 物語はフィクションです。この世の現実のあらゆる事象とは関係ありません。
 
「注意」
 飲酒・飲酒からの性行為・攻めのフェラ・年下攻め・美形攻め・ガチムチ受け・おっさん受け・人間×人外・軽度の損傷
 

「あらすじ」
 山奥でひっそりと暮らす人畜無害の鬼、鬼田さんはある日はやとちりで鬼・怨霊特攻持ちの若武者、桃瀬くんに襲われ命からがら逃げ出す。
 誤解を謝罪して傷モノにしたお詫びに鬼田さんを娶る桃瀬くんの話


「登場人物」
攻め――桃瀬。人間・若武者・美しい

受け――鬼田。鬼・ガチムチ・おっさん

――――――――――――――――――――
 

 昔々、あるところに鬼がいました。
 鬼の名は鬼田。
 ザンバラ髪からのぞくツノに、恐ろしい牙。
 七、八尺は、あろうかという巨体は筋骨隆々。
 吊り上がったまなじりに鋭い三白眼。
 いかにも鬼と言った恐ろしげな容貌の鬼は、人里はなれた山奥で静かに暮らしています。
 里に降りる事もあるが山で採った山菜や育ち過ぎた木を伐採した薪木などと、里の米や野菜と交換するためであり里の者たちとの関係は良好でありました。
 しかし、そんな人畜無害の鬼のもとに、嵐のような出来事が起こるのでした。

 

「お前がこの山に棲みつく悪鬼であるか!」
「ん?」
 森にこだまする大声に鬼田が振り返ると、そこには若武者が立っていた。
 美しい武者であった。
 緑なす黒髪をひとつに結び、すらりとした体躯は若い牡鹿のように生命力に溢れている。
 少女にも見える顔立ちは険しく、柳眉をひそめて鬼田を睨んでいた。
 腰に差した刀を既に抜き放ち、切先を鬼田の方へ向けている武者に鬼田は応えた。
「鬼狩りかぁ? オレは鬼だが悪さはしとらんぞ」
「問答無用!」
 どっこいしょ……とのんびり立ち上がる鬼田に対し若武者は力強く踏み込み、刀を振りおろす。
「おっと! いやいや、ちょっとは話を聞けや!」
 紙一重で身体捻り刀を避ける鬼田に、若武者は二度三度と剣戟を繰り出した。
 渋面を浮かべる若武者のうら若き容貌とは裏腹に、その剣戟は熟達と言っても過言ではなかった。
 ――これは、当たったらタダじゃすまねぇな。
 鬼田は内心冷や汗をかきながら、空気を切り裂く音を立て振り回される切先を避け、少しずつ後退していった。
 鬼田の足さばきから、逃走する腹積もりを見切った若武者は、自らの懐から素早く何かを取り出して鬼へと投げつける。
「うがっ!」
 それは豆だった。
 思わず右腕をかざし顔を庇う。
 ただの変哲もない豆は信仰によって鬼の苦手な物とされ、鬼田も例外なく豆が苦手だ。
 当たるとやたら痛い。当たった後もじくじくと痛み、不快なあざが長く残ってしまう。
「いででっ! こらっやめろ!」
 叫んだと同時にシュッ、と風が切る音が鳴り、顔の前に翳した腕にひやりとした感触が走る。
「い゛っ! ぐあ゛」
 翳していた腕がごろりと落ちて、鬼田の視界が開ける。
 正面には刀を振り下ろしている若武者の姿があった。
 顔を庇った腕が、若武者の刀によって切り落とされたのだと理解したとともに、鬼田の全身が痛みと熱さに支配される。
「お゛、ぐぅっ……あ゛っ……ぎ、い゛っ」
 痛みに喉が潰れ、脂汗がどっと噴き出る。
 落ちた腕は草土の上を、ぼと、ぼとっ、と跳ねて転がり若武者の方へ行ってしまった。若武者の草履が、転がる鬼田の腕を踏み付ける。
 刀を振り、切先についた血を払う若武者は、冷酷な目を光らせて再び駆けた。
 ――まずい! ありゃ相当力のある退治屋だ。分が悪すぎる。逃げ切れるか?
 背中につたう冷や汗とともに思考し、ほんの一瞬、背後の気配を探る為に走る速度をわずかに落とした瞬間。
「逃すか」
「ぎゃっ」
 鋭い声が背後からかかる。
 温度の無い冷えた声に、鬼田の顔から、さぁ、と血の気が引く。
 反射的に地面に飛び込むように転がり逃げた後、シュッ! と空気を裂く鋭い音が鬼田の鼓膜を震わせた。
 ――まずいっまずいっまずいぞ!
 地面を転がる勢いで再び立ち上がり走り出す鬼田。
 すぐ後ろから、恐ろしい殺気が追って来ていた。
 純粋な脚力では鬼の鬼田に及ばないようだが、しかし、着々と向かって来る気配は乱れることがない。
「俺が何したってんだよっ」
 悪態をつきながら鬼田はひたすら地を蹴った。
 必死で山を駆けて、駆けて、そして鬼田は滝へと追い詰められていた。
「ああっ! くそっどうする……」
 下を覗けば大量の滝の水が、ごうごうと音を立てて落ちている。
 白い飛沫を上げる滝壺が遥か下に見えた。
 滝壺は深く、常に上から落ちて来る多量の水のせいで水流が下へ下へと流れているので、一度落ちるとなかなか浮かんで来れない。
 しかし、後ろからは若武者の気配が迫っている。
「イチかバチか……」
 渋面とともに低く呟くと、鬼田は滝に飛び込んだ。


 
「滝壺に落ちたか……いくら鬼とは言え、この高さの滝から落ちれば這い上がれずに死ぬだろう……よし。これで周辺の里の者も安心して暮らせるな」
 遠目から鬼田の動向を睨んでいた若武者は、辿り着いた滝の上から、滝壺を覗き込む。
 ドドド、と轟音を立てて落ちる滝の勢いは激しく、たとえ鬼といえども片手を無くし、血を失った状況で無事でいるとは思えない。
 若武者は刀を鞘に納めると来た道を戻っていった。
 
 
 鬼と遭遇した場所へ戻ると、若武者――桃瀬は、切り落とした鬼の腕を探した。
「あった、あった。これを首級の代わりに持ち帰るか」
 鬼の腕は血溜まりの中にあった。血を失っているはずなのにいまだ血色が良く、しめたての魚のようにぴく、ぴくと痙攣している。
 鬼の屈強な腕の肘から下を、封印の札だらけにすると立ち上がる。
「これで父上は私を跡目にしてくださるはずだ」
 桃瀬は切り落とした鬼の腕にほほ笑みながら、鬼の棲家である山を降りた。

 
 
 鬼の棲みついていた山を降り、一番近くの集落にたどり着いた桃瀬は、村の長のもとを訪れ、得意げに語った。
「三角山の奥に棲む悪鬼は無事にこの桃瀬が調伏致しましたゆえ、どうぞ皆様ご安心ください」
「……はぁ……? 悪鬼なぞ、三角山におりましたかな?」
 息巻く桃瀬とは対照的に、村長は呆けた顔で小首を傾げた。
「いましたよ。三角山の大きな滝の上流にある洞窟の付近に棲む身の丈が七、八尺はある大きな鬼が……」
「ああ、鬼田さん。この村とも馴染みですよ。鬼田さんが見繕って持って来てくれる木材は良い物でしてね。村で使っても、よそに売っても高値がついて助かってます」
「えっ?! 助かって、る?」
「ええ。助かってます。山菜がよく採れる所に子どもらを連れてってくれたり、狩った猪の肉を分けてくれたりね」
「えっ……」
「わしらも米や芋なんかを代わりに渡したりして、上手くやっとりますよ」
 村長はそう言って朗らかに笑った。表情に嘘は見えない。本当に真実を語っているのだろう。
 桃瀬は嫌な予感に冷や汗をかきながら問いかける。
「……ち、近くにある他の集落はどうです? 鬼に攫われた女子どもやら、家畜が喰われたりとか、されてるんじゃないですか?」
「他の村で? 鬼田さんが? ナイナイ! あんな気のいい鬼田さんが人攫いだなんだとする訳ないでしょう。三角山の周辺で鬼田さんの世話になってない村は無いですし……むしろうちの娘を是非嫁にって方々から親が殺到しますよ!」
 大口を開けて快活に笑う村長を見て、桃瀬の嫌な予感は的中した。


――― 中略 ―――

酒豪を誇る鬼だとて、大きな背負いカゴいっぱいの徳利を飲み干せば、前後不覚になる程に酔っ払ってしまう。
 ヘラヘラと笑いながら壁に寄りかかって目を閉じ、盃に入った酒を舐めている。
「鬼田さん、このお酒気に入りました?」
「おう! こりゃあいい酒ら! 毎日水代わりに呑みたいぐれぇら」
 鬼田は目尻を下げて呂律の回らない物言いをしてくすくすと身体を揺らして笑っている。
 その言葉に桃瀬は喜色満面に頷くと、鬼田の身体にもたれかかり、耳元で囁いた。
「そんなに気に入ってくれて嬉しいです。実はこのお酒、私と結婚したら毎日いっぱい飲めますよ?」
 大きな鬼の耳に、桃瀬の薄い唇が触れる。
 吐息交じりに囁かれた言葉に、鬼田はぐるりと首を巡らせて酒に蕩けた目でじっと桃瀬を見つめている。
 酔った頭は桃瀬の言葉を正しく理解できず、普段であれば怒り出していただろうに鬼田はにっかりと笑って言った。
「お~! そりゃあいいらぁするか〜結婚!」
「本当に? 本当に結婚してくれますか?」
「するぞ〜! してやるからもっと酒よこせぇ~」
「ああ、嬉しい……約束ですよ」
 蕩けた三白眼を覗き込む桃瀬の瞳は重い熱情がこもっている。
 細い手で徳利を持ち上げると、それにそのまま口を付けて中身をあおる。
 酒気混じりの息を吐く厚い唇に、桃瀬はそっと酒に濡れた唇を合わせた。
「ん、ふ……もっとくれぇ~さけぇ」
 鬼田は桃瀬の小さな顔を両手で包み、若く可憐な唇にちゅっちゅっ、と音を立てて吸い付いている。
 酒の味を求めて舌を伸ばし、桃瀬の口内へと侵入した鬼田の舌は、入念に小さな歯列を舐め、舌に舌を絡めていた。
「ん♡あっ♡はぁ……♡鬼田しゃ、ん♡夫になった私がたくさん呑ませてあげますね♡」
 桃瀬は鬼田の分厚い胸を押し、唇を離すと手に持った徳利をあおる。
 口内に馥郁たる香りが満ち、舌を刺激する酒の味を与えるために桃瀬は再び鬼田の唇に唇を合わせた。
 わずかに唇を開くと、ひんやりとした酒が互いの唇を冷やす。鬼田はそれが何かいち早く気付くと、乳飲子のように桃瀬の唇を吸った。
「んっふぅ……酒……酒もっろ……」
「んん♡んっ♡あぁ♡鬼田さんたら♡一気に飲みすぎでふよ♡」
 桃瀬は、自身の舌に絡まる鬼田の舌を吸いながら笑った。
 ちゅぷ♡、と音を立てて鬼田の舌を解放すると、酒をあおる。
「ぶ、はぁ♡……うめぇ、ん」
「んっ♡あっ♡おにらひゃ♡はぁ♡あっ♡吸うのつよ♡鬼田ひゃ♡んぅ♡」
 ふたりの口付けは、深く長く、既に周囲には空になった徳利がいくつも転がっている。
「んっふ……はぁ……ぁ♡」
「鬼田さん♡私たち、夫婦になったのだから、たくさんまぐわいましょうね♡」
 桃瀬の手が、鬼田の分厚い筋肉を撫でた。
「んッ♡、ふははっおい、やめろって! くすぐったいだろ」
「鬼田さんがむちむちしてて気持ちいいから触りたくなってしまうですよ♡」
 桃瀬は鬼田の頬に吸い付き、筋肉の詰まった胸を揉みしだく。
 鬼田はくすくすと笑い、屈強な肉体をくねらせて桃瀬の手から逃げようとする。
 不安定な体勢になったのを見逃さず、桃瀬は鬼田の身体へ乗り上げた。
「うお、おっと! あぁ〜……あぶね〜だろ?」
 鬼田はごろりと仰向けになり、くつくつと身体を揺らして笑っている。
「すみません。頭とか大丈夫でした?」
「こんなもん、なんともねぇよ〜」
 鬼田は酒精にぼんやりとした目を細めて桃瀬を見ると、大きな手で桃瀬の頭をワシワシと撫でた。
「……鬼田さん」
 桃瀬は鬼田の手の優しさに感極まって、組み敷いた男の唇に食いついた。
 酒の味のする舌を舐ると、ぞわぞわと身体中に快感が広がる。
「んぶ、んっ♡……ふ、ぅ♡」
 鬼田の喉から低く甘く唸る声が漏れ、それは桃瀬の情欲を大いに刺激した。
 ちゅうぅっ♡とひときわ強く舌を吸った後、桃瀬の唇は鬼田の屈強な顎を優しく啄み、猪首を吸い、分厚い胸板を食む。
「ん゛っ、ふはっ♡……くすぐってぇ」
 脂肪と隆々とした筋肉にまみれた鬼田の胸板は肉厚であり、はむはむと甘噛みする桃瀬の歯にずっしりとした噛み心地を与えてくれる。
 機嫌良く静かに笑う鬼田の手がくしゃくしゃと桃瀬の髪をかき混ぜる。大きく皮膚の硬い手のひらが、惜しげもなく頭を撫でるその仕草は、桃瀬の心に甘い悦びをもたらした。
「あぅ♡あっ……こら♡はははっ、待て。ぐ、ふふっ……んぁ♡」
「鬼田さん、くすぐったい?」
「んふふっ、ふはっ♡く、すぐってぇよ……お♡、ふははっあ♡やめろってぇ♡」
 酒精に酔った鬼田の筋骨隆々とした肉体は、赤みを増している。盛り上がった筋肉の谷間まで赤く、桃瀬がそれを面白がってなぞると、屈強な肉体が滑稽にくねった。
「ああ……鬼田さん、かわいらしいですね♡」
 だらしない笑みを浮かべる鬼田を見下ろす桃瀬は、身の内から湧き上がる衝動に任せて、筋肉に覆われて尖る乳首へむしゃぶりついた。
「ん゛っ♡……ふ、くく、やめろ桃瀬。んっ♡……ふふふっ」
 鬼田は忍び笑いに熱った肉体を震わせている。
 低く喉から漏れる笑い声に甘さが滲んでいた。
 桃瀬は小さな舌で鬼田の肉体を味わい、硬く尖る乳首を舐め、甘く歯を立て扱く。
「うぐ♡くふ♡乳首、くすぐったいって♡あッ♡吸うなよぉ♡」
 夢中で乳首を吸う桃瀬の髪を、鬼田の手がくしゃりと握った。乳首から引き剥がそうとしているふりをして、胸に押し付けるようにする不埒な手の動きに、桃瀬はにんまりと目を細め、更に強く乳首を吸い、尖ったそこを舐めしゃぶった。
「あっ♡おいっ! ちんぽ触んなっあ♡あうっ♡ちんぽと乳首やめろってぇ♡ん゛ん゛っ♡」
「あ♡鬼田さんてば、おちんちんガチガチに勃起してますね♡ふんどし濡れてますよ♡」
 桃瀬は、乳首を吸いながら鬼田の肉体をまさぐる。ふんどしを押し上げ勃起している巨根をよしよし♡と撫でた。
「お゛ッ♡ちんぽ♡ちんぽやめ、お♡も、おっ♡お゛ん♡」
 酔いと快感が鬼田を乱れさせる。乳首を吸われ、勃起肉を撫でられた鬼田は淫猥に腰を揺らし、桃瀬の手に濡れた亀頭を擦り付けていた。
「わあ♡鬼田さんのおちんちんおっきい♡」
 桃瀬はふんどしから鬼田の勃起肉を解放する。巨躯に見合った巨根が、天をつくようにそびえ勃っている。
「鬼田さんはおちんちんまでかっこいいですね♡先走り汁もトロトロ垂れて……♡ぬるぬるでとてもいやらしいです♡」
「んっ♡ふ、ぅ♡ちんぽいい♡お♡おッ♡いいッ♡いいぞッ♡お゛っ♡ぉお゛っ♡もっと扱いてくれ♡」
 桃瀬は乳首を吸いつつ、先走り汁を垂らして勃起する鬼田の肉棒を握りしめ扱く。
 くちゅっ、ぐちゅ、ぬちゅっ
 じっとりと濡れていた肉棒は、手淫に合わせて淫らな水音を立てる。貪欲に快感を求め桃瀬の手淫に合わせて鬼田の腰がヘコ♡ヘコ♡と揺れた。
「ん゛ぉ♡お゛っ♡ちんぽいい♡ふぅ♡うッ♡うぅ♡」
「鬼田さんおちんちん気持ちいいですか? もっと気持ちよくなりたくない?」
 桃瀬は吸い付いていた乳首から口を離し、更なる快楽に鬼田を誘い出す。
 ぐちゅ、ぬちゅっ、と続く手淫は鬼田から正常な判断力を奪い、一方で快感を与え続けていた。



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