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BL小説の記事 (56)

鶯命丹 2024/05/21 20:00

子豚ちゃん種付け(全文7900文字)



【お試し読み】


「あらすじ」
 受けがオナホに必死に腰振って射精するところが見たい攻めの話
 吸血鬼×スキンヘッド小太りのおっさん

「注意」
 ショタ攻め・吸血鬼・吸血・カニバリズム・受けのオナホ射精(雄堕ち?)・おっさん受け・デブ受け・ハート喘ぎ・おほ声

 小太りのおっさんが美しい攻めにスケベされてると嬉しい人が読む話
 一応美少年吸血鬼×子豚ちゃんのシリーズものなので、一番最初に出した本と同じ表紙を挿入しました。
 最近雄堕ちなるジャンルを見て驚いた。これ雄堕ちであってるかな? 
 
――――――――――――――――――――――――――――――
 
 夜の時間に部屋にいると訪ねてくるものがいる。
 慣れたものでノックの音に返事をすると「開けて~」と高い声がする。
 自分で開けれるだろう……とため息交じりに立ち上がるとドアを開ける。
 ドアの向こうには大きなクマがいた。
「は?」
 驚いて間抜けな声が出た厚司にぐっと押し付けられる柔らかくふわふわとしたクマのぬいぐるみ。
 思わずそれを抱えるとクマの後ろからひょっこりと咲夜が顔をのぞかせた。
「かわいいテディも一緒に遊びに来たよ」
 いたいけな笑顔を浮かべて部屋に入ってくる咲夜。
 一緒に来たテディと呼ばれたクマのぬいぐるみは厚司が一抱えするほど大きい。
「なんでこんなの持って来たんだよ」
「えぇ〜? いいでしょたまには」
 咲夜は微笑みベッドの上に腰掛けるとテディを自身の膝に乗せ「ねぇほら、見て見て!」とぬいぐるみの足を広げてみせた。
「な、んだそりゃ……」
 咲夜と変わらない大きさのテディベアの、ちょうどまたぐらの所には作り物の膣がはまっていた。
「子豚ちゃんのかっこいい種付け腰振り見たいなぁって」
「はぁ?! 何言ってんだ」
「お願いお願い! いつものおちんちんおねだりの腰振りもかわいいけど、たまには子豚ちゃんのかっこいいところも見てみたいんだもん!」
「嫌に決まってるだろそんなの」
 大きなテディベアを押し付けられたので、それを避けてしかめっ面をする厚司。
「ちぇ〜……じゃあ普通にするか〜。面白いと思ったんだけどなぁ」
「なんも面白くねぇよ」
 早々に諦めた咲夜はベッドの上にテディベアを放ると、厚司の膝の上に乗り上げた。猪首に腕を回し、頬や顎へとついばむように口付ける。
「んっ」
 厚司は無抵抗で口付けを受け入れて、咲夜の細い腰へ腕を回した。
「んっ♡ふふ♡子豚ひゃんしゅき♡んぅ♡」
 互いの唇を食み、舌を絡めて舐ると咲夜が蕩けた目を細め、華奢な喉奥から甘ったれた嬌声をこぼす。
 くちゅ、と音を立てて離れていく咲夜の舌。
 可憐な唇は厚司の顎を辿り、吸い痕を付けながら首すじへを降りていく。
「うっ♡ぐ、ん゛♡うぅっ♡」
「子豚ちゃんの首♡どくどくしてる♡」
 咲夜はぞぶ、ぞぶ、とはしたない音を立てて、厚司の首すじをしゃぶり、血管を舌でたどる。
「ん゛あ゛ッ♡」
 首すじに走る甘い刺激に、厚司の腹の奥が重く怠く疼く。それを見計らったように、ざぐ、と皮膚に深々と咲夜の牙が刺さった。
「い゛ッ、あ゛ッ!」
 何度経験しても、最初のひと口目にある強烈な痛みに慣れない。濁った悲鳴が喉からほとばしり、じゅるじゅると啜る振動に、厚司の首に緊張が走る。
「ぐっ、ぅゔゔっ……ぎっ」
 ずぶぶっ、じゅずっ
 血を啜られる音の気色悪さに鳥肌が立つ。
 ちゅく、くちっ
 舌で傷口を啜られる痛みに、眉をしかめて歯を食いしばる。
「ぐッう゛う゛……お゛、ん゛ッ……あ、あ、ふ♡う、ん♡」
 先程まで強い痛みであった血肉を啜る振動が、徐々に甘い性感の刺激となって厚司の肉体を支配していく。
「あ、あ♡……あっ♡うぅ♡ん、ぁぁ♡」
 しかめていた眉が徐々に弛んでいき、ぽかんと開いた口から、情けない呻き声が漏れるのを止められない。
 咲夜はふと首すじから顔を上げて厚司を見下ろす。獲物が蕩けた表情をしているのを見て、血に汚れた唇で艶然と微笑んだ。
「はぁ〜♡美味し♡」
「う、ぅ♡……気色わる。悪趣味め」
 甘い笑みを向けられ、厚司の腹の奥がぐるりとうねる。疼く腹の奥に羞恥して、裏腹な悪態をついた。
「悪趣味でいいも~ん」
 厚司の心の内を見透かして、咲夜は目を細めると再び首すじにしゃぶりつく。尖った牙を皮膚に当てて噛み、深く突き立てる。
「あ゛っ♡ぐ、ん♡うぅぐ♡」
 厚司の首がすくめられ、媚びの含まれた低い唸りが漏れる。肉を食む唇に肌がくすぐられ、傷口を舐る舌の感触に厚司はじりじりと身をよじって呻き続けた。
 捕食者の気が済むまでずるる、じゅぶっ、と音を立てて血を啜り、離れていく唇。
「はっ♡はぁっ♡あっ……」
 じれったい快楽が離れていき、厚司は荒く短い呼吸を繰り返しながら咲夜の姿を目で追っている。
 咲夜はにんまりと笑んだ目の奥を獰猛に光らせて、赤い唇から舌をでろりと垂らす。
「子豚ちゃんの雄っぱい♡いつ見てもかわいいねぇ♡」
 濡れた舌が厚司の乳首を舐め、赤く小さな唇が、ちゅく、ちゅくと吸った。
「ん゛ッ♡うぅ、ふ♡うっ♡んぉ♡おんっ♡」
 柔い粘膜に吸い転がされて、歯でちくちくと噛む刺激にぞわぞわと肌が粟立つ。
 咲夜のほっそりと小さな手のひらが脇腹を撫で、下腹部をぴったりと寄せ合わせられるだけで、厚司の腰がはしたなく揺れた。
「あ゛っ♡あ゛う♡うぅ……♡さ、く♡咲夜♡あ゛っ♡もう♡も゛、ほしっ♡い゛ぅ♡」
 弱火で炙られるようなじりじりとした快感と羞恥に厚司の顔はゆでだこのように赤い。恥を忍んでねだったのも虚しく、咲夜は甘く美しく微笑むだけで、身体を起こし離れてしまった。
 咲夜は意味ありげに笑みながら、ベッドの脇に転がっていたクマのぬいぐるみを持ち上げた。
「ほら見て? テディのここ、ぬるぬるになってるよ♡」
 咲夜に細い指がテディの足を広げ、その根元に開けられた穴を広げる。
 人工的に開けられた穴には、ローションのたっぷり詰まった女性器を模したおもちゃがあった。
「ここ、ぬるぬるでえっちな音がしてるでしょ? ここにおちんちん挿れたら気持ちいいと思わない?」
「はっ、あ゛っ♡うぅ……」
 喜色満面で咲夜はおもちゃのナカに指を挿入し、ぐちゅ、ぐちゅと卑猥な音を立ててかき混ぜた。
 その光景は、吸血鬼の淫毒に侵された厚司の欲情を掻き立てる。
 薄く開いた唇から荒く息を繰り返し、勃起した陰茎をびく♡、びくっ♡と跳ねさせながら蕩けた視線で咲夜の指とそれが擦るおもちゃの膣口を睨み付けている。
「テディも子豚ちゃんに種付けしてほしい♡って言ってるよ」
 咲夜は発情する厚司を見下ろしながら、テディに装着されたオナホを厚司の勃起した陰茎にあて、一気に下へ下す。
「おい! ま、待てっあ゛っ♡お゛ッ♡ぐっ♡お゛ぉ゛♡」
「ああ! すんなり入っちゃった♡ほら! 腰振って射精して♡」
「うぅっ♡くそっ! ぐ、お゛っ♡お゛ッ♡ン゛ッ♡お゛っ♡お゛ぉ゛ぉ゛♡」
 勃起した陰茎がトロトロのオナホに飲み込まれた途端、厚司は蕩けきった吠え声をあげて腰をカクカク♡と突き上げた。
「あははは! すごいすごいっ♡子豚ちゃんかっこいい~♡素敵だよぉ♡ああ♡テディが妊娠しちゃう♡はぁ~♡好きぃ♡」
 ベッドに膝を立て足を踏ん張り、必死にテディを突き上げている厚司の姿を見て咲夜は手を叩かんばかりにはしゃぎ、歓声をあげた。
「くそっ♡お゛ッ♡うお♡お゛ぉ♡お゛ッ♡お゛ッ♡ぉん゛ッ♡出る♡くそっ出るッ♡ぐッ♡」
「はぁぁ♡かっこいい♡子豚ちゃんの射精腰振り最高♡興奮する♡ああ、子豚ちゃん射精するの? いいよ♡テディに中出しして♡テディに種付けしてるとこ僕に見せて♡」
「ん゛ぉ゛♡お゛ッ♡ぐッ♡で、る゛ッ♡出る♡出るッ♡ふッ♡、い゛ぐぅ゛ッ♡」
 ぐちょっ♡ぐぢょっ♡と、結合部が泡立つ程の激しい腰振りが一瞬止まり、ぶるるっと厚司の尻肉が揺れた。上下に揺れる腰は止まらず、ぬぢゅっ♡にちゅっ♡、と卑猥な音を立て続けている。
「わぁっ! イッた? 子豚ちゃん、射精した? あぁ~♡すごい♡子豚ちゃんテディでイッちゃったの?」
「あ゛っ♡あ゛ぁ゛♡イ゛ッたぁ゛ッ♡イ゛ッたのに゛っ♡うぅ♡ぐッ♡イ゛ッ♡イッたのに止まんね゛ッ♡あ゛っ♡足りね゛ぇよ゛ぉ♡」
 厚司はぐずるように低く呻き、ヘコッ♡ヘコッ♡と絶えず腰を振っていた。
 にちゅッ♡ねぢゃッ♡とねばつく音が絶えずテディと厚司の結合部から響いている。
「あ゛ッ♡はぁ♡はっ♡あ゛っ♡はぁっ♡あ゛ぁ゛っ♡うぅぅ♡」
 厚司は喘ぎ、テディに腕を伸ばす。正確にはテディの背後にいる咲夜に取り縋るために腕を伸ばしているが、咲夜は非情にもそれを避けた。
 支えていたテディを離して厚司の胸に押し付ける。
「テディに種付けする子豚ちゃんかっこよかったよ♡もっとたくさん見たいなぁ♡」
 咲夜の手が厚司の身体を撫でる。


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鶯命丹 2024/05/18 12:24

桃○郎×鬼(全文16000字)

「お試し読み」



 節分の時に考えてたのに出来たのは今。
 物語はフィクションです。この世の現実のあらゆる事象とは関係ありません。
 
「注意」
 飲酒・飲酒からの性行為・攻めのフェラ・年下攻め・美形攻め・ガチムチ受け・おっさん受け・人間×人外・軽度の損傷
 

「あらすじ」
 山奥でひっそりと暮らす人畜無害の鬼、鬼田さんはある日はやとちりで鬼・怨霊特攻持ちの若武者、桃瀬くんに襲われ命からがら逃げ出す。
 誤解を謝罪して傷モノにしたお詫びに鬼田さんを娶る桃瀬くんの話


「登場人物」
攻め――桃瀬。人間・若武者・美しい

受け――鬼田。鬼・ガチムチ・おっさん

――――――――――――――――――――
 

 昔々、あるところに鬼がいました。
 鬼の名は鬼田。
 ザンバラ髪からのぞくツノに、恐ろしい牙。
 七、八尺は、あろうかという巨体は筋骨隆々。
 吊り上がったまなじりに鋭い三白眼。
 いかにも鬼と言った恐ろしげな容貌の鬼は、人里はなれた山奥で静かに暮らしています。
 里に降りる事もあるが山で採った山菜や育ち過ぎた木を伐採した薪木などと、里の米や野菜と交換するためであり里の者たちとの関係は良好でありました。
 しかし、そんな人畜無害の鬼のもとに、嵐のような出来事が起こるのでした。

 

「お前がこの山に棲みつく悪鬼であるか!」
「ん?」
 森にこだまする大声に鬼田が振り返ると、そこには若武者が立っていた。
 美しい武者であった。
 緑なす黒髪をひとつに結び、すらりとした体躯は若い牡鹿のように生命力に溢れている。
 少女にも見える顔立ちは険しく、柳眉をひそめて鬼田を睨んでいた。
 腰に差した刀を既に抜き放ち、切先を鬼田の方へ向けている武者に鬼田は応えた。
「鬼狩りかぁ? オレは鬼だが悪さはしとらんぞ」
「問答無用!」
 どっこいしょ……とのんびり立ち上がる鬼田に対し若武者は力強く踏み込み、刀を振りおろす。
「おっと! いやいや、ちょっとは話を聞けや!」
 紙一重で身体捻り刀を避ける鬼田に、若武者は二度三度と剣戟を繰り出した。
 渋面を浮かべる若武者のうら若き容貌とは裏腹に、その剣戟は熟達と言っても過言ではなかった。
 ――これは、当たったらタダじゃすまねぇな。
 鬼田は内心冷や汗をかきながら、空気を切り裂く音を立て振り回される切先を避け、少しずつ後退していった。
 鬼田の足さばきから、逃走する腹積もりを見切った若武者は、自らの懐から素早く何かを取り出して鬼へと投げつける。
「うがっ!」
 それは豆だった。
 思わず右腕をかざし顔を庇う。
 ただの変哲もない豆は信仰によって鬼の苦手な物とされ、鬼田も例外なく豆が苦手だ。
 当たるとやたら痛い。当たった後もじくじくと痛み、不快なあざが長く残ってしまう。
「いででっ! こらっやめろ!」
 叫んだと同時にシュッ、と風が切る音が鳴り、顔の前に翳した腕にひやりとした感触が走る。
「い゛っ! ぐあ゛」
 翳していた腕がごろりと落ちて、鬼田の視界が開ける。
 正面には刀を振り下ろしている若武者の姿があった。
 顔を庇った腕が、若武者の刀によって切り落とされたのだと理解したとともに、鬼田の全身が痛みと熱さに支配される。
「お゛、ぐぅっ……あ゛っ……ぎ、い゛っ」
 痛みに喉が潰れ、脂汗がどっと噴き出る。
 落ちた腕は草土の上を、ぼと、ぼとっ、と跳ねて転がり若武者の方へ行ってしまった。若武者の草履が、転がる鬼田の腕を踏み付ける。
 刀を振り、切先についた血を払う若武者は、冷酷な目を光らせて再び駆けた。
 ――まずい! ありゃ相当力のある退治屋だ。分が悪すぎる。逃げ切れるか?
 背中につたう冷や汗とともに思考し、ほんの一瞬、背後の気配を探る為に走る速度をわずかに落とした瞬間。
「逃すか」
「ぎゃっ」
 鋭い声が背後からかかる。
 温度の無い冷えた声に、鬼田の顔から、さぁ、と血の気が引く。
 反射的に地面に飛び込むように転がり逃げた後、シュッ! と空気を裂く鋭い音が鬼田の鼓膜を震わせた。
 ――まずいっまずいっまずいぞ!
 地面を転がる勢いで再び立ち上がり走り出す鬼田。
 すぐ後ろから、恐ろしい殺気が追って来ていた。
 純粋な脚力では鬼の鬼田に及ばないようだが、しかし、着々と向かって来る気配は乱れることがない。
「俺が何したってんだよっ」
 悪態をつきながら鬼田はひたすら地を蹴った。
 必死で山を駆けて、駆けて、そして鬼田は滝へと追い詰められていた。
「ああっ! くそっどうする……」
 下を覗けば大量の滝の水が、ごうごうと音を立てて落ちている。
 白い飛沫を上げる滝壺が遥か下に見えた。
 滝壺は深く、常に上から落ちて来る多量の水のせいで水流が下へ下へと流れているので、一度落ちるとなかなか浮かんで来れない。
 しかし、後ろからは若武者の気配が迫っている。
「イチかバチか……」
 渋面とともに低く呟くと、鬼田は滝に飛び込んだ。


 
「滝壺に落ちたか……いくら鬼とは言え、この高さの滝から落ちれば這い上がれずに死ぬだろう……よし。これで周辺の里の者も安心して暮らせるな」
 遠目から鬼田の動向を睨んでいた若武者は、辿り着いた滝の上から、滝壺を覗き込む。
 ドドド、と轟音を立てて落ちる滝の勢いは激しく、たとえ鬼といえども片手を無くし、血を失った状況で無事でいるとは思えない。
 若武者は刀を鞘に納めると来た道を戻っていった。
 
 
 鬼と遭遇した場所へ戻ると、若武者――桃瀬は、切り落とした鬼の腕を探した。
「あった、あった。これを首級の代わりに持ち帰るか」
 鬼の腕は血溜まりの中にあった。血を失っているはずなのにいまだ血色が良く、しめたての魚のようにぴく、ぴくと痙攣している。
 鬼の屈強な腕の肘から下を、封印の札だらけにすると立ち上がる。
「これで父上は私を跡目にしてくださるはずだ」
 桃瀬は切り落とした鬼の腕にほほ笑みながら、鬼の棲家である山を降りた。

 
 
 鬼の棲みついていた山を降り、一番近くの集落にたどり着いた桃瀬は、村の長のもとを訪れ、得意げに語った。
「三角山の奥に棲む悪鬼は無事にこの桃瀬が調伏致しましたゆえ、どうぞ皆様ご安心ください」
「……はぁ……? 悪鬼なぞ、三角山におりましたかな?」
 息巻く桃瀬とは対照的に、村長は呆けた顔で小首を傾げた。
「いましたよ。三角山の大きな滝の上流にある洞窟の付近に棲む身の丈が七、八尺はある大きな鬼が……」
「ああ、鬼田さん。この村とも馴染みですよ。鬼田さんが見繕って持って来てくれる木材は良い物でしてね。村で使っても、よそに売っても高値がついて助かってます」
「えっ?! 助かって、る?」
「ええ。助かってます。山菜がよく採れる所に子どもらを連れてってくれたり、狩った猪の肉を分けてくれたりね」
「えっ……」
「わしらも米や芋なんかを代わりに渡したりして、上手くやっとりますよ」
 村長はそう言って朗らかに笑った。表情に嘘は見えない。本当に真実を語っているのだろう。
 桃瀬は嫌な予感に冷や汗をかきながら問いかける。
「……ち、近くにある他の集落はどうです? 鬼に攫われた女子どもやら、家畜が喰われたりとか、されてるんじゃないですか?」
「他の村で? 鬼田さんが? ナイナイ! あんな気のいい鬼田さんが人攫いだなんだとする訳ないでしょう。三角山の周辺で鬼田さんの世話になってない村は無いですし……むしろうちの娘を是非嫁にって方々から親が殺到しますよ!」
 大口を開けて快活に笑う村長を見て、桃瀬の嫌な予感は的中した。


――― 中略 ―――

酒豪を誇る鬼だとて、大きな背負いカゴいっぱいの徳利を飲み干せば、前後不覚になる程に酔っ払ってしまう。
 ヘラヘラと笑いながら壁に寄りかかって目を閉じ、盃に入った酒を舐めている。
「鬼田さん、このお酒気に入りました?」
「おう! こりゃあいい酒ら! 毎日水代わりに呑みたいぐれぇら」
 鬼田は目尻を下げて呂律の回らない物言いをしてくすくすと身体を揺らして笑っている。
 その言葉に桃瀬は喜色満面に頷くと、鬼田の身体にもたれかかり、耳元で囁いた。
「そんなに気に入ってくれて嬉しいです。実はこのお酒、私と結婚したら毎日いっぱい飲めますよ?」
 大きな鬼の耳に、桃瀬の薄い唇が触れる。
 吐息交じりに囁かれた言葉に、鬼田はぐるりと首を巡らせて酒に蕩けた目でじっと桃瀬を見つめている。
 酔った頭は桃瀬の言葉を正しく理解できず、普段であれば怒り出していただろうに鬼田はにっかりと笑って言った。
「お~! そりゃあいいらぁするか〜結婚!」
「本当に? 本当に結婚してくれますか?」
「するぞ〜! してやるからもっと酒よこせぇ~」
「ああ、嬉しい……約束ですよ」
 蕩けた三白眼を覗き込む桃瀬の瞳は重い熱情がこもっている。
 細い手で徳利を持ち上げると、それにそのまま口を付けて中身をあおる。
 酒気混じりの息を吐く厚い唇に、桃瀬はそっと酒に濡れた唇を合わせた。
「ん、ふ……もっとくれぇ~さけぇ」
 鬼田は桃瀬の小さな顔を両手で包み、若く可憐な唇にちゅっちゅっ、と音を立てて吸い付いている。
 酒の味を求めて舌を伸ばし、桃瀬の口内へと侵入した鬼田の舌は、入念に小さな歯列を舐め、舌に舌を絡めていた。
「ん♡あっ♡はぁ……♡鬼田しゃ、ん♡夫になった私がたくさん呑ませてあげますね♡」
 桃瀬は鬼田の分厚い胸を押し、唇を離すと手に持った徳利をあおる。
 口内に馥郁たる香りが満ち、舌を刺激する酒の味を与えるために桃瀬は再び鬼田の唇に唇を合わせた。
 わずかに唇を開くと、ひんやりとした酒が互いの唇を冷やす。鬼田はそれが何かいち早く気付くと、乳飲子のように桃瀬の唇を吸った。
「んっふぅ……酒……酒もっろ……」
「んん♡んっ♡あぁ♡鬼田さんたら♡一気に飲みすぎでふよ♡」
 桃瀬は、自身の舌に絡まる鬼田の舌を吸いながら笑った。
 ちゅぷ♡、と音を立てて鬼田の舌を解放すると、酒をあおる。
「ぶ、はぁ♡……うめぇ、ん」
「んっ♡あっ♡おにらひゃ♡はぁ♡あっ♡吸うのつよ♡鬼田ひゃ♡んぅ♡」
 ふたりの口付けは、深く長く、既に周囲には空になった徳利がいくつも転がっている。
「んっふ……はぁ……ぁ♡」
「鬼田さん♡私たち、夫婦になったのだから、たくさんまぐわいましょうね♡」
 桃瀬の手が、鬼田の分厚い筋肉を撫でた。
「んッ♡、ふははっおい、やめろって! くすぐったいだろ」
「鬼田さんがむちむちしてて気持ちいいから触りたくなってしまうですよ♡」
 桃瀬は鬼田の頬に吸い付き、筋肉の詰まった胸を揉みしだく。
 鬼田はくすくすと笑い、屈強な肉体をくねらせて桃瀬の手から逃げようとする。
 不安定な体勢になったのを見逃さず、桃瀬は鬼田の身体へ乗り上げた。
「うお、おっと! あぁ〜……あぶね〜だろ?」
 鬼田はごろりと仰向けになり、くつくつと身体を揺らして笑っている。
「すみません。頭とか大丈夫でした?」
「こんなもん、なんともねぇよ〜」
 鬼田は酒精にぼんやりとした目を細めて桃瀬を見ると、大きな手で桃瀬の頭をワシワシと撫でた。
「……鬼田さん」
 桃瀬は鬼田の手の優しさに感極まって、組み敷いた男の唇に食いついた。
 酒の味のする舌を舐ると、ぞわぞわと身体中に快感が広がる。
「んぶ、んっ♡……ふ、ぅ♡」
 鬼田の喉から低く甘く唸る声が漏れ、それは桃瀬の情欲を大いに刺激した。
 ちゅうぅっ♡とひときわ強く舌を吸った後、桃瀬の唇は鬼田の屈強な顎を優しく啄み、猪首を吸い、分厚い胸板を食む。
「ん゛っ、ふはっ♡……くすぐってぇ」
 脂肪と隆々とした筋肉にまみれた鬼田の胸板は肉厚であり、はむはむと甘噛みする桃瀬の歯にずっしりとした噛み心地を与えてくれる。
 機嫌良く静かに笑う鬼田の手がくしゃくしゃと桃瀬の髪をかき混ぜる。大きく皮膚の硬い手のひらが、惜しげもなく頭を撫でるその仕草は、桃瀬の心に甘い悦びをもたらした。
「あぅ♡あっ……こら♡はははっ、待て。ぐ、ふふっ……んぁ♡」
「鬼田さん、くすぐったい?」
「んふふっ、ふはっ♡く、すぐってぇよ……お♡、ふははっあ♡やめろってぇ♡」
 酒精に酔った鬼田の筋骨隆々とした肉体は、赤みを増している。盛り上がった筋肉の谷間まで赤く、桃瀬がそれを面白がってなぞると、屈強な肉体が滑稽にくねった。
「ああ……鬼田さん、かわいらしいですね♡」
 だらしない笑みを浮かべる鬼田を見下ろす桃瀬は、身の内から湧き上がる衝動に任せて、筋肉に覆われて尖る乳首へむしゃぶりついた。
「ん゛っ♡……ふ、くく、やめろ桃瀬。んっ♡……ふふふっ」
 鬼田は忍び笑いに熱った肉体を震わせている。
 低く喉から漏れる笑い声に甘さが滲んでいた。
 桃瀬は小さな舌で鬼田の肉体を味わい、硬く尖る乳首を舐め、甘く歯を立て扱く。
「うぐ♡くふ♡乳首、くすぐったいって♡あッ♡吸うなよぉ♡」
 夢中で乳首を吸う桃瀬の髪を、鬼田の手がくしゃりと握った。乳首から引き剥がそうとしているふりをして、胸に押し付けるようにする不埒な手の動きに、桃瀬はにんまりと目を細め、更に強く乳首を吸い、尖ったそこを舐めしゃぶった。
「あっ♡おいっ! ちんぽ触んなっあ♡あうっ♡ちんぽと乳首やめろってぇ♡ん゛ん゛っ♡」
「あ♡鬼田さんてば、おちんちんガチガチに勃起してますね♡ふんどし濡れてますよ♡」
 桃瀬は、乳首を吸いながら鬼田の肉体をまさぐる。ふんどしを押し上げ勃起している巨根をよしよし♡と撫でた。
「お゛ッ♡ちんぽ♡ちんぽやめ、お♡も、おっ♡お゛ん♡」
 酔いと快感が鬼田を乱れさせる。乳首を吸われ、勃起肉を撫でられた鬼田は淫猥に腰を揺らし、桃瀬の手に濡れた亀頭を擦り付けていた。
「わあ♡鬼田さんのおちんちんおっきい♡」
 桃瀬はふんどしから鬼田の勃起肉を解放する。巨躯に見合った巨根が、天をつくようにそびえ勃っている。
「鬼田さんはおちんちんまでかっこいいですね♡先走り汁もトロトロ垂れて……♡ぬるぬるでとてもいやらしいです♡」
「んっ♡ふ、ぅ♡ちんぽいい♡お♡おッ♡いいッ♡いいぞッ♡お゛っ♡ぉお゛っ♡もっと扱いてくれ♡」
 桃瀬は乳首を吸いつつ、先走り汁を垂らして勃起する鬼田の肉棒を握りしめ扱く。
 くちゅっ、ぐちゅ、ぬちゅっ
 じっとりと濡れていた肉棒は、手淫に合わせて淫らな水音を立てる。貪欲に快感を求め桃瀬の手淫に合わせて鬼田の腰がヘコ♡ヘコ♡と揺れた。
「ん゛ぉ♡お゛っ♡ちんぽいい♡ふぅ♡うッ♡うぅ♡」
「鬼田さんおちんちん気持ちいいですか? もっと気持ちよくなりたくない?」
 桃瀬は吸い付いていた乳首から口を離し、更なる快楽に鬼田を誘い出す。
 ぐちゅ、ぬちゅっ、と続く手淫は鬼田から正常な判断力を奪い、一方で快感を与え続けていた。



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鶯命丹 2024/05/03 21:00

DK×用務員さん 初デート・弁当話【全文10000文字】

試し読み

dk×用務員のおっさん
短編2本なのでひとつずつは短い

 
 約束した猫カフェ行こうねからの告白の返事
 博雅視点で少しおっさんの過去に言及してる
 作中に出てくる団体職場などはすべてフィクションです
 現実とは何も関係ありません創作です
 エロは無い
 
 後半はお互いにお弁当作ったりするふたりの話
 お付き合い後
 エロは無い
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 博雅はその日、昼前に駅前に立っていた。
 休日の駅前は、平日とはまた違う混み具合だった。
 春らしいのどかな気候に合わず、佇む博雅の眉間には皺が刻まれている。
 ――どうしたもんか……
 思案の元は今日約束した相手のことだった。
 明るい日差しの中、ガヤガヤと賑やかな街並みを見ながら、約束の相手――和津沙の事を思う。
 ――お節介して余計なことに構ってるからこういうことになんのかなぁ。
 ため息とともに心中のぼやきを吐き出すも、雑踏は博雅の心中など気にもとめず、休日を楽しむ嬉々とした空気に溢れていた。


 博雅は、所属する企業から高校の用務員として派遣されている身である。
 企業は、元々は警備会社で警備員の派遣を主にしている。
 その中に学校への用務員の派遣依頼があり、博雅はそれにあてがわれた。
 所属企業の社長は元警察のOBであり、博雅の警察官時代の上司であった。
 博雅は数年前に勤務中に事故に遭い、足を怪我して退職。その時既に小さな警備会社を設立していた元上司から声をかけられて、現在の会社へと入社する運びとなった。
 高校の用務員として出向する事となり早数年。
 日々学校の雑務を執り行う地味な職務にも、博雅はやりがいを感じていた。
 
 
 新学期の始まった四月。既に登校時刻も過ぎ施錠した門の前でうろうろと挙動不審の生徒――和津沙に出会ったのが、今現在の悩みの始まりでもある。
 登校途中に迷い猫を保護したという和津沙に助け舟を出し、ほんの数日猫を預かっただけだ。
 猫を心配し、様子を気にする和津沙を家に招いたのも深い意味はない。
 猫が心配なら観に来たら良い。とそれ以外の気持ちは全くなかった。
 向こうも同じだろうと思っていたが、和津沙は猫の件が片付いた後もちょくちょく用務員室に訪ねてくるので常備している茶菓子を渡すと、嬉しそうに頬張っていたので、てっきり無料のおやつ処として顔を覗かせているのだと解釈していたが……

 
 ――まさか好意だとは思わなかったなぁ。
 予想が大きく外れていた事は博雅をおおいに戸惑わせた。
「……大丈夫? ちょっと疲れた?」
 隣でスマホを見ていた和津沙が顔を上げ、心配そうに博雅を見ていた。
「ああ、いや……この辺じゃないか? 予約した猫カフェってのは」
 待ち合わせた駅前から少し離れた場所で博雅は立ち止まる。和津沙のスマホを覗き込むと、地図アプリが目的地にピンを刺してルートを示している。
「うん、そこの角を曲がったとこみたい」
 地図と、実際の道を交互に見て、和津沙は少し緊張した面持ちで頷いた。
 和津沙が博雅を気遣い、気負っているのが伝わってくる。それが妙にむず痒く、落ち着かない。
「あ、あったよ、マサさん」
 ホッとした様子で微笑む和津沙と視線が合う。前髪のあいだから覗く細めた瞳に、博雅の胸が跳ねた。
 好意を多分に含んだ視線を素知らぬ顔で受け流せる程、博雅は色恋沙汰に慣れている人生は送ってこなかった。
「あ……おう、そうか! 見つかって良かった」
 博雅は不自然に力んでしまう口角を上げて頷くと目的地の店内へと向かった。
 
 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 お弁当作ったり食べたりする話


  用務員室のドアをノックしてそっと中を覗くと、お目当ての人物がにっと口の端を上げて笑い、手招きをして和津沙を呼んでいる。
 その笑顔と、自分を呼んでいる事実を目の当たりにして、和津沙の顔も自然と綻んでしまう。
 だらしなく微笑みながら和津沙が後ろ手にドアを閉めると、博雅はソファーから立ち上がり保温ポットの方へ大股で歩いて行く。
「和津沙、昼飯食べたか?」
 ちらりと和津沙の方を見て、博雅は朗らかに尋ねた。
「まだ。今日マサさんひとりだよね? ここで食べていい?」
「いいぞー。お茶飲むだろ?」
 和津沙が頷くと博雅はマグカップにティーパックを入れて保温ポットからお湯を注いでいる。
 そんな博雅の後ろ姿を見つめながら、和津沙は備え付けの古いソファーに腰掛けた。
「よっこいしょ、と……ほい、お茶どうぞ」
「ありがとマサさん」
 隣に座る博雅の、そのソファーの軋みさえ愛おしく、和津沙はにんまりと頬を緩ませて弁当を広げる男を見ていた。
「……食わないのか?」
 手を合わせて箸を持つ博雅が怪訝な顔をして和津沙を見た。
「うん、食べる」
 和津沙は気もそぞろに菓子パンの包みを開けて、もさもさとかじりながら博雅を見つめた。
 博雅は大きな四角い弁当箱を持って気持ちの良い勢いで昼食を咀嚼している。
 その食べっぷりに和津沙は目を細め、胸に迫る愛おしさと一緒に乾いた菓子パンを噛み締めた。
 博雅はふと箸を置き、傍らに置いた緑茶に手を伸ばすとそれをゆっくりと啜る。
 視線を動かしたことで自分を見つめる和津沙に気づいたらしい。訝しむ博雅の表情が和津沙を見てそして、口を開く。
「和津沙、飯それだけか?」
「うん」
「足りるか?」
「うん。別に平気」
「そうか……ウインナー食うか?」
 弁当を向けて聞く博雅に、和津沙はパッと顔を明るくした。
「卵焼きがいい!」
 和津沙は図々しくも高らかに告げるが、博雅は特に気にした様子もなく卵焼きを箸で摘んで向けた。
「ほい」
「ありがとう! 頂きます!」
 差し向けられた卵焼きに食いつく和津沙の顔は、嬉しげに蕩けている。
「美味し。ありがとう」
 和津沙はニヤニヤとゆるむ口元を隠しながら礼を言うと、博雅は口の端をあげ更に「ほらこれも食え」と、卵焼きの隣にいたウインナーも箸で摘んで和津沙の方へ向けた。
 食べさせてくれる博雅に甘えて和津沙は口を開けて食事が運ばれるのを待つ。
 口の中に丁寧に落とされるウインナーを咀嚼しながら、和津沙は構われることへの幸福感を噛み締めていた。
 和津沙の家族は忙しく、一家団欒の記憶はほぼない。家族と共に過ごすことがない家庭環境だった。
 時折帰宅する父や母が、気まぐれに和津沙や家の中の様子を見て、その後、状況に合ったシッターなどの家政を取り仕切る職業の人間を派遣する。
 和津沙自身も、親に対して駄々をこねたりするような事もなく、置かれている自分の状況に疑問を呈することもなく今まで過ごして来てしまった。
 だから和津沙は、家庭的なものに興味が無いのだと自分では思っていた。
 しかし、博雅とともに過ごすようになって気付く。こうやって誰かとともに食事をしたり、お節介を焼かれたりするのはなんともこそばゆく、楽しいものだと。
 いつも博雅といると今まで知らなかった感情を思い知らされる。それは和津沙にとって、心躍る変化だった。
「マサさんと一緒に食べるの美味しいし……なんか、こうやって、食べさせてもらうの嬉しい……」
 胸の内に溢れてくる気持ちが、ぽろりと口からこぼれ落ちる。
 和津沙の言葉に博雅が「こんなもんで良けりゃ作ってやろうか?」と提案した。
 その言葉に、和津沙は目を見開きじっと博雅を見つめた。
 博雅は、和津沙の表情を不思議そうに見ていたものの、淡々と弁当を食べている。そしてたまに和津沙の方へおかずを差し向けながら言葉を待っていた。
 差し向けられたきんぴらごぼうを、ありがたく頬張りしゃく、しゃく、と噛み締めたあとようやく和津沙は「いいの?!」と返答をした。
「いいけど、そんな嬉しそうにされるようなもんは出てこないぞ。マジで大したもん入ってないからな。おにぎりだけになるかもしれないし……それでもよけりゃ次はお前の分も持ってくるよ」
 博雅は苦笑しつつ緑茶を啜る。照れているようで耳がほんのりと赤くなっていた。
「いいよ! 嬉しい! おにぎり食べたい!」
「じゃあ次のひとりシフトの時作ってくる……次はいつだっけか……」
「明後日! 明後日だよ」
 和津沙が自信満々に言う。
 博雅は和津沙の言葉に訝しみながら作業着の内ポケットから手帳を取り出すと、確かに和津沙の言う通り明後日がワンオペ勤務の日だった。
「あ、本当だ。よく覚えてるなぁ」と感心したように呟く博雅の声は、和津沙の胸に沁み渡り、得意げに顔を綻ばせた。
 褒めて欲しいという気持ちを込めて頭を差し出すと、わしわしと大きな手が惜しげもなく和津沙の髪をかき混ぜる。
「んじゃ、明後日の昼持ってくるからな。要らなくなったら前日の晩までに言えよ?」
「絶対食べる! うわ〜、楽しみだ……」
 弾む心地で齧る菓子パンはなぜだかさっきよりもずっと美味しい。
 菓子パンと、博雅がたまにくれる弁当のおかずを食べながら、和津沙の楽しい昼休みは過ぎていった。


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鶯命丹 2024/04/26 21:00

元奴○ショタDom×武人おっさんSub【全文12200文字】

【試し読み】 

 続き物

 元奴○ショタDom×武人おっさんSub【全文12200文字】

 前回上げたDomSubユニバースもの
 元奴○のショタDom攻め×武人おっさんSub受け
 DomSubの名称を変えてたりするので、そういうややこしくて厨二っぽいのが苦手な方はご注意ください。
 
 【あらすじ】
 元奴○で身寄りのない少年マリ(Domのショタ)は、貴族のアノンデア(Subのおっさん)に養子として引き取られることになる。
 前回少ししかUPしてなかったものの続きです。
 元奴○少年は養子に、武人のおっさんは養父になりました。
 義理でも近sin相kanがあるのでご注意ください
 
【あるもの】
 ショタ攻め・エロ・尻舐め・攻めによる手コキ・首輪をあげる・受けのストリップ・連続絶頂
 

――――――――――――――――――――――――
 
 夢の中から呼び起こされて目を開けると、窓の向こうはすっかり夕暮れの色になり始めていた。
 よく寝てましたね。と微笑むオーサ。
 マリは、うん……と寝ぼけた声で返事をしながら枕に顔を擦りつける。
「お父様ももう帰られてますよ」
「お父様って……首長様のことですか?」
 枕に頭をつけたままオーサへ問うと、彼女はころころと笑って「そうですよ。首長様だなんて呼ばないで、お父様と呼んで差し上げましょうね」と優しく諭す。
 ――親子と言っても俺らは利害が一致して一緒にいるだけだけどな。まぁ表面上はお父様で間違いないか。
 マリはひとり納得して、枕から顔を上げるとオーサへ微笑み、頷いた。

 
 夕食にもたくさんの料理がテーブルに並び、マリはそれを少年らしい勢いで料理を平らげた。
 アノンデアも、使用人も、それを目を細めて眺めている。
 穏やかな食事風景だった。

 
 マリが食事に満足し食後の茶を飲んでいると、既に食事を済ませていたアノンデアが席を立つ。
「私は執務室へ戻る」
 アノンデアは使用人の長であろう年かさの男に告げ、食堂の扉へと歩いていく。
「待って!」
 マリはテーブルを立ち、アノンデアの元へ速足で寄っていく。
 マリの動きをじっと見つめるアノンデアの金の瞳には、疑問がありありと浮かんでいた。
 マリは大柄な養父を見上げ、にっ、笑うと自身の服のポケットに手を入れて、握りしめた拳を差し出した。
「これ、渡そうと思って」
 それは、色とりどりの紐を組み上げて作った飾り紐であった。
「これ、俺が編んだやつです。故郷の村で作ってた飾り紐で、作物が育たない冬に編むんだけど……俺、これ得意だから、お父様になる首長様にあげたくて」
 差し出したマリの手元を覗き込んだアノンデアはそっと、飾り紐を摘まみ、まじまじと見つめる。そして、目元を僅かにほころばせて「ああ、ありがとう」と低く呟いた。
 唸るような声音だが、弛む表情で喜んでいるのがわかる。
 マリは再び手を出すとアノンデアの手から飾り紐をそっと取り上げて弧を描く赤い唇を開いた。
「じゃあ……“座って”お父様。俺がつけてあげます」
 マリの言葉に、目を見開いたアノンデアは崩れるように床に膝を着く。
 辛うじて、床に尻もちをつくようなだらしない座り方はせずに済んでいたが、アノンデアは驚きに目を白黒させてマリを見ていた。
 巨漢のアノンデアは、跪いてもまだマリより高い。
 マリは背伸びをして腕を伸ばし、アノンデアの太い首元へ飾り紐をかけると、するすると手早く飾り紐を結った。
「うん。よし、できた」
 太く逞しいアノンデアの首に、丁寧に編まれた飾り紐を結ぶとマリは笑った。
 給仕のために隅に控える使用人たちには、養父と養子の心温まる交流に見えているだろう。
 しかし笑みの形に細めたマリの瞳を正面から見つめているアノンデアにだけ、少年の瞳の奥に光る嗜虐性を見た。
 そしてマリもまた、人前で"戯れる”羞恥と、主人に首輪をかけてもらう快感に戸惑い、密かに身悶えているアノンデアを正面から見つめている。
 アノンデアはきつく奥歯を噛み締めて、とろりと蕩けただらしない顔にならぬように努めているようだった。
 自分のしもべに首輪をつける喜悦に、マリの心臓が早鐘を打つ。腹の奥から燃えるような熱が全身に駆け巡り、ぞわぞわと肌が粟立つ。
 きっとこの抗い難い甘い悦びを、目の前の男も得ているのだと思うと、マリは腹を抱えて笑い転げたい気分になった。
 身の内から滲み出る悦びにマリの表情が綻ぶと、アノンデアに結んだ飾り紐が動いた。間近に覗き込む金の一つ目は揺れている。噛み締めた唇がわなわなと震え、熱い息が漏れた瞬間、アノンデアは素早く立ち上がった。
「マリを部屋に案内してやってくれ。私は仕事に戻る」
 アノンデアの声が小さく聞こえたのは、顔の距離が離れたからだけではないだろう。
 さっさと食堂を出て行った男の足取りに妙なところはない、ように見える。
 食堂を出て行く広い背中を見送りながら、マリは頬を弛ませていた。
 
 
 夕食後、アノンデアは執務室で書類を睨み付けていた。
 書かれる文字を目で追うも、内容が頭に入ってこない。
「……ふぅ……」
 息を吐き、椅子の背もたれに身体を預けたとき、首元にかすかな圧迫感を得てアノンデアは首すじに手を当てる。
 そこには先ほどマリに贈られた飾り紐が付いていた。
 指先に触れる滑らかな組紐の感触は、アノンデアの背すじにぞわりと甘い痺れを走らせる。
 
 飾り紐と首の隙間に指を入れた瞬間、コツコツと扉を叩く音が響く。
「誰だ」
「俺です、マリです」
 返ってきた声に、アノンデアの肩がわずかに跳ねる。
 無意識に、ごくりと唾を飲み込むと「入れ」とだけ応じた。
 重厚な扉を開き、入室してきた華奢な身体。
 その姿を視界にとらえた瞬間、アノンデアの顔にカッと熱が昇る。
 思わず机の上に視線を落として書類を睨むアノンデアの耳に残る、ゆっくりと絨毯を踏み締める軽い足音。
 耳と気配に神経が集中してしまうのに、視線をマリへ向ける事はできなかった。
 

 
「ここがお父様のお仕事部屋ですか?」
 問いかけるマリ。視線の先には書類に向かうアノンデアがいた。
 マリの方を見向きもしないその態度は、不機嫌で無愛想な武人そのものであり、アノンデアの部下であれば恐れ縮み上がっただろう。
 しかし、マリはそんな顰めっ面のアノンデアに構うことなく無遠慮に近づき、ひょい、と彼の使う大きな机に乗り上がって腰掛けた。
「……そんなところに座るな」
 机に座ってにんまりと笑うマリに、アノンデアは口の端をぐっと下げて不機嫌な顔をする。
 だが、マリは執務室の机に座ったまま。更には机の上に完全に乗り上がって、膝で這ってアノンデアへ近づいていく。
「……おい」
 野太い声で静かに叱るアノンデアだが、マリはそれに構わず、アノンデアの目の前に来ると、再び机に腰掛ける。
 机からぶらりと投げ出されたマリの足はアノンデアの腿の上に、踏みつけるように置いた。
 鍛え上げ肥大化した筋肉の厚みと、むっちりとついた脂肪の軟さを楽しむために、マリは靴底をぐにぐにと動かす。
「……マリ、降りなさい」
 アノンデアの言葉には、先程まであった鋭さも厳しさもない。マリの視線を間近にして、眉間に険しい皺を刻んでいながらも、居心地が悪そうに瞳を彷徨わせている。
 義眼だけが、正面のマリを見つめていた。
 マリはアノンデアの注意を無視して、彼の太い首に巻き付く飾り紐に指を当てて「これ、嬉しい?」と問いかけた。
 問われたアノンデアはためらいがちに「嬉しい……だが、ああいうのはもう、止めてほしい」と懇願する。
「ああいうのって?」
「あ、あの時は、周りに人が、たくさんいて……そういう、人の前で“戯れる”のは、良くない……だから、今後はそういう事は、しないで欲しい」
「ええ? 人前でやるのが楽しいんじゃねぇの? 興奮しなかった?」
「それは……」
 アノンデアは苦虫を噛み潰したような渋面で、訥々と語っていたが、マリの新たな問いにかすかに肩を跳ね上げた。
 言いづらそうに唇を噛み、大きな手でしきりに顔を撫でている。
「“言って”アノンデアは興奮した?」
 命じるマリの言葉は、アノンデアにとって卑しい内心を暴露させる残酷なものだった。
 唇の端を上げ、意地悪く笑むマリの顔は美しい。
 美しい笑顔で、涼やかな声で、残酷な命令で、マリはアノンデアを支配した。
「こ、興奮した……主人が……マリが私の為に首輪をかけてくれて……嬉しかった……心臓が痛いほど速くなって、喜びに……叫び出したい気持ちだった」
 アノンデアは、耳まで真っ赤に染めて、心の内を告白する。
 屈強な顎を食い締め、金の目にうっすらと涙を浮かべているアノンデアの姿は、マリの笑みを一層深くする。
「そっか……俺も。俺のしもべに首輪をかけたのすっげぇ興奮したよ」
 マリが微笑むとアノンデアは嬉しそうに口元をわずかに綻ばせた。
 マリは赤く染まった猪首にかかる首輪に、細い人差し指をかけて軽く引く。
「ね。“キスして”」
 黒い瞳が、じっとアノンデアを見つめ、そしてつぅと視線を下げた。
 アノンデアは、主人の命令にこくりと深く頷くと、自身の太腿を踏み付けているマリの脚にそっと触れ、恭しく持つと、身体をかがめて少年の靴へ口付けをした。
「ふ……はぁ……マリ」
 アノンデアはうっとりと、熱い息を漏らしながらマリの靴の爪先へ額を摩り寄せている。
 マリはそんなアノンデアをにやにやと見ながら、自由な方の脚を伸ばして、彼の股間を踏みつけた。
「あ゛っ、ぐ……ぁ、マリ゛ッ……」
「はは、なんだよ。もうガッチガチじゃねえか」
 鼻で笑いつつ、マリは固く勃起したアノンデアの陰茎をぐにぐにと踏みつける。
「う、あ゛っ……マリ……はぁ、あ……ふ、ぅぅ」
「はははっ! ねぇアノンデア、このバキバキのやつ、"見せてよ”」
 マリの命令に、アノンデアはおとなしく椅子から立ち上がり、震える指でもたもたとズボンを下ろす。
 下着から解放された勃起肉は太く逞しく天を衝いている。
 アノンデアの裸の下半身。両の太腿は筋肉に覆われて太く、筋肉の溝も深い。屈強な下半身の中心にある勃起する巨根を見て、マリは下品な口笛を吹いた。
「すっげぇ巨根。こんなでっかいの初めて見たわ」
「は、ぅっ! ん……う、ふぅ……」
 足先でぺちぺちと陰茎を叩かれ、陰嚢を突かれる。
 からかわれるアノンデアは、真っ赤な顔でじっと辱めに耐えていた。
「”全部脱いで”」
 マリの言葉にアノンデアは唇を噛む。潤んだ目でマリをちらちらと見ながら、おずおず、もたもた、と服を脱いでいく。
 男らしい容姿とは裏腹に、生娘のように恥じらうアノンデアの姿はマリを大いに満足させた。
 躊躇いがちに脱いでいく仕草は、マリを楽しませるだけであるのに、アノンデアはそれに気づかない。
 震える指で衣服をすべて脱ぎ去り、裸になったアノンデアは羞恥に顰めた顔を真っ赤に染めて、執務室の机の前に立ちつくしている。
 武骨な髪は衣服を脱いだ事でわずかに乱れ、裸の肌には無数の傷がある。傷のいくつかは紅潮しており艶めかしい。
 山のような肩に力こぶの盛り上がる腕、巨大に隆起する胸、丸太のような屈強な太もも。
 その肉体は、何よりも雄々しく、猛々しい。
「すっげ……神殿の武神像みたいだ」
 マリはうっとりと呟き、目の前の裸体に手を伸ばして、傷の多い男の肌をつぅ、と撫でた。
「んっ、ぅ……」
 アノンデアは、マリの手にびくっびくっと身体を痙攣のように震わせている。
 主人の手に翻弄されるしもべは、恨みがましくマリを睨む。しかしその瞳は甘く蕩けており、恐ろしさなどみじんもない。
「顔、真っ赤。ほら“おいで”」
 呼ばれた瞬間、アノンデアは屈強な身体をびくっと跳ねさせ、よろよろと頼りない足取りで、机に座るマリの足元に跪いた。
 マリの細い指先が、自身が贈った飾り紐越しにアノンデアの首筋をぐるりとなぞると、盛り上がった喉仏が上下する。
「ははは、うっとりした顔してる。“いい子”……首輪嬉しい?」
「……うれしい……」
 アノンデアの唇から、熱い息が漏れる。
「そっか、そっか。喜んでくれて俺も嬉しいよ」
 マリの手がアノンデアの顎をぐりぐりと撫でまわしながら彼の傷付いた瞼に、頬に、唇に口付ける。
「え、あっ……マリ、ふ、ぅ……マリ、待てっ! う、ゔっ」
 アノンデアの男らしい肉厚の唇を食み、舐める。
 マリの手のひらは、アノンデアの屈強な顎を優しく撫でたまま。
「ん、ふっ……う、んっ♡」
 きゅっと唇を引き結んでいるアノンデアだが、顎を撫でられ、唇を啄まれると頑強に鍛えられたはずの腰からよろよろと力が抜けた。 
「ほら、アノンデア“口開けて”。あー、は?」
 唇を親指で撫でられ、アノンデアは震えながら薄く口を開ける。
「は、あ……」
 命令に従順に開かれた唇を食み、吸って、口内に舌を挿し入れる。
「んっ♡んぅ♡あ゛、あ゛っ♡マリ、んっ♡」
 柔い粘膜を舌先で撫でるとアノンデアの身体が跳ねた。それが愉快でマリは更に舌を奥へと伸ばし、アノンデアの舌をつつく。
 ぬちゅ♡、くちゅ♡
 甘く淫らな音を立て、舌が絡まる。
「ふ、ぁ゛ッ♡あ、はぁ♡あ♡うぅ♡」
 ぢゅる゛♡と、アノンデアの分厚い舌を啜ると、男の大きな手が、マリの手首を掴む。
「あ゛♡マリ……♡はぁ♡は♡うぅ♡」
 力は籠ってない。震える弱々しい力で、ほっそりとしたマリの手首を掴んだまま動かない。


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鶯命丹 2024/04/09 21:00

DK×用務員さん 告白編【全文11000文字】

【説明】 DK×用務員さん 告白編【全文11000文字】
 
 【あらすじ】
 和津沙が用務員のマサさんに懐いてる日常話部分と和津沙がマサさんに告白する部分が入ってます。
 一応、前にアップした出会い編の続き
 ヤマもオチも意味もないしエロもない

 おまけに
 和津沙の容姿の美しさをアピールするためだけに書いた、モブ女子生徒が和津沙に好意を寄せる部分があります。 
 その話に入る前に注意喚起あるので、モブ当て馬とか苦手な方はその手前まででおしまいにしてください。

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