近況9/24 大人にはわからないことなのさ

 『巫女たち』第二幕本編を書き進めてます。まだエッチシーンに差し掛からず。
 比奈の初陣になりますんで、まぁちょっと気合入れて書いております。とはいえエッチシーンの手を抜くわけにもいかんからね。頑張らねば。


 で、先日Xで「魔法少女」がトレンドに入っておりました。
 昨今の魔法少女もののアニメや漫画、ゲームで定番概念になっているジャンルについて、その始祖はどこなのか、みたいな話です。ネットでは定期的に話題になる系のテーマ。

 特に『まどマギ』以降の魔法少女モノは、「キラキラ女の子向けの魔法少女イメージに憧れてた主人公が、実際になってみたらシビアな現実を突きつけられる」みたいな展開のものが多いわけですが、その前提になっている「小さい女の子が親しみ憧れるような、危険なバトルとか無い魔法少女モノ」って実はあんまり該当する作品がなくて、共同幻想なのではないかという話です。

 まぁ定期的にネットで蒸し返される話題というのは大体同じ内容を堂々巡りすることが多くて、今回も「魔女っ子は」「プリティサミーが」「エロゲー抜きにこの話できねぇよ」といった会話が流れるTLを眺めていたわけですがw
 今回収穫だったのは、「魔女っ子」は東映の登録商標で、だから一般概念として今も作り続けられてないんだという話と。
 「激しいバトルとかが無い、女の子が憧れる変身ヒロイン的な存在を探すならアニメマンガよりも、青い鳥文庫とかつばさ文庫とかのジュブナイル向けを見た方が良いのでは」という指摘が面白かったところですね。
 特に後者は、「言われてみれば!」ってなりました。
 まぁ、エロコンテンツを垂れ流してるアカウントがあんまりそういう、ローティーン女の子がガチで触れてそうな作品の話題を出してうっかり先方がこっちを見てしまったらマズいので、あんまり個別の作品名は出さないことにしますが……。


 うちのルリも、テレビで見た魔法少女に憧れてあの姿になったという設定にしております。
 それでこんな散々な目に遭うんだから酷い話だよね。まったく、一体だれがこんな酷い話を書いてるんだ。

 個人的にでも、魔法少女がエロ攻撃を受けながらけなげに頑張る話っていうのは一応、自分の中にテーマ的な重点があって。
 「みんなが幸せになってほしい」「誰も傷つかない世界になってほしい」という、夢想じみたこどもっぽい願いに対して、「大人になれ」「現実を教えてやる」と言って甘い理想を否定しようとする「大人の理屈」をぶつけられる少女が、「それでも」って願いを保ち続ける話、なんですよね。私にとっては。
 
 エロだけなら単発の場面でおおむね描けるんだけど、それを長編のストーリーとして組む際に、話の骨子となる対立構造が必要で。その辺を組む時に私が漠然と意識してたのは、やっぱりそこなんだよな。
 ルリみたいなほわほわした子を主人公にする意味もそこにあると思ってて。

 私はそもそも、一生懸命「こんな風になってほしい、こうあってほしい」って理想を語ってる時に「でもそうはならねぇんだよ、現実を見ろ」とか言ってくるタイプの人が大嫌いでねw
 なんか、理想論に対して「今すぐ、即時に実現できなければ無意味」って判断する人がけっこうSNSとかだといるんだけど、理想って今は実現できなくてもさ、あるいは永遠に実現できないとしてもさ、迷った時にどちらに進むべきか、自分は本来どこに行きたかったのか、そういう指標として機能するなら十分に価値はあると思うんだよね。たどり着けなくても、ちょっとでも理想に近づけたなら、それだけで意味はあると思うんだ。
 ルナが、ルリの甘い判断を身を挺してでも最大限守ろうとしてるのは、ルナにとってルリこそが守りたい理想だからなんですよ。

 それにさ、こう、百戦錬磨の強いヤツで、人間のあらゆる汚いところを見て来た、過酷な戦いに身を置いてきたツワモノが、不意に青臭い若造の理想論をぶつけられて逆に救われるみたいな、そういう展開大好きなんだよねw
 古い作品だけど『るろうに剣心』で、鯨波が弥彦の「侍が侍を恨む道理なんてねぇはず!」って青臭い理想論で目が覚める展開大好きなんじゃよw
 仏教のお釈迦様もさ、めちゃくちゃストイックに自分の体を苦しめる修業をしたけど「これじゃ悟れねぇな」ってなって山を下りて来た時に、その姿を心配した女の子が差しだしてくれた素朴な乳粥で悟りへの道を見出すわけですよ(ちなみのこの女の子の名前がスジャータ。今はコーヒーに入れるミルクの商品名になってますね)。

 『新約聖書』の中でイエス様が教えを説こうとした時に、子どもたちがわいわい騒いでたんで弟子が追い出そうとするんだけど、イエス様がそれを怒ってさ、「馬っ鹿野郎おまえ、天国ってのはこういう子どもたちみたいな者が行くところなんだぞ!? お前らも子どもみたいな心にならなきゃいかんぞ。ちょっとほら、子どもたちをこっちに連れて来なさい」と言ったりしておりますw


 18歳未満の方はお読みいただけないお話を書いてるわりに、私自身はわりとそういう、童心に肩入れしているモノカキなのでございます。
 俺は理想を胸にけなげに戦い続けるヒロインの味方だぜ!(エグいエロシーンを書きながら


 そんな感じで、性癖と信条の複雑骨折を織り込みつつ、日々物語を書いております。
 まぁでもね、物語の創作なんて、作者が屈折していればいるほど面白くなるものだからなw
 宮崎駿作品だって、「戦争は嫌い、でも兵器は大好き」って自分の中の屈折と矛盾に向き合いまくった結果、ひねくれてひねくれて、それで『紅の豚』みたいな面白いプロダクトに結実するわけですw 富野ガンダムもそうだよね。
 だから、自己矛盾、屈折などなどは、作家の資産ですよな。せいぜい矛盾を抱えたまま突っ走ることにいたしましょう。


 ではでは、今週はこの辺で。


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