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真夏の冒険の記事 (3)

レモネードオアシス 2022/06/17 14:37

真夏の夜の冒険3

いつもあたたかいご支援ありがとうございます。

6月も半ばを過ぎました。
暑くなったり寒くなったり大変な季節ですがどうか健康にはお気をつけください。

今日は金曜日ということで、新作の短編小説を更新していきたいと思います。
今回で最終回です。
楽しんでもらえたら嬉しいです。

※グロテスクでホラーな描写があるので、ご注意ください。


目次

旧校舎のトイレの怪(カテゴリー)

この小説を最初から読む!


登場人物

・ヒロイン1
中野恵美(なかのえみ)
中学二年生。
14歳

明るく活発的な性格。
いつも千晶をぐいぐい引っ張っていくような感じの性格。

亜麻色の髪の毛をポニーテールにしている。

白の洗いざらしたTシャツに、黒の三分丈のスパッツ。



・ヒロイン2
平坂千晶(ひらさかちあき)
中学二年生。
14歳。

内気な性格。
恵美とはクラスメート。
いつも恵美の後ろを突いているような感じの少女。

黒髪を二つ結びにしている。

・白のサマーワンピースを着ている。


二人の身長は同じくらい。


真夏の冒険3

 だとしたら、早くここから逃げなければ。
 それは理解している。
 だけど、腰を抜かしている恵美を置いて、一人で逃げることなどできるはずがない。
 恵美は、

「あっ、ひぁぁ……っ」

 ぶりっ! ぶりぶりぶりっ!

 尻餅をついたままで恐怖のあまりにうんちを漏らしている。
 おまたを覆っているスパッツは、もうもこもこに膨らんでいた。
 きっと走ることはおろか、立ち上がることさえもできないに違いなかった。

(どうしよう、どうしよう……!)

 必死になって薄暗いランタンに照らされた室内を一瞥。
 すると部屋の隅に、掃除の用具入れのようなロッカーがあることに気づく。
 ちょうど恵美と千晶が入ることができそうなロッカーだ。
 逃げるのならば隠れるしかない。
 そして隠れるのならば、あのロッカーしかない。

「恵美ちゃん、こっち……!」

 小声で恵美に駆け寄り、肩を貸してロッカーへと駆け込む。
 できるだけ音を出さないように、慎重に。
 ロッカーの中はからっぽで、なんとか二人が隠れることができた。

「はぁ……、はぁ……、はぁ……」
「はぁ…………、はぁ…………、はぁ…………」

 狭くて真っ暗なロッカーの中で、二人の呼吸が重なり合う。
 すぐに真夏のロッカー内は蒸れてきて、暑くなってきた。
 それに恵美が漏らしたおしっことうんちの臭いも充満してくる。
 だけどここから外に出るわけにはいかない。
 なぜならロッカーの外には――、

『誰だ……。なんかいた、のか……?』

 部屋に入ってきたのは、一人の男だった。
 ロッカーの隙間から見えるその姿は、大柄な体格と相まってフランケンシュタインのようにもみえる。

「ヒッ、ヒィ……っ」

 身体を密着させている恵美の身体がこわばる。
 それでも動くわけにはいかない。
 震えている恵美を抱きしめて、小動物のように息を潜める。

『誰かいたような気がしたが……気のせいか』

 男は、吊られたままの少女にトドメを刺すかのように、少女の両脚を掴むと、ググッと下に体重をかける。

「きゅぇぇ……っ」

 少女の口から空気が漏れ、ニワトリが絞め殺されたかのような声を上げてみせる。

『死んだ、ようだな。自殺に見せかけるためとはいえ、一発だけで使い捨てにするにはもったいなかったが……』

 吊り上げられたままの少女を見上げ、男は特に感情の感じられない声で呟く。
 やっぱり、少女は男の手によって――。
 と、なると、絶対に見つかるわけにはいかなくなった。

『まったく、それにしても酷えものだな。どんな美人でも、吊れば垂れ流し、か』

 くくくっ。
 男の噛み殺した笑いだけが、妙に大きく聞こえる。
 少女が死んだことを確認した男は、満足したのか部屋の出口へと向かおうとし――、そこで、あることに気づいたようだった。
 男は、足元を見つめたまま、動かなくなる。
 そこに広がっていたのは、恵美が漏らしたおしっこの水たまり。
 少女が漏らしたものとは、明らかに離れたところに広がっている。
 それはこの場所に、少女以外の人間がいたことを示していた。

(だめ、気づかないで……っ)

 千晶のお祈りも虚しく、足を止めた男は周囲をグルリと一瞥。
 そして二人が隠れているロッカーに気づいたようだ。

「ひっ、ひぃ……!」
「大丈夫、大丈夫だから……っ」

 腕のなかで震えている恵美を抱きしめて、何度も耳元で囁きかける。
 だけど恵美の震えは止まらない。
 ガクガクと震えていて、

 しゅわわわわわわわわわわわわ……。

 密閉されたロッカーの中に、くぐもった水音が鳴り響く。
 恵美の股間は、千晶の太ももに押しつけられている。
 恵美が漏らしたおしっこが千晶の太ももを流れ落ちていく。
 生温かい手で撫で回されているかのような感触。

 しゅいいいいいいいいいいいい……。

 恵美の失禁は止まらない。
 さっきも外で失禁をしていたし、どうやらかなりの量を我慢していたらしい。
 恵美のおしっこが千晶の脚を撫で回していき、ロッカーの底に溜まっていく。
 ツーンとしたアンモニア臭が蒸れ返る。

『そこかぁ……?』

 男は、ロッカーにゆっくりと近づいてくる。
 いけない。
 このままだと見つかってしまう。
 見つかれば、吊り上げられた女の子のように――。

(い、いやぁ……っ)

 しゅいいいいいいいいいいいいいい……。

 ショーツのなかがジワッと生温かくなる。
 クロッチから溢れ出してきた奔流は、内股を滝のように流れ落ちていき、白いワンピースを鮮やかなレモン色へと染め上げていった。
 ついに千晶も恐怖のあまりに失禁していたのだ。

『お願い……ゆるして、もうやらないから……っ』
『神様……助けて……っ』

 シュワワワワワワワワワワワ。
 シュイイイイイイイイイイイ。

 ロッカーに、二人分のおしっこの音が流れ落ちていく。
 二人の足元におしっこが溜まっていき、狭いロッカーから溢れ出している。
 その様子に、男も気づいたのだろう。

『ふふ、そこに、いるのか』

 男は腰にさげていたサバイバルナイフを抜くと、ゆっくりとロッカーへと近づいてくる。
 その歩みに、最早一片の迷いもない。
 完全にバレてしまっている。

「千晶ちゃん……ううっ」
「恵美ちゃん……うっ、ぐぅ……っ」

 ぶりっ、もりもりもりもりもりっ!

 真っ暗なロッカーに、くぐもった茶色い炸裂音が放たれる。
 恵美は恐怖のあまりに再び脱糞してしまったらしい。
 スパッツ越しに、恵美が漏らしたうんちの熱い感触が太ももに伝わってくる。
 その感触に、千晶の理性もついに臨界を迎えていた。

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ロッカーの中で恐怖のあまりにうんちを漏らしてしまう小説を読むことができます。

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レモネードオアシス 2022/06/10 14:09

真夏の夜の冒険2

6月に入って各地で梅雨入りしてハッキリしない天気が続いていますが皆様はお元気でしょうか。
僕はなんとか生きてます。


今日は金曜日ということで、新作の短編小説を更新していきたいと思います。
6月中には終わるはずの集中連載ですので、楽しんでもらえたら嬉しいです。

※グロテスクでホラーな描写があるので、ご注意ください。


目次

旧校舎のトイレの怪(カテゴリー)

この小説を最初から読む!


登場人物

・ヒロイン1
中野恵美(なかのえみ)
中学二年生。
14歳

明るく活発的な性格。
いつも千晶をぐいぐい引っ張っていくような感じの性格。

亜麻色の髪の毛をポニーテールにしている。

白の洗いざらしたTシャツに、黒の三分丈のスパッツ。



・ヒロイン2
平坂千晶(ひらさかちあき)
中学二年生。
14歳。

内気な性格。
恵美とはクラスメート。
いつも恵美の後ろを突いているような感じの少女。

黒髪を二つ結びにしている。

・白のサマーワンピースを着ている。


二人の身長は同じくらい。


真夏の冒険2

 なにしろ、ドアの向こうで行われていたのは、二人が期待していたこと……セックスなどではなかったのだ。

 そこにいたのは――、
 セーラー服を着た、一人の少女。
 黒髪を腰の辺りまで伸ばし、前髪をパッツンと切り揃えている。
 ただ、その両脚は床から浮いていて、首に巻き付いたロープによって吊り上げられている。

「うっ、うううっぐぅ!」

 少女は地面を探し求めるかのように両脚で空を掻いている。
 だがその脚が地面につくことはない。
 なにしろ30センチほどの高さに吊り上げられているのだ。
 少女が足掻くたびに、スカートが捲れ上がってショーツが見える。
 こんな状況だというのに、可愛らしいピンクの花柄のショーツだった。

「あっ、ガッ……ご……ごぉぉっ」

 首に巻き付いているロープを外そうと、少女は必死になって藻掻いている。
 首から上はドス黒くチアノーゼに変色していて、口からはダラダラとヨダレを垂らしている。

「ごひゅっげっ、げぇぇっ!」

 よほど苦しいのだろう。
 セーラー服の少女は、信じられないほどに太い舌を突き出していた。
 その舌からは、ヨダレが垂れてきていて――、

「大変! 助けないと!」

 最初に動いたのは千晶だった。
 なんとか少女の身体を抱え上げて支えようとする。
 だけどセーラー服に包まれている少女の身体は熱くなっていて、しかも暴れ回っている。
 うまく支えることができない。

「恵美ちゃんも……手伝って……っ」
「あ、う、うん!」

 恵美に声をかけると、眺めているだけだった恵美を協力して支えようとしてくれる。
 だけど、女の子二人の力なんてたかがしれていた。
 それに暴れ回っている人間というのは、想像している以上に力が強い。

「ゲッ、げふ……! んご……ごっ」

 吊り上げられている少女が暴れるあまりに、右足からローファーが脱げる。
 黒い靴下を履いた脚が剥き出しになる。
 一日中、ローファーを履いていたのだろう。

 むわぁ……。

 剥き出しになった少女の黒ソックスから、ツーンとした汗の香りが撒き散らされる。
 それどころか、納豆のような蒸れ返って発酵した、恥ずかしい臭気も漂わせている。
 だけどそれでも少女の身体を離すわけにはいかない。

「ごっ、ゴポ……ッ! ゲッ、ゲェェ……!」

 少女の口からは止めどなくヨダレが溢れ出し、空気を求め突き出されている舌も長くなってきている。

(せめて、椅子があれば……っ)

 少女の身体を支えながら、千晶は部屋を一瞥する。
 だけどほのかなランタンに照らされた室内は、ガランとしている。
 身体を支えられそうなものは、なにもない。
 それでもなんとか少女の身体を支えようとしていると――、

「がっ、がふっ」

 少女の口から大量のヨダレが噴き出してきて、信じられないほど大量のヨダレが飛沫となって溢れ出してくる。

 ビクッ! ビククッ!

 少女の身体が一際大きく痙攣し――、
 それでも支えていると、やがて、動かなくなる。
 暴れ回っていた少女の身体から、信じられないくらいに力が抜けていく。
 ただ時折、思いだしたかのように、

 ピクンッ――、ピクンッ――。

 痙攣するばかりになっていた。

「えっ、うそ……」

 それでも千晶は信じられず、少女の身体を支えようとしている。
 そんな、
 目の前で人が死んでしまうことなんて、あっていいはずがない。
 きっと恵美も同じ気持ちなんだと思う。
 恵美も一緒になって、少女の身体を支えようとしてくれていた。
 だけど――、

 しゅいいいいいいいいいいいい……。

 すぐ耳元――、少女のセーラー服のスカートのなかから、くぐもった水音が聞こえてくると、じんわりと両腕が生温かく濡れる。

「うわわ!?」
「ひっ!?」

 急に漏れ出してきたおしっこに驚いて、恵美と千晶は支えることも忘れて後ずさっていた。

「がふっ!」

 支えを失った少女の首が絞まり、喉が潰れる声が漏れる。
 それでもぶら下がった少女は完全に弛緩していて、

 ゴキンッ!

 頸椎が外れる音が鳴り響くと、少女の首がビニール袋のように伸びていった。

 ピクンッ、ピクンッ。

 かすかに少女身体は痙攣し、それでも完全に弛緩しているのか、

 しゅわわわわわわわわわわわわわわ……。

 スカートのなかから、くぐもった水音が止まらない。
 つるんとした内股を、おしっこが滝のように流れ落ちていき、つま先から雫となって落ちていく。

 もわっ、もわわ……っ。

 アンモニア臭と、靴下から漂ってきている納豆のような発酵臭が漂ってきている。
 それは、夢なんかじゃない。
 現実なのだ。

「ひっ! あっ! あっ! ひぃぃっ!」

 ログハウスに嬉々として乗り込んできたはずの恵美は――、
 尻餅をつき、少女だったもの――死体を見上げ、口をパクパクとさせている。
 恵美のスパッツに包まれている股間からは、

 しゅわわわわわわわわわわわわわ!

 勢いよくおしっこが噴きだしてきていた。
 クロッチとスパッツという三重の布を突き破って、一メートルは飛んでいる。
 どうやら恐怖のあまり、恵美は失禁してしまったらしかった。
 だがそんな恵美を笑う余裕は、千晶にも残されてはいなかった。

「う、うそ……、いや……っ」

 千晶もまた、いまにも腰を抜かして、失禁しそうになっていたのだから。
 それでもなんとか立ち続け、震える膝小僧に鞭打って必死になって我慢していると、

 ぼふっ!

 唐突に鳴り響いたのは、くぐもった爆音。
 それは、吊り上げられて弛緩している少女のスカートのなかから聞こえてきた。

(な、なに!? もうこれ以上はやめて……!)

 千晶は心のなかで泣き叫んでいる。
 だけど現実というのは実に残酷で、

 ブリブリブリッ!
 ビチッ! ビチビチビチビチッ!

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レモネードオアシス 2022/06/03 07:20

真夏の夜の冒険1

6月に入りました。

今日は金曜日ということで、新作の短編小説を更新していきたいと思います。
6月中には終わるはずの集中連載ですので、楽しんでもらえたら嬉しいです。

※グロテスクでホラーな描写があるので、ご注意ください。


目次

旧校舎のトイレの怪(カテゴリー)

この小説を最初から読む!


登場人物

・ヒロイン1
中野恵美(なかのえみ)
中学二年生。
14歳

明るく活発的な性格。
いつも千晶をぐいぐい引っ張っていくような感じの性格。

亜麻色の髪の毛をポニーテールにしている。

白の洗いざらしたTシャツに、黒の三分丈のスパッツ。



・ヒロイン2
平坂千晶(ひらさかちあき)
中学二年生。
14歳。

内気な性格。
恵美とはクラスメート。
いつも恵美の後ろを突いているような感じの少女。

黒髪を二つ結びにしている。

・白のサマーワンピースを着ている。


二人の身長は同じくらい。


真夏の冒険


「夏休みの最後の日さ、ホタル見にいこうよ」
「うん。行こう」

 友人の恵美に誘われて、千晶は二つ返事でオッケーしたのだった。
 中学二年生の真夏。
 あと一週間ほどで夏休みが終わろうとしていた。
 来年は受験シーズンだから、ゆっくりできる夏休みはこれで最後になる。
 だからなにか二人の思い出になることを、というわけだ。

        ☆

 こうして夏休みの最終日はあっという間にやってきた。
 夕飯を食べ終わった夜10時。
 千晶は懐中電灯を持って、こっそりと家を抜け出す。
 ホタルを見るのは、学校の裏山で、ということになっていた。

「晴れて、良かった……かな」

 満月の明るい夜だった。
 青白く照らし出された住宅街の路地を小走りで駆けていく。
 やがて見えてきたのは、大きな建物……学校だ。
 校門のところにはもうすでにポニーテールのシルエットの少女がこっちに向けて手を振っている。
 どうやら恵美のほうが先にきていたらしい。

「ごめん恵美。待った?」
「ううん。いまきたところだから。それじゃ、行こっか」
「うん」

 二人して、手を繋いで夜道を歩き出す。
 学校の裏山へは、学校の敷地をぐるっと回っていく必要がある。
 五分ほど歩くと、やがて裏山への入り口が見えてくる。
 藪が深くて、足元が悪い。
 懐中電灯で照らしながら進んでいく。

 と、不意に恵美が、パチンッ、腕を叩いてみせる。

「長袖でくれば良かった」
「そうだねー」

 裏山へ踏み込みながら、早くも二人とも後悔していた。
 恵美は半袖のTシャツに、三分丈の黒のスパッツ。
 千晶は白のワンピースという格好できている。
 真夏の藪の中ということもあって、蚊が凄いことになっている。
 それでも恵美と千晶は手を繋いで歩いて行く。
 人が通る道とはいえない、獣道を。

「この先にため池があって、そこにホタルがたくさんいるんだって。お母さんがいつか話してたの」
「そうなんだ。こんな山奥に……」

 恵美の言葉に相づちを打ちながら進んでいく。
 手を繋いで、懐中電灯で足元を照らしながら。

 こうして藪の中を進んでいくと――、

「なんだろ、あれ」

 恵美が懐中電灯で照らし出したのは……大きなログハウスだった。
 ただし長いあいだ人が住んでいないのか、ツタで覆われていてボロボロになっている。
 もちろん、窓から電気の光が漏れていると言うこともない。

「おお、ログハウス、発見。廃墟かな?」
「うん。誰も住んでないと思うけど……」

 恵美の問いかけに、たぶん廃墟なのだろうと答えてしまい……千晶は『しまった』と思った。
 恵美はこういった楽しそうなことを見つけると、すぐに首を突っ込みたがる性分なのだ。
 だから、恵美がこのあとすぐに、

「それじゃ、探検してみようっ」

 と、言いだしたときには『やっぱり』と思ってしまったものだ。
 だけど千晶が制止して止まってくれる恵美ではない。
 それでも一応、

「恵美、やめとこうよ~」

 止めてみる。
 だけど恵美はやはりというか、

「平気、平気。誰も住んでないんだから、ちょっとくらいお邪魔しても平気だって」
「でも、誰かに見つかったら怒られるよ」
「そのときはさ、二人してダッシュで逃げよう!」
「そんなー……」

 二人して懐中電灯を消す。
 すると辺りは真っ暗闇になって、青白い月光が強くなったように感じられる。
 カサカサと藪のなかを歩く音も夏虫の鳴き声がかき消してくれていた。

(あれ……?)

 ログハウスに近づいて、千晶はある異変に気づく。
 ぼんやりと……、雨戸の閉まった窓の隙間から、本当にぼんやりとだけど、弱々しい灯りが漏れていないだろうか?
 部屋の電気ではない、ランタンのような弱い灯り。
 だとしたら、このログハウスには誰かいることになる。

「ねえ……、やっぱりやめとこうよー……っ」

 先を行く恵美の背中に向けて囁きかけるも、しかしもうすでに恵美はログハウスのドアに手をかけようとしていた。

「開いてる、かな……?」
(開きませんように!)

 恵美が、イタズラっぽい笑みを浮かべながらドアノブを、ゆっくりと捻っていく。
 すると――、
 ガチャリ。
 千晶のお祈りも虚しく、ログハウスのドアは開いてしまう。

「お、開いちゃった♪」
「ねえ、本当にやめとこうよ……!」
「平気だって、ほら……」

 恵美に促されるがままに、ドアの隙間からログハウスのなかを覗き込んでみると、そこにはガランとした真っ暗な空間が広がっていた。
 埃が積もっていて、たぶん人が住まなくなって、かなり長い時間が経っているのだろう。

(と、言うことは……窓から明かりが漏れていたように見えたのは気のせい……?)

 誰もいないみたいな一安心。
 これでとりあえず怒られることはない……と思う。

「真っ暗だね。誰もいないし、探検してみよっか」
「もうやめとこうよぉ……恵美ちゃん……」
「あはっ、千晶ちゃんったら怖いんだ」
「そ、そうじゃないけど……」

 恵美は、ガランとしたログハウスへと踏み込んでいく。
 真っ暗な空間は……リビングとして使われていたみたいだ。
 脚の低いテーブルに、ソファーが並んでいる。
 どの家具も、埃をかぶっていて人が住んでいた気配はない。

「ねえ、もう気が済んだでしょ……!?」
「まだ奥に部屋、あるみたいだし。もうちょっと探検してみようよ」
「まだ行くの……!?」

 更に奥に進もうとする恵美の腕を引こうとした、そのときだった。

 ガタンッ!

 奥のほう……、隣の部屋からだろうか? なにか物音が聞こえてきた。
 だけど隣室の様子は扉が閉まっているから窺い知ることができない。
 こうしている瞬間にも、ギシギシとした音と、かすかに低い呻き声のようなものが聞こえてきていた。
 恵美は息を潜めて、

「奥からなにか聞こえる。誰かいるのかな? それとも猫かな?」
「ちょっ、恵美ちゃん!? 勝手に入ったら怒られるよ……っ」
「平気平気。どうせ廃墟みたいなもんだし。それに、カップルがえっちなことしてるだけかも?」
「えっ、えっちな……っ」

 ギィッ、ギシ、ギィィッ。

 奥の部屋から聞こえてくる音に、いろいろと想像してしまって、頬が熱くなる。
 その隙に恵美は真っ暗なログハウスへと更に踏み込んでいく。
 仕方がないので恵美の背中を追いかける。

 ギィ……ギシ、ギシ……。

 なにかが軋むような音。
 それに低い呻き声。
 これは本当にカップルがエッチなことをしているのかもしれない……。

(えっちなこと……うわわっ)

 ギシギシとした音は、隣室へと続くドアに近づくにつれて大きくなってくる。
 自然と胸が高鳴って、

 じゅわわっ。

 ショーツのなかが熱く濡れるのを感じる。
 こんな状況だっていうのに。
 でも、それはきっと恵美も同じなんだと思う。
 恵美のスパッツに包まれているお尻から、ふんわりとした甘酸っぱい香り型頼ってきていた。
 かすかな月光に、股間の部分には染みが広がっているようにも見える。

「あはっ、ずいぶん激しいみたい……」
「うん……。凄くギシギシ聞こえてきてる……」

 じゅわ……。
 じゅわわぁ……。

 ギシギシときしむ音に、否が応にも期待感が高まってしまう。
 ショーツの汗とおまたの汁によっておもらしをしたかのように濡れている。
 千晶だって、中学二年生の思春期の女の子だ。
 セックスという言葉は知っているし、おちんちんがおまたに入ってくるということは漠然とは理解している。
 だけど、具体的にはどんなことをするのかまでは知らなかった。

(その答えが、扉の向こうにある……)

 そう思うと、自然と鼓動が早くなって、おまたが更に熱く濡れてきてしまう。

 ――ごくり。

 ふたりして固唾を飲みながら。
 音が鳴らないように、ゆっくりとドアを開けていく。
 すると、ドアの隙間からランタンのような弱々しい灯りが漏れてくる。
 ギシギシとした音と、低い呻き声も大きくなって、そっとドアの隙間から隣室を覗き込んでみる。

「ヒッ」
「えっ……!?」

 引き攣った悲鳴を漏らしたのは恵美。
 眉をひそめたのは千晶だった。


真夏の夜の冒険2につづく!

今週はここまでです。
続きは来週の金曜日に更新する予定です。

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