奴裳嵐すぴか 2023/03/03 12:27

芹沢配信に寄せての反省兼五線譜に綴るlove letter


先日、アパレル店員漫画家の渡とらさんと『金色のコルダ3Another Sky feat.神南』というゲームの「芹沢睦(せりざわ むつみ)」というキャラクターにスポットをあてた配信をした。
https://m.youtube.com/live/7Csulc85f6k

正直初めての配信のためか構成がぐだぐだし思った通りにいかず、私としては伝えたいことがまだまだ伝え足りなかったので、この配信を行った意図・裏テーマを改めて書き記そうと思う。

【芹沢配信の要約】

・芹沢の人物像は、コルダファンからプレーンに見たら「スマートでそつない執事系男子」。病んだあやういところもなく、執事のように尽くしてくれる。
・しかし実は彼にはあるがままの自分の存在を否定してしまい自縄自縛してしまうような傷があった。
・母が「ほんとうは女の子が欲しかった」と女扱いしてきたこと。成長して男性的になってからは「女に都合のいい執事」を求めてきたこと。それにより 「少年としての睦」が圧し殺されてしまった
・芹沢は「男」(私が「男塾思想」と呼んでいる、他者のために自己犠牲ナルシシズムを行う人物像)ゆえに自分を殺して役割に徹する。
「執事」という役割は客観的な立場ではなく、彼が自縄自縛で演じている役割。その役割は「男」が美学で作り出した幻影でしかないが、「男」はそのために命を懸けてしまう生き物。
・しかも蠍座(手が抜けない、逃げるという発想がない)ゆえに異常なレベルで徹底。それゆえ本来の自分を見失って麻痺している。
 ー異常性①同級生に「配慮が足らず申し訳ございません」などのまるで取引先にするかのような態度
 ー異常性②他校の学生寮の電球取り替えを依頼され、依頼されたぶんだけではなく全取り替えしかもLEDに変えるということもする。 
 ー異常性③アニメ版の一幕。東金土岐は椅子があるのに芹沢の椅子がない。しかも紅茶を給仕させられる。私だったらバチ切れるが?先輩とか関係なくバチ切れるが?
 ー異常性④アニメ版のなんかの雑誌にのってた七海家の手伝いの絵。客なのに手伝ってる…。私はこれを見てぞっとしたw
 →全ては「少年」としてではなく「執事」としての振る舞い。
一番の悲劇は周りからその傷がわかりにくいこと。「母に女装を強要された(それゆえの自己価値の否定)」は他人からすれば重大な悲劇には見えない。また、芹沢はイケメンで(この綺麗な顔こそが母からの女扱いの原因なので彼は自分の顔が嫌いだと思う)、勉強もそれなりにでき(苦手科目なし)、スポーツもできて楽器も全国大会レベル。
だから誰も彼の苦しみをわかってやれる人がいない。言ってもしょうがないし。そうやって地味な傷を抱えながら自分を嫌いながら表面上はそつなく生きている。
・→実は…みんな「そう」でしょ?(次の章で後述)
・でも私だけは彼の苦しみを抱き締めてあげたい、と思った。

【なぜ 令和の今、芹沢を俎上に載せたのか?】

『金色のコルダ』シリーズは今年20周年を迎える乙女ゲームの老舗ジャンルであり、芹沢のその中の3、Another Sky、4、オクターブに登場する。しかし立ち位置としては「サブキャラ」であり、そもそもコルダ3というもの自体が2010年初出のゲームだ。現在のコルダシリーズの最新作はスターライトオーケストラというソシャゲで、芹沢の世代は今は旬が終わっている。

また、そもそもコルダというジャンルのファン層はネット動画に強い人種ではないようだ。ネット動画におけるコルダ二次創作(mmdなど)の隆盛は低く、公式のキャラクターpvなどでさえ数千再生しかない。

つまり、この状況で、芹沢にスポットを当てた配信を行うメリットは皆無だ。それでも私は芹沢くんに着目したかった。

なぜか。ひとつは私がこの九年人知れず想い続けたある種特別な「推し」であるということだが、裏テーマは「リアルを生きる私たちを投影しやすいキャラだから」であった。

芹沢は主人公ではない。主人公格ではない。
そしてサブキャラの中でも氷渡や長嶺のように『金色のコルダ3』の物語の本筋に関わってすらいない。

でもだからこそ、彼に自分を投影できる人が多いと思ったのだ。みんな、「親が殺されて復讐のために生きている」だとかみたいな、漫画の主人公みたいな「大きな悲劇」を背負って生きているわけではない。人に話した時、理解してもらえなかったり、「ふーん、で?」で終わらされてしまうことも少なくない、そんな「地味な悲劇」の傷を背負って生きている。それでも本人にとっては傷であるのだ。しかも、彼は非常に日本人に多そうな性質を持っているーそう、「周りの期待に応えるあまり自分を圧し殺してしまう」という。

だからこそ、すぴかが彼の存在を肯定することで、見ているみんなにとっても、自分の存在が赦されたような、そんな癒しになれてたらいいな、と思って行った配信だったのだ。

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