『DQN-親友裏切り-』ちょい出しサンプル1
学校の帰りに、幼馴染であり親友でもある西園寺勲(さいおんじ いさお)の家に遊びに行くのは、オレにとってはごくありふれた日常の一つだ。
そして、その親友の勲が、兄である一志(かずし)君の部屋をノックもせずに開けるのも、これもまた日常の一つ。
この日は、一志君が入手したらしい、激ヤバッエロDVDを借りる予定になっていた。
「兄貴、入るぜ」
ノックもなく開け放ったドアの向こう、想定外の光景に、オレは思わずのけ反っていた。
下着姿の白峰先輩がいたからだ。
あっ、白峰先輩というのは一志君の親友で、正式には白峰恭也(しらみね きょうや)さん。
二人とも大学二年生で、高三のオレたちの三つ上にあたる。
「へ~え、兄貴たちってそーいう関係だったんだ。颯太(そうた)出なおそーぜ」
冷めた声音でオレの名前を口にして、回れ後ろ。
その勲に続いて出て行こうとしたら、
「待て、イサ、違う、これはそーいうんじゃねーからっ」
焦った白峰先輩の声が飛んできた。
「別にいいわけとか必要ないですよ。兄貴と恭也さんがそうでも、偏見とかないし」
「だから違うって言ってるだろ。おい、一志も何とか言えよ」
「………そーだなぁ……せっかくだし、お前らも見てくか?」
ベッドの端に腰を下ろしている一志君は、にやにや顔でオレたちの方を見てくる。
「………見てくかって、それのこと?」
やはり冷めた声音で勲が問う。
実は、それについてはオレもずっと気になっていた。
部屋の中央に置いてあるローテーブル。
その端に、貫通タイプのオナホが、ガムテープで固定されていた。
「趣味わるっ……てか、兄貴たちって、まだこんなガキみたいなことやってんの?」
「決めつけてんじゃねーよ、ガキがするから青臭いだけで、剥けチンが必死こいてヤってるのは結構クるぜ」
「………へ~え」
「まっ、興味ねーなら出てけ。貸すって言ってたDVDなら、後で持って行ってやるよ」
「………どーする? 颯太?」
昔からこの親友は動じることが少なく、妙に冷めているところがる。
この時もいつもと変わらない調子で、オレに訊いてきた。