本当に何の参考にもならないTRPG自陣の本の出し方
！注意！
この記事は同人歴確定10年以上のオタクが書いており、経験と骨に沁みついた勘で久しぶりに合同を作った備忘録です。
「自分の卓の同人誌を出したい！」「なんでもいいからうちよその本を出してみたい！」という人には一切優しくない仕様です。本を作りたい人は『初めての同人誌の作り方』などで検索した方がいいとおもいます。
①きっかけ：自ジャンルの本を出したい
出してえ～～～！！！！
でも前提条件の説明が大変すぎる。同卓メンバーのキャラとの絡みも沢山ある。
とりあえず内容の掲載に関して同卓者に許可をとりにいくことに。
②意思確認：卓のメンバーに確認する。
普段から身内卓チャンネルにおいてうちよそカプ厨で爆暴れしているので話は早かった。
この卓、なんと同人誌発行経験者がメンバー中の6/7人、本媒体に限らない同人活動経験者はなんと7/7人。
完全初見です！という人がいないので、じゃあとりまとめして合同にしようか！となる。
↑
とおもって書いたんだけど、ログみたらなんか最初からおもいっきり合同参加者を募ってて草になった。
しかも最初からカプ合同で出そうとしていた。めちゃくちゃかよ。
ただ普段から「本出してえ～～～～～」「カプ合同してえ～～～～～」とか暴れておくとマジで話が早いので、普段から暴れておくのはアリだと思います。まじで話が早かったので。
そういえば経歴なのですが、イベント参加というか個人での同人誌発行は……何冊だ……？なんかいっぱいある……
一次二次問わず、漫画小説イラストグッズと大体同人でやりそうなことはやりました。なんならCDも本につけた。コスプレもやってた。自分で言うのもなんですが、こいつなんでもやってんな……
合同主催経験は（覚えてる限りで）3-4回あります。もっと多かったかもしれない。ただ複数人巻き込んで本作るのは久しぶりです。
③イベントを決め、仕様を作成
まず『TRPGのオリシのキャンペーン合同』という媒体を出せるイベントに申し込むところから。
とりあえず冬コミに申し込みました。行ったことない人間向けの説明ですが、コミケはデカすぎオールジャンルイベントが故に、申し込みジャンルごとにサークルが現地に出られる日程が分かれています。TRPGはゲーム（非電源）ジャンルで1日目、いつも手伝いにいってるサークルが創作少年で2日目。コミケのサークル参加は早朝から入場・設営して日が暮れる頃に帰る結構な体力仕事なので、まあちょっと“死”が見える。2日連続で参加とか何年ぶりだろう……大丈夫か……？とも思いつつ……
申し込んだらとりあえずさっさと仕様書を作ります。
・出すイベントなどの本誌仕様情報
・書く内容決定、原稿提出、初稿戻しなどの製作フローの明確化
・最終的な本の受け渡し方法、原稿の自由公開について
・提出場所やファイル様式、書式
あたりをざくっと書いてgoogleドキュメントでリンク公開。
内容の詳細は他メンバーと相談して決めました。
今回は『ざっくり、情報が見てわかるように』仕様書を作成。
日程や仕様に更新があれば逐一Discordで全体通知のリマインドをかけ、常に最新の状態を周知。
合同は「知らなかった」「忘れてた」「企画の概要と進捗状況を知ってる人間が一人しかいないうえにそいつと連絡がつかない」がガチで命取りになるので、「主催がしくじっても誰かが覚えてる状態」にしておけばなんとかなります（個人経験則）。あと進捗状況はこまめに上げて「ちゃんと進んでいる」という状態を可視化しておきます。
今回は参加者が全員同人製作経験者かつ主催-参加者の間に全幅の信頼があり、常に連絡を細かく取り合える環境だったんですが、それでも徹底しました。マジで何があるかわからんので。
結果、とりあえず連絡ミスはなかったです。自分が提出ファイルを見落としてどこ！？とかいってたのはあったのでそれに関しては反省。
そしてCoCの二次創作の規約に関しても確認をします。
ようはSPLL取るかどうかなんですけど、読む限りどうも極少部数で印刷費回収できる範囲でオタクが気が狂って同人誌を印刷して出す分には別にいらないらしいです。なので今回はとりませんでした。とってたら絶対発行間に合ってなかったからっていう理由もあるんですが…………………………
以下備忘録というか、実際に使ったソフトや連絡ツールの諸々など。
・Adobe Creative Cloud
フォトショとインデザインのフル活用。ちなみにIndesignはコンプリートプランではなくて単発契約です。
フォトショはLightroom抱き合わせのやつだとなぜか安い。まじで頼むのでイラレと抱き合わせのやつを作ってくれ。というか昔あったパックみたいなのを復活させてくれ。
・Discord
最近不安定で落ちたりするので大変だった。
最終的にGoogleドキュメントの仕様書に提出用Dropboxのリンクを張るなどして事なきを得てました。
全員のTwitter知ってるから最悪DMで確認作業するか……とも思っていた。
・印刷所
『身内本なので数を作らない、ほとんど記念品』であることを前提に少部数発注が可能なオンデマンド注文です。あかつき印刷さんいつもありがとうございます。秋の新米おいしかったです。
自分は同人慣れしてる人間なので「いつもの印刷所」があるんですが、ない人は印刷所オススメ一覧とかで探すといいです。あかつき印刷さんは知人からオススメしてもらって以来ずっと使っています。グレースケールの印刷がものすごく繊細で、薄いグレーが綺麗に出るので助かってます。あと秋に新米がもらえる。新刊に米が入ってると「あ～～～～ッッッ、今、イベントに来ている！！！」という実感が湧く。
④作業
8月に仕様を作り、9月には提出内容をあらかた確認、その後は〆切まで作業。
猶予はたっぷり設けました。
ただ10-11月にキャンペーン内の大きいシナリオがあり新規供給がドカっときたのと、自分がスパーク（赤ブーのイベント）に出ていたのもあったのでわりと“見”な空気はありました。
自分の場合、結局作業開始が11月後半に……。
ただ己を入れて7人もいるので絶対誰か〆切を超過するのは予測済み。なので「ちょっと早めの日程を提示しておく」ことによって遅れてくる人間に対して未然にセーフネットを敷き、最終的に予定スケジュール内に原稿を回収するようにしました。
今回の自分の作業パートは
・全体の進行管理
・表紙
・キャラクター画像
・本誌レイアウト作成
・小説パート
です。
本来複数人呼ぶ合同のときはレイアウトや表紙は他の人に投げ、主催は自分の原稿と進行管理に徹していいと思います。
まあそれってよっぽどでかいジャンルのときにできる安全策だと思ってるんで、今回は自分で全部やりました。ただ自分で全部やるマンは本当に時間と余裕をたっぷりとらないとダメです。作業後半になってくるにつれ残り時間がキツくなってきます。「寝る間を惜しんでやる」は絶対避けましょう。何もいいことないです。じっくり寝てから作業した方がトータル時間としては早いしクオリティもブレない。
TRPGやってる人向けのわかりやすく説明すると、イメージとしては合同主催はKP/GM、参加者がPLです。KP/GMはPLのスケジュール管理したりキャラシ回収したりシナリオを確認したり部屋組んだりしますよね。素材の外注があるなら頼むにあたって早めに動かないとだし、人によってはシナリオそのものも書いてるはずです。シナリオ当日という〆切に向けて作業するのがKPなら、入稿とイベント当日までに準備を進めるのが合同の主催です。
話を戻します。
マジで久しぶりに本出したので、レイアウトとか組版の知識が軒並みなくなってて大変でした。
11月の個人誌をウォームアップにしつつ、過去の自分の本や記憶やGoogleや教本を頼りになんとかしましたが……
初稿は『とりあえず形のたたき上げがあれば後は調整でなんとか』を言い聞かせ、クオリティは一旦おいて吶喊。とはいえ余裕があるときに時間のかかりそうなレイアウトは少しずつ作ったり、小説を先にぶちあげておいたり、予期せぬスケジュール遅れが発生してもギリギリ大丈夫なようにこまめに作業は進めていました。
結果、マジでギリギリになったもののとりあえずなんとかなりました。
このスケジュール感覚、殆ど「経験則からくる勘」なので、皆さんは12月に本を出す予定があるのに11月に突発的にイベントを入れないようにしましょう。
ていうか入れるんだったら11月の本を9-10月で脱稿するか8-9月の時点で合同の自分の作業パート終わらせとけまである。
時間の余裕は心の余裕を痛感しました……
あと起きる時間が固定の人間向けの情報なんですが、絶対に寝る時間遅らせてはいけない。寝る時間が遅れれば遅れるほどパフォーマンスがゴミカスクソクソになるので。うっかり遅寝になったら翌日は作業量を減らしてリカバリに徹しないと、その後ズルズルと睡眠負債が溜まり、パフォーマンスが落ちていくのでヤバイです。
ポケモンスリープをやってる人なら「起きたときの点数が〇〇点以上のときは調子がいい」みたいなのがわかりやすいとおもうので、うまく活用してさっさと寝てパフォーマンス保ちましょう。人にもよるんですが80点（7時間睡眠）以上はキープしたほうが調子はいいです。できれば23時中には寝ろ。そして7時には起きろ。
初稿・修正稿の戻しに関しては、同卓者みんながチェックしてくれたのでわりと助かりました。
が、自分の提示した書式ルールがアホみたいにクソガバ、特に固有名詞の表記ルールを設定してなかったのでそこの修正で余計な時間を食ってしまいました。
あと縦/横両方の書式があるのにそのへんのルールも結構ガバかったので組版校正に慣れている人で合同を買った人、マジでガバの部分みなかったことにしてください！後生ですから！次はきちんと書式徹底・校正ルール順守でやります……
幸運があるとしたら前述の通り、同人出版経験者が大半を占めていたこと。あとチェック慣れしてる人間が多かったこと。自分はチェックが本当に苦手なので丸投げしてました。合同主催としてそれどうなん？っていわれそうだけど自分一人がチェックして酷い誤字脱字を見逃すより、意欲のある人が見てくれて取りこぼしを潰せる方がいいとおもってます。今回はみんな意欲があって本当に助かった。心から感謝してます。
⑤トラブル
生きてる限りは起こる。
なのでやれることはやって腹を括っておきます。
・クラウドサーバーに逐一バックアップを作成
・何がおきても作業に関しては心に余裕を持つ
・早割を通常目標にし、通常〆切は最終手段にする
・参加者のモチベーションを保てるよう適宜進捗を上げ、気を配る
ちなみに原稿中に検査入院したの、流石に初めてだったんですけど、どこで入院入ってもいいようにしておかないとキツいなと思いました。そんな大それたものじゃなかったとはいえ、病院から帰ってきて速攻で作業するのキツすぎた。やったけど。
サンプル上げた数日後にでっけえミスに気付いたりもあります。印刷所によっては「ここおかしくない？」って逐一チェックしてくれるし自分の使ってるところも『チェックをしてもらう』か『全部了承済みでいく』か選べるんですけど、めんどくさいので全部了承済みで出している。
なのでミスは10000000%自分が悪い。
誤字脱字はともかくレイアウトテンプレートのミスみたいなのは心折れる。嘘でしょ？って思われそうだけどマスターページ適応ミスでした。こういうのは予め正誤表みたいなのを作っとくしかないなと反省。
なお今回の作業で一番デカかったトラブルは「表紙が72dpiだった」です。びっくりした。流石に何年も同人やってて300dpiで作ったはずのファイルが72dpiになってたの初めてだったので。
まあphotoshopは引きのばしてもボヤけないようにできるので、特に焦らずに対処できました。レアケースだったのでいい経験になりましたね。したくねえよこんな経験。
原因は新規ファイル作成時にデフォルト解像度が72dpiだったことの見落としです。入力画面で多分入れ忘れてましたんだと思いますが滅多にやらない事故なのでビビりました。描いてて気づかないのか！？って思うかもしれないんですけど、描いてるときマジで気づかないんですよね。「なんかちょっとアップの作業しづらいな？」ぐらいで……（流石に仕事ではやったことない！！！！！！！！！！信じて！！！！！！！！！！！！！）
これも寝てたら多分防げたミスでした。睡眠の重要性が解りましたね。寝ろ。
あと本になってから発見されるとんでもないミスもまれに……
いや結構あります。かなりある。マジで。
印刷所のサービスにも依りますが、予め見本誌送付をお願いしておくと会場でウワー！！！とならずに済みます。
自分用に印刷したいだけの人はそんなに重要じゃないかもですが、会場で受け取る人は絶対もらった方がいいですね。イベント前日までには郵送してもらえると思います。もちろんこれは早割・通常〆切の話なので割増の人は覚悟を決めておきましょう。
⑥入稿後の作業
宣伝！
とにかく宣伝！
身内に配るだけなら別にいらんとは思いますが……
①コミケに出る
②コミケに出る以上、極少数とはいえ販売分を刷ってある
③印刷費も全然タダではない
④有名シナリオ二次創作ならまだしもガチのオリシのサプリ・リプレイ・シナリオ集でもなんでもない合同
なのでとりあえずは「タイムラインのどっかで人の目に留まるように」しておきます。
ただ自分はいままでクソデカジャンルブーストでなんとか頒布数を出せてた側の人間であり、それに加えて宣伝・広報のスキルが終わってるというかド下手クソすぎるので、とりあえずもうサンプル載せてお品書き出して適度に再RTしとくか……………………………………ぐらいの雑なやり方しかできない。一回凍結されてフォロワー1/5以下になってるしな。
あと一応pixivにも掲載したりmiskeyやblueskyにも流したりコミケのwebカタログを更新するなどしてその場をしのぎました。めんどくさいので文言とか全部使い回しです。宣伝・広報うまお、助けてくれ………………………………
⑦頒布
イベントの準備は適当に「イベント サークル 準備」でググれば出てくると思います。
本当に必要なのは「健康かつ寝不足でフラフラしていない自分」です。コミケだろうが赤ブーだろうがイベント参加にあたってサークル参加者は早朝移動になります。8-9時の間に入場とかなので。過去どんだけ近場に宿取っても6時起きでした。前日に友達と飯とか行っても終わったら速攻帰ってすぐ寝たほうがいい、マジで。
見本誌が来た時点でおしまいみたいなコピペミスがあったので、流石にヤバイとおもって修正シールを事前に作成し、テストして持って行きました。
ミス部分の大枠を定規で計り、ローソンのシールプリントのL判で印刷すればとりあえずの修正シールはできます。ラベルプリントじゃないのでめっちゃ質感が写真用紙なんですけど誤字修正の方が急務なのでその点には目を瞑ります。
誰か知らんけど「ローソンのネップリは300dpi」という情報をSNSで流してくれた人、ありがとう。
なおL判、結構でかいので余ったスペースにシールにしたいちびキャラとか貼っとくと自分が楽しいです。
ただこれ、なんかはがしやすい箇所とはがしづらい箇所が発生してやばかった。スペースではがれねーｗｗｗアッハッハッハになってた。
地道～に興味ありそうな素振りを見せてくださった方に「これこういう本で……」という説明をしたところ、わりと買っていただけました。
ポスターみて「えーすごーい！」って言ってくれる方もいたりでなかなか新鮮でした。何割かは異常に長いサークル名がウケてたと思う。
なんか面白そうだから～って買ってくれる知り合いもちらほら。「自ジャンル」の本が故に興味ある！っていってもらえるだけでもマジで嬉しすぎて……
おかげさまで昼には完売してました。本当に頭あがらねえ……ありがとうございました。差し入れもたくさんいただきました。
⑧完走した感想
デカめのやり甲斐～！！！！！！！！（自カプの本を出したオタクの感想）
久しぶりにゴツめの本出せて楽しかったです！！協力してくれた同卓の皆、本当にありがとう！！年末進行のクソみたいな時期に色々手伝わせてごめん！！
それはそうと何見てヨシっていったんですか？系のミス多すぎて流石にヤバイと思いました。絶対原稿中に検査いれないようにしようと誓った。いうて検査入院までいかなくても普通に胃カメラとかありますからね。
とにかく本出てよかったし、手にとってくださった皆様ありがとうございました！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
