にのまえ 2022/12/10 19:07

痴○希望の匿名くん【フォロワー公開】

 汗が浮かび、何度唾液を飲んでも口が乾く。いつもの満員電車が異世界に思えた。
 司秋人は手のひらの汗をニットで拭う。晩秋とはいえ満員のホームはもちろん暑いが、額をじっとり濡らすのは緊張感だった。とても着ていられずに、秋人はジャケットを脱いでいる。
 いや、違う。暑いのも脱ぎたかったのも本当だけれど、一番は下腹部を隠したかったからだ。股間はテーパードパンツでも隠せないほどになっている。

「…………」

 昨日初めて、痴○掲示板に書き込んだ。
 黒背景に白文字の、いかにも古びたネット掲示板だった。本物なのか、見ている人がいるのか、文系大学生である秋人にはわからない。痴○希望のメッセージはぽつぽつ書き込まれていたが、同じくらい頻繁に消されていた。
 見ている人はいるのだろうか。書き込みはプログラムを使ったサクラで、消されるのは禁止単語を自動で察知しているから。こんなところ、こんな安っぽいページ、誰も見ていないのではないか。
 それとも誰か見ているのか。
 自分の書き込みを、自慰途中の興奮のまま書いた文面を、もう、誰か見ているのだろうか。

「……っ♡」

 誰かにこの欲を知られているかもと思うだけで、テーパードパンツの中で勃起したものが跳ねる。
 大きくなったもののせいで歩きにくい。ぎこちなく満員電車に乗り込んだ秋人は背中や肩を周りの乗客にぶつけてしまった。縮こまり、俯いたままぺこぺこ頭を下げて奥に進む。

 左の乗車口からまっすぐ正面。右手ドアの近くに立ったのは、秋人の意図ではなかった。乗客のほとんどがそうであるように流されただけ、空いたスペースに詰めただけだ。

「ひっ♡」

 けれど今日の流れだけは、きっと人為的なものだった。

 秋人は肩を跳ね上げてジャケットを抱き締める。テーパードパンツの尻に何かが触れている。いや、触れているなんてものじゃない。五指の形がはっきりわかるほど尻肉を強く揉まれていた。
 痴○だ。今までこんなのされたことないのに、掲示板に書いてすぐに。
 まさか本当に? 痴○なのか?
 あんな赤裸々な文章が読まれたのか。秋人の欲を知っているのか。震えるほどの不安はしかし、満員電車では口にできない。

「っ、……ん、っ、……っん♡」
「…………」
「あ、……っあ、ちょ、……っ♡」

 人違いだとか、犯罪だとか、そういった躊躇が一切ない性欲丸出しの手付きに、秋人のほうが不安になってくる。
 確かにこの路線は痴○で有名だった。最寄り駅を告げれば大学の仲間は十人が十人、男だというのに秋人の身を案じるし、そういうフィクションではよく舞台にされている。
 だからきっと他の路線よりは、そういう趣味の人間が集まっているだろう。多少不自然なことがあっても許容されるだろう。そう思ってはいたが、とはいえこんなに、ここまであからさまに。

「ぁ、あ……っ♡」

 味わうような手が持ち上がり、ニットの裾から入り込んでくる。細いが、しかし男の手だ。腹を撫でられるだけで相手の性欲が伝わってくる。
 どうやら痴○は真後ろではなく、右斜め背後、秋人を扉横の角に閉じ込める格好で立っているようだ。一歩近づかれると背中にぴったり体温を感じる。
 太っていない。自分より少し背が高い。気配を探っていた秋人は、薄手のニットの中で乳首を弾かれ先走りを滲ませた。

「ゃ、……っ、や、やめて、くださ……っんぉおッ♡」

 小さな声は自分でもわかるほど媚びている。
 清純ぶった言葉を叱るように乳首をつねられ、秋人は息を飲みながら背伸びをするように胸を張る。背後の人物に体重を預ける格好になったが、その男はびくともしなかった。
 耳元に低い声が触れる。

「……痴○されたいって、書いてたよね?」
「……っ、そんな、こと……♡ 人違い……ッおおッ♡♡」
「チクニーしまくりの……こんな、っ、雑魚乳首して、何言ってんの? 触ってくださいって言ってただろう? 最初から勃起して期待してたの、ホームでずっと見てたんだ」
「っひ♡ ひ……っ♡♡ ぁ、あ……っ♡♡ 乳首、ぷるぷる、それ、っ、それぇ……っ♡♡」
「それとも本当に人違い? 『アナニー中毒の童貞大学生』じゃない? 『痴○妄想して満員電車で毎日勃起してる』変態じゃなかった?」
「……っ、読まないで、俺の書いたやつ、読ま、ッ、おぉおッ♡♡♡」

 低い声とともに乳首をいじっていた手が腹を撫で、へそをいじり、期待して履いたウエストゴムの服の中に入ってくる。
 ねだるように跳ねる勃起の横を素知らぬ顔で抜けた指が、何の遠慮も躊躇もなく、柔らかい穴を貫いた。強引な指先だったものの、秋人が自ら育てた穴は喜んで飲み込んでしまう。

「お、ぉ、お……ッ♡♡♡ っんお、おッ、おッ♡♡」
「つま先立ちして、逃げようとして……。ここ、ぷりっぷりの雑魚前立腺、一発で黙るメスポイント作っといて、これでも人違い?」
「っう、ぅううう~……ッ♡♡ や、やめて、っ、くださ、ぁ……っ♡♡ こえっ♡ 声、でちゃ、ぅ~……っ♡♡」
「最初っから勃起してたもんな、変態。メス穴いじられたかったんだろ」

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