リア☆カレ 2024/02/12 23:27

【SS】裏アカ声優の絶頂管理 ~要くんの甘いおねだり~

「もうすぐ俺の誕生日でしょ? だからさ、プレゼントをリクエストしてもいい?」
 二人で家で寛いでいると、要くんが妙に可愛らしい笑顔でお願いをしてきた。
 あまり持ち物に頓着しない要くんが、珍しいことを言い出したものだと意外に思う。
「要くん、何か欲しい物があるの?」
「んー? 欲しい物っていうか……して欲しいことがあるんだけど」
 少し言い淀んだあと、やはり笑顔で私を見る。
 うーん、これは…悪いことを企んでいる時の要くんだ。
 そう悟るも指摘はせずにじっと要くんを見つめると、要くんも慣れた調子で微笑んだ。
「ねぇ……俺のために、悪いことして?」
 あぁ、やっぱりそういう話だ。
「この前さぁ、いいモノ見つけちゃったんだよね」
 楽しげに口元を弛める要くんの瞳は、既に半ばドSスイッチが入っている。
「何だと思う?」
 嫌な予感しかしないのだけど、要くんは言いたくて堪らないとばかりにそわそわしている。
 その姿が妙に可愛くて見惚れていると、要くんが私の耳元に口を寄せて囁いた。
「新しい貞操帯……見つけたの。最新式のすっごいやつ」
「…っ……」
 要くんに貞操帯をつけられて管理された時の苦しさを思い出して身をこわばらせるが、要くんはお構いなしに話を続ける。
「どうしても…アレ、使ってみたいんだよね」
 最新式のすっごいやつ…とまで要くんが言う凄い機能とやらが激しく気になる。
 要くんがそこまで言うのだから、きっと普通ではないモノなのだろう。
「お前の身体のすべてを…管理したいの。どんなに恥ずかしい場所も、全部俺に曝け出して欲しいの。だから…いいでしょ? お願い」
 愛の告白のように要くんは囁くが、その内容はとても他人には聞かせられないものだった。
「だからさ…俺のために、また悪いことして? お前をお仕置きして…イジめたい。あの貞操帯を使って…限界の限界までイジめたい」
 嗜虐心に満ちた瞳で私を見据える要くんは、もう既にその瞬間を想像して恍惚とした表情を浮かべている。
 要くんのお願いは全部聞いてあげたい。
 私も要くんにイジめて欲しい。
 でも……。
「凄い機能って…何?」
 それだけが気がかりだった。
 離れている間もずっと俺のことを考えてくれるから…と、要くんは貞操帯がお気に入りだ。
 しかし、私は貞操帯は苦手だった。目の前に要くんがいれば頑張れるけれど、要くんがいない間も外れることのない貞操帯は、どうしても好きになれなかった。
 そこに更に加わる凄い機能とやらが恐ろしくて、中々頷けなかった。
「それはさ、つける瞬間のお楽しみ。先にバラしちゃったら、つまらないでしょ? お仕置きされる瞬間の、お前の怯えた顔大好きなんだよね。何されるのか不安で、怖くて怯えてるのに、どこかで期待してるやらしい顔。すっごく大好きなの。だから…先にバラしちゃうなんて勿体無いこと出来ない」
 お仕置きされる瞬間……その時のことを想像してしまい、ぎゅっと太腿に力が入る。
 また貞操帯をつけられて管理されて、身体のすべてを要くんに支配されるのだと思うと、身体が甘く疼いてしまう。
 そんな私を面白そうに見つめながら、要くんが悪びれもせずに告げる。
「それにさ、お仕置き以外でアレ使うのさすがに気が引けるから。だから、悪いことして?」
 これは、悪いことをしたら絶対に大変なことになるやつだ。
 あの要くんがここまで言うのだから、それは凄い何かがあるのだろう。
 だめ。
 だめだ。
 ちょっと好奇心が疼くけれど、でもこれはきっと後悔するやつだ。
 そうわかっているのに……。
「本気で縋り付く、お前の泣き顔が見たい」
 期待に満ちた瞳で私を見つめる要くんを見ていると、心が揺らいだ。
 そんな私を見透かしたように、要くんは更に甘えた声で囁く。
「ね…お願い」
 要くんは策士だ。
 これは私を罠に嵌めるための、要くんの作戦だ。
 可愛い顔で甘えておねだりして、私が罠に堕ちたが最後、ドSな本性を現すのだ。
 しかしこんな見え透いた罠に嵌る程、私は要くんのことを知らないわけじゃない。
 要くんのことはわかっている。
 わかっているのに。
 それでも。
「要くん……」
 怯えと期待を含んだ瞳で要くんを見つめると、要くんが妖しげに微笑んだ。妖艶な雰囲気を湛える薄い唇が、蠱惑的な色気を醸し出す。
 それだけで、心臓が高鳴ってしまう。
 要くんに、心を囚われてしまう。
 嗚呼、きっと……私はこの誘惑に抗えない。


(終)

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索