無名@憑依空間 2024/04/14 17:15

★無料★<女体化>境界線なき世界②~真実~(完)

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「--ふ~」
千佳として、休日を過ごす。

ネットのニュースを見つめるー

”20Gはじまる”と書かれているー
その昔は、3Gとか4Gとか言われていたものも、
この時代では、まもなく20Gになろうとしていたー

千佳はネットニュースを見るのをやめて立ち上がる。

千佳でいるときは、おしゃれをして可愛くいたいし、
平助としているときは、男として、かっこよくいたいー。

千佳の姿のときは、可愛らしい服を好んで
身に着けているし、
化粧も、おしゃれもするー。

「---お、姉さん」
妹の美里(みさと)が笑うー。

千佳には、弟と妹がいるー。
…と、言っても二人いるわけではない。
弟の真司・妹の美里は
同一人物で、自分と同じハイブリッドー。
性別を切り替えることができる存在だ。

「---美里は、”どっち”でも
 そのままだよね~」
千佳が笑うと、
美里も笑うー。

「-だって、ほら、面倒くさいじゃん!
 男と女使い分けるの!
 ほんとはオレ、ずっと男でいたいぐらいだけど
 そうすると俺たちは死んじゃうしさ」

美里は、とてもかわいいのだが、
真司・美里は、男女を使い分けるつもりがなく、
美里の姿のときも男言葉だし、
服装もランニングシャツ1枚で、下着もつけてなかったりするー。

「---ふふふ、まぁ、気持ちは分からなくもないけど」
千佳は苦笑いするー。

ほとんどのハイブリッドは”男女の使い分け”が
当たり前だと思っているため、千佳・平助のように
性別によって口調や服装まで変えているー。

だがー
たまに弟・信二 妹・美里のように
使い分けない人間もいるー。

「---」
自分の部屋に戻った千佳は、
画面を目の前に出現させて、調べ事をするー。

死んだ幼馴染の真紀ー

千佳は、ハイブリッドの在り方に疑問を感じているー。
人類の歴史を徹底的に調べたー

自然界においてー
性別が切り替わる生き物はいる。

だが、人間において、それが自然発生するとは、
どうしても思えなかったー。
少子化が進んでいた人類ー。
その危機に人類が本能的に反応して
性別を切り替えて、一人で出産できるように”進化”
したのかもしれないー

でもー
なんだかーこう
”人為的”な何かを感じずにはいられなかったー。

「--あ、そろそろ男にチェンジしないと」
千佳はそう呟くと、
平助の姿に変わるー。

男になった平助は、スカートや可愛らしい服を脱いで、
ジャージ姿に着替える。

普通の人間からしたら、
いちいち着替えるのは面倒だが、
彼らにとっては、これが普通ー。

「--ん~~~…」
何か引っかかる。
平助は、画面を見つめるー。

突如出現した、男女の切り替えができる
”ハイブリッド”とはいったい何なのかー。

そんなことを調べながらも、
平助は普通に高校生として
生活を送るー

そして、時は流れて、
平助は大学生になっていたー。

大学卒業も近づいた頃ー

「---」
平助は、指輪を用意して、ドキドキしていたー。

明日ー
彼女の麻帆にプロポーズしようと思うー。

高校卒業後、麻帆とは別の大学に進んでいたが
それからも恋人関係は続き、
就職も決まった平助は、麻帆にプロポーズを
しようと考えていたー。

”先にどっちが子供を産む~?”なんて話を
最近はよく、麻帆とするー。

話し合いの結果、
まずは千佳が、麻帆の男の姿・誠との子供を作り、
そのあとに千佳の男の姿=平助が、麻帆との子供を
作ることに決めていた。

千佳・平助も麻帆・誠も大企業への就職が決まっている。
子供2人ぐらいは、行けるだろうー。

”これからは、ハイブリッドの時代です”

この時代に存在する”世界連合”の会議が
今日は行われていた。

平助が高校時代の時よりもさらに、
ハイブリッドによる支配は進み、
世界の中心人物のほとんどが”ハイブリッド”に変わったー。

アメリカだけは相変わらず
ハイブリッドを拒み、”旧人類”
普通の男女たちが、トップに立ち、国内も
男女中心で成り立っていたものの、
ハイブリッドを拒んだ国は、
既に遅れが目立つようになっており、
かつてのような輝きは、失われつつあったー。

「---」
映像を見ながら、平助は少し疑問に思うー。

「--ハイブリッドが出てくる前までは
 アメリカが世界の中心みたいな感じだったんだよな」
平助は呟くー。

今では、見る影もない。
そして、大国の中では唯一ハイブリッドを拒んでいる。
大統領も、議員も、アメリカの企業の人間も、
全て”普通の男女”だ。
何故、そこまでハイブリッドを拒むのだろうかー。

「---ハイブリッドの方が優れてるのは確かなのにな」
平助は呟く。

”旧人類差別”に心を痛めている平助であっても、
そのように思ってしまうぐらい、
ハイブリッド=優れているという考えは浸透していたー。

「--ま、そんなことより」
平助は、呟きながら婚約指輪を見つめる。

明日、麻帆はプロポーズを受けてくれるだろうか。

「--あ!!そろそろ千佳にならないと」
平助が苦笑いする。

”同じ性別でいられる時間には限度がある”
それを超えると、体調を崩し、
無理してひとつの性別のままでいると
ハイブリッドは最終的に死んでしまう。
その理由も、よくわからなかったが
とにかくそういうものなのだ。

だからー
”性別の切り替え”は計画的に行う必要があった。

「(今、女になっておけば、明日、麻帆と会う時間は
 男になってても平気だからな)」

”調整”が大事ー。
平助は女体化するー。

髪が伸び始めてー
胸が膨らみ、
男のアソコがなくなっていき、
身体のつくりが変わっていくー

あっという間に、女体化して千佳になった平助は、
「よ~し!明日たのしみ!」とほほ笑んだー。

別に、女体化したから、女の子の口調・仕草に
なろう、と意識しているわけではない。
彼女らにとっては、すぐに気持ちの切り替えが
できることも”当たり前”のことなのだー。

・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

「さ~て、そろそろ男になろっかな~!」
千佳が、麻帆と会う時間を目前にして、
今度は男体化するー。

このタイミングで男になれば、
プロポーズの最中には男でいられるだろう。

麻帆がどっちで来るかは分からないが
なんとなく気分的に、男として
プロポーズしたい気分だったー

髪が短くなっていきー
胸がなくなりー
股間にアレが生えてくるー
手の色も変わりー
男に変わった平助は「ふ~」と呟くー

性別が切り替わる瞬間は
なんとも言えない不思議な気持ちになる。
身体の底から熱を感じるような、
言葉では説明しがたい、独特な感覚だ。

「--さ、行くか」
平助は男の服装に着替えると、
麻帆との待ち合わせ場所に向かったー。

ハイブリッドのことは、
大学卒業を控えた今でも調べ続けているし、
旧人類差別をなくしたいと考えている平助は、
旧人類の差別に携わる仕事を選んだ。
この時代では、差別が大きな問題になっているため、
それに対処する専門のサービス業もあるのだ。

「--お待たせ~!」
麻帆がやってくるー。

麻帆・誠は、女の姿ー、麻帆で待ち合わせ場所にやってきた。

「お、ちょうどよかった~!」
平助が笑う。

別に男・男でもよかったのだがー
なんとなくこの方がムード的に良いような、
そんな感じがしたー

「大事な話ってなに~?」
麻帆がほほ笑む。

「---あぁ…麻帆」
平助が、麻帆のほうを見つめるー。

そしてーーー

婚約指輪が入ったケースを出す。

「--平助…」
麻帆が、それを見て、呼び出された理由を悟るー。

しかしーーーー
”この日”
ハイブリッドたちの日常は、突然壊されることになる。

その理由はーーー

「--うっ!?」
麻帆が突然苦しみ出す。

「えっ!?麻帆!?」
平助が慌てて麻帆に駆け寄るー。

「うっ!?」
「うぐっ…」
「あうっ!?」

ーー!?!?

デートスポットの広間にいた、他の人間たちも
次々と苦しみ始める。

「い、、いったい…?」
平助が唖然としているー

「うっ!!!!」
平助の心臓に激しい衝撃が走る。

「---な、、、な、、、なに…これ…」
麻帆が苦しみながら平助のほうを見る。

平助にも、なんだか、分からないー。

平助が、突然女体化して、
千佳の姿になる。

「ぐぅ…う…あぁ…???」
女体化して千佳になったり、
男体化して平助になったり、
男女の性別の切り替えが
暴走状態ー
そんな状態になっているー

目の前にいる麻帆も同じ。
男体化して誠になったり、
女体化して麻帆になったり。

「う…あぁぁ…」
周囲の他の人たちが苦しみながら、
動かなくなってしまう。

「--ど、、どうして……」
平助は、千佳になったり、
平助になったりを繰り返しながら思うー

”どうして、急にハイブリッドなどという
 人間が誕生したのかー”

平助はずっと疑問に思っていたー
”人為的な何か”を感じるー

とー。

平助は苦しみながら
女体化したり男体化したりしながら
麻帆の方を見る。
麻帆が苦しそうに地面に蹲っている。

「いたいよ……うぅ…」
そんな麻帆を平助は抱きしめるー。

「大丈夫…大丈夫…」
自分も苦しみながら、麻帆を安心させるために
そう繰り返す平助。

やがて、麻帆は、眠るように動かなくなってしまったー

「--いったい……なにが…」
平助は”ここ”以外でも同じことが起きているかもしれないー
と、悟る。

そしてー
ハイブリッドとはーー…

そんな真実にたどり着きかけたが、
平助も、そのまま動けなくなり、
意識は闇に飲まれたー

・・・・・・・・・・・・・

世界中のハイブリッドが一気に死亡したー。

人口の半分以上が一気に失われ、
世界は大混乱に陥るー。

それぞれの国のトップや重役ー
大企業の中枢を支配していた
ハイブリッドたちが、一気にその命を
散らしてしまったことで、
どこの国も混乱を避けることはできず、
大幅に衰退したー。

しかしー
そんな中、
ハイブリッドを拒み
この時代で”旧人類”と呼ばれる男女を中心に
国を成り立たせていたアメリカだけは、
衰退しなかったー。

この未曽有の事態にリーダーシップをふるい、
衰弱した他国を導き、
その地位は、ハイブリッドが誕生する前以上に、
圧倒的なものとなったー。

「”人類削減計画”長かったですな、大統領」
スーツの男が、大統領に対して笑みを浮かべる。

「---あぁ」
大統領は笑みを浮かべるー

機密文書に記された文字ー

”人類削減計画 2070”と書かれているー。

ハイブリッドが最初に出現した当時、
2070年には、人類の数が増えすぎて、
食糧問題が起きていた。
その解決のために、ひそかに企てられたのが
”人類削減計画”

ある一定の遺伝子を持つ人間を生み出し、
長い年月をかけてそれを増やし、
その遺伝子が反応する特殊な電波を世界中に
送り、一気に”特殊な遺伝子を持つ人間”を
死滅させるー。

そうすることにより、人類を半分に削減する計画ー。

そうして生み出されたのが”ハイブリッド”
特殊な遺伝子操作により
”性別が切り替えられる”ようになったのだった。

平助が感じていた通り、
ハイブリッドは”人為的”に生み出された。

ハイブリッドは次第に増え、ハイブリッドと男女、
あるいはハイブリッド同士が子供を作ることで、
さらに”特殊な遺伝子”を持つ人間が増えていったー。

いずれ、”一斉に駆除”されることになるとも知らずに。

各国は”性別が切り替えられる”利便性から
ハイブリッドによる支配が進んだ。

しかしーハイブリッドの一斉処分を企てていた
アメリカは、国の中枢にも企業にも「普通の男女」しか
配置しなかった。
来るべき”処分”に備えてー。

そしてー今日、”表向きには、明後日スタート”の、
”20G”によって、ハイブリッドの持つ遺伝子が
反応するように、仕込み、ハイブリッドを一斉に
処分したー。

今日が、新たな幕開けー。
人間は、増えすぎたー。

生えすぎた雑草は、
土の養分を吸い尽くす前に、抜かなくてはいけないー。

我々は、それをしたまでだ。

地球と言う名の土に
生えすぎた人間という名の雑草を刈り取ったー。

世界人口の半数以上が突然死した。
だが、我が国は無傷。
その支配は、完全なものとなるだろう。

大統領は、静かに笑みを浮かべて、
全世界の各国に”手厚い支援”をするように指示をしたー

おわり

・・・・・・・・・・・・

コメント

未来を舞台としたお話でした~!☆★

最後は大変なことになってしまいましたネ~!

お読み下さりありがとうございました!★

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