無名@憑依空間 2023/06/28 14:45

★無料★<皮>病院脱出大作戦③~作戦完了~(完)

ギャルな看護師・望結の姿で
必死に病院内を走る圭祐ー。

エレベーター内で望結の胸を触って来た男性医師に
咄嗟に、”人を皮にする注射器”を打ち込んでしまい、
その状況をどうすることもできないままー
エレベーターは1階に到着ー。

”皮になった人間”を目撃されてしまい、
騒ぎになってしまったー

「くそっ…騒ぎにはしたくなかったのにー」
望結はそう呟きながら、走るー。

親友であり、同期である慎一から
”人を皮にする力”を受け取った圭祐は
その力を使って、病院からの脱走を目指していたー。

圭祐の目的は
女の身体を奪って好き放題することでもなかったし、
誰かを傷つけることが目的でも、
その人生を奪うことも目的ではなかったー

混乱は、圭祐の望まない展開だー

「って…この子、足おせぇ…!」
望結の声で「はぁ、、はぁ」と言いながら必死に走るー

”おい!あの子を捕まえるんだ!”
声がするー。

そもそもー
皮にしてしまった男性医師は、あくまでも”皮”の状態だったー
”まるで人間のように見える”点を除けば普通の着ぐるみと変わらないー。

”人間そっくりの着ぐるみを作ったんですぅ~”とでも言えば
誤魔化せたのかもしれないのに、
咄嗟にエレベーターから外に走り出したことで、
ややこしくなってしまったー

「--ひゃっ」
思わず変な声が出てしまうー
躓いてしまった望結ー

「--と、とりあえずその子を取り押さえろ!」
警備員らしき男が、望結を取り押さえるー。

「ちょ!やめ!やめろって!」
望結が叫ぶー

”自分の足なら逃げきれたのに!”
と、そう思いつつー
”それじゃ、普通に脱走するのと同じかー”
と、戸惑うー。

”どうする?俺ー?”
必死に頭の中で思考を巡らせる圭祐ー

”いや、悩む必要なんてないじゃないか”
望結は笑みを浮かべたー
警備員はふたりー。
とりあえず、警備員を突き飛ばして、
なんとか物影に移動して、瞬間的に別の誰かを皮にして
”移動”すればいいー

そうだー
それしかーない。

「おじさんどいてぇ~~♡」
わざとらしくギャルっぽく言うと、警備員を突き飛ばそうと、
力を込めたー

だがー

「---あ?」
望結は思わず間抜けな顔をしてしまうー

警備員が、重いー。
まるで、ロボットかのように、重いー。

「--え…なんだこいつら?」
見た目では、そんなに屈強そうな身体には見えないのにー
なんだこの馬鹿力は?、と思いながら
望結は「はっ!」と表情を歪めるー

”この子の力がなくて、警備員のおっさんたちが重たく感じるのか”
とー。

”くそっ!このままじゃ捕まっちまう”

しかもー
望結の身体のまま捕まったら厄介だー
先程皮にした男性医師は、10分程度で元に戻るだろうし、
何も人殺しをしたわけではないのだから
警察に逮捕されることはないだろうけれど、
このまま病院側に捕まれば厄介なことになるー。

”望結の皮を脱ぐタイミング”がなくなるからだー。

「--くそ~~~!こうなったら!」
望結のギャル声でそう叫ぶと、
望結は注射器を手に、警備員二人を皮にしたー。

悲鳴が周囲から上がるー

「くそっ!くそっ!」
望結の身体で走り出す圭祐ー

こんなことにするつもりはなかったー。
これじゃ、自分が脱走することは出来ても、
この望結という子の人生に傷がつくことになってしまうだろうー。

それに”人を皮にする”瞬間を見られたのもまずいー

「くそっ、くそっ、くそっ」
女子トイレに駆け込んだ望結は、はぁはぁ言いながら
髪を乱して汗を額から流していたー

「--ぁ…」
その姿を見てドキッとしてしまう望結ー。

”この子、普段はこんな顔しないんだろうなぁ”
と、思いながら、すぐに”いや、そんなことは今はどうでもいいんだ”と
気持を切り替えて、なんとか脱出する方法を考えるー。

ガチャー

その時だったー
入院中の家族のお見舞いに来ていたセーラー服姿の女子高生が
たまたまトイレに入って来たー

「--!」
望結は、咄嗟にその女子高生に注射器を刺したー

「え…」
女子高生がみるみる皮になっていくー

皮になっていくのを見つめながら、望結の皮をもう脱ぎ始めていた圭祐は、
まるで舞台の演劇で、衣装をすぐさま着替える役者かのように、
素早く女子高生に着替える。

望結の皮はトイレの個室に隠し、
女子高生の姿のまま
「病院脱出大作戦~♡」と可愛らしくポーズをすると、
慌ててトイレの外に出たー。

「--ごめんな、ちょっとだけ身体を借りるよ」
女子高生の声で喋るだけで
ゾクゾクするー。

けれど、今はもうそれどころじゃない。
早く、この病院から脱出しないといけないー

「あの子はどこに行った!?」
「こっちの方に逃げたぞ!」

叫ぶ人々ー
病院内は混乱しているー。

女子高生を着こんだ圭祐は、冷静に病院内を歩く。
もうすぐ出口だー。

それにしても、女子高生のセーラー服って
こんな感触なのか、と、思いながら
次第に興奮していく圭祐ー

「やべぇ、この子の身体で興奮しちまってるー」
男とは違う興奮を覚えながらも、”とにかく脱出だ”と、出口の手前まで
やってきた圭祐は表情を歪めたー。

「---わたし、あの患者さんに変な注射を打たれて!」
最初に”皮”にした看護師の千夏が1階に降りてきていて、
他の看護師に助けを求めていたー

「あの患者さんって、照本さんのこと?」
他の看護師が言う。
千夏は「はい!あの人に変な注射を打たれて、わたし、気が付いたらトイレにいて…!」と
泣きながら助けを求めているー

「-------!!!」
圭祐は女子高生の顔を、鬼のように歪めてそちらを見たー。

「皮にされている間の記憶はないし、
 皮を脱ぎ捨てて10分程度で元に戻るけど、
 例えば、目立つ場所で皮を脱ぎ捨てたり、
 大人数皮にしたりすれば、
 問題になる可能性もあるからな?」

親友の慎一の言葉を思い出す圭祐ー
焦りからか、女子高生の指をしゃぶるようにして
爪を何度も何度もかじる圭祐ー。

「---そうか…皮にされている間の記憶はなくても、
 皮にされるまでの記憶はあるのかー」

”当たり前と言えば当たり前だけど、やべぇじゃねぇか”
と、思いながら圭祐は、なんとかしようと考えるー

このまま、女子高生の身体で外に出て、
この皮を脱いで、抜け出すのは簡単だー。

だが、しかし、千夏をこのままにしておくわけにもいかないー。
千夏から話を聞いた看護師はともかく、千夏をもう一度着て、
どうにかしないといけないー。

2番目に皮にした女医以降は問題ないはずだー。
何故なら女医が、皮にされる直前のことを覚えていてもー
女医からすれば「千夏に変な注射を打たれた」と、なるし、
その次の子も、「女医から注射を打たれた」となるわけだから
圭祐にたどり着く心配はないー

(くそっ!最初は慎重に注射しないといけなかった!)
圭祐は今更後悔しても、遅い、と思いながら
泣きじゃくる千夏の方を見つめるー

周囲の視線を気にして、千夏から相談を受けた女性看護師が
廊下の物影に千夏と共に移動するー

「今だ!」
もう、なりふり構っていられなくなった圭祐は、
女子高生の髪を振り乱しながら、千夏と話していた女性看護師に
まずは注射器を打ち込んだー

続けて、千夏にー

「きゃああああああああああああああ!!」
千夏が大声で悲鳴を上げて、逃げ出したー

病院の受付周辺に走っていき、泣きながら「助けて!助けて!」と叫ぶー

「--くそっ!!」
圭祐は表情を歪めるー

このまま女子高生を乗っ取ったまま、外に出て、これを脱いでーーー

「---照本さんが、、患者の照本さんが、変な注射で、人をー」
指をさす千夏ー

「--くそっ!余計なこと言うなあ!」
圭祐は大声で叫ぶー。

こうなったらー
”妄言”にするしかないー

いくら千夏が”照本圭祐が人を皮にする注射器を使って”なんて
叫んだって信じてもらえるはずがないー

この場で皮を脱がなければ
”圭祐に皮にされた”ことを知るのは千夏のみー

猛ダッシュで走り出す圭祐ー
女子高生の身体で走れる限界まで走るー

病院の外に飛び出してー
人目につかないところで、この女子高生の皮を脱ぐー

そうすれば、脱出は成功だー

「--くそっ!!遅い!もっと、、もっと早く走れ!」
女子高生の声で、叫ぶ圭祐ー。

圭祐は元々足が速いー。
だからこそ、余計にこの女子高生の足が遅く感じたー

スカートがふわふわして見えているかもしれないが、
もはやそんなことはどうでもよかったー。

とにかくー
とにかく、早くー

病院の関係者が追いかけて来るー。

「--くそっ!!走れ…!役立たず!」
女子高生に向かって叫ぶー。

思いのほか、大きな騒動になってしまっていることに
圭祐は強い苛立ちと不安を覚えるー。

”このままでは追い付かれるー”
そう思った圭祐ー

その時だったー

ぺりっ、とイヤな感触がしたー。
この女子高生の皮を着た時に、慌てて着替えたため、
完全にチャックをしめることができていなかったー。

頭からめくれていく女子高生の皮ー

「--あ、、あぁぁぁ」
慌てて元に戻そうとするが、焦っていた圭祐は、
そのまま、皮をうまく着ることが出来ず、
さらには中途半端に脱げた女子高生の皮に躓いてしまう。

「--ぐげっ!」
転倒した圭祐は、女子高生の皮が半分脱げた状態で、
病院の警備員たちに取り押さえられてしまったー。

”病院脱出大作戦”
失敗ー。

圭祐は「ちがう!待ってくれ!俺は!」と、必死に言い訳をしようとするー。

だが、”半分女子高生の皮が脱げた状態”という
言い逃れ出来ない状態で捕まってしまった圭祐は、
もはや、どうすることもできなかったー。

「違うんだ!俺は親友の慎一からこの力を貰って!
 俺は悪くないんだ!」

ついに親友に責任転嫁を始める圭祐ー

だがー

「---いえ、確かにお見舞いには行きましたが…
 どういうことです?」

親友であり、同期である慎一は、
後日警察からの聞き取りに、そう答えたー。

”慎一が圭祐に皮にする力を渡した”という証拠は何も出ず、
圭祐の狂言であると、判断され、圭祐はそのまま警察に連行されたー

「---へへへ…悪いな圭祐」
親友であり、同期でもある慎一は、
警察が立ち去ったあとに笑みを浮かべたー。

圭祐と慎一は同期ー。
だが、成績はいつも圭祐の方がわずかに上で
慎一は圭祐を内心、面白く思っていなかったー。

そんな中、ちょうど半月前に亡くなった
祖父の家の蔵を整理していたところ
”人を皮にする注射器”なるものを見つけたー。

慎一は、病院嫌いの圭祐が入院したことを知り、
それを圭祐に提供したー。

圭祐が必ず、病院を脱走しようとして、破滅すると、信じてー

結果、圭祐は病院の脱出に失敗し、
騒動を勝手に大きくして、自滅したー。

「--これで、邪魔な同期はいなくなったぜ」
慎一はそう呟くと、圭祐と一緒に撮影した入社式の日の写真に
火をつけて、それを焼き尽くしたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最終回でした~★
脱出失敗エンド…!

引き続き、今後も無料作品も公開していくので、
楽しんでくださいネ~!

お読み下さりありがとうございました~!!

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