無名@憑依空間 2023/10/21 17:11

★無料★<皮>闇の洋服屋さん①~秘密~

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「いらっしゃいませ~!」
女子大生アルバイトの高井 円花(たかい まどか)は、
今日もバイト先の洋品店で、
元気に働いていた。

元気が取り柄の彼女は、バイト先でも大学でも、
周囲から慕われる人気者だった。

”楽園”という名前の変わった洋服屋で、
色々な洋服を販売している。
正直、品数はそれほど多くなく、
誰をターゲットにしているのかも分からず、
売上的にもイマイチな、
個人の洋服屋だ。

おしゃれなアパレル系統でもないし、
かと言って、有名な洋服屋のような感じでもない、
決して格安でもないー

けれども、何故だかこのお店は黒字であり、
その点、バイトの円花にとっても
不思議な部分の一つだった。

「高井さん。今日もお疲れ様ー」

”美人”と称するにふさわしい
20代後半の女性店長・
相馬 裕子(そうま ゆうこ)が微笑んだ。

若くして企業して、こうして20代後半にして
お店を持っている彼女は、
円花にとっても憧れの存在だった。

とてもおしゃれで人柄もよく、
こうした、裕子の人柄が、
品揃えをカバーする魅力なのかもしれない。

「--相馬さんってすごいですよね…」

閉店後。
事務所で裕子と話をする円花。

個人店なのでバイトの人数はそれほど多くなく、
店主である裕子+アルバイト一人、
もしくは2人の体制でやることほとんどだった。

今日は二人きり。

「ーーー私がすごい?どうして?」
裕子は優しく微笑んだ。

「え、だって、私と10歳差もないのに、
 こんな立派なお店を作って…
 相馬さん、すっごくきれいだし、
 それに…」

円花が、目を輝かせながら言うと、
裕子は「ふふ、ありがと」と答えた。

いつものように雑談をしながら
帰る準備をする円花。

支度を終えた円花は
「お疲れ様でした~」とあいさつをして、
事務所を後にする。

店舗内を歩きながら出口に向かう円花。

円花はふと、”VIP”と書かれた扉を見つめる。

アルバイトも、利用客も、
出入りが禁止されている謎の部屋。

以前、円花は興味本位で
「あの”VIP”って部屋には何があるんですか?」と
店長の裕子に聞いたことがある。

しかしー
それを聞かれた裕子は、不気味に微笑んで
こう答えたのだった。

「あそこは、私の秘密の部屋よ」

とー。

円花は、毎日朝から夜まで働いている裕子の
プライベートルームだと解釈した。

だが、何度か、営業中に、裕子に声をかけた
男性客が入って行くのを見かけたことがある。

しかもー、
その部屋に入った男性客は、何故か”出てこない”

他にもー
”裕子から声をかけた女性客”が
その部屋に入って行くのも見たことがある。

知り合いなのかなぁ、と思いつつ、
円花は謎の部屋”VIP”に興味を抱きはじめていたのだった。

「------ふふふ」
円花が帰り、一人になった裕子は微笑む。

そしてー
ペロリと後頭部がめくれて、
中から男が現れたー

たちまち、美人の裕子が、
脱皮した皮のように、めくれて、
力なく床の上に横たわる。

「---シャ~っ!」
男は爬虫類のような奇声をあげると、
不気味に微笑んだ…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

一緒にバイトをしていた女子高生の華凜(かりん)が、
最近は出勤していないことに、円花は気付いた。

「そういえば、相馬さん」
円花が思いついたように言う。

「---最近、華凜ちゃんはどうしたんですか?」
円花は、華凜を実の妹のように可愛がっていた。

しかし、最近、LINEの返事もなく、
バイトにも顔を出していないのだ。」

「あ~…實村(みのむら)さんね…」
裕子は、売りモノの陳列をしながら言った。

「ーーー彼女も忙しいんじゃないかしら」
裕子はそう言うだけで、それ以上は答えなかった。

「いらっしゃいませー!」
お昼時、接客をしながら、円花は、ふと”VIP”の部屋の方を見た。

するとー
店長の裕子と、可愛らしい女性ー…
たぶん、女子大生だろうか。

が、裕子に案内されて、”VIP”の扉の奥へと
入って行った。

「相馬さんの、友達かな?」

そう思いながら円花は
VIPの部屋の前へと向かう。

ドアノブに手を触れてみる。

当然、鍵がかかっていて開かない。

「--あぁ~~~気になるなぁ、もう…」
円花がニヤニヤしながら呟く。

憧れの美人店長・相馬裕子。
その秘密を知りたくて仕方がなかった。

同じ女性なのに、告白したくなってしまうぐらい、
円花は裕子のことが好きだった。

”きゃあああああああああああ”

「---!?」
”VIP”の扉の奥から悲鳴が聞こえた気がした。

「今のは…!?」

「すみませ~ん!」

レジの方から自分を呼ぶお客さんの声。

「あ、はい~!」
円花は慌ててレジの方に戻りながら、
”いま、悲鳴が聞こえなかった?”と
疑問に思うのだった。

ガチャ…

「---」

”VIP”から出てきた店長の裕子は、
レジで接客をする円花の方を見つめていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

閉店後。

「お疲れ様でした~!」
円花はいつものように挨拶を終えて、
店の外へと向かう。

円花が外に出たのを確認した裕子は、
事務所から出て、
そのまま”VIP”の部屋へと向かう。

「ふひひ…」
裕子は涎を垂らしながら
自分の胸を触って微笑んでいる。

そしてー
”VIP”の扉の鍵を開けると、
そのまま部屋の奥へと入って行くー。

そこにはーーーー
”皮”のようにされた女性たちが、
展示されていたー。

”たすけて”

”たすけて”

小さい声が部屋中に響き渡る。

「ーーー諦めなさい。
 あなたは、”洋服”として
 着られるの。
 わたしのようにね…くくく」

相馬 裕子ー

彼女は、5年前、大学生だった頃に
”皮”にされてしまったー

本当の彼女の意識はもう、
この世に残っていないー。

同じ大学生だった卓雄(たくお)という男に、
身も心も、支配されてしまったのだー。

”たすけて”

皮にされたばかりの人間は、
まだわずかながら意識が残っているー。

元バイトの華凜と、先ほど皮にしたばかりの女子大生が声を出しているー

次第に、その意識が消えていくのを見つめるのも、
裕子の中に潜む男の趣味の一つだ。

この洋服屋で働いていたアルバイトの華凜は、
”VIP”のひみつを知ってしまった。

だからー
”洋服”になってもらったのだ。

”たすけて…”

他の皮たちと同じように、
展示されている華凜の皮がかすれた声を出すー

「ふふふ…」
裕子はそんな”皮になった華凜”に近づいていき、微笑んだ。

華凜を指でいやらしく触る裕子

「ふふふ…消える寸前のろうそくみたいで…
 ゾクゾクするわ」

裕子が言う。

華凜の顔や、足の部分を撫でまわすように触ると、
裕子はその指をペロリと舐めた。

「んふぅ…♡」
皮にした人間の味を確かめるのも
裕子の…いや、中に潜む男の趣味の一つだ。

”たすけ…”

あと数日もすれば、華凜の意識は完全に消えるだろう。
もちろん、卓雄が今使っているこの皮ー
相馬裕子も、最初は、意識があった。

だがー
今はもう違うー

「---ごめん…」

卓雄は、5年前の言葉を思い出す。

人生、初めての告白をしたー
その相手が、相馬 裕子だった。

裕子とは、仲良しだったー。

卓雄は、それが男女の仲だと思っていた。

しかしー
裕子は言った。

「--卓雄くんのこと…弟としてしか見れないの」

同じ年なのにー
弟?

ふざけるなー!

そう思った卓雄は、気づいたときには裕子の
後頭部にチャックを生み出し、
裕子を皮にしてしまっていたー

失恋の強いショックとストレスが、
卓雄に人を皮にする力を与えたのだった。

「ふふふふふふふ…」
裕子は自分の身体を触りながら微笑む。

「この身体はわたしのものー。
 わたしが裕子…ふふふふふふふふ!」

胸を触りながら興奮した様子の
裕子が、ふと入り口の方に目をやったー

「---相馬…さん」

”VIP”の中に、アルバイトの円花が
入ってきていたー

彼女は、好奇心から
退店したふりをして、
戻ってきたのだー

”閉店後の店には自分ひとり”

その油断から、裕子は
部屋の鍵を閉めるのを忘れていた。

「---な…何を…」
円花が唖然とした表情で言う。

部屋中に飾られた、少女たちの皮を見て
円花は
「ま…まるで本当の人間みたいですね」
と呟いた。

「---……帰ったんじゃなかったの?」
裕子は冷静を装って円花にそう問いかけた。

「あ…い、、いえ、ごめんなさい…
 ど、どうしてもこの部屋が気になって」
円花が頭を下げる。

まだ、円花はことの重大さに気づいていない。

ここに飾られているのは”人間を模した着ぐるみ”ぐらいにしか
思っていない。

ただ、”VIP”の部屋に入って来た時に、
裕子が胸を揉んでいたので驚いただけだ。

「---そ、、そう…」
裕子が”どうしてくれようか”と思っていると、
部屋にかすれた声が響き渡った。

”せんぱい…たすけて”

”せんぱい…”

まだ自我が残っている
華凜の皮ー

それが、円花に助けを求めた。

「え?」
円花が声のした方向を見る。

「うるせぇ!黙ってろ!」
裕子が豹変して、その皮に向かって、
持っていたボールペンを投げつけた。

「---ひっ!?」
円花が、”声を出した”皮を見て驚くー

そこにはー
少し前まで一緒に働いていた女子高生・華凜の姿があったー

人間ではなく、皮にされた状態でー

「…そ…うまさん…」
円花が驚きながら言うと、
裕子は「みたな…!」と呟くー

そして、次の瞬間、裕子の後頭部がパックリと割れた。

「きゃああああああああああああ!」
悲鳴を上げる円花。

裕子が床にふさっと横たわる。

脱皮された皮のようにー

その表情は笑みを浮かべたまま固まっていた。

そしてー
中から出てきた男ー卓雄が笑みを浮かべる。

「くひひひひひひひ…!」

円花はあまりの光景に恐怖で
その場に座り込んでしまう。

人間、恐怖で動けなくなることがあると言うが、
今の円花はまさにそれだった。

「---そんなに泣くなよ」
卓雄はそう呟くと、
笑みを浮かべてこう言った。

「ま、この姿じゃ怖いか」
卓雄はそう言うと、”たすけて”と呟く、華凜の皮を手にして
それを無理やり着込み始めた。

”あ、、、あ、、、ああああ、、、んあ、、ああ、あ、あ、あ”

華凜の苦しそうな声が薄れていくー

しばらくすると、男は、ツインテールがよく似合う華凜の皮を着こんだ状態で微笑んだ。

「せんぱ~い!秘密を知ったからには
 わたしと同になってもらいますよ~えへへ!」

華凜はそう言いながら、恐怖に身を震わせる円花の方に近づいてきたー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

大変なことに…!★
続きはまた次回デス~!
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