9話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている

♯9
病院を出た後、書店でマンガを物色し、夕方ごろに帰宅。親から色々聞かれたものの、特に何かあったわけではないので適当に流した。
夕飯を食べて、るんパ2の攻略を再開する前にちょっとだけ眠るつもりが、見事に爆睡。
気づけば週が明けて月曜日。
さすがに学校を休んでまでやるわけにはいかない。
とはいえやりたい。ちょっとだけでも進めておくか?などと考えてPCデスクに視線を移すと何やら見慣れぬ袋が目に入った。
「そういや…なんか貰ってたな」
昨日、小野中先生から帰り際に薬を渡されていたのだ。眠かったのでデスクに放り投げてそのままだったが、
なんでも漸転換型TS症の症状を安定させるものらしい。
進行を止めたりするものではなく、ホルモンがどーのこーのでとにかくいきなり倒れたりするのを防ぐそうだ。
よく覚えていない。なにせ眠かったし。
まぁ頻繁に倒れるのも嫌だし、飲んで損はないだろうと一錠飲み込んで、結局ゲームはやらずに登校した。

薬の効果もあってか、何事もなく一日終了。
授業中もるんパ2のことを考えていたので全然集中できなかったけど。

ダッシュで帰宅し、意気揚々と攻略を再開した。
深夜までかかったが順調に攻略を進め、残すところ最後の1キャラ。
前作には登場しなかった新キャラだ。
新キャラは3人いたのだが、このキャラを最後まで残したのは気乗りしない理由があったからだ。

「うーん…ギャルか……」


《兎根(とね) ルルカ》。いわゆる褐色ギャルだ。
ウェーブのかかった金髪で、濃い目のメイクに派手な恰好をしており、爆乳。
制服を着崩しに着崩し、胸も尻も常時ほぼ丸出し。
あだ名はギャル兎根。主人公のことをオタクくんと呼びからかう、いかにもギャルという感じのキャラクター。
かわいいはかわいいのだが、ギャルにトラウマのあるオレとしてはそれだけでちょっと…という感じ。
しかもこのキャラにはそれ以上の問題があった。
なんと、ビッチなのである!
他のルートでもたびたび登場するわけだが、主人公以外とのエッチシーンばかり。
乱交援交なんでもありの学内でも有数のヤリマ〇なのだ。
ギャルゲーとしてそれはどうなんだ?いや、エロゲーか。
ともかく『るんパ』は魔法学園を舞台とした王道純愛系のゲームであり、魔法の源は愛という設定になっている。
大抵はシナリオのラストで主人公とヒロインがラブラブすることで『真なる魔法(ルーン)』を発動し、なんやかんやあってハッピーエンドなのだ。
そこが気に入ってるところでもあるし、ギャル兎根のキャラはテーマに反するノイズのように感じられた。
なによりオレの好みじゃない。黒髪清楚妹キャラであるありさたんとは似ても似つかないしな。

「もう少しでギャラリーもコンプだし…一応やるか」

消化試合でも行うつもりで、オレはルートを選んだ。

「ほほぅ…これは…ほほぅ…なるほど…」
カチカチカチカチ。

「ふぅ~ん……へぇ………むむむ………」
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ。

「くっ…はぁ…はぁ…はぁ…」
カチ。カチ。カチ。
しこしこしこしこしこしこしこしこ。

「…………ふぅ~~~~~~~~………」
数時間後、オレは大きく息を吐き出し、げっそりとした顔で朝陽を拝んでいた。
カーテンを開けて部屋に差し込む鮮やかなオレンジ色が、徹夜明けの瞳にまぶしい。
だが、悪くない。
今はこの世の全てに感謝し、過去の自分を恥じたい気分だ。
抜いた。抜きまくった。精魂尽き果てた。部屋にはティッシュが散乱し、精液の匂いがこびりついている。

あとで知ったことだが、実はこのキャラ他のキャラをすべてクリアしないと攻略できなかったらしい。
いわば裏ヒロイン、いやもうひとりの主人公と言っていい。
シナリオボリュームも、エッチシーンもおそらく全キャラで最も力が入っているんじゃないだろうか。
エンディングに感動して号泣したあと、回想シーンでいっぱい出た。

シナリオについて詳しく語るのは控えておこう。ネタバレになるからな。
ただひとつ言いたいことは、二次元と現実はちがう。二次元最高ということ。
リアルギャルが嫌いだからといって、二次元ギャルを嫌いになる理由はないんだ。
褐色爆乳ギャルビッチは正義。目が覚めたよ。ギャルアンドピース。
別にありさたんから推しを変えるつもりはないが、どちらが抜けたかと言われればルルカに軍配が上がるだろう。
なんやかんやありつつ最終的には主人公とラブラブになったしな。
一番好きなキャラはありさたん、一番エロいキャラはルルカ。そういうこと。
全てのシナリオをクリアしたのでネットでるんパ2の評判を漁ったりしてみたが、やはりルルカ人気がダントツ。
既にファンアートも描かれており、マッハで保存した。
さらにはその流れでルルカに限らず褐色ギャルエロ絵も検索検索。止まらない、止まらない。
なんというか、新たな価値観を知った感じだ。脳が、脳が刺激されている。
気づけば新規フォルダには数百枚のイラストが保存されていた。
フォルダの充実っぷりに満足していたこの時のオレは、そのイラストのほとんどが《犯されているギャル》であることには気づいていなかった。

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