TNG 2024/09/21 22:03

キャラクターの日常14  

【ある路地裏の風景】


暗い路地裏に、男の身体が地面に崩れる
ドサリという音が響く。

俺は周囲を見渡し、全員の処理が終わった
事を確認してから、ビルの壁を背に
へたり込んでいるハゲを見下ろした。

俺>「随分、やられたな」

俺を値踏みするかのように見上げるハゲ。

ハゲ>「あんた、強えぇんだな」

どこか訛りを感じさせる声。

俺は男達から取り返した財布を
ハゲに投げ渡してやる。

ハゲ>「助かった……恩に着るぜ」

財布を大事そうに懐へとしまい込むハゲ。


それは偶然だった。

街の情報屋を訪ねた帰り道。

路地裏が騒がしい事に気付いて何となく
覗いてみると、昼間に見かけたハゲが、
数人の男達に袋叩きにされている所だった。

ハゲは力任せに拳を振って反撃して
いたが、男達には簡単に避けられ、
カウンターを喰らい続けていた。

そしてとうとう壁を背に座り込んだ
ハゲの懐から財布を掴み取った男達は、
機嫌良さそうに歩いてくる。

俺>(偶然……か……)

何か作為的なものを感じたが、
手が欲しかったのも事実だ。

男1>「あん?何だ、兄ちゃん。
    おめぇも財布を置いて……
    ゲフッ!!」

男2>「ハァァ!?何晒して
    グハッ!!」

男3>「うげぇ……」

目の前の男達を黙らせ、落とした財布を
掴み取る。


ハゲ>「全財産、失くす所だったぜ……
    いててぇ……。
    そうだ。
    なんか礼がしてぇんだけどよ。
    どうすりゃ良いんだ?」

そんな事を口にしながら立ち上がろうと
してヨロけるハゲに、俺は提案する。

俺>「そうだな。
   ……飲みに付き合って貰おうか。
   安くて旨い店が近くにある」

先程の情報屋から、ついでに仕入れた
ネタが、早くも役に立った。

ハゲ>「そんなんで良いんけ?
    まぁ、そういうなぁ、こっちも
    大歓迎じゃて。
    ワシゃ、最近こっちに越して来た
    ばっかでよぉ……」

それからハゲの話を聞きながら、
俺は店へと向かう。

少し見聞きしただけだったが、予想通り、
こいつはバカで不器用だった。

だが力は有り余ってるようで、上手くやれば
使えない事も無さそうだ。

俺>(もう少し情報を引き出してから
   判断するとするか)

そこまで考えて、また誰かの作為を
感じた気がした。

俺>(何か……気に入らねぇな……)

ハゲの話を聞き流しつつ、何となく
塀の上を見ると、黒と白の猫が
こちらを見下ろしていた。


金髪男とハゲ男の二人の出会いのお話です。

このお話は、あと数話、続く予定です。

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