キャラクターの日常14
【ある路地裏の風景】
暗い路地裏に、男の身体が地面に崩れる
ドサリという音が響く。
俺は周囲を見渡し、全員の処理が終わった
事を確認してから、ビルの壁を背に
へたり込んでいるハゲを見下ろした。
俺>「随分、やられたな」
俺を値踏みするかのように見上げるハゲ。
ハゲ>「あんた、強えぇんだな」
どこか訛りを感じさせる声。
俺は男達から取り返した財布を
ハゲに投げ渡してやる。
ハゲ>「助かった……恩に着るぜ」
財布を大事そうに懐へとしまい込むハゲ。
それは偶然だった。
街の情報屋を訪ねた帰り道。
路地裏が騒がしい事に気付いて何となく
覗いてみると、昼間に見かけたハゲが、
数人の男達に袋叩きにされている所だった。
ハゲは力任せに拳を振って反撃して
いたが、男達には簡単に避けられ、
カウンターを喰らい続けていた。
そしてとうとう壁を背に座り込んだ
ハゲの懐から財布を掴み取った男達は、
機嫌良さそうに歩いてくる。
俺>(偶然……か……)
何か作為的なものを感じたが、
手が欲しかったのも事実だ。
男1>「あん?何だ、兄ちゃん。
おめぇも財布を置いて……
ゲフッ!!」
男2>「ハァァ!?何晒して
グハッ!!」
男3>「うげぇ……」
目の前の男達を黙らせ、落とした財布を
掴み取る。
ハゲ>「全財産、失くす所だったぜ……
いててぇ……。
そうだ。
なんか礼がしてぇんだけどよ。
どうすりゃ良いんだ?」
そんな事を口にしながら立ち上がろうと
してヨロけるハゲに、俺は提案する。
俺>「そうだな。
……飲みに付き合って貰おうか。
安くて旨い店が近くにある」
先程の情報屋から、ついでに仕入れた
ネタが、早くも役に立った。
ハゲ>「そんなんで良いんけ?
まぁ、そういうなぁ、こっちも
大歓迎じゃて。
ワシゃ、最近こっちに越して来た
ばっかでよぉ……」
それからハゲの話を聞きながら、
俺は店へと向かう。
少し見聞きしただけだったが、予想通り、
こいつはバカで不器用だった。
だが力は有り余ってるようで、上手くやれば
使えない事も無さそうだ。
俺>(もう少し情報を引き出してから
判断するとするか)
そこまで考えて、また誰かの作為を
感じた気がした。
俺>(何か……気に入らねぇな……)
ハゲの話を聞き流しつつ、何となく
塀の上を見ると、黒と白の猫が
こちらを見下ろしていた。
金髪男とハゲ男の二人の出会いのお話です。
このお話は、あと数話、続く予定です。