DOAプロレス　かすみVSあやね　雪上の戦い　イラスト提供　ふゆみさん

「リュウ様が、あんたを連れ戻せってさ」

「ハヤブサさんが・・・」

ピュー、ピューと雪の吹き荒ぶ山奥

あたりには、無骨な山の岩肌、それ以外は一面の雪景色

もしも登山客が見たら信じられないと目を疑うような軽装の美少女が二人対峙していた。

一人は茶髪を一本に縛った美少女かすみ

胸元が大胆に開き、太腿が露わになった青の忍び装束瑠璃光を身に纏い、その表情はどこか憂いを帯びていた。

そして、もう一人の美少女はあやね

深紫色のチューブトップ、ミニスカートの和装姿

腰には蝶のように大きな朱の帯が結ばれている彼女はかすみとは違い、どこか好戦的で不敵な雰囲気を纏っていた。

この二人は種違いの姉妹で、浅からぬ因縁があった。

DOA第一回大会

里を襲いかすみとあやねの兄ハヤテに重傷を負わせた憎むべき男、ライドウ

そのライドウを討つべくトーナメントに参加したかすみは決勝であやねを下し、優勝

かすみは、ついに姿を現した兄ハヤテの仇、ライドウを辛くも討つことに成功した。

しかし、ライドウを討った際のデンジャーゾーンの爆発事故に巻き込まれたかすみはDOAの裏で暗躍する【組織】に拉致されてしまう。

時を同じくして、兄ハヤテもまた、忍びの里から【組織】に拉致され、かすみと共に研究材料にされてしまう。

兄の親友である忍び、リュウ・ハヤブサ

彼の活躍によりかすみは【組織】から救出されたものの兄ハヤテの奪還は叶わなかった。

兄をこの手で取り戻す。

その揺るぎない目的のために、リュウ・ハヤブサの制するのを振り切り飛び出してしまったかすみ

そんなかすみをリュウからの命を受けたあやねが追いかけてきて今に至る。

「まったく、こんなこところまで・・・こっちの身にもなってよね・・・」

あやねは少し肩をすくめるとため息をついた。

かすみは沈黙し何も答えない。

「・・・」

「はぁ・・・あなたはいつもヒロインだった・・・」

「？」

「リュウ様や里の連中にとってはね」

あやねは吐き捨てるように言った。

「可愛がられて、大事にされて！」

「・・・」

「でも、私にとっては違う。あんたは、邪魔！あたしにとってはあんたはただただ邪魔な存在でしかない！」

あやねは怒気を強める。

「昔も・・・今も！」

「あやね・・・お願い、私のことはそっとしておいて！　私は攫われた兄さんを助けたいだけなの！」

「ぐぅ！」

あやねは顔を顰めた。

（あたしだってこの手でハヤテ様を助けたいに決まってるじゃない・・・だけど・・・）

忍びの世界では命令は絶対

○すことなど許されない。

まして、情に流されるなど言語道断

しかし、かすみはそれをいつも平然とやってのける。

自分のやりたくてもできないことを

かすみはやってのける。

あやねはかすみの自由奔放さが、羨ましくもあり、恨めしくもあった。

「そういうとこよ！」

「？」

「あんたのそういう、本当に何も考えない！　能天気でお気楽なところ！　そういうところがほんとにムカつくのよ！」

あやねはそう告げるとクナイを構える。

スチャ！

かすみもあやねの高まる殺気を感じ、腰に携えた小太刀を抜く。

そして次の瞬間

ガキン！

雪山の中に冷たい光が閃き、鋼と鋼のぶつかり合う音が冴え渡る。

キーン！　キーン！

クナイを握るあやねと小太刀を抜いたかすみ

二人の握る刃の刃がぶつかり合い激しく火花を散らす。

「退いて！　あやね！」

「退くわけないでしょ！」

ギチギチ！

鍔迫り合いをする二人

「ハァ！」

パァン！

「！？」

あまりに激しくぶつかり合った結果

両者の得物は互いに後方に跳ね飛び、ザクリと雪に突き刺さる。

「はぁ、はぁ・・・」

スッ！

かすみは手刀を構えて臨戦体勢を継続

あやねもまた、油断なく構えを取りかすみに睨みを効かせる。

「忘れないでよね？　あんたは抜け忍！　リュウ様のように、あたしは甘くないわよ？　かすみ！」

「・・・」

「言うこと聞かないなら、腕の二、三本折ってわからせてあげる！　力づくで連れていくから、覚悟しなさいよ？」

「あやね・・・本当は闘いたくないけど・・・邪魔するなら容赦しない！」

ザッ！

「ふん！　かかってきなさいよ！　かすみ！　思い知らせてあげる！」

険悪な雰囲気の漂う二人

壮絶な姉妹喧嘩が今、再び幕を開ける。