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リョナの記事 (5)

ポケトレスラー カルムVSアカネ 

1本先取 ノーマルマッチ

カルムVSアカネ

設置されたリング中央で少年と少女が対峙していた。

少年の名前はカルム。艶やかな黒髪、まだどこかに幼さを感じさせながらも精悍な顔立ちをしている。

カルムはポケトレスラーの頂点、チャンピオンを目指して日々挑戦を続ける若きポケトレスラーだ。

華奢な体つきだが、胸板はたくましく盛り上がり、腹筋のシックスパックは鍛えてほんのり割れている。

青のブーツ、青のブーメランパンツに身を包み、若々しく爽やかな印象だ。

対して少女の名前は、アカネ。

ピンク色の明るい髪、クリクリとした愛らしい瞳、まるでアイドルのようなキュートな容姿だが、ジムをリーダーを担う戦乙女だ。

赤のリングブーツ、赤のラインが入った白の水着に身を包んでいる。

アカネは、小柄で、ムチムチとした豊満な体つきをしている。

まるでメロンのように豊かな胸が水着からこぼれんばかりに膨らみ、ハイレグ気味に食い込んだ水着からプリンとした桃尻と太ももがあらわになっている。

彼女が動くたびに、たわわに実った果実がふるんふるんと揺れて、男性レスラーは釘付けになり、生唾を飲み込む。

特に男性レスラーは注意せねばならない。戦う前から彼女のメロメロボディに悩殺され、醜態をさらし、試合を始められないものすらいるからだ。

また、愛らしい見た目に騙され、手加減などしてはいけない。彼女は可愛らしい容姿に油断して舐めてかかってきた挑戦者をことごとく粉砕してきた実力者だからだ。

舐めてかかると痛い目を見る。数々のレスラーにトラウマを植えつけてきた。

そしてついた彼女の異名は「トラウマミルク戦車」だ。

「うわー」

カルムは心の中でつぶやき、内心は穏やかでなかった。

目の前には水着からはちきればかりの柔らそうな双丘と切れ込みの角度がきわどいレオタードから覗くふともも、前からすら豊かなお尻の形がわかってしまうような気がしてカルムは目のやり場に困ってしまう。

「?」

アカネはなんだかそわそわしているカルムの様子を見て、小首を傾げる。

「カルムくん。大丈夫?具合でもわるいん?」

アカネは気さくにコガネ弁でカルムに話しかけてくる。

当人のアカネは、女を武器に勝とうとするような悪女系ではなく、健康的で天然な純情娘。

男を悩殺し惑わせるような扇情的なコスチュームもデザインが可愛くて着たいから選んだ。

動きやすいから選んだという感じで、相手がどんな目で自分を見ているか無自覚なのでたちが悪い。

「いえ、大丈夫です」

カルムはぎこちない笑顔を作ると答えた。

「そーかぁ、なら、よかったわー」

アカネはそう言うと目を細め、天真爛漫に笑った。

「なら、全力出さなきゃだめやで!ウチが女だからって手加減したら、ウチカルムくんのこと許さへんからね!」

アカネは頬を膨らませ、腰に手を当てるとカルムに念をおした。

またアカネの豊かな胸がたうんと揺れたのをカルムは見てしまい動揺してしまう。

「は、はい。」

カルムは少ししどろもどろになりながら答えた。

そして、いよいよ試合開始のゴングが鳴らされる。

両者かまえると相手のことをじっと見つめる。

カーン!開始のゴングが鳴らされる。


ゴングの音を聞いた瞬間、カルムのポケトレスラーとしてのスイッチが入る。

精神に動揺はなく、構えてアカネの動きながら、戦略を練る。

力なら、こちらが有利のはず、力比べを挑んでペースを掴めれば・・・

カルムがそんな算段をつけていた矢先だった。

カルムの目に跳躍するアカネの姿が映ったかと思うと次の瞬間、カルムの顔をむっちりとした幸せな感覚が包み込む。

なっ!しまった!!

カルムは心の中で叫んだ。

カルムは予想外の大技に動揺を隠せない。

アカネのふとももで締められ、カルムはうむむーと声にならない叫びをあげる。

アカネは飛び乗ったカルムの顔面の上で叫ぶ。

「食らえ!フ・ラ・ン・ケン!シュタイナー!!」

カルムの体はぐるんと反転し、リングに頭から力一杯叩きつけられた!

「ぎゃああ!?」

カルムは悲痛な悲鳴をあげる。

頭を揺らされて朦朧とする。でんぐり返しをしたような無様な格好からすぐに立ち上がることができない。

「ほら!まだやで!」

すぐに立ち上がれないカルムをアカネが連続で踏みつける。ストンピングの雨あられ!

「男の子なら!このくらい!耐えなきゃね!」

ガスッ!ガスッ!ガスッ!

アカネのブーツがカルムの体を蹂躙する。

「ぐあっ!ぎゃっ!くはっ!」

踏みつけられるたびカルムが短く悲鳴をあげる。アカネの踏みつけがじわじわとカルムの体力を奪っていく。

「ほら!立つんやで!」

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・ごほっ」

アカネはカルムの腕を掴んで無理やり立ち上がらせる。

ううっ、頭がくらくらする。

カルムはダメージでまだ朦朧とする額を押さえる。視界には白いチカチカした光が舞っている。

カルムはフランケンシュタイナーのダメージがまだ残っていて、すぐに反撃できそうにない。

ふらつく脚でなんとか立っているのが精一杯という状況だ。

「ほら!行け!」

そんなカルムをアカネはコーナーめがけて力一杯振る。

「ぐっ!」

カルムは抵抗できず、コーナーに背後から叩きつけられる!

しかし、アカネの攻撃はこれだけで終わらない。

「いっくよ!!!」

カルムの叩きつけられたコーナーめがけて、突進!そして跳躍!カルムの顔面を黒い影が覆う!

「ぐあっ!」

あまりの衝撃でカルムは目に涙を浮かべ、意識がプツンと飛びそうになる。

アカネの必殺技、フライングピーチがカルムの顔面に炸裂!

アカネのボリューム満点のヒップとコーナーに顔面をサンドイッチされたカルムはたまったものではない。

逃げ場のない衝撃が脳を揺らす!

アカネがお尻をどかすと、支えを失ったカルムはぐたりとその場き尻餅をつき、舌を出した無様なアヘ顔をさらしてしまう。

「はぁ・・・はぁ・・・」

カルムは虚ろな目で、浅い息をする。

やばい。手も足も出ない。早く逃げないと次の攻撃はがくる。

自由の利かない体に鞭打って動こうとするが思うようにいかない。

「カルムくん、つらいやら?終わりしてあげるな」

アカネはカルムに優しくそう言うと足をつかみリング中央に引きずっていく。

カルムをリング中央に寝かせるとアカネはカルムの背後に回り抱きついた。

そしてカルムの腰に自分の脚を絡めて引きしぼる。

「ぐあっ!」

カルムは体をビクつかせる。

「それじゃ!いくで!」

アカネはカルムの耳元で囁くと体を反転させてぐりんと回転した。

腰をアカネの脚で掴まれているカルムもアカネの回転に合わせて強○的に回転させられてしまう。

アカネは止まることなく、円を描いてリング上をどんどん転がっていく。

カルムはアカネにされるがままリングの上を転がされ、三半規管を破壊されるダイヤル固めの餌食となる。

リングを3周ほど回転した後、アカネはカルムの腰をとらえたまま、体を半回転させ、フォールに入る。

カルムはまたしても、尻を突き出した屈辱的なでんぐり返しのポーズを強いられる。

「1・・・」

カルムの回転でグワングワンになった頭の中でアカネのカウントする声が聞こえる。

「2・・・」

僕は負けるのか?

されるがままやられて、このまま終わっていいのか?

カルムは体に力をみなぎらせた!

「うおおおおおおおお!」

カルムはスリーカウント入る直前で、体を跳ねあげ、アカネの拘束を引き剥がす。

勝負が決まると確信していたアカネは、カルムの土壇場の粘りに驚きを隠せない様子だ。


「よく返せたな?カルムくん。ウチ、そういうガッツのある男の子好きやで」

余裕の表情を浮かべるアカネ。対してカルムはなんとかスリーカウントを免れたものの蓄積したダメージが辛い。

アカネが完全に優勢なこの流れをどう変えるか。

カルムは一か八か勝負に出た。

防御を捨ててのインファイト!

アカネの懐に飛び込み、渾身の拳をアカネのボディに叩き込んでいく!

ドズン!

カルムのぎゅっと握った拳がアカネの無防備な鳩尾にめり込む。

アカネの柔肉にカルムの無骨な拳が沈み込み、蹂躙する。

「きゃあ!」

アカネはあまりの痛みにおもわず、女の子の声をあげてしまった。

カルムが捨て身の攻撃を仕掛けてきたことはアカネの誤算だった。

カルムは体力を回復させるために距離を取るだろうと予想していたアカネはカルムの攻撃に対する反応が一歩遅れてしまう。

「けほっ・・・けほっ・・」

鳩尾を殴られて、アカネは目に涙を浮かべてむせこむ。効果は抜群だったようだ。

カルムはアカネがひるんだ隙を見逃さず、次々に拳を固め叩き込んでいく。

アカネは必死に両腕でガードを固めるものの、その細い腕の隙間をぬって、カルムはアカネの脇腹あたりを責め立てていく。

「シュッ!シュッ!シュッ!」

カルムはジャブやフックを繰り出す。

ドスッ、ドスッ、ドス!

カルムの拳がアカネの脇腹を殴り、柔らかボディを変形させる。

「きゃう!あぅぅ!いや!」

柔肉を拳で殴られるたび、アカネは可愛らしい悲鳴をあげてしまう。

アカネは顔や鳩尾を殴られることを恐れて体を丸めて守りの体勢に入る。

反撃してこないアカネにカルムは勢い付いて拳だけでなく、蹴りも叩き込んでいく。

「オラオラオラアアア!」

カルムのローキックやミドルキックがアカネの肉を打ち据える。

ビシッ!バシッ!

キックがヒットするたびに、肉がふるんと揺れ、アカネは痛みに身をビクつかせる。

「きゃう!あうう!はうう」

試合開始とは対照的に今度はアカネがカルムに手も足も出ずサンドバッグのように叩きのめされる。

アカネはコーナーに追い詰められてしまう。

「捕まえた」

カルムはコーナーにアカネを追いつめると左手でアカネの首に喉輪をかける。

「きゃう!」

アカネは自分の喉を締めるカルムの左腕から逃れようと身をよじる。

「やあ!離して!」

アカネの抵抗も虚しくカルムの腕を引き剥がすことができない。

「きゃああああ!」

カルムが左手にさらに力を込めたのでアカネは悲鳴をあげ、喉輪を外そうと両手でカルムの左腕を搔きむしるがビクともしない。

カルムはアカネがガードを崩すこの瞬間を待っていた。

「いくぞ!!!!!」

たっぷりと右膝を引き絞り、がら空きになったアカネのどでっぱらめがけて渾身の一撃を叩き込んだ。

次の瞬間、アカネの下腹部に吸い込まれるようにカルムの右膝がじゅぷりとしずみこむ。

「いやああああああああ!」

アカネは膝で腹を貫かれ絶叫。

容赦ない一撃が内臓をかき混ぜる。

アカネは激痛が駆け巡り、息が止まりそうになる。

目を白黒させ、舌をだらしなく突き出した。

アカネはカルムが喉輪を外した瞬間、その場に尻餅をついてダウンした。

「あう・・・い、痛い・・・」

あまりの痛みに、貫かれた腹をさすり、アカネはリングをのたうちまわる。

「痛いよう・・・」

アカネは目に涙をため、お尻を突き出した無様な格好で攻撃された腹を庇っていた。

「ほら立って!もっと痛いのいくよ!」

無情にもカルムが追い討ちをかける。

「いや!いや!」

カルムは嫌々と首を振り抵抗するアカネを立ち上がらせて、後ろから腰をクラッチする。

そして、アカネの体を高々と持ち上げる。

ふわりとリングから持ち上げられるアカネの体。

「いくよ!!!」

カルムは掛け声とともに前にアカネの体を落下させる。

そして、落下地点にはカルムの膝が待ち構えている。恐怖のアトミックドロップ!

ドチュン!

「きゃあああああああ!」

カルムの膝爆弾がアカネのヒップを直撃!

衝撃で豊かな尻たぶと胸がブルンブルンと暴れまわる。

突き上げるような甘く危険な痺れがアカネの体を駆け巡り、抵抗する力を奪っていく。

「あえ・・・あへ・・・」

アカネは舌を突き出してアヘ顔を晒してしまう。

「まだまだ!」

「きゃあ!」

カルムの掛け声とともに再度体を担ぎ上げられアカネは我に返った。

弛緩した体は易々とカルムに担ぎ上げられてしまう。

「いやああああ!」

一撃で終わらない餅つき式アトミックドロップ地獄!

ドチュ!

カルムの膝が再度アカネのおしりを蹂躙する。

「あひいいいい!」

尻を打ち据えられた瞬間、アカネはぷるぷると太ももの肉を小刻みに震わせた。脚の力が抜けて、踏ん張りがきかずまるで生まれたての子鹿状態だ。

カルムが開放してやると、アカネはたまらずダウン。責め立てられたお尻をさすり、目には涙をため歯を食いしばって痛みに耐えている。

アカネが瀕死寸前であることは明らかだ。カルムはアカネを仕留めにかかる。

「ほら!立て!さっさとギブアップしろ!」

カルムはリングにへたり込んでいるアカネを無理やり立ち上がらせると後ろから首に腕を回して締め上げた。

「きゃあ!」

アカネは悲痛な声を上げた。

脚の踏ん張りがきかず、カルムが締め上げなくてもどんどんアカネの体は下がり、喉が締まっていく。

「はやく!ギブアップしろ!」

カルムが乱暴な口調でアカネにギブアップを迫る。

「ノ、ノー」

ジムリーダーとしての意地かギブアップを拒否するアカネ。

はぁ、はぁとあらい息を吐き、限界なのは明らかだが、負けを認めようとしない。

「はやくギブしろ!さもないと締め落とすぞ!」

カルムがギブアップをさせようとさらに語気を強めて迫る。

「い、いやや!」

アカネは駄々をこねるように体をばたつかせる。

「ギ、ギブなんて、しない!」

なおも強情に負けを認めないアカネ。

「もうどうなっても知らないからな!」

業を煮やしたカルムは全力でアカネの首を締め上げた。

「きゃああああああああああ!」

アカネは尾を引いたような悲鳴をあげ、ポロポロと涙をこぼした。

そして、次の瞬間、アカネの腕も脚もだらりと力が抜けていった。

アカネの柔らかい背中がカルムの胸板に寄りかかってくる。カルムはアカネが失神したのを確認。

カルムは優しくアカネの体を抱きとめるとリングに横たえさせた。

決着のゴングがリングに鳴り響いた。

カルムはリングに跪くと気を失ったアカネの頬をペチペチと叩き、名前を呼びかける。

しばらくするとアカネはぱちりと目を覚ました。

「よかった!目を覚ました」

カルムが安堵の声を漏らした瞬間、アカネは大声をあげ、目から大粒の涙を流し出した。

カルムは突然の出来事に呆気にとられる。

アカネはわんわん泣きながら、カルムの胸板をまるで子どものようにポカポカ叩き始めた。

「ウチ、カルムくん、嫌いや!!ギブアップしろ!とか怖い言い方して!悔しいし!怖いし!負け認めたくなくなるやん!なんでそれがわからへんの!」

カルムは自分の胸の中で子どものようにぐずっているアカネの頭を落ち着くまで、よしよしと優しくなぜてやった。

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ポケトレスラー ホミカ VS メイ 時間無制限 一本勝負 ハードコアマッチ

ジムの中には無数のスピーカーが設置され、そこから腹に響くようなベースのリズムが吐き出される。
「D・O・G・A・R・S・・・DOGARS!」「D・O・G・A・R・S・・・DOGARS!」
まだ対戦前にもかかわらず、ジムを満たすギャラリーの歓声と熱気たるや凄まじく、まさにライブ会場のような盛り上がりだった。
ジムの中央、色とりどりのスポットライトに照らされたリングにはリングコスチュームに身を包んだ二人の少女が対峙していた。
一人は、白髪ショートヘアの少女。このジムのリーダー、ホミカ。
髪を頭の上でゴムで縛り、ちょんまげのようにしている。リングコスチュームは紫と浅葱のストライプ柄。黒の厚底ブーツを履き、手にはペンドラーをモチーフにしたベースギターを握っている。
もう一人は、茶髪のロングヘアをお団子ツインテールにしている少女。挑戦者のメイ。
体にフィットしたスポーティなタイプのリングコスチュームの腰の当たりには女の子らしい黄色のフリルがあしらわれている。淡い水色のリングシューズに、ピンクの指ぬきグローブも彼女によく似合っている。
ホミカは、自分の対戦相手の姿を足の先から頭の先まで、まるで値踏みするような目で眺めまわした。
ぴったりとフィットしたリングコスチュームのおかげで、メイの豊かな胸と引き締まったお腹のラインがくっきりと浮かび上がっている。
そして、端正な顔立ち、ぱっちりとした大きな瞳、天真爛漫な表情。きっと幼いころから、周りからちやほやされて生きてきたにちがいないとホミカは思った。
ホミカは心の中に、メイに対する妬みと嘲りの入り混じったドロドロとした感情が湧き上がってくるのを感じた。
ホミカは、心の中でメイを痛めつける算段をつけると心の中でつぶやいた。
いい気になってるのも今のうちだよ。すぐ慰み者にしてやるから。
しかしメイは、ホミカがそんなことを考えているなんて、知る由もない。
まもなくバトル開始のゴングが鳴るということで、メイはホミカに歩み寄った。
「ホミカさん。よろしくお願いします。いいバトルにしましょうね」
メイはそう言って、ホミカににっこりと笑いかけると、握手のために手を差し伸べた。
「・・・」
ホミカは口元を思わず引きつらせながら、メイが差し伸べた手をじっと見た。
メイのいかにもいい子然とした態度が、ホミカをよりムカつかせる結果になったらしい。
バチンという乾いた音がリングに響く。
ホミカがメイの差し伸べた手を手で弾いたのだ。
ホミカは呆気に取られて固まっているメイを尻目に、リングサイドに控えていたセコンドからマイクをひったくった。
「いい子ぶってんじゃねぇぞ!すぐにハードコアマッチの恐ろしさ教えてやっからな!」
ホミカはそういうとマイクをリングに叩き付けた。
そして、メイを指さした後に、親指で自分の首を掻き切るポーズ。おまけとばかりに、舌をべっと出すとメイに向かって中指を立てた。
その瞬間、会場はどっと沸いた。
「ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!」
早速のホミカのパフォーマンスに観客からホミカコールが湧き上がり、瞬く間に会場を埋め尽くす。会場のあちこちから、やっちまえホミカとか、挑戦者をぶっつぶせ!という野次が飛ぶ。
「なんなの?これ?」
今まで経験したことのない完全アウェーな雰囲気に、メイは戸惑い、飲まれてしまっていた。
これこそがホミカの狙い。メイはホミカの術中にはまってしまった。
メイの心はざわつき落ち着かないまま、ゴングの音がリングに響き、バトルの火ぶたが切って落とされた。
このままじゃいけない。バトルに集中しなくちゃ。
メイは自分を奮い立たせるように両手のひらで自分の頬をパンパンと軽くたたくと、ホミカを見据え、ファイティングポーズをとった。
「いくよ!あんたの理性ぶっとばすから!」
ホミカはそう叫んで、ベースギターを振りかぶりメイに向かって来た。
恐がったらダメ。落ち着いてメイ。メイは自分自身に言い聞かせる。
反則無用のハードコアマッチ。凶器攻撃は覚悟の上だ。
恐がって目を離さなければ、来るとわかっている凶器攻撃は「みきる」ことができる。
「これでも食らいな!」
ホミカはベースギターの柄を強く握り直し、まるで野球のバッターがするようにフルスイングした。
今だ!メイは目を見開くとギターの軌跡を捕らえた。
そして、両手でギターのボディをがっちりと掴む。
「やった」
思わずメイの口から安堵の声が漏れる。
後は、ギターをホミカから奪い取れれば、メイはそんなことを考え、顔を上げた。
次の瞬間、メイの目にはホミカの顔の表情がまるでコマ送りのように変化したように映った。
最初は、ギターを受け止められた驚きの表情、しかし、その表情はしてやったりという顔に変化した。そして、ホミカの頬がぷくっと膨らむ。次の瞬間、その口から毒々しい緑の液体がメイめがけて吹きかけられた。
「いやあああああああああ」
メイは目に激痛が走り、悲鳴を上げ、あまりの痛みに思わずうずくまってしまった。
痛みで目がまともに開くことができずに、目の前は真っ暗だ。
メイの耳に「でたー、ホミカの毒霧だ」というギャラリーの歓声が聞こえてくる。
毒霧。ギターを使った凶器攻撃と毒霧の二段構えの反則攻撃。やはり、ジムリーダーの実力は伊達ではない。
「たくっ、いつまでうずくまってんだよ」
メイの背後からホミカのいらだった声がした。そして、次の瞬間、メイの背中に激痛が走る。ホミカがギターのボディでメイの背中を打ち据えたのだ。
「きゃあっ」
メイの目からは涙が溢れ、口からは女の子らしい悲鳴が漏れてしまう。
メイは懸命にホミカの姿を取られようとするが、まだ視界が霞んで、はっきりしない。メイは視覚を奪われ、どこから攻撃されるかわからない恐怖に震えおののいた。
とりあえず、袋叩きにされないようによろよろと立ち上がり、音を頼りに辺りの気配を探ろうとするが、スピーカーから出る爆音と観客の歓声が邪魔して、ホミカの気配が掴めない。
ホミカはメイをあざ笑うかのように、声やベースの音をわざと出して翻弄してくる。
「ほーら、あたしはこっちだよ」
メイがホミカの声に反応して振り向くと、反対側から蹴りを入れられ、ベースで打ち据えられる。
「ほらほら、もっといい声で泣けよ」
ホミカがメイの耳元で挑発してくる。
悔しいがメイにできるのは視力が回復するまで腹や顔面を攻撃されないように、前かがみになり、両腕で前をガードすることだけだ。挑発に乗ってガードを解けば、ホミカの思うつぼだ。
メイは、悲鳴を上げまいと唇を噛み、ぐっと攻撃に耐えた。
「おらおら、どうした?悔しかったら。反撃してみろよ」
ホミカの攻撃は、メイが反撃しないのをいいことに苛烈を極めた。
特にメイの肩はベースで散々打ち据えられて内出血し痛々しい痣になっていた。
一方的になぶられ、劣勢に立たされているメイだが、わずかな希望もあった。
目の痛みが引き、奪われた視覚が徐々にではあるが戻ってきた。
しかし、そんなメイのわずかな希望もホミカの攻撃に打ち砕かれることになる。
「ったく、てめぇが悲鳴を上げなきゃ、ライブが盛り上がんねぇだろうが」
背後からホミカの声が聞こえた次の瞬間、棒状のものでメイは突然、首を絞められた。
「きゃああああああああ」
メイの口から、尾を引いた悲鳴が絞り出される。
「そうそう。それだよ。それ。もっと聞かせてよ!」
ホミカはベースギターのネックの部分をメイの喉に再度押し当てると、自分の体を反らして、メイの体を引き絞った。
メイはたまらず、また尾を引いた悲鳴を上げる。メイは必死に喉に食い込んだギターのネックを腕で外そうともがくが、ホミカに体を揺すぶられてうまくいかない。
しばらくして、悲鳴は枯れ、腕はだらりと下がり、メイは力なく膝をついてしまった。
目の焦点が合わず、完全に酸欠状態だ。
「もう、おねんねかよ?」
ホミカは握っていたベースギターをリングの上に置くと右手でメイの髪の毛を乱暴につかんで無理やり立ち上がらせた。
酸欠状態のメイにはなすすべがない。
「まだ、おねんねの時間には早いんだよ!」
そう言って、ホミカはメイを引きずるように連れまわし、体を背中からコーナーに叩き付けた。
「かひゅっ・・・」
メイは苦し気に顔を一度歪め、リングに尻餅をついて、動けない状態だ。
「いくぞ!みんな!Hey!Hey!Hey!Hey!」
ホミカはメイの腕をリングの一番下のロープにひっかけて固定すると、手拍子で観客を煽った。
会場はホミカに合わせて「Hey!Hey!」という掛け声で包まれた。
ホミカはゆっくりとした足取りで未だに立ち上がれずコーナーにへたり込んだメイに近づく。
メイの上にスポットライトを背にしたホミカが影を落とす。
メイは怯えた表情で自分を見下ろすホミカの顔を上目遣いで見上げた。
ホミカは悦に入った表情で言った。
「そうそう。その怯えた表情最高だよ。だけど、もっと綺麗にしてやるよ」
ホミカはいくぞっという掛け声で、観客を煽ると足を振り上げた。
メイの顔にホミカのブーツの靴底が迫ってくる。
「いやっ・・・うぶっ!」
メイの端正な顔をホミカのブーツの靴底が蹂躙し、悲鳴すら押しつぶす。
フェイスウォッシュ。
ホミカは会場の手拍子に合わせて、一発、二発、三発、四発とメイの顔を自分のブーツの靴底で擦りあげる。
まるで身の程知らずな挑戦者の体に、格の差と屈辱感を刷り込むように、情け容赦がない。
四発目のフェイスウォッシュを放つとホミカは唐突に、逆サイドのコーナーに走り出した。
ホミカはいくぞっという掛け声とともに腕を突き上げて観客を煽るとメイに向かって突進した。
「いやっ、やだ・・・」
何をされるか察したメイは、怯えた表情で突進してくるホミカを見つめる。
メイの目の前でホミカは脚を振り上げ、力いっぱいメイの顔を踏み抜いた。
「きゃあああああああ」
メイの悲鳴が響く。メイの上半身はサードロープとセカンドロープの間で、ぐったりとしている。その様子はまるで衝撃実験のダミー人形のようだった。
そんな中、会場から残酷なコールが上がる。
「もう一回!もう一回!」
ホミカは手を振り上げて、会場を盛り上げる。
小さかったもう一回コールは次第に大きくなり、会場を飲み込んだ。
会場の盛り上がりが最高潮に達したとき、ホミカはもう一度逆サイドのコーナーに走り、メイにとどめをするべく突進をしかける。
「あうぅ……」
メイはなすすべなくホミカのフェイスウォッシュの餌食になる。
「ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!ホ・ミ・カ!」
会場はホミカコールで埋め尽くされる。ホミカがリング中央で腕を振り上げると会場からどっと歓声が上がった。
ホミカは称賛と尊敬の念が自分に一心に注がれているのを感じ優越感を抱いた。
しかし、異変が起きた。会場の観客たちの歓声がやみ、急にざわめきに代わった。
思わず、ホミカは眉をひそめた。
次の瞬間、ホミカは背後に殺気を感じて、振り返った。
するとそこには、傷つきながらもファイティングポーズを取ったメイの姿があった。
フェイスウォッシュで額から血が流れ、リボンが千切れて、髪が乱れた痛々しい姿だが、メイの瞳から闘志は消えていなかった。
ホミカはメイの姿を見て、呆れたように大げさに肩をすくめて見せた。
「ふーん。あれ食らって、まだ立ち上がれるんだ」
「私は、まだやれる・・・」
メイははぁはぁと、荒い息遣いで言った。
「立ち上がらなければ、楽になれたのにさ」
ホミカはメイを憐れむように口調だ。
「叩きのめされて・・・何もできないまま・・・終わるなんて、そんなの嫌!」
メイは瞳に大粒の涙を溜めて叫ぶように言った。
ホミカはそれを聞いて、あっそと小馬鹿にしたように笑った。
「あんた、大した『不屈の心』と『精神力』だよ。それともあんた、もしかしてマゾ?」
ホミカの残酷な冗談に、会場からクスクスという冷たい笑いが起こる。
「まぁいいや、お望みなら、徹底的にかわいがってやるから」
そう言うとホミカは腰を落として、メイに突進した。
「うぐっ!」
ホミカの肩がメイの下腹部に突き刺さり、メイの口から胃の中の空気が一気に吐き出される。強烈なスピアータックルでメイはホミカに押し倒された。
したたかに背中を打ち付けたメイは悶え苦しむ。
「まだ終わりじゃねぇぞ」
ホミカは素早く立ち上がると仰向けに倒れているメイの両脚を掴んだ。
そして、両脚の間に自分の右脚を差し込むと、メイの両脚をクロスさせて、一気にひっくり返した。
その瞬間、メイはカッと目を見開き、悲鳴を上げて、リングを掻き毟った。
「痛い!痛い!痛い!痛い!放して!」
「どうだい?サソリの毒は効くだろ?」
ホミカはサソリ固めを完成させるとメイの苦し気な様子を見下ろして満足げに言った。
ホミカはより一層、腰をどっしりと落とした。すると、脚と腰は軋み、痛々しい悲鳴を上げる。
これ以上続ければ、メイからギブアップを絞り出すのは容易いがホミカはわざとサソリ固めを時、次の技に移行する。
激痛で糸の切れたマリオネットのようになったメイを無理やり立ち上がらせると、背後から絡みつき、コブラツイストを完成させる。
「きゃあああああ、やめて!放して!」
メイがいくら暴れても、大蛇のように巻き付いたホミカの腕と太ももを外すことができない。
「おらっ!おらっ!痛ぇか?痛ぇか?」
ホミカが腕を引き絞るとメイの豊かな胸に調度腕があたって、胸がより強調されてしまう。
締め上げられているメイはそれどころではないが、観客はその様子を見て、思わず生唾を飲んで見つめている。
たくっ、いい体してやがるとホミカは心の中で悪態をついた。
コブラツイストでしばらくメイを痛めつけるとホミカは技を解き、リングにメイを放り出した。
メイははぁはぁと喘ぎながら、リングにへたり込む。
息一つ上がっていないホミカとは対照的だ。
「あーあ、さすがにもうあんたの相手、飽きたわ」
ホミカはコーナーにもたれかかるとメイを見下して言った。
「まだ・・・まだ・・・勝負はこれから・・・」
メイはよろよろと立ち上がり、まだホミカに向かって来ようとする。
ホミカはメイのその様子を見て、舌打ちをした。
「うぜぇんだよ。そろそろ壊れろよ」
そう言うとホミカはリングに置いておいたベースギターを拾い上げた。
ギターで殴りつけ、倒れたところを締め上げて無様に失神させる算段だ。
二度とジム戦に立てなくしてやる。
ホミカはギターを振りかぶるとメイの側頭部めがけてフルスイングした。
しかし、ホミカのフルスイングしたギターは空を切り、空振りした。
メイは咄嗟にしゃがんで、ギターのフルスイングを回避したのだ。
ホミカは予想外展開に困惑した。
そして、ホミカの予想していなかった展開は続く。
ギターが空振りして隙だらけになった自分の顎に下から強烈な一撃が叩き込まれた。
ホミカはあまりの衝撃に目から火花が飛び、脳がぐらぐら揺れるのを感じながらへたり込んでしまった。
しゃがんだメイがサマーソルトキックを鮮やかに放ち、ホミカの顎を打ち抜いたのだ。
メイの鮮やかなサマーソルトキックには、ホミカを贔屓していた観客たちも思わず感嘆のため息を漏らした。
「ううっ、生意気なまねを」
ホミカはまだグラグラする頭を手で押さえながら、立ち上がろうとした。
その矢先、メイが助走をつけ、ホミカに突進。ホミカが立ち上がろうとして立てた膝を足場にして、メイはホミカの顎にまたもキックをお見舞いするシャイニングウィザード。
「せいやっ!」
「はうっ……」
ホミカは強かに後頭部をリングに打ち付けてダウン。観客はサマーソルトキックに続き、鮮やかに決まったシャイニングウィザードに称賛の歓声を上げた。
メイは今まで完全にアウェーだった会場の雰囲気が自分の方に傾きつつある確かな手ごたえを感じた。
メイはダウンしたホミカの脚を掴んでコーナーの近くまで引きずっていくと、自身はコーナーのトップによじ登った。
観客の注目がコーナーに上ったメイに集まる。
「みんな、いくよ!メイ!メイ!メイ!メイ!」
メイはホミカのマネをして、観客を煽った。観客の半分くらいはメイを応援してくれた。
メイはコーナーのトップから跳躍し、まるで体操の選手のように空中で美しく体を回転して、ホミカを押しつぶした。
ムーンサルトプレスが炸裂し、メイに押しつぶされたホミカは体を一度びくりと震わせて脱力した。
メイはすかさず自分の下敷きになっているホミカの肩を押さえてフォール宣言。
メイのフォールという掛け声と共に、会場から、ワン、ツーという声が響く。
あと少しでスリーカウントというところで、ホミカは目をカッと見開き、メイが押さえていた自分の肩を上げて、のしかかってきたメイの体を跳ねのけた。
ホミカの目はメイに対する憎しみで、メラメラと燃えていた。
「さっきまで、あたしの技一方的に食らって、アンアン喘ぐしかできなかったくせに、調子に乗りやがって!」
ホミカはそう吠えると拳を固めてメイに向かって来た。
「今度こそ、ぶっ壊してやる!」
ホミカの左フックがメイの頬に炸裂する。
「あうっ!」
メイの汗がリングに飛び散る。
しかし、メイも負けてはいない。殴られた瞬間、ホミカを見据え、拳をぎゅっと固めると右手を引き絞り、腰を落として正拳突きを放った。
「かはっ!」
ホミカはメイに突然懐まで間合いを詰められて、腹に正拳突きを叩き込まれた。
メイの正拳がホミカの腹に突き立てられ、ホミカの胃袋から空気を絞り出す。
ホミカは空気を求めるように口をパクパク動かし、痛みで目を白黒させてしまう。
動きの止まったホミカに対してメイは攻撃の手を緩めない。
「せいっ!やぁっ!とうっ!」
「ぐっ……あうっ……はぅっ……」
ホミカの腹や胸にメイのパンチやキックが次々に叩き込まれる。
ホミカの口からは女の子らしい喘ぎ声が漏れてしまう。
「くそっ、調子に乗るな!」
ホミカはケンカキックを放つ、メイの無防備になった腹をブーツの靴底が踏み抜いた。
「あぐっ!」
メイは苦悶の表情を浮かべ、動きが一瞬止まる。
「効いた!効いた!ざまぁ……」
満足そうにざまぁみろと言おうとしたホミカの一瞬飛びそうになる。
「なにっ?!」
ホミカは驚きと困惑の入り混じった声を漏らす。
ワンテンポ遅れて、ホミカは自分の側頭部にメイのハイキックが炸裂したことに気付く。
メイは腹を蹴られたダメージにひるむことなくホミカに攻撃を仕掛けてくる。
防御を捨てたダメージ覚悟のスタイル『インファイト』
「まじかよっ、うあっ!」
よろめいたホミカをメイのインファイトが追い詰めていく。
「くそっ!このっ!あたしから離れろ!」
ホミカもキックやパンチで応戦するが、殴られても蹴られても向かってくるメイの気迫に圧されて、じりじりと後退を余儀なくされる。
そして、ホミカが気付いた時には、メイにコーナーに追い詰められていた。
「しまったっ!」
逃げ場を失ったホミカ。メイの右腕がホミカの喉に伸びてきて、喉輪をかける。
「ひぐっ」
息苦しさと恐怖でホミカの口から小さな悲鳴が漏れる。
「捕まえた。もう逃がさない」
額から血を流したメイがホミカをギロりと睨み付ける。
メイはホミカに見せつけるように空いている左の拳をたっぷり引き絞る。
「やだっ、やめろっ」
ホミカは怯え、メイの拳から逃げようとするが喉輪をかけられて逃げることができない。
「はぁぁぁぁ、せいっ!」
メイの掛け声と共にホミカの鳩尾に拳が突き立てられる。
あまりの衝撃にホミカの呼吸が一瞬止まる。
「………っ」
しかも、ホミカはコーナーにサンドイッチされ、衝撃の逃げ場がない。
鳩尾を押さえてのたうち回りたいほどの激痛に苛まれるホミカだが、メイがそれを許してはくれない。
情け容赦ない鬼の攻めが続く。
メイは間髪入れずに、へたり込もうとするホミカの胸を踏みつけてコーナーに串刺しにする。
「うあっ!」
ホミカの胸が押しつぶされて、強○的に肺の空気を吐き出される。
ホミカの目には痛みで涙が溢れ、衝撃で口から唾液が飛び散る。
コーナーに串刺しにされた後、たまらずホミカはずるりと腰を下ろしてへたりこんだ。
「ねぇ、誰が休んでいいって言ったの?」
青息吐息のホミカにメイが影を落とす。
「ひぃっ!」
怯えるホミカの無防備な腹にメイはストンピング。
「ぎゃあっ……いやっ……痛いっ……」
ホミカはメイに腹を踏み抜かれて、情けない悲鳴を上げる。
「へばってないで、早く立ってよ!」
そう言うとメイはホミカの髪の毛を乱暴に掴んで無理やり立ち上がらせた。
メイに髪を掴まれた拍子に、ホミカの髪留めが千切れてしまう。
散々痛めつけられて抵抗できないホミカは、メイにリング中央まで連れてこられ、投げ捨てられる。
リングに大の字にダウンしたホミカ。そんなホミカの背後からリングに置いてあったギターを拾って来たメイが組み付く。
「おかえしっ!自分のギターで堕ちちゃいなよ!」
「ぎゃあああああああああ」
ホミカが断末魔の悲鳴を上げる。
メイがホミカのギターのネックで首をグイグイと締め上げてくる。
ホミカは体をびくんと痙攣させ、悶えた。
必死に腕でギターを首から剥がそうとするが、首の後ろにはメイの胸、首の前はギターのネックが密着して、腕を差し込む隙間がなく、うまく引き剥がせない。
メイは胸とギターのネックをギュウギュウ押し付けて、ホミカの気道を圧迫してくる。
「くそっ!は、はなせっ!はなせっ!」
ホミカはM字開脚のように開かれた太ももをばたつかせて、必死に抵抗する。しかし、もがけばもがくほど、酸素を消耗して、ホミカの白い肌は赤く上気していく。
「絶対に放してあげないから」
メイはぴしゃりと言い放つとギターを引き絞る。
「こ、こんなはずじゃっ……きゃあああああああ!」
その度に、ホミカの悲痛な叫びが上がる。
やがて、限界に近付いてきたのかホ、ミカの抵抗は弱くなってきた。
ばたつかせていた太ももは小刻みに痙攣しはじめ、目は虚ろで、涙が浮かんでいる。口は歯を食いしばって抵抗の意思を見せてはいるものの端からは唾液が垂れていた。
勝気な普段のホミカからは想像できない姿だ。
「はぁ……、はぁ……、はなして……く、くるしい……」
ホミカの口から泣き言ともとれる言葉が漏れる。
もう失神寸前だ。
そんな時、メイは突然ギターをホミカの喉から外して、立ち上がった。
ホミカは支えを失ってリングに倒れ、酸素をむさぼる。
「みんな、行くよ!」
そう言って、メイは軽やかにコーナーのトップに駆け上がった。
「これで、決めるよ!」
メイはそう言うと拳を突き上げて観客を煽る。
「メイ!メイ!メイ!メイ!メイ!メイ!メイ!メイ!」
メイのフィニッシュ宣言に、観客の期待が高まり、会場はメイコールで包まれる。
観客の声援は、コーナートップのメイの心を奮い立たせ、リングにダウンして半失神状態のホミカには絶望を与える。
観客の声援が最高潮に達したとき、メイはリングにダイブした。
鮮やかなムーンサルトプレス。ダウンして、動けないホミカの体をメイが押しつぶす。
「ぎゃあっ!」
ホミカは舌を突き出して、踏みつぶされたヒキガエルのような声を上げた。
メイはそのままホミカの体に覆いかぶさり、フォール。ホミカに、メイのフォールを返す力は残されておらず。勝負は決した。

「理性とんじゃったね」
メイは覆いかぶさったホミカの耳元ではなむけの言葉として、囁いた。

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ポケトレスラー カルムVSエリカ ザ・ファーストコンタクト

「どうぞ、こちらへ」

「お邪魔しまーす」

ジムに挑戦しに来たカルムは、案内係の女性に導かれ、入り口の門をくぐり中に入った。

ジムの中は、木造の落ち着いた雰囲気で、ヒノキの香りがほのかに香る。

なんだかしんと心が自然と静かになる。まるで寺社仏閣のような厳かな印象をカルムは抱いた。

カルムは案内役の女性に連れられて長い回廊を進む。

カルムが脇を見ると中庭が見えた。中庭は枯山水になっていて、白い砂利に流水のような模様が浮かび上がっている。

まるで古都の一角が切り取られて来たようだとカルムは思った。

「エリカお嬢様、挑戦者の方がお越しになりました」

カルムは弓道場に通された。

そこには、同着姿の黒髪の女性がまさに矢を射ようとしているところだった。

弓の弦を引き絞るその姿は凛として美しく、カルムは大和なでしことはまさにこの女の人のためにあるような言葉だなと思わず思った。

同着姿の女性は、声をかけられても動じる様子もなく、弓を弾く指をパッと放した。

矢は、ひゅっと風を切り、離れた的のど真ん中に寸分の狂いもなく命中した。

その鮮やかさにカルムは思わず、手を叩き称賛したくなってしまうくらいだった。

黒髪の女性はふぅと一呼吸入れると、弓を下ろした。そして、にっこりとほほ笑みをたたえ、カルムの方につかつかと歩いてきた。

カルムは女性の身のこなしがすべて洗練されているように感じ、見惚れてしまった。

「初めまして、わたくし、このジムのリーダーを務めさせていただいている。エリカと申します。どうぞよろしく、お願いします」

エリカはほほ笑むと優雅に一礼した。

カルムは、思わず委縮してしまう。

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします。カルムです」

ガチガチになっているカルムの様子を見て、エリカは思わず、かわいいと小さく呟き、クスリと笑ったようだった。
カルムは思わず頬が熱くなるのを感じる。

「ジムへの挑戦ですね。わかりました。支度をしますから、先にリングでお待ちください」

カルムは案内の女性に更衣室へ案内される。

《時間無制限 5ラウンド 3本先取制 ノーマルマッチ》


あたりに観客はなく、水を打ったように辺りは静かだ。

まるで剣道の道場という雰囲気のフロアの中央に設営されたリングでカルムはウォーミングアップのために体を軽く動かしていた。

カルムのリングシューズの擦れるキュッキュッという音だけが辺りに響く。

カルムは青のブーメランパンツに腕にサポーターというシンプルないでたちだ。

エリカはどんなリングコスチュームで戦うんだろうかとカルムはぼんやりと考えた。

いままで対戦してきた女ジムリーダーは目のやり場に困るような挑発的なリングコスチュームを着ていることが多かった。

胸の谷間が強調されていたり、お尻のラインが露わになっていたり。

カルムは、試合開始前に相手と対峙するたびにドギマギしてしまう。まぁ、勝負が始まってしまえば、相手がどんな格
好をしていようが関係なく、真剣に闘うのみなのだが。

弓道場でのエリカの凛とした姿や清楚なイメージからすると控えめな白のワンピースとか、お嬢様だから、上品な和服をイメージしたもののような気がする。

「すみません。お待たせしました」

カルムが、考え事をしていると背後からエリカの声がした。

「いえ、大丈夫です」

そう言ってカルムが振り返り、エリカの姿を見た。

カルムは思わず、顔を真っ赤にして、気恥ずかしさに口をパクパク動かしてしまう。

「どうされたんですか?」

エリカはそんなカルムの様子に怪訝そうに小首をかしげ、颯爽とロープを跨ぐとリングインする。

「い、いや。なんでもありません」

なんでも大ありだった。カルムは頭の中でプチパニックを起こす。

エリカはカルムの予想していた通り確かに和服をイメージしたリングコスチュームだった。

見るからにきめの細かい織物が生地に使われ、着物を意識した長い袖のサポーターをしていた。

しかし、今まで抱いていたエリカの上品で清楚なイメージと身を包んでいるリングコスチュームには大きなギャップがあった。

その胸元は大胆にはだけ、美しい肩のラインと豊かに実った双丘を惜しげもなく晒している。いかにも男を挑発するような、扇情的で背徳的な感じだ。

カルムの頭の中で、時代映画に出てくる純真無垢なお嬢様が悪漢に押し倒されて、着ている服を乱暴に脱がされているシーンがぐるぐる回る。

エリカのリングコスチュームはそんなイメージだった。

さらにえんじ色の大きなリボンのあしらわれた袴をイメージしたスカートには切れ込みが入り、黒のニーソックスに包まれたむっちりとした太ももが露わになっている。

カルムは目の前に立ったエリカを直視できず、目が泳いでしまう。

「どうしたんですか?試合の前から、そんなに固くなっちゃだめですよ」

エリカはカルムの様子を見て、くすくす上品に笑うとつかつか歩いてきた。

「ほら、リラックス。リラックス」

「ふわわぁっ」

エリカはカルムの背後に周ると、カルムの肩を優しく揉み解した。

カルムは突然のことに思わず体をびくつかせてしまう。

エリカの姿は発表会で緊張のあまり固くなっている教え子をいたわる先生のようだった。

しかし、カルムは耳元にあたるエリカの吐息と花のような「あまいかおり」にますますクラクラしてしまう。

「いい体してますね。でもわたし負けませんよ」

エリカはそう言ってカルムの前に戻ってきた。

エリカは上目づかいで悩まし気に自分の胸に手を置く。豊かな胸がふるんと揺れる。

「さぁ、いい試合にしましょう」

エリカは合気道のように手を開いて、優雅に構えを取った。

カルムもクラクラした頭のまま、慌ててファイティングポーズを取る。


カーンというゴングが静かなリングに響く。

一戦目のバトルの幕が切って落とされた。

相手がどうでるか、お互い距離を取り、最初は出方をうかがう。

観客のいない静かなフロアの中に、二人のリングシューズの擦れる音だけが響く。

しかし、沈黙を破りカルムがエリカにしかける。

「たあっ!」

カルムはエリカを捕らえようと手を伸ばした。

「参ります!」

エリカはカルムを迎え撃つ。

腰を落としたエリカは向かって来たカルムの右腕を取り、カルムの力を利用して、体勢を崩した。

「なっ」

体勢を崩して慌てるカルムをエリカの掌底が襲う。

「せいっ」

エリカの掌底がカルムの顎にヒットする。

「ぐあっ!」

カルムは掌底でかちあげられて、意識が朦朧としてしまう。

さらに、のけぞって無防備になったカルムの、どでっぱらにエリカの容赦のない膝の一撃がめり込む。

「かはっ!」

エリカの膝でカルムの体はくの字に曲がり、口からは唾液が飛び散る。

カルムはあまりの痛みに目を白黒させてしまう。

く、くるしい。

カルムは激痛に思わずその場にへたり込んでしまいたくなる。

でも、ダメだ!このままじゃやられる!

カルムは、決死の思いで歯を食いしばると、バックステップで、なんとかエリカから間合いをとった。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

カルムは口元を手で拭うと、なんとか乱れた呼吸を整えようとする。

「ふふっ、いい判断でした」

自分から間合いをとったカルムの姿を見てエリカは余裕の表情を浮かべて笑った。

エリカは息一つ上がっていない。早くも青息吐息のカルムとは対照的だった。

そんな状況がカルムを焦らせる。

うぅ、思った以上にダメージが大きい。なんとか流れを変えないと。

「うおおおおおおお!」

焦りから、カルムはぎゅっと拳を握るとエリカに向かって行く。

「あらあら、まるでイノシシですね」

エリカはカルムの必死な姿を見て、くすりと笑うと余裕の表情を崩さない。

カルムはエリカめがけて、ジャブやフックのコンビネーションを放つ。

しかし、それをすべてエリカのまるで舞のような動きでいなされ、手刀で拳をさばかれてしまう。

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……なんで当たらないんだ」

攻撃があたらず、焦り、カルムはどんどん興奮して、息を荒らげてしまう。

対してエリカは涼しい顔をしている。

「ふふ、がんばってください」

エリカはカルムから少し間合いをとると、上目遣いと余裕のセリフでカルムを「挑発する」。

「くそぅ、なめるなぁ!」

頭に血が上ったカルムは、腰を落とすとなりふり構わずエリカに突進した。

エリカのきゃっという小さな悲鳴が上がり、そのままカルムがエリカをマットに押し倒す。

カルムの目の前には仰向けの状態で、はぁはぁと吐息をあげ、胸を上下させている無防備なエリカの姿があった。

「もらったぁ!」

絶対的有利。エリカを組み敷いたカルムの目には、それが逆転の千載一遇のチャンスに映った。

カルムは右の拳を振り上げると力いっぱいエリカの鳩尾めがけて振り下ろした。

エリカがその瞬間、口元を歪めて笑ったのにも気づかずに。

それは一瞬のできごとだった。

カルムは振り下ろした拳をエリカの腕で受け止められた。カルムが咄嗟に腕を引こうとした瞬間、首と肩にエリカの

むっちりとした太ももが待ち構えていたように絡みつき、三角締めが極まってしまった。

まるで甘い蜜に誘われた虫が食虫植物の罠にかかった構図だ。

ぎゅううううううううう。

エリカの太ももがカルムの首を圧迫して、呼吸を阻害していく。

「ふぐんうぅぅぅううううっ!………」

カルムは声にならないくぐもった声を上げた。

カルムはエリカの両脚で頭と右手を固定されて抵抗ができない。左手で必死に首に「まきついた」太ももを引き剥がそ
うとするが、指がエリカの柔らかい太ももに沈み込むだけで、うまく引き剥がせない。

美少女の太ももで締め上げられる羞恥心のせいか、はたまた呼吸を阻害される苦しさのせいか、カルムの顔は見る見る朱に染まっていく。

「ほらほら?さっきまでの威勢はどこにいったんですか?」

カルムが上目遣いで見ると、エリカが小ばかにしたような笑いを口に浮かべている。

「ほらほら、もっとがんばってください。じゃないと落としちゃいますよ」

エリカはそう言うとカルムの首を絞める太ももに力を込める。

ぎゅううううううううっ

「うむぅうううううっ!………」

カルムの首に激痛が走る。カルムは腕を必死にばたつかせ悶え苦しむ。

カルムの意識が段々と遠のいていく。

やばい……このままじゃ……本当に落とされる……

視界が霞みカルムがそう思った瞬間だった。

「はーい。休憩です」

エリカが三角締めを解かないまでも唐突に首を絞める力を少し緩めた。

「ぷはっ……けほっけほっ………けほっ!」

カルムは思わず咳き込み、新鮮な空気を貪った。

「カルム君……」

「!?」

むせこむカルムが顔をあげるとそこには上気したエリカの顔があった。

「参りました。僕では、敵わないので、もう許してくださいって、そう言えたら、技を解いてあげてもいいですよ」

エリカがカルムをギブアップへと誘う。

屈辱的な敗北宣言を口にすれば楽になれるという甘い誘惑。

「だれが……はぁ……そんなこと言うもんかっ!……はぁ」

カルムはエリカを睨み付けると、荒い息を吐きながら、気丈に言い放った。

「そうですか。女の子の太ももで首を絞められている情けない恰好のくせに、言うことだけは一人前ですねぇ」

エリカは、流し目でカルムを見ると小ばかにした調子で言った。

「それなら、もっと苦しみなさい」

「う……んぐっ………っ………ぷはっ……んぐっ!」

再び、エリカの太ももがカルムの首にぴったりとまとわりついて、締めつけてくる。

しかし、今度は絞め続けるのではなく、絞める力を加減して、強く締めたり、弱く締めたりして、カルムを責め立てる。

「ほらっ!ほらっ!降参しなかったことを後悔なさい!」

くそっ、ぼくは、完全にエリカに遊ばれてる。このまま、終わるもんかぁ!

カルムは全身に闘志をたぎらせた。

エリカは完全に僕を舐めて油断している。

思いあがったお嬢様ジムリーダーに思い知らせてやる。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

カルムは雄たけびを上げると全身の筋肉のバネを使って躍動した。

「きゃっ!」

突然、エリカは高々と担ぎ上げられて驚きのあまり短い悲鳴を上げる。

「バカな。この子のどこにこんな力が!?」

カルムは体が壊れるのも、三角締めがさらに締まることも覚悟の上で、立ち上がった。
「いやっ」

エリカの顔に初めて焦りの色が浮かぶ。

しかし、カルムはエリカを逃がさない。持ち上げたエリカを背中から思い切りリングに叩き付けた。

ズダァン!!!

凄まじい衝撃がリングに響く。

「かはぁっ!」

エリカは背中からリングに叩き付けられたインパクトの瞬間、目の白黒させ、唾液を飛び散らせた。

エリカは脱力し、カルムの首を締め上げていた太ももも緩んで隙間ができる。

カルムはその隙をついて、抜け出すと、ぐったりとしているエリカに追い打ちをかける。

「エリカさん。いままでのお礼をたっぷりさせてもらうよ!」

カルムはそう言うと、仰向けでひっくり返っているエリカの体をうつ伏せにし、どっしりとその背中に腰を下ろした。

ぎしぎしぎしいぃぃぃぃ!

「きゃあああああああああああ」

エリカの尾を引くような艶めかしい悲鳴がリングに響き渡る。

エリカの背中に腰を下ろしたカルムが膝にエリカの腕をひっかけて、これでもかとエリカの上半身をのけ反らせる。

カルムのキャメルクラッチがエリカの腰を破壊せんと責め立てる。

「ほらっ!エリカさんギブアップしなよ!」

カルムは厳しい口調で、エリカにギブアップを迫る。

「いやああああああああああああ」

エリカは腕をばたつかせ、艶やかな髪を振り乱して首を振りたくるがどうすることもできない。抵抗するたびに豊かな胸が虚ろにふるふると揺れる。

「いやっ、ギブアップなんかしないっ!」

エリカは目に涙を浮かべ、ギブアップを拒否する。

「それなら!これでも食らいなよ!」

そう言うとカルムはエリカがばたつかせていた腕を掴んで、エリカの喉の前でクロスさせ、後ろに引き絞った。

「ひぐううううううううっ!!!」

エリカはくぐもった悲鳴を上げる。

クロスされた自身の腕がエリカの喉をどんどん圧迫していく。

「はひっ……あうっ……」

容赦なくエリカの体を引き絞るカルム。

エリカは苦し気な吐息を漏らし、エリカの体から抵抗する力が失われていく。

そしてエリカはほとんど白目を向いた半失神状態に陥ってしまう。

カルムは引き絞っていたエリカを解放してやる。

エリカは力なくとさりとリングに倒れ伏す。

エリカは散々痛めつけられて虚ろな目、弛緩した口からだらしなく舌を突き出し、リングに這いつくばることしかできない。

カルムはエリカを仰向けにすると覆いかぶさりフォールした。

「フォール!」

エリカはカルムを跳ね除けられそうにない。

「1………2………3!」

3カウント入り1戦目はカルムが制した。ぜぇぜぇと胸を上下させ、リングにダウンするお嬢様ジムリーダーを尻目に、カルムは静かにガッツポーズをした。

カルム 1 - 0 エリカ

両選手ともに、しばらくのインターバル自分のコーナーにもたれかかり、息を整える。

1本先取したカルムは流れを掴み余裕の表情でコーナーポストにもたれかかる。

向かい側のコーナーポストにもたれかかっているエリカが憎しみのこもった眼差しで自分を睨み付けているのに気づいた。

カルムは思わず笑ってしまいそうになる。

お嬢様ジムリーダーのヒリヒリとした焦りと屈辱感が伝わってくる。

格下相手と自分を侮っていた相手を叩きのめすのは小気味のいいものだ。

2戦目のゴングが鳴らされ、試合が始まった。

両者、ゆっくりとコーナーポストから離れ、リング中央へ。

しばらく間合いをとって互いに相手の動きをうかがっていたが、カルムが動いた。

カルムはにやりと笑うと両手を上げ手四つの構え、自分に分のある力比べにエリカを誘う。

エリカのプライドが力比べの挑戦から逃げる屈辱に耐えられないと読んだのだ。

そして、その読みは的中。エリカはカルムの手のひらに自分の手のひらを重ね、力比べに応じてきた。

エリカをパワーでねじ伏せようとカルムはほくそ笑んで、腕に力を込める。

しかし、そのカルムの考えには大きな誤算があった。

カルムが力を込めるとまるで暖簾に腕押しをするように力が流された。

相手の力を利用する合気道の技。

カルムは前のめりにつんのめる。そして、次の瞬間、カルムの体は突然ふわりと重力を失った。

カルムは後方に軽々と投げ飛ばされて、受け身も取れず背中から叩き付けられた。

カルムの目にリングの天井が映る。カルムは突然のできごとに呆然とし、何が起こったのか頭が追い付かない。

「ごほっ!ごほっ!」

ただただカルムは、背中をリングに叩き付けられた痛みで目に涙を溜めて咳き込んだ。

そんな隙だらけのカルムにエリカが手を緩めるわけはない。

流れるような動きでカルムの脚を自分の脚に絡め、四の字固めを完成させる。

「ほらっ!どうです、かっ!」

エリカが腰を浮かせるとカルムの脚が極まって、激痛が走る。

「ぐあっ!」

朦朧としていたカルムの頭が痛みで覚醒する。

「まだまだ!いきます、よっ!」

「ぐあああっ!」

エリカに脚を極められ、カルムは思わず悲痛な声を上げてしまう。

「くそうぅ、なんとかひっくり返せれば……」

四の字固めは、ひっくり返せば、逆にかけた相手の脚が極められる。カルムは上半身をひねり、なんとか体をひっくり返そうともがく。

カルムの上半身が半回転位したところでエリカは四の字固めをひっくり返されそうになるのを察知するとさっと技を解き、カルムから離れた。

「はぁ……はぁ……」

やっと四の字固めから解放されてカルムはうつぶせで、荒い息をつく。

「何休んでるんですか?」

カルムの背後にエリカの冷たい視線を感じた。

「まだまだこれからですよ!」

カルムは背中にぞくりと寒気がする。

カルムは脚をクロスさせられ、背中にエリカが正座するようにのしかかってきた。

「ぐえっ!」

カルムは背中を圧迫され、息を吐き出す。

エリカは、カルムの顎とクロスした脚を腕で捕らえると一気に後ろに寝転がった。

エリカのボー・アンド・ロー。

弓矢固めでカルムの背骨が極限までアーチ状に反らされる、呼吸を阻害されて、カルムはまるで金魚のように口をパクパクさせることしかできない!

「あっ……かはっ……あがっ……」

エリカはカルムの腰をへし折らんばかりに、膝で押し上げていく。

「ほらっ、みじめに力尽きなさいっ!」

エリカに体を小刻みに揺すぶられ痛みが増す。

カルムは、あまりの激痛で脳の神経回路が焼き切れるような思いだった。

反射的に救いを求めて、自分の腕を捕らえるエリカの腕をタップしそうになるが、なんとか気力で踏みとどまる。

「しぶといですね。こういうのを雑草根性っていうのかしら?」

やっとエリカから解放されて、カルムはよろよろと立ち上がる。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

カルムはエリカを見据え、思考を巡らした。

このままじゃまずい。完全にペースを握られてるし、さっきの技で体力を相当削られた。こっちの体力はもう赤色で瀕死寸前なのに、相手はほとんど体力満タンだ。

あと一撃でも食らったらまずい…

なんとか流れを変えて、一気にギブアップさせないと!

エリカはカルムにもうなにもできまいとたかをくくっているのか油断している。

チャンスは今しかない。

カルムは、まるで倒れるように姿勢を低くした。

エリカはカルムが力尽きて倒れたかと錯覚したかもしれない。

次の瞬間、カルムはぐっと両脚に力をこめて、まるでロケットのように助走をつけエリカに突進した。

「きゃっ!」

蜂のようにするどい肩の一撃がエリカの柔らかい腹部を刺し貫くスピアータックル

虚を突かれたエリカはそのままカルムに押し倒され、リングに大の字にダウン。

ここからが本番だ!

カルムはすぐに立ち上がると次の技に移行した。

大の字にダウンしたエリカのふくらはぎに自分のふくらはぎをひっかけて股を開かせる。そして、エリカの腕を両手で引っ張って無理やり状態を起こした。

「いやあああああああ!」

次に何をされるのか察したエリカが悲鳴を上げるが、もはやどうすることもできない。

「ラフレシア!!」

カルムはエリカの腕の関節に自分の腕の関節をひっかけるとリングに寝転がった。

「いやああああああああ!放せっ!放せっ!」

エリカの股関節がカルムの脚で極限まで開かされる。

ぎしぎしと股を開かされる度エリカの股関節に電流のような痛みが駆け巡る。

しかし、エリカを責めさいなむのは痛みだけではない。

普段清楚でおしとやかなお嬢様が、年下の少年にはしたなく股を開かされているのだ。

その羞恥心は並みのものではない。

さらにエリカはひっくり返されて、袴風のスカートに隠れていた扇情的な黒のショーツもむっちりとしたヒップラインも露わにさせられ、カルムに晒されてしまっている。

この技ははしたなく晒された自分の痴態をもっとも近くで見せつけられる形になる。エリカは恥ずかしさと痛みで顔を真っ赤にする。

もしも、周りに大勢の観客がいたならば、エリカは消えてなくなってしまいたい気持ちになっただろう。

「やめてっ!やめてってば!」

エリカが叫んだ。声は今にも泣きだしそうだ。

「だったら、早くギブするんだ!」

もし、エリカにこの技から抜けられたら勝機はない。技をかけるカルムも必死に叫んだ。

「ギブしないなら!ずっと続けるぞ!」

「わかった!わかったから!ギブするから!」

エリカはイヤイヤと顔を横に振り、必死にリングをタップした。

カルムはエリカのギブアップを確認するとようやく技を解いてやる。

エリカは散々痛めつけられ、晒された自分の股間を庇うようにおさえるとしばらくリングにうずくまっていた。

カルム 2 - 0 エリカ

リングにうずくまっていたエリカだったが、しばらくすると落ち着きを取り戻し自分のコーナーへと戻っていった。

どんなことがあっても、やるべきことを最後まで全うする姿勢はさすがは誇り高いジムリーダーといったところか。

自分の力を示したいカルムとしては、なんとか3連勝をおさめてエリカに完全勝利をしたいところ。負けるわけにはいかない。

カルムは自分の頬をパンパンと叩き、自分に気を入れた。

3戦目の始まりを告げるゴングとほぼ同時にエリカはカルムに突進する勢いで迫ってきた。

「よくも!よくも!よくもぉぉぉ!」

「ぐっ……がっ……ぎゃっあ!」

エリカの手刀と鞭のような回し蹴りのコンビネーションがカルムを襲う。

優雅さをかなぐり捨てたエリカの猛攻はカルムのガードをすり抜けて、カルムの体に次々とヒットしていく。

ううっ、やばい、攻撃のスピードも威力も段違いだ。腕を顔の前で構えるとカルムは歯を食いしばった。

「はぁっ…はぁっ…よくも…よくも私にあんな恥ずかしい恰好を!!」

エリカは大股開きを晒された恥ずかしさを思い出したのか、上気した顔で叫び、前蹴りを放った。

「うぎゃあっ!」

エリカの前蹴りがガードをすり抜けて、カルムの顎をかちあげる。

カルムは目から火花が散った。

カルムは立っていられずに、たまらず尻餅をついてしまう。

「あえ……」

舌を出した無様な表情、カルムは脳を揺らされて、視界も定まらない。

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」

エリカはと興奮してしばらく肩で息をしていたが、段々と落ち着き、冷静さを取り戻す。

「ふふっ、無様ですねぇ」

エリカは目の前で尻餅をついているカルムを見下ろすとぽつりとつぶやいた。

カルムが朦朧とした頭で顔を上げると、じっとりとした目でエリカが自分を見下ろしていた。その目にはちっぽけな虫けらを見るような冷たい光が宿っていた。

カルムの目に足を上げたエリカの姿が映る。

ダンッ!

「ぎゃあっ!」

カルムはエリカに胸を踏みつけられ、リングにひっくり返った。

「ううっ」

カルムは息を詰まらせる。思わず、目じりに涙が浮かぶ。

エリカはそのまま靴裏でカルムの胸板をぐりぐりと踏みにじる。

「ほらほら~、どうしたんですか?早く立ちなさいな」

「ううっ」

カルムはエリカに胸を踏みつけられて、うまく立ち上がれない。

カルムはエリカを睨み付けることしかできない。

「ふふっ、どうしたんですか?悔しかったら、立ってごらんなさい?そんなこともできないんですか?」

エリカは挑発するように、ひっくり返ったカルムに顔を近づけて言った。

「くそうっ」

カルムはエリカめがけて拳を繰り出すが、易々とかわされてしまう。

「ふふっ、残念でした」

そう言うとエリカはカルムの胸板を踏みにじる足に力を込める。

「ぎゃあああああ」

カルムは肺の空気を絞り出されてしまう。

エリカはなすすべのないカルムの姿を見下ろして、小ばかにしたような笑いを顔に浮かべた。

「私みたいな女に踏みつけれて、ただ泣き叫ぶことしかできないなんて、本当に情けないですねぇ」

カルムはお嬢様ジムリーダーに完全に舐められ、弄ばれているのを感じた。

自分を見下す言葉が降ってくるたびに、カルムの心の温度がじわりと上がってくる。

男としてこのままじゃ、負けられない。

カルムの胸に闘志が込み上げてくる。

同時に、目の前の世間知らずなお嬢様に、本当は何一つ自分に敵わないことを思い知らせて、屈服させてやりたいという征服欲がカルムの胸にむくむく込み上げてきた。

余裕の表情を浮かべているエリカを叩きのめし、力の差を思い知らせた時、エリカはどんな表情をするだろうか。

そんなことを想像するとカルムはゾクゾクとした奇妙な感覚にとらわれてしまう。

「なめるなっ!」

カルムは一気に体のバネを活かして、跳ね起きた。

突然のできごとにエリカはよろめき、隙ができる。

カルムはよろめいたエリカに突進、腰に腕を回して抱き着いた。

「なにするの放しなさい!」

エリカは必死に腕を振り回してカルムに抵抗するが、カルムに体を密着させられて威力が通らない。

カルムは一気に腕に力を込めてエリカを抱きかかえる。エリカの華奢な体は持ち上げられ、つま先がリングから浮いて
しまう。

カルムはエリカの腰を自分の厚い胸板と腕で挟んで圧迫、エリカの背骨はたまらず軋みを上げる。

「きゃああああああああああ!」

カルムのベアハッグが極まり、エリカはあまりの痛みに悲鳴を上げた。

エリカの柔らかい肢体を熊の抱擁が蹂躙する。

エリカは脚をばたつかせ、カルムの腕を振りほどこうと腕でばたつかせるが、なすすべがない。

「放せ!はなせぇええ!」

「ほらっ!参ったしちゃいなよ!私じゃ、敵いませんって、みじめったらしくさ!」

「嫌だっ!ギブなんてしないっ!」

エリカは首を振りギブアップを拒否する。

「ふーん。なら、もっと苦しめば?その口から参りました。許してくださいって言葉が出るまで、締め上げてあげるよ!!」

カルムは体を揺すぶりエリカの腰を抱く腕にぐっと力を込めた。

その瞬間、きゃあああああというエリカの糸を引くような悲鳴がリングに響く。

技をかけられるエリカも必死だが、技をかけるカルムも必死だ。

エリカから敗北宣言を絞り出してやろうと全力でエリカの腰を責め立てる。

ちょうど自分の顔の目の前でエリカのたわわに膨らんだ胸がエリカが暴れるたびに、形をかえてたうたうと揺れているが、今はそれを見て楽しむ余裕もない。

カルムが腕に力を込めて、エリカの体を揺すぶるたびに、悲鳴を搾り上げられる。

「あひぃ……はひぃ……」

エリカは最後には悲鳴すら上げる気力まで搾り取られ、体を引くつかせるばかりになった。

徐々にエリカの抵抗が弱くなり、体から力が抜けていく。

やがて、エリカはこのままでは失神させられると意を決したように、カルムの腕をペチペチとタップした。

エリカ屈辱のタップアウト!

カルムはエリカが自分の腕をタップしたことに気付いた。

しかし、カルムは無情にもエリカを解放せず、それどころかさらに腕に力を込める。

失神寸前のエリカの意識が引き戻され、悲痛な悲鳴が響く。

「いやややっ!放してっ!もうタップしてるのにっ!」

「タップしたって、技は解かないよ!」

カルムはさらに腕に力を込める。

「きゃああああああああああああ」

締め付けら悲鳴を絞り出されてしまう。

エリカは目には涙、口の端からは唾液を垂らして身を悶えさせる。

「やらぁ、このままじゃ、腰が、腰がおかしくなっちゃうっ!おかしくなっちゃうぅぅ」

「ほらっ、なんて言うんだった?」

エリカは口をつぐんでいやいやと首を振りたくる。

「まったく、強情だなぁ」

カルムは呆れたようにつぶやき、腕に力を込める。

カルムの腕がエリカの細い腰をぎしぎしと万力のように締め上げていく。

「いやあああああああああああ」

「参りました。私じゃ、あなたに敵わないので、許してくださいだろ!」

「ひぐぅう」

カルムの責めにエリカの心は完全に折れてしまった。

「ひぐっ……ま、参りました……」

エリカは消え入りそうな声で呟く。

「何?よく聞こえないよ?」

カルムはわざと聞き返し、また腕に力を込める。

「ま、まいりましたぁ!」

エリカは、体を搾り上げられることを恐れ、慌てて叫んだ。

「わ、わたしじゃ、あなたに敵わないから!だから、もう、許してください!!」

エリカは目に涙を浮かべて、屈辱の敗北宣言を絶叫する。

カルムは自分の腕の中でのけぞり、悲鳴をあげるエリカを眺めて、優越感の余韻に浸る。

「よくできましたぁ!」

カルムは満足したように言うと、やっと技を解いた。

カルムの腕から解放されたエリカの体がとさりと落ちる。

エリカはたまらずくたりとその場にへたりこんでしまった。

「はぁ………はぁ………」

カルム 3 - 0 エリカ

一矢報いることもできず、三連敗を喫してしまった。

年下の少年に完膚なきまでにやられて、力の差を思い知らされてしまった。

「はぅ」

エリカは自尊心をズタズタにされて、頭の中はもう真っ白になってしまう。

カルムはエリカを見下ろすとはなむけの言葉をつぶやいた。

「僕の実力、わかってもらえました?エリカさん?」

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MCA!MUGEN Cross Arena!春麗VSマリー・ローズ 屈辱!格闘女帝の陥落! 

様々な格闘キャラの織りなす夢の祭典

MCA

今回はストリートファイターの春麗とDOAのマリー・ローズの戦いをお楽しみください!

イラストありのものはピクシブにて投稿中です!

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13874079


観客の熱気のあふれるアリーナの中心でスポットライトに煌々とてらされるリング

アリーナには巨大な液晶モニターが設置され、その液晶にはMCAとデカデカと表示されていた。

MCAとは、MUGEN Cross Arenaの略

あらゆる世界のあらゆるファイトスタイルの格闘家が招かれ競う格闘の祭典

『昇竜拳!!』『バーン!ナックル!』

液晶モニターには、天守閣の前で胴着姿のリュウと赤い帽子のテリー・ボガードが拳を交わす姿が映し出される。

また、画面が変わると、ビル群を飛び回る翼を持った二つの影が映し出される。

『ふふっ、いつまで逃げているつもり?ソーォル!フィスト!』

『ネクロ!!ダメ!戦っては!やめてぇえ!!』

光るエネルギー弾を放ち、情け容赦なくディズィーを攻め立てる妖艶な夢魔モリガン
対して自己防衛の機能が働き嫌がりながらも迎え撃ち交戦するディズィー

普段ならば、出会うはずのない格闘家たちが、あまたの時代、あまたの世界から大いなる意志に召喚され、様々なステージで同時多発的に激しい闘いを繰り広げる。それがMCAだ

『さぁ!無限に戦いの可能性が交差する!MCA!MUGENクロスアリーナ!』

司会の声にうおおおおおと観客は熱狂する。

『次の試合はメインイベント!皆さんお待ちかね!女性格闘家対決だ!』

観客たちは、待ちに待ったメインイベントに興奮は最高潮だ。

『まずは赤コーナー!現女性格闘家王者!起源にして、頂点!知らない人はいない!格闘女帝!どんな相手もその豪脚で蹴り砕く!皆さんご存知!そう!あの人!春麗の登場だ!』

花道を青いチャイナ服に身を包んだ美女が颯爽と登場し歩いてくる。

「うおおおおおおおおお!春麗!!!」と会場から凄まじい歓声が上がる。

春麗は、キリッとした凛々しい表情で歩みを進める。その堂々とした姿はまさに格闘女帝としてふさわしい気品と風格があった。

『身長!169センチ!バスト88!ウェスト58!ヒップ90!体重は、ひ・み・つ!とのことだ!』

ボンキュッバァンという言葉にふさわしいメリハリのあるボディに会場は見惚れて、ため息が漏れる。

歩くたびにスリットから茶色のストッキングに包まれたむきむきに鍛えられた美脚が艶かしくのぞき、豊かな胸がたゆんたゆんと揺れる。

茶髪をシニヨンでまとめ、赤のアイシャドーがアクセントを添える。その姿は美しく、凛としていた。

会場の男どもはもう春麗の虜になってしまう。

春麗は軽やかにロープを飛び越えると手を合わせて、礼儀正しく一礼をした。

『つづいて、青コーナー!!チャレンジャーの紹介だ!』

会場がざわざわとざわめく。

『今をときめく!小悪魔サーヴァント!小さいからって舐めないでよね!小さな薔薇にもトゲはあるんです!蝶のように舞、薔薇のように刺す!デッドオアアライブからの刺客!軍隊格闘術システマ使い!マリィイイ!ロォオオーズ!』

辺りに紙吹雪が盛大に舞う

花道に金髪ツインテール、スク水を彷彿させる青のピッチリとしたバトルスーツに身を包んだ美少女が姿を表す。

「ナンナッナンナナ〜♫」

美少女ファイターマリーは、鼻唄混じりに花道をスキップしながら進み、笑顔で観客に手を振り愛想を振りまく。

『身長147センチ!バスト!74!ウェスト!56!ヒップ!78!こう見えて18歳のミラクルガールだ!!』

会場から「マリィイイイ!」という熱烈なファンからの叫びがこだまする。

大人の色気、大人の魅力全開の春麗とは対照的に、マリーは首元にあしらわれた真っ赤な大きなリボン、プリンとした可愛らしい桃尻、クリンとした大きなキラキラした瞳、幼さの残るあどけない顔立ち、慎ましく膨らんだ胸、何から何までフレッシュで愛らしい。

加えて照明の光を浴びてマリーの身を包む青のバトルコスがテラテラと反射して妖しくテカる。その様は、なんとも言えない背徳感があった。

マリーは、ロープをくぐりリングイン。

ニコニコとマリー微笑み、春麗に手を差し出す。

「よろしくお願いします。チャンピオンさん。あなたと戦えるの光栄です」

春麗は「ええ、よろしく」とマリーのグローブに包まれた手をぎゅっと握り握手を交わす。

「お手柔らかにお願いします。あまりマリーをいじめないでくださいね?」

マリーは俯くと上目遣いで春麗に言った。

「さぁ、どうかしら、私、手加減ができない性質だから」

春麗が頭一つ小さいマリーを見下ろしながら言った。

対してマリーはニヤリと三日月のように口を歪めて笑った。

「ふふっ、言いましたね?もう手加減して負けたなんて、言い訳はできませんよ?」

マリーは友好的なニコニコ顔から一転、春麗を冷たい目でじっとりと見つめるとニヤリと薄笑いを浮かべた。

(この子・・・)

春麗はマリーの本性の一端を垣間見て、少し寒気を感じる。

『それでは、両選手前へ!ルールは時間無制限の一本勝負!早速!おっぱじめようぜ!ゲット!レディ!ファッイト!』

カーンというゴングの音が試合の開始を告げる。

(いいわ。ぶっ飛ばして、格の違いを教えてあげる)

生意気サーヴァントに思い知らせるべく、先に仕掛けたのは春麗

「やぁ!たぁ!はぁ!やぁ!やぁ!やぁ!やぁ!!」

ビュッ!ヒュッ!ビュバッ!

鋭い突きや蹴りを放つ春麗

対してマリーは、春麗の突きや蹴りを踊るような軽やかなステップで避けていく。

「それっ!やぁ!ひゃいっと!ふふっ、どこを狙ってるんですか?」

春麗はマリーの軽やかで変幻自在の動きに翻弄される。ことごとく突きや蹴りを交わされ、いなされて、一撃も攻撃を当てることができない。

(どうして、あたらないの!?)

春麗がムキになり殴れども、蹴りを放てども、マリーにかわされ、防がれる。

春麗の中で徐々に苛立ちと焦りが募ってくる。

その春麗の苛立ちや焦り負の感情を嗅ぎつけて、嘲笑うようにマリーは春麗を煽っていく。

「この程度ですか?」

「何ですって?」

春麗はマリーの言葉に青筋を立てて過剰に反応してしまう。

「これが?世界最強の女性格闘家の実力ですか?弱すぎませんか?期待してたのに、やれやれです」

マリーはわざとらしく肩を竦めて見せる。

「こんのぉ!言わせておけば!」

春麗が怒りに任せて、マリーの顔面を狙い真っ直ぐに殴りかかる。

するとマリーはシステマの踊るような軽やかなステップで突っ込んできた春麗を交わし、すかさずお腹へと膝を叩き込んでいく。

「いただきでっす!♡」

グボッ!

「ぐはぁ!?」

春麗は腹にマリーの膝を叩き込まれて、目を白黒させる。

マリーの膝がみちゅりと春麗のお腹に入り、チャイナ服に深いしわを刻む。

「今度はこっちからいきますよ!えいっ!たぁ!てぇい!」

マリーは怯んだ春麗の脚を狙い、容赦なく蹴り付けていく。

ビュッ!ゲシュ!ゲシュリ!

「くぅ!?あうっ!?」

顔をしかめて歯を食いしばる春麗

春麗の自慢の美脚を包むストッキングがマリーの蹴りで引き裂かれ、肌があらわになり、みるみる痛々しい痣をつけられていく。

(こ、この娘!?つ、強い・・・)

格下と完全に侮っていた少女格闘家の実力に舌を巻く春麗

春麗はやられた腹を庇い、バックステップでなんとかマリーから距離を取り態勢を立て直そうとする。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

胸が苦しい。こんな年端もいかない少女に遅れを取るなんて一生の不覚だ。

トクントクントクン

春麗の胸が早鐘を打つ

春麗は豊かな胸を上下させ、必死に呼吸を整えて、冷静になろうとする。

(落ち着け、わたし。冷静になれ、落ち着けば、この私が負けるわけないんだ)

冷静になれば、負けるわけがないと自分に言い聞かせる春麗、一方でこのまま舐めてかかれば、足下をすくわれる危機感を感じる。

(勝つために!もう手加減しない!!)

目の前の娘は、全力で迎え撃たなければいけない敵と認識し直し、春麗は即座に思考を切り替える。

「いつまで、休んでるんですか?来ないならこっちから行きますよ!」

距離を取られしばらく、春麗の様子をうかがっていたマリーだが、痺れを切らして春麗に向かってきた。

スラリ

春麗は鶴のように一本脚で優雅に立つと鍛え抜かれた豪脚を向かってきたマリー目掛けて放っていく。

「百烈脚!ヤァアアアアアアアアアア!」

ビュッビュッビュッビュッビュッ!!

無数に見えるほど、目にも止まらぬ速さで繰り出される春麗の連続キック、百烈脚

春麗は百烈脚でマリーを牽制していく。

「くぅ!?」

マリーの鼻先を百烈脚がかすめる。

余裕綽綽だったマリーが少し顔をしかめ、距離を取る。

やはりさすがは世界最強と謳われる女性格闘家春麗。その豪脚の威力は半端ではない。

(一撃!一撃でいい!一撃でもあたしの蹴りが入れば、こんな小娘なんて!)

春麗は一方的にやられながらもまだ勝利を諦めていない。

自慢の脚技が一発でも決まれば、ちょこまかと動き回るあの憎たらしい小娘、マリーをKOできる自信が春麗にはあった。

マリーは少し、距離を取り春麗の出方をうかがっているのがわかる。やはり百烈脚を眼前で見せられて警戒しているようだ。

(ふふっ、やっぱり。さすがのあなたも怖いわよね?あたしの鍛え抜かれたこの脚の餌食になるのは?あなたみたいな小さな娘の腹筋なんて、一撃で使い物にならなくなっちゃうもんね?)

春麗は得意げに笑みを浮かべて、王者の余裕をわずかばかり取り戻す。

(さぁ、早く私の間合いに入ってらっしゃい。そしたら、私の蹴りで、たっぷり可愛がってあげる)

春麗はマリーをじっと見据え、臨戦態勢を崩さない。

少し、膠着状態が続くが、マリーが先に動いた。

マリーはなんと真正面から春麗に走って向かってくる。

(真正面から突っ込んでくるなんておばかさん!格好の的よ!あたしのムッキムッキに鍛えた太腿の餌食にしてあげる!)

「百烈脚!」

勝ち誇る春麗

しかし、春麗が百烈脚を放った瞬間、マリーは体勢を極限まで低くし、スライディングを放った。

「もらったぁ♡」

ズバァン!!

マリーは春麗の軸脚を払い除けた。

「っ!?」

春麗は足を払われて、一瞬浮遊感を味わう。

「なっ!しまった!」

一本脚で全体重を支える春麗の軸脚は無防備。

「うわぁ!?あ”んっ!」

春麗は無様に転倒し、ドシンと尻餅をついてしまう。

そこへマリーはすかさず、春麗の脚に自分の脚を絡めて、春麗の自慢の脚を潰していく。

ビキビキビキビキ!!

「くわぁあああああああああ!」

春麗はなすすべなくマリーの脚4の字固めに捕われ甲高い悲鳴を上げる。

「やれやれです。さすがにあなたの脚は、厄介だから、今のうちに潰させてもらいます」

マリーは腕を組みながら、脚の力を込めていく。

ミキミキミキミキッ!!

「くわぁあ!?ああっ!あ”あぁ!!離せ!はなせぇえ!!」

脚の痛みに歯を食いしばり、マリーをなんとか退けようと春麗はもがくがどうにもならない。

「諦めてください。お・ね・え・さ・ん。あなたじゃ、わたしを倒せません。あなたの脚はわたしの前では無力です」

ミシミシミシッ!!

マリーはさらに脚に力を込めていく。

「ぐわぁあ!あがぁ!うわぁ!」

容赦なく、確実に破壊されていく、春麗の自慢の脚。春麗は痛めつけられ、激痛に苛まれ、リングを無様にのたうちまわる。

(こ、このままじゃ、本当に脚が、使い物に、ならなくなる!?な、なんとかしなくちゃ)

焦る春麗、しかし、自力ではどうすることもできない。

「ふふっ、そんなに痛がって、かわいそー」

マリーは痛みに必死に耐え、もがく春麗を眺めて薄笑いを浮かべる。

「安心してください。あなたの分まで、この試合を盛り上げてあげます。一生忘れられない試合にしてあげますよ?」

マリーはそういうと無邪気で残忍な笑みを浮かべる。

「くわぁ!ぐわぁあああああ!」

春麗はなすすべなく数分が経過

しばらくマリーの脚攻めに苛まれた春麗

マリーは自ら脚攻めを解くと余裕綽綽の様子

「ほら、ほら、頑張って立ってくださーい」

マリーはロープに優雅にもたれかかると散々脚を痛めつけられて、震える脚で必死で立ち上がろうとする春麗を見守る。

脚を苛め抜かれた春麗はガクガクブルブルとまさに生まれたての子鹿状態。

もはや、自慢の脚はダメージが蓄積し、立つのがやっとの状況。完全に機動力も蹴りの破壊力も潰されてしまう。

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・言われなくても・・・立てるわよ!」

もはや満身創痍の状態の春麗。世界最強の女性格闘家としての意地だけで、傷ついた体に鞭打ってなんとか立ち上がり、まだ戦えるとファイティングポーズを取る。

「ふふっ、そうこなくっちゃ!」

春麗がまだ闘う意志を見せるのをマリーは満足そうに見届けるとロープから離れる。

そして、マリーはある行動に出る。

「え!?」

春麗はマリーの行動に戸惑ってしまう。

「ほぉーら、わたしの弱点はここですよぉ?ほらぁ、ほらぁサービスです。あなたのパンチ、当てて見せてくださいよぅ?」

マリーはガードもせず、春麗から少し離れた場所で自分のお腹を突き出して見せる。攻撃してこいと無防備にお腹を晒して春麗を挑発する。

(どういうつもり!?)

ブチッ!

春麗の怒りは頂点に達する

(バカにして!後悔させてあげる!)

一方的に嬲られ、言葉で挑発され、春麗は完全に焦り、怒り、頭に血が上って、冷静な判断ができなくなっていた。

「うおおおおおおおおおおお!」

怒りが傷ついた身体の痛みを忘れさせ、爆発的な力を生む、雄叫びを上げ、激昂する春麗

春麗はマリーへの怒りのあまり、猪のように真っ直ぐに突っ込み、単調なパンチをマリーの腹へと放つ。

「このっ!倒れろ!(DAWN!)」

しかし、それはマリーの思う壺。

「ふふっ、遅すぎで〜す(TOO SLOW〜)」

マリーは春麗のパンチを見切るとひょいと横に軽やかに飛び回避する。


春麗はマリーに回避されて前につんのめり無防備な状態を晒してしまう。

「し、しまった!?」

春麗が後悔した時にはもう遅い。

マリーはニヤリと笑うと拳を固めて、体重を乗せた一撃を春麗の端正な顔へと放つ。

「・・・悪いけど〜、もうわたし、あなたに飽きちゃいました〜(・・・SORRY〜I'm GETTING BORED〜)」

バキィ!(︎*SMASH*︎)

マリーの小さな拳が、寸分の狂いもなく狙いすまして春麗の左頬に着弾!!

「ぐはぁ...(GHU...)」

春麗の頰肉をマリーの拳が圧迫し、変形させる。
春麗は顔面を突き抜けていく衝撃に目を白黒させ、口からは唾液を飛び散らせた。


[pixivimage:83205363]

「逃がしませんよ!」

ガシッ

マリーは春麗の頭に腕をまわすとさらさらとした艶やかな春麗の茶髪を掴み、自分の胸へと春麗の顔を抱き寄せる。

「もがぁ!?」

ふにゅりと春麗の顔がスク水バトルスーツのサラサラとした生地越しのマリーのささやかな胸の膨らみへと押し付けられ視界を奪う。

「ああんっ!暴れちゃダメ!」

くすぐったそうな嬌声を上げるマリー

マリーは一層春麗の頭をぎゅっと抱きしめる。

「ぐぅ! この! はなせぇ!」

春麗はマリーの腕の中で必死に首を振り逃れようとする。

「まだ、そんなに暴れる元気があるなんて、びっくりです」

感心したようにいうマリー

屈辱的な状態から抜け出そうと春麗は必死だ。

もがき暴れる春麗

ふと春麗は頭を抜こうともがいていて、あることに気づいた。

春麗の目の前にははき出しで無防備になったマリーの腹があった。

先程は交わされて殴れなかった憎たらしい小娘の腹がそこにあった。

今ならマリーは自分の頭を掴んでいて、ガードも出来なければ、交わすこともできない。

これはまたとない絶好のチャンスだ。

春麗はマリーに悟られまいと必死に頭を抜こうともがくのを続けながら、裸の拳をギュッと固めて、たっぷりと引き絞るとマリーの腹へと狙いを定めた。

(見てなさい!思い知らせてやる!これでもくらえっ!)

ヒュッ!

春麗の拳が発射され、マリーのお腹へと突き立てる。

ボスンッ!

春麗の拳がマリーのお腹に着弾し、柔肉を押し潰す。

「きゃぅ!?」

マリーの小さな悲鳴が上がり、春麗の頭を掴む手が緩む。

(やった!痛みに悶えろ!)

手応えを感じる春麗。

しかし

「不意打ちなんて!もう!油断も隙もありませんね?本当に呆れた!まだそんな元気があるんですか?」

顔は見えないが余裕綽綽の様子のマリーの声が春麗を絶望させる。

(そ、そんな!?)

自分の渾身のパンチがそんなに効いている様子はない。

「はっ!このっ!くたばれぇ!(HA! KUH! DIE!)」

悔し紛れに拳を目の前の腹に叩き込む春麗

パンッ! パンッ! パァンッ!

「あんっ! うぅっ! ふふふ・・・くすぐったいですよ(FUFUFU・・・THAT TICKLES・・・)」

春麗の攻撃をくすぐったいと笑い一蹴するマリー


無理もない。万全の状態ならばいざ知らず、弱り切った春麗の腰の入らない手打ちのパンチなど、厳しい訓練を積んできたマリーの腹を突き破ることなど到底できない。

「くそぉ! くそぉ!! くそぉお!!!」

パンッ! パンッ! パンッ!

なかば悔し紛れにマリーの腹を必死で殴り続ける春麗

そんな春麗をマリーは嘲笑う。

「あんっ! やんっ! くすぐったいってば!ふふっ、悔しいですか?」

「うぅ・・・」

春麗はプライドがズタズタになりかけて、嗚咽を漏らす。

マリーは春麗の心が折れかけているのを感じ、追い討ちをかけることにする。

「わたしがあなたにどうやるのか! お手本を見せてあげます! お・ば・さ・ん!(LET ME TEACH YOU HOW IT'S DONE,GRANNY!)」

バキャ!!(KICK!!)

「ぎゃあああああああああ!(GAAAAH!)」

リング上に春麗の断末魔の悲鳴が上がる!

マリーはあらん限りの勢いをつけて、青のニーソックスに包まれた膝を春麗の胸と腹の間にある急所、鳩尾に叩き込んだ。

筋肉の少ない鳩尾に膝を突き立てられて串刺しにされる春麗

豊かな胸がむにゅりとひしゃげ変形させられてしまう。

「ぐ、ぐぇ・・・っ・・・」

瞳孔は開き、口から飛沫をしぶかせて、目からは涙を散らす。

意識が飛びかけてしまうがなんとかギリギリでつなぎとめる。

(くぅ、いま気を失うわけには・・・)

春麗はマリーの膝にもたれかかり、辛うじてダウンを免れる。

しかし、マリーがじゅぷりと膝を抜くと支えを失って春麗はたまらずがくりと膝をつきそうになってしまう。

「あぅ・・・」

(や、やばい・・・立って、いられない・・・)

脚に踏ん張りが効かずに、倒れ込む春麗

力なく、ダウン一直線の春麗をマリーがガシリと首に腕を回して、キャッチする。

「く、くへぇ・・・はぁ、はぁ・・・」

荒い息を吐き、苦しげに胸を上下させる春麗。

マリーに首を捕らえられて、ダウンは免れたものの首吊り状態になってしまう。

(い、いやだ。く、苦しい)

春麗は自分の体が重力で下に引かれて、じわじわと首が締まって、どんどん呼吸がキツくなってしまう。

春麗は苦し紛れにこれ以上体が下に落ちないようにマリーのすべすべした太腿を右手で掴んで、抵抗する。

マリーにとっては、ただ春麗の首を捕らえているだけで春麗が勝手に追い詰められていくのだからこんなに楽なことはない。

首が締まり、苦しくなってきた春麗は目が虚になり、酸素を求めて舌を無様に突き出して必死に荒い呼吸を繰り返す。

試合前凛々しくつり上がっていた眉は、弱々しくハの字に下り、舌先から粘っこい唾液がぽたりぽたりと垂れ落ちてしまう。
もはや試合前の凛々しい格闘女帝の風格と気品は見る影もない。

春麗は身体の筋肉が弛緩し始めて、太腿や肩がぶるぶると小刻みに震えてしまう。

ピクピク、ピクピク

(や、やばい・・・このままじゃ、本当に、やばい・・・)

マリーは春麗の限界が近いことを察して、余裕の笑みを浮かべた。

「きゃはは!無様ですねぇ!みんなが見てるんだから、もっとかかってきてくださいよ!(KYAHAHA!SO LAME!COME ON,EVERYBADY WATCHING!)」

高笑いを上げて、マリーは春麗を煽っていく。

「どうやって、タイトルを失いたいですか?チャンピオンさ〜ん?(IS THIS HOW YOU WANT TO LOSE YOUR TITLE?MISS CAMPION〜?)」

「ぐはぁあ・・・・(GGGHHH・・・)」

(こ、こんなはずじゃあ・・・)

言いたい放題マリーに煽られても春麗は言い返すことはできないほど、弱り、悔しさを滲ませる。

「はぁ・・・はぁ・・・っ・・・はぁ・・・」

(や、やばい・・・このままじゃ、今度こそ、意識が・・・)

春麗は酸欠を起こして、頭にモヤがかかりはじめる。

「えいっ!ダーメ!」

マリーは、春麗の意識が途絶える寸前で、春麗の身体を突き飛ばした。

「あうっ!?」

春麗はなすすべなく、マリーに突き飛ばされて、リングのコーナーに背中をしたたかに打ち付ける。そして、そのままズルズルとその場に尻餅をついた。

「はぁ、はぁー・・・はぁ、はぁー・・・」

コーナーにもたれかかり、虚な表情で俯く春麗

もう抵抗する力は残されていない。

「ふふっ、もう終わりですか?」

俯いた春麗にマリーの声とコツン、コツンと足音が近づいてくる。

春麗の目にマリーの脚だけが映る。

春麗はもう逃げることもマリーを迎え撃つこともできない。

(か、身体が、もう動かない・・・)

「あはっ!それじゃあ!失礼しまーす!」

マリーが嬉々とした声で、春麗に迫ってくる。

ばふっ!

「うむぅ!?うむむ”う”ううぅぅぅう”!!」

突然春麗の視界が真っ暗になり、くぐもった悲鳴を上げた。

マリーは背を向けてプリンとしたお尻を突き出して、春麗の顔面を押しつぶしたのだ。

なんという屈辱だろう。春麗はまさに文字通り、大衆の面前で面子を潰されてしまう。

「えいっ!えい!えっえ〜い!」

ボムッ!ボムッ!ボッムーン!!?

マリーはお尻を突き出して、春麗の頭をコーナーに叩きつけていく。

「ふぐぅ!?うぐぅ!?むぐぅう″!?」

ガン!ガン!と顔をお尻とコーナーにサンドイッチされる。

(も、もうダメ・・・)

ピクピクッ、ピク(TWITCH)

春麗はとうとう身体を痙攣させて果てた。

春麗はとうとう意識を刈り取られてしまう。

「ええっと、どんな気持ちですか?(SO,HOW DOSE IT FEEL?)」

マリーは春麗の顔面にズリッズリッと自分の桃尻を擦り付けて、屈辱と敗北をたっぷりとその身に刻んでやる。

「あっと!?もうなにも聞こえてないですかぁ?(...OH,YOU CAN'T HEAR ME ANYMORE I GUESS〜)」

マリーは失神して、春麗が動かなくなったことを確認すると、試合の仕上げに春麗をリング中央へと引きずっていく。

地べたに這いつくばる満身創痍、ズタズタにされた春麗

対してマリーはしなやかな脚を勢いよく前に掲げたっぷりとタメを作る。

観客に惜しげもなく開脚を披露するマリー


観客は興奮して、固唾を飲んで見つめる。

「これは!おまけです!」

マリーはダメ押しのかかと落としを春麗に放つっていく!

「ヤァアアアアアアアアアア!」

ヒュッ!ドガーン!ミチミチミチミチ!

「ぐぁ!きゃああああああああ!」

春麗は腹に勢いをつけた踵落としを叩き込まれて、脚をビンッと仰け反らせ、舌を突き出して、悲鳴を上げた。マリーの一撃で腹を起点に身体がくの字に曲がってしまう。
激しい痛みで一時的に意識が覚醒する春麗
しかし、ビクンと身体を大きく痙攣させると、腹から込み上げてくる鈍痛に思わず涙し、再びがくりと力尽きた。

「もう終わりですか?余裕でしたね?(a piace of cake)」

マリーはもう春麗が立ち上がり向かってくることは不可能と判断すると勝ち誇るように美しいI字バランスを披露して、ピースサインでアピールする。

傷つき、地べたに力なくダウンするかつての王者とほとんど無傷で、勝ち誇る可憐な美少女

あまりに残酷で鮮烈な勝者と敗者、強者と弱者のコントラスト

眩いシャッターの光がリングを一斉に照らす。

『うおおおおおおおお!勝者!マリー・ローズ!なんということだ!今ここで歴史が動いた!小悪魔美少女ファイターがなんと!生きる伝説!不動の格闘女帝を完全粉砕!失神KOで完全勝利だ!』

「きゃは!やったぁ!マリーの勝ちです♡」

マリーは無邪気に喜びを弾けさせる。

この光景はすぐにネットニュースにアップされ、「王者!春麗陥落!小悪魔美少女マリーが王者を蹂躙!完全粉砕!」という記事で話題をさらった。

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FGOプロレス 褐色の悪魔BBVSステゴロ聖女マルタ 悪魔のいけにえ 

カルデアリング。
それはカルデアに特設されたサーヴァントたちがぶつかり合い覇を競う舞台。
格闘スタイルはなんでもあり、ルール無用。
今回はBBとマルタがどちらが強いのかリングで決着をつけることになり・・・

「はぁーい。みなさぁん!お待たせしましたぁ〜みんなのアイドル!みんな大好き!褐色系悪魔後輩の水着BBちゃんの登場です!」

星のあしらわれたカチューシャ、たわわにみのった巨乳を覆う紫色のマイクロビキニ水着、超ローライズホットパンツにニーハイ、ガーターベルト姿の扇情的ないでたちの美少女がボクシンググローブを突き上げて観客に愛想を振りまく。

「せんぱぁーい!見ててくださいね〜。聖女様なんかあっという間に血祭りにあげて、BBちゃんが先輩の一番だって!みんなにわからせてあげますぅ!」

BBは観客席の中にマスターの姿を見つけるとロープから乗り出す勢いで、満面の笑みを浮かべて激しく手を振る。

その姿をマルタは、愛用のガントレットを模したナックルグローブをはめながら冷ややかな目で眺める。

マルタは扇情的なBBとは対照的に愛らしさすら感じるデザインの白に赤のラインの入った水着を身にまとっている。あらわになったお腹は女性らしさの肉付きもありながら腹筋がシックスパックに見事に割れてよく鍛えられているのがよくわかった。

「邪神だか、なんだか知らないけど、そんな舐めた態度でリングに上がると痛い目みるよ?」

マルタは緊張感のないBBに対してため息を吐き、つぶやく。

マルタの存在に気づいたBBは、甘ったるい声を上げて、マルタの感情を逆撫していく。

「きゃあ〜、マルタさん、こわぁーい!BBちゃんのこと、睨まないでくださぁい!」

「ちぃ」

マルタはBBのぶりぶりの態度や言葉に嫌悪感を露わにして、思わず舌打ちをしてさらに睨みつけてしまう。

(神聖なリングにこんなふざけた子が上がるなんて、許せない。すぐに終わらせて、浮ついた気持ちでリングに上がったことを後悔させてあげる)

マルタはぎゅっと握りこぶしを固めた。

ゴングの音が1Rの開始を告げる。

両者間合いを取りステップを踏み相手の動きをまずはうかがう。

ステップを踏みながら相手の出方をうかがうマルタとBB

ステップを踏むたび、マルタとBBのたわわに実った胸が水着の中でふるんふるんと揺れる。

「こないんなら、私からいくわよっ!」

痺れを切らして先に仕掛けたのはステゴロ聖女のマルタ。

拳を顔の前で構えて、ぎゅっと脇を締めるとBBに向かって突進。

「シッ!シッ!」

BBの顔面を狙ってワンツーの拳を放つマルタ。

BBはマルタのスピードについていけず、顔の正面や頬に被弾してしまう。

「きゃう!あぐぅ!?」
目を白黒させ、飛沫を飛び散らせてよろめく。

苦し紛れにBBは腕を大振りに振り回すがマルタに見切られ交わされてしまう。
(まるで素人ね。思い知らせてあげる!)

マルタは脇を締めると鋭いジャブやフックをBBに見舞っていく。

「はぶぅっ!えぶぅっ!うぐぅっ!」
「攻撃も!防御も!素人同然!そんな実力でこのリングに上がったこと後悔しなさい!」

マルタは拳をぎゅっと握り直す。
「いゃあん!やぁっ!やめてぇ」と殴られるたびに悩ましい声を上げるBB

自分が優勢な状況にもかかわらず、格闘経験者の美女が格闘素人の美少女をなぶる一方的な構図にマルタは逆にやりにくさを感じる。

(なによ!まるで私の方が悪役みたいじゃない!)

さっさと終わらせてやると意思を固めるマルタ。

「悔い改めろっての!うおおおおおおおおおお!」

マルタは格下と見なしたBBに少し手加減してラッシュをたたき込む。
手加減されているとはいえ、攻撃を受けるBBはたまらず顔を歪めて必死に拳の痛みに耐えようとして体を固くする。

パンッパンッパンッパンッ!ズドドドドドド!

「きゃん!いやぁん!ああん!?あああああ!」

拳の雨にさらされ、巨乳をバウバウと揺らしながら、悶えるBB。

勝敗は誰の目にも明らかに見えた。

追い詰められるBB。亀のようになりなんとかマルタの打撃を耐え忍ぶ。

そして、とうとうゴングが1ラウンドの終了を告げる。

「はぁ・・・はぁ・・・ぜぃ・・・ぜぇ・・ぜえ・・・」

辛そうに肩で息をするBB

「ふんっ!ゴングに救われたわね」

バテバテのBBに吐き捨てるようにいうとマルタは自分のコーナーへと戻っていく。

(ダウンを奪えなかったか・・・思ったより、しぶといわね。でも、次のラウンドで終わらせてあげる)

マルタはロープに寄りかかりながら、BBを眺めた。



ゴングの音が響き、第2ラウンドの開始を告げる。

「先手必勝っ!」

勢いに乗ったマルタがコーナーから飛び出して、BBを瞬殺せんと接近する。

たっぷりと拳を引き絞り一撃必殺のストレートを見舞おうと予備動作に入る。

いつもなら使わないであろう隙の多いテレフォンパンチ。

しかし、満身創痍のBB相手なら問題ないとマルタは判断する。

(これで終わらせてあげる!)

「これでも!くらええ!!」

渾身の一撃をBBの顔面めがけて放つマルタ。

マルタの拳がビュオッと風を切る。

勝負有りとマルタも観客の誰もが思った。

会場の誰もBBがニヤリと笑ったことに気づかなかった。

次の瞬間、マルタの視界からBBが消えた。
(そんなバカな?いったいどこへ?)

動揺するマルタ。

マルタの動揺を嘲笑うようにM字開脚してしゃがんだBBが上目遣いで動揺したマルタの顔を見ている。

BBは突然しゃがみ、マルタの視界から姿を消したのだ。

「どうしました?ボーとしてちゃダメ、ですよっ!」

ペロリと舌舐めずりしたBBが一気にしゃがんだ状態から立ち上がり拳を振り上げる。
そのあまりの勢いにマルタは反応しきれない。

(ま、まずい!)

マルタがまずいと身構えた時にはもう手遅れでマルタの顎先までBBの拳は迫ってきていた。

「ボルケイノアッパー!!」

バゴーン!

BBの絶叫とともにマルタの顎に拳が直撃!
マルタの体が火山の噴火の如く浮く上がる。マルタは天井を仰ぎ、BBの渾身のアッパーに吹き飛ばされた。

「きゃああああああああ!!!」

絞り出されるマルタの絶叫、顎が砕ける勢いで殴られ、もはや意識は飛ぶ寸前。

マルタは後方に吹き飛び大の字でダウン。
まさか格下と思っていた相手に自分がダウンを奪われてしまうことに動揺を隠せない。

マルタは遠くでカウントしているのが聞こえた。

「1・・・2 ・・・3・・・ 4 ・・・ 」

「はぁ・・・っ・・・はぁ・・・」

(そんな!?私があんな子にダウンさせられるなんて・・・)

マルタは顎をやられてくらくらする頭でよろよろと立ち上がる。

「うぐっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

(落ち着け。私。このままじゃ、終われない)

「5 ・・・6・・・7 ・・・」


マルタはファイティングポーズを取り自分がまだ
闘えることをアピールする。

「わー、よく立てましたぁ!そうこなくっちゃ!このまま終わっちゃったら、つまんないですもんね〜」

BBはグローブでパンパンと拍手をするとにやにやといやらしい笑いを浮かべている。

(くそぉ・・・くそぉ!私としたことが・・・)

相手を侮った結果、手痛い反撃にあった。自分の甘さと憎たらしいBBの態度に怒り覚えるマルタ。

「もう手加減しないんだからねぇ!」

マルタは怒りにまかせ、BBに飛びかかっていく。

「きゃー、こわーい!」

BBはニヤニヤ笑いを浮かべながら向かってくるマルタを迎え撃つ。

「さぁて、反撃開始ですぅ。BBちゃんの本気受け取ってくださぁい!」

パンッパンッとマルタとBBのグローブが互いのグローブを打つ音が響く。

やられてばかりだったBBが一転、マルタに向かってパンチを打ってくる。

「くっ・・・このっ!」

(大丈夫!まだ私の方が優勢なはず!)

パンッパンッという打撃音が響き、マルタの拳がBBのガードをすり抜けて確実にBBの頬やボディを抉っていく。

「ひぐぅっ!?」

苦しげに頬を膨らませ、目を潤ませるBB

しかし、BBは一歩踏み出すと拳を奮い反撃してくる。

「くぅ・・・やりましたねぇ!まだぁ、まだぁ!!」

顔をしかめるもののBBは怯まず、前進しマルタに向かってボクシンググローブを奮ってくる。

「ぐっ!」

(なんてスタミナなの?)

マルタはBBの異常な打たれ強さとスタミナに舌を巻く。

マルタが殴れども殴れども、BBは膝をつかず、前進してくる。

いつしか優勢のはずのマルタの方が、BBの不気味なしぶとさに圧倒され始めてしまう。

そして、試合は大きく動くことになる。

BBはマルタの目の前で唐突にしゃがんで見せる。
無防備なM字開脚を晒すBB
普通ならばマルタの攻撃のチャンスだが

「なっ!?」

マルタは数十秒前にぶっ飛ばされたボルケイノアッパーのトラウマがフラッシュバックして、慌てて後ろに飛び退く。

思わずBBは吹き出し、高笑いを上げる。

「どうしたんですかぁ?慌てちゃって?そんなにBBちゃんのボルケイノアッパーがこわいですかぁ?」

BBはニヤニヤいやらしい笑みを浮かべながら、マルタの慌てた表情を嘲笑いゆっくりと立ち上がる。
挑発的なフェイントに翻弄されるマルタ

(こいつぅ!言わせておけば!)

挑発的なBBにマルタは苛立ちを隠せない。
冷静さを失ってしまったことが仇となるマルタ。

トスッ

(なに?)

マルタは背中に何かが当たるのを感じて初めて自分がロープ際まで追い詰められていることに気づき慌てふためいた。

「なっ?!」

(し、しまった?いつの間にかロープ際に!)

ボルケイノアッパーを警戒するあまり、マルタは自分が攻めているはずがBBにじわじわロープ際まで追い詰められていたのだ。

ロープを背にしてもうこれ以上後退できず、マルタに逃げ場はない

マルタはロープに気を取られ動揺したことで完全に隙ができてしまう。

「それじゃあ、お望みどおり、聖女様に大好きなアッパーをプレゼントしてあげますっ」

BBはペロリと舌舐めずりするとマルタの顎めがけて渾身のアッパーを叩き込む。

ギュオッ!バコンッ!

「かはっ!?ぎゃあっ!?」

(だ、だめぇ!?)

マルタの意識が一瞬真っ白になる。

ボルケイノアッパーまではいかないまでも凄まじい威力の突き上げがマルタの顎に炸裂し、マルタの肢体をかち上げる。

「えっぶぅううううう!!!」

飛沫を飛び散らして、目を白黒させマルタは天井を眺めさせられる。

絶対にもらいたくない一撃、そして絶対にもらってはいけない一撃をもらってしまった。

しかし、後悔してももう遅い。マルタは朦朧とした意識でふらつき、後方のロープにたまらず寄り掛かった。
これはマルタにとって想像を絶する悪夢の始まりとなる。

「私の全力受け止めてくださぁーい!」

ロープに寄りかかるマルタにBBは間髪いれずにサマーソルトキックを一発目は顎に!二発目はボディにとぶちこんでいく。

「きゃうっ!きゃあああああああ!」

ロープに寄りかかりダウンすることができないマルタは顎とボディにモロに連続の蹴りを見舞われて、尾を引いた悲鳴を上げてしまう。

ロープを背にしてダウンできないマルタに対してBBはこれ幸いと言わんばかりにラッシュを仕掛けていく。

「へいへいへーい!お楽しみはこれからですよっ!」

ドシュ!

「うぶぅ!?」

BBのボディブローがマルタの腹に炸裂。マルタは身体をくの字に曲げてえずく。

「かはっ!がはっ!」

マルタの口から粘っこい唾液が垂れ落ちる。

BBの拳が腹から引き抜かれるとマルタはたまらず腹を庇おうとグローブを下げてしまう。

「あはっ!いただきまぁすっ!」

それを見逃さないBBはマルタの顔面を狙ってワンツーのコンビネーションを叩き込んでいく。

「ぎゃあ!あがっ!?」

顔面に拳をもらって怯んでしまうマルタ。BBは面白いように自分のパンチが入るのに気を良くして、さらにパンチの回転率を上げていく。

「オラオラオラオラ!!こんなもんじゃ終わりませんよ!」

パンッパンッ、ズドドドドドドとパンチ音が響く。

「きゃあああああああああ!」

BBはマルタの顔に、胸に、腹に、鳩尾に、次々と拳を叩き込んでいき、マルタから体力を奪っていく。

「いぎゃ!はがっ!?あがぁ!?うぐんっ!」

「あはは、マルタさん、やられてばっかりで、まるでBBちゃん専用のサンドバッグですぅ」

マルタはろくな抵抗もできずBBの言葉通りBB専用のサンドバッグと化してしまう。

「ゲホッ・・・ゲホッゲホッ・・・ぜぇ、ぜぇ、はぁ・・はぁ・・ぜぇ・・ぜぇ・・・」

マルタは苦しげに咳き込み、ぜぇぜぇと苦しげに息をする。

「へいへーい!ブタさんダーンク!」

「えっ!?」

BBはしばらくラッシュでなぶり満身創痍で動けないマルタの頭を両腕で掴むと掲げてリング中央に叩きつけていく。

ドシュ

顔面をリングに擦り付けられ「きゃあっ!?」とマルタは痛々しい悲鳴を上げる。

「ふふっ、リングのお味はどうですかぁ?聖女さまぁ?」

リングにキスさせられる最上級の屈辱、しかしもはやマルタに抵抗する気力は残されていない。

「もっともっと、遊んであげます!カースト・カッティング・クレーター!」

BBはぐったりしたマルタの顔面を両手で鷲掴みにして無理やり立たせていく。

ミシミシ!ミシミシミシミシ!

BBのグローブがマルタの端正な顔を蹂躙する。
恐怖のフェイスクラッシャー。

「あぁ!あがっ!ああっ!あああああ!」

マルタは悶え苦しみ、必死に手脚をばたつかせる。

「あはははは、その姿!もうたまりませーん!自分の弱さを嘆きなさい!」

BBはSっ気全開の満面の笑みで弱ったマルタをさらに追い詰め嬲りものにしていく。

BBは左手はマルタの顔を掴んだまま、右手を握り拳に変える。

「いきますよっ!」

ドシュ!ガシュ!バシュ!

「あがっ!いぎゃあ!うぐぁ!」

BBは固めた握り拳を次々にマルタの無防備になったお腹へと叩き込んでいく。

(痛い!痛い!?わたしがこんな子に!?)

マルタは悲痛な声を上げて殴られるたびに体をびくつかせる。

BBの鉄拳がマルタの鍛え抜かれた腹筋の鎧を破壊して内臓をかき混ぜ蹂躙していく。
打たれるたびにマルタの腹にじゅっぷりとBBのグローブが沈み込む。

「あはははは、自慢の腹筋ももう限界みたいですね?やわらかーい!」

(おっ、お腹がぁ!?くそ!くそぉ!こ、こんなはずじゃ!?)

徐々に痛みと苦しみで心にヒビを入れられ、思考がまとまらなくなっていくマルタ。

(や、やばい!お腹・・・やばい・・息が・・・も、もう、これ以上は・・・だめ・・・)

「ほらほら!もうおしまいですかぁ?楽しい楽しいホラーショーはこれからですよ?」

BBの嬉々とした表情で対戦相手を嬲る姿はまさに悪魔だった。

「きゃあ!やぁ!やあ・・・マスター・・・助けて・・・」

マルタは完全にBBの苛烈な攻めに戦意喪失させられてしまった様子。

「もうやめるんだ!BB!」

とうとう見かねたマスターがリングにタオルを投げ込んだ。

「え〜!何してるんですか!?先輩!」

けたたましくゴングが鳴らされて試合の終了を強○的に告げる。BBは不満たらたらの様子で頬を膨らませる。

「もう!先輩ったら!余計なことを〜、今いいところだったのに〜」

BBは自分の遊びを邪魔されて、おかんむりの様子。

「まったく命拾いしましたね。マルタさん」そういうとBBはマルタをまるでゴミのようにリングにぞんざいに放り投げる。

「うぐっ!?」

リングをバウンドし、大の字でダウンするマルタの身体。
あまりのダメージに舌を突き出して、はひぃはひぃと浅い呼吸を繰り返し、身体を小刻みに痙攣させている。口の端からは唾液が垂れ落ち、目の焦点は定まらない。
凛々しかった聖女は見る影もない負け姿を観客に晒してしまう。

「惨めですねぇー。格下と舐めてかかるから、こういう目にあっちゃうんですよ?」

BBは大の字にダウンしたマルタを見下ろすとぎみゅりと水着に包まれた聖女の巨乳にハイヒールのかかとを突き立てて、踏みつけていく。

「あん!んっ!?」

胸をヒールの先端でぐりぐりと踏みにじられ体をびくつかせるマルタ。

勝ち誇るBBとはあまりに対照的な姿。

「かくして、グレートデビルのBBちゃんは浜辺のみならず、リングの上でも無敵なのでした!!せんぱぁい!応援ありがとうございました〜」

BBは禍々しく口元を三日月のように歪めて笑うと負け肉と化した聖女を踏み台にBBは完全勝利に酔いしれるのだった。

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