蒼井露草/露草亭 2024/03/24 21:02

「ヤチヨノキヅナ」AI生成作品への移行と経緯のご説明

「ヤチヨノキヅナ」AI生成作品への移行と経緯のご説明

サークル「露草亭」の蒼井露草です。

先日DLsite様より販売開始をさせて頂きました「ヤチヨノキヅナ」ですが、こちら「AI生成作品」での扱い、移行となりました。

現在申請中により、おそらく近日中には移行になるかと思います。

これにより、これまでご支援いただいていた皆様、プレイしてくれたユーザー様、DLsite様をはじめとした、関係各所に多大なるご迷惑をお掛けした事、深くお詫び申し上げます。


本作のイラストは全て私が描いたものであり、レイヤー未統合のPSDデータも御座います。
しかしながら、そのイラストの多くはまずイメージに近いものをAI生成で出力し、その生成物を一部もしくは大部分トレスをして線画を書き、塗りも模写を行っておりました。

AI生成物を上から塗りつぶした、またレイヤー分けしたというものではなく、それを元に1から(と言うのもおこがましいですが)描いているため、一般にAI生成ではない証拠とされるレイヤー分けされたPSDデータは(ラフ以外は)あるという事です。

一言で言えば、「人力でAIイラストを模倣した絵」という事になります。


私が販売開始時、上記の方法を「AI生成作品」ならびに「AI一部利用」にあたらないと判断した理由ですが、以下のDLsite様のヘルプに記載のある「AI一部利用」の「 ※自動補正や補間等、制作過程での機能の利用は該当しません。 」という項目がそれに当たると考え、またDLsite様への審査依頼時にもこれらに関する説明を求められなかった為です。

https://cs-circle.dlsite.com/hc/ja/articles/14941563173657-AIを利用した作品の申請について

私は上記の行為に対し深く意図せず、単に「作業の効率化」と「絵柄の最適化」、「自身の塗りの練習」ぐらいにしか認識しておりませんでした。
その認識の甘さが、今回の経緯に至った最たる原因だと考え、深く反省しております。


今回このような運びとなりました流れですが、先日DLsite様から、『複数のユーザー様よりAIを利用している作品ではないかとのご指摘を頂いている』という旨のメールを頂きました。

また『AI画像を用いている場合は「AI一部利用」「AI生成作品」のタグを設定を、利用していない場合はAI生成ではないと証明できるレイヤー未統合のPSDデータを送って欲しい』との事でした。

私はこれを受け、上記のイラスト製作過程を全てつまびらかに説明し、特に私から見てAIイラストの依存度が高いと思われるイラスト(下部に送ったものを含め添付)の、レイヤー未統合のPSDデータと元となったAIイラスト2つをDLsite様にお送りし、そのご判断に全て委ねる事と致しました。

先ほど本作のイラストを「人力でAIイラストを模倣した絵」と表しましたが、私は「AIイラストとはAIによって出力されたイラスト」という定義で考えておりました。

しかしながら複数のユーザー様よりご指摘を受けた以上、また各プラットフォームにおいてもその定義は未だ模索していると思われるため、少なくともDLsite様にて販売を行うにあたって、私も販売サイトにおける定義、判断に従うべきであると考えました。

こちらに対し、DLsite様より

>AI生成物を模写やトレス、加工されたイラストにつきましても、
>メインコンテンツがAIを使用しているとみられる場合には
>AI生成作品とさせていただいております。

>該当作品におきましては、トレスや模写を行ったものとの事で、
>大変お手数ではございますが『差し替え』よりAI生成作品として
>ご変更いただけますようお願い申し上げます。

とのご返信を承りました。
これを受け、私は要請に従い本作を「AI生成作品」と致しました。

改めて、このたびは皆様にご迷惑をお掛けした事、深くお詫び申し上げます。


上記手法に至る経緯

以下は、どうして私がこのような手段を用いたのか等について、書かせて頂こうと思います。
乱雑、駄文につき読みづらいとは思いますので、先に要点だけまとめさせて頂きます。

  • 自身の絵柄が嫌いだった
  • 自身の絵柄で本作を忌避される事を怖れた

まとめ上げればたった二行の事です。


私は一度、筆を折った人間です。
DLsiteの過去作やPixivを見れば、数年間、更新が途絶えている事が分かると思います。

私は以前、個人様から個別に絵をご依頼頂いたり、また企業様からソーシャルゲームのキャラクターイラストなどを描かせて頂いておりました。
と言っても当時としても依頼数は多くなく、またご依頼される内容も「特定の版権二次創作を個人利用の範囲で」や「~の絵柄に寄せて」といったもので、今風に言えば「ウマ娘のエロ絵を似せて描いてくれ」といった、自身の絵柄を消していく物が多かったです。

その中でまた自身の絵柄や塗りが古いと言われるにつれ、次第に自身の絵柄についても好きではなくなっていきました。

もちろん「古い絵柄」であっても、魅力的な絵を描くイラストレーター様方は多くいらっしゃいます。
しかしそれは既にその時代の顔となった方々であり、私のような無名で技術力もない人間の「古い絵柄」は、ただ古いだけで誰かの目に留まる事もありません。

結果、私は絵を描く事をほとんどやめ、描いてもネット上にアップする事は無くなりました。

しかし、そんな折でも私にはどうしてもやりたい事がありました。
それが「自身のゲームを作りたい」というものです。


私は約10年程前、一般向けの同人ノベルゲーム製作にイラスト担当として携わりました。
これは一般向けにより別名義での事であり、また私だけの作品ではないため作品名は伏せさせて頂ければと思います。

約2年程掛けて作ったゲームであり、幾つかストーリー部門で賞を頂いたり多言語化のお話も頂きました。
(その後の話はサークル長から聞いておりませんが、おそらく流れたかと思います)
しかし、売上本数としてはトータルでも数百本と多くなく、とても悔しい思いをした事を覚えております。

私はその後、個人となり、ほとんど絵を描かなくなって以後もいつか自身のゲームを「自身の物語を書きたい」という想いが強く心に残っておりました。

そして数年前より、またゆっくりと絵も描きながらゲーム製作を始めました。

しかし中々思ったような物が出来ず、製作が遅々として進まない日々が3年程続きました。
その理由の一つとして、自身の絵柄もあり、納得いくものが出来ないというのもありました。

以下に、当時制作していた私の絵を添付いたします。
これはAI生成画像が出来る前のものなので、私の絵柄となります。
見て頂ければ分かる通り、どうしても同じ人間が描いているので本作の絵柄と幾つか共通点はあるものの、塗りがドぎつく絵柄も古いものとなっております。


結局そのゲームは頓挫し、そして新たに自身の作りたい物をもう一度問い直して作ろうと決めたゲームが、本作「ヤチヨノキヅナ」です。



多分、本作をプレイして頂いた方はお気付きになったかと思いますが、私が本作を通して見せたかったものは「物語」です。

多くの成人向け同人ゲームが「こういうシチュエーションってエロくないですか?」という動機から作られているのに対し、本作は「こういう物語ってどうですか?」という、自分の好きな物語を見せたいという思いから作られました。
(とはいえエロをおろそかにする気はありませんでした。事実、物語本文よりもエロシーンの方が作中の文章量は圧倒的に多いです)

もちろん物語部分もまた多くのゲーム、漫画、アニメ作品に多大な影響を受けており、プレイした方も何となく私が影響を受けた作品を幾つか当てる事が出来ると思います。

いずれにせよ、本作を作るにあたって大事なのは「物語」であり、私の古臭い絵柄や塗りは、そのままでは邪魔にしかなりませんでした。


同時にちょうどその頃、画像生成AIを様々な場所で目にするようになりました。

「魂がこもっていない」
「似たような絵柄ばかりの没個性」

もちろんそうした感想がある事は知っています。
しかし私にはそれらの生成物が、とても美しく感じました。
「平均顔が美人顔」と言われるように、私の「ブサイクな個性」よりもよほど魅力的に感じたのです。

同時に、これが普遍的な今の時代に受け入れられる絵柄だと感じ、模倣し本作のイラストの絵柄にあてる事に決めました。
AIイラストに是々非々がある事も存じ上げております。
しかし私にとってそれは、イラスト製作を補助しつつも学ぶべき事の多くある手本と感じました。

意外と思われるかもしれませんが、AIイラストをそのまま利用するという考えは余りありませんでした。
おそらくどこかで、私はまだ自身の絵も諦めて無かったのだと思います。

こうして製作が進み、昨年末にCi-enにて投稿を始め、DLsiteにて体験版の公開を開始しました。


前述しましたように、「AIイラストとはAIによって出力されたイラスト」と思っていた私にとって、製作段階において自身のイラストがAIイラストに依拠した物であるという認識はあったものの「AI生成作品」にあたるという認識はありませんでした。

しかしだからと言って、一切の後ろめたさや隠そうとする意図が無かったかと言えば嘘になります。

約一か月程前の2月20日頃より、DLsite様のAI利用に対するサイト内での扱いが変わりました。
AI作品はトップページから除かれ、AIタブに移行、実質的に隔離処理に近い形です。

これにより、AI作品は人目に触れる事が無くなりました。
事実、それ以後に同サイトより販売開始されたAI生成作品に該当するゲーム作品の多くがDL数1桁、多くて2桁です。

私は約10年前、当時の皆で作った同人ノベルゲームを思い出していました。
その時のゲームもレビューサイト等での物語への評価は良かったのですが(その物語を書いたのは私ではありませんが)、結果的に余り販売数は伸びず知る人ぞ知る、という物となってしまいました。

どんな想いを込めて作った物語、ゲームであっても、他に知る人がいなければそれは実質この世に存在しない事と同義です。
私はこれまでの経験で、それを何より痛く知っています。
私はそれを怖れました。

しかしながら前述したとおり私は「AIイラストとはAIによって出力されたイラスト」と認識しておりましたし、製作効率が上がったとはいえ通常の3分の2程の時間をかけて描いたレイヤー未統合のPSDデータもありましたため、特段頭を悩ませていたという程でもありませんでした。
この認識の甘さが問題であった事は、先程お伝えした通りです。


現状、私も半ば放心状態につきゲームの更新等を上げられる状態にありません。
幸いな事にここ数日はバグ報告もなく、動作が安定しておりますため、幾つか新規追加要素のご要望は受けておりましたが一度休止させて頂きたく思います。

改めて、このたびは皆様に大変ご迷惑をお掛けし、ご不快な思いをさせてしまった事、重ねてお詫び申し上げます。
申し訳御座いませんでした。

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    名無し ID00460419
    正直なところ、いいゲームだと思う。
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    AIは好き嫌いがあるだろうけど、楽して作ったように見えない。
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    NEXTAltair ID02258593
    AIで創作意欲を取り戻したいい話
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    名無し ID00454137
    頑張れ
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    夏目xx ID00981467
    アンチコメントは気にしなくて良いと思います

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