大好きな上司はえっちなサキュバスでした(♡ありver.)
「大丈夫ですか? 今お水持ってくるので、ここに座っててください」
私は彼女をリビングのローソファに座らせキッチンへ向かう。水を取り出しながら一人用の小さな冷蔵庫の中をぐるっと見回して、やっぱり何も入っていないのを確認し溜息をつく。
普段の怠慢さがこんなところで響いてくるなんて。私が普段から自炊するような人間だったら、具合が悪くなった憧れの上司へ冷蔵庫の余りものを使って栄養のあるものでも作ってあげられた。だけど私は仕事が終われば即居酒屋へ直行か、コンビニやスーパーで弁当買って帰るタイプの人間だ。冷蔵庫の中に入れるものなんて、買ってきた酒かアイスと、普段必要な飲み物くらいしかない。
「はい、どうぞ」
「⋯⋯ありがとう」
机の上に水の入ったコップを置くと、神崎さんはだるそうに体を持ち上げてコップの水を一気にその体へと流し込んだ。
「あの⋯⋯私、薬とか食べ物買ってくるので、神崎さんは休んでいてください。あっちが寝室です。歩けますか?」
昔から健康優良児だった私の家にはまともな薬もない。普段からお世話になっている先輩にこんな時でもいいところを見せられなくって、ちょっと落ち込んでしまう。
神崎さんは私の言葉に小さくうなずくと、着ているジャケットを雑に脱いだ。そして、中に着ていたブラウスのボタンを三つほど外す。先輩の白くて綺麗な素肌があらわになって、身に着けている下着、そしてそこから溢れる膨らみまでちらりと見えた。目を逸らしたけど、予想外にセクシーで真っ黒な下着が脳に焼き付いて、思わずごくりと喉が鳴る。
「行きましょう、私が支えますから」
ぶんぶんとその美しい景色を打ち消してから、私は先輩の肩に腕を回した。よっと持ち上げると、先輩の華奢な体は簡単に持ち上がる。運動部としてやってきた自分のしっかりとした体がコンプレックスに感じることもあったけど、こういう時は力があって良かったと思える。
神崎さんを抱えて寝室へと足を進めるが、その間も神崎さんは私にもたれながら、苦しそうに息を荒くしていた。
この上司の名前は神崎ニアロニ。家族が海外の人らしいけど、頭がよくて日本語はぺらぺらどころか、親族一同日本人の私よりもよっぽど語彙がある。そんな彼女が私の会社へ中途入社してきたのが数年前。あまりに仕事ができるため、異例の早さで出世し私の上司となった。とはいってもそれを鼻にかけるような人でもなく、優しくて明るくて人当たりもいい、それにプラスして驚くような美貌。社内でも有名な人気社員だった。
そんな人気者な彼女と、私は苗字が一緒だった。神崎いずほ。特に珍しくもない苗字だけど、それがきっかけで私に親しみを持ってくれた神崎さんは、私と仲良くしてくれるようになった。もちろん私も彼女が大好きで、生まれたばかりの雛のように神崎さんの後をついて回った。
しかし最近、神崎さんはずっと具合が悪そうだった。心配しても「ただの寝不足だから大丈夫」と仕事も休まない。日に日に顔色は悪くなり、遂に今日の残業中、彼女は倒れてしまった。救急車を呼ぼうとしたけど、なぜか必死な形相で「お願いだからやめて」と言われてしまい、どうしようかと迷った挙句、自分の家へ連れてきてしまったというのがここまでの展開。
「ベッドにつきましたよ。寝てください」
ベッドに座らせると、神崎さんは倒れるようにベッドへと寝転ぶ。そんな彼女に掛け布団をかけ、買い物に出かけようと後ろを振り向いた瞬間、か弱い力が私の服の裾を引いた。振り向くと、神崎さんがうつろな瞳をこちらに向けている。
「いか⋯⋯ないで⋯⋯」
「で、でも⋯⋯薬や食べ物とか買いに行かないと⋯⋯すぐ帰ってきますから」
子供をあやすように言っても、神崎さんは私の服の裾を握ったまま離そうとしない。
「⋯⋯分かりました。神崎さんが眠るまで、横についていますね」
そう言って私がベッド脇の床に座ると、神崎さんは安心したように微笑んで、そのままゆっくり目を閉じた。そして少しすると、すーすー、と規則正しい寝息が聞こえてくる。
「あっという間に寝ちゃった」
怖いくらいに整った顔を眺める。飽きることのないその美貌は、いつまででも見ていられそうだ。しかし少し暑いのか、眠ったままの彼女が身じろいで掛け布団がずれる。すると、ボタンを開けてはだけたブラウスから覗く胸の谷間が現れて、思わず私はそれに釘付けになってしまう。
白く膨らんだ二つの双丘が、黒いレースに包まれている。着痩せするタイプなのか、普段の姿から想像するよりも大きそう。むちっとしたそこをつついてみたい衝動に駆られるが、そんなセクハラできるわけがない。
「⋯⋯」
心臓がどきどきと高鳴り、ごくりと喉が鳴る。そして私は無意識に、ズボンの上から自分の秘部へと手を伸ばしていた。
「っ⋯⋯」
こんなのだめだと分かっているのに、彼女の胸から目を離せないし、そこをさする指を止めることもできない。私は声を押し殺しながら、必死に自分のクリトリスへと快感を与え続けた。
「っ、ぅ、♡」
声が出そうになって、ぎゅっと目をつむり、耐える。一度深呼吸をして、高まった快感をいったん落ち着かせてから、私はゆっくり目を開けた。
心臓が、止まるかと思った。
閉じていたはずの神崎さんの瞼が開いていて、さっきまでのうつろな瞳はどこへ行ったのかと聞きたくなるほど、かっと見開いた目でこちらを見ている。私は恐ろしさのあまり頭が真っ白になって、指先一本、視線すらも動かすことができなかった。
彼女はベッドからぬっと起き上がると、その白くて細長い手を蛇のように私に向かって伸ばしてきた。私は恐怖で思わず目をつむる。すると、伸びてきた手が私の後頭部へとまわり、ぐいっと引き寄せられた。
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