【男勝りの巨乳妻を学生時代のヤリチン旧友に抱かせてみた】 第1話「プロローグ ~同窓会のお知らせ」
松川紅音(まつかわあかね)。
それが彼女の旧名だった。
馴れ初めは高校二年のとき、僕が彼女に告白したのが始まりだ。
松川さんは端的に言えば、強くて凛々しい女性だった。
背が167センチと女子にしては高く、実家が空手の道場をやっているので腕っぷしもかなり強い。さすがに空手部男子より強いわけではないが、そこらのひ弱な帰宅部男子(つまり僕のような男)にはまず負けない。
それを象徴するのが高校時代、彼女の親友がいわゆる“悪い男”に引っかかり、泣かされてしまったときのエピソードだ。
「お前さくらに何したかわかってんのか?」
「ま、待って、落ち着こうよ松川さん」
「黙れこの腐れ外道がぁぁぁっ!!!」
松川さんは、なんとその男子を一発でノックアウトしてしまったのだ。
空手道場の娘が素人男子に鉄拳制裁。
あれは本当に見事だった。武術をある程度極めた人間はあそこまで見事に人間をぶっ飛ばせるのだと感心しまったほどだ。
もちろん学校ではその事件が問題になったし、松川さんは二週間の停学を余儀なくされたけど、
「私は何一つ間違ったことはしてない」
と、最後まで悪びれた様子はなかった。
実際、じゃあクラスの生徒たちがどういう反応だったかというと、松川さんは周りの生徒、とくに女子からはほとんど英雄扱いだった。
女の敵を物理的に“のした”のだから当たり前か。とくに今回の相手はかなり悪い噂の絶えない男で、男女問わず快く思わない人間が多かったから、停学明けも松川さんは変わらず人気者であり続けた。
そんな“ヒーロー”的な人気のある松川さんだが、男子からの人気もあった。
彼女は道場育ちのためか着飾ることもなく、たいしたセットもしてない寝癖まじりの黒髪とすっぴんで毎朝登校していた。ボサボサのセミロングヘアがよく跳ねていたから、男子からはよく“ケモミミ”などとからかわれていた。
服装もボーイッシュなものが多く、スカートを穿いているところなんて制服以外では一度も見たことがない。
だけど女子として魅力がないかと言えば断じてそうではなく、顔立ちは化粧がまったく必要ないくらい整っているし、女子としてはトップクラスに背が高い方だから見栄えもした。
何より高校生女子の平均値を明らかに超えるバストが、彼女の人気に拍車をかけていたと思う。彼女はクラスでも、いや学年でも一、二を争うくらいの巨乳だったのだ。
喧嘩が強く、気が強く、曲がったことが大嫌いな姉御肌。
女子からの人気は言わずもがなで、おまけに美人で巨乳となれば、ひそかに男子たちからも憧れられていたことも想像に難くない。
化粧っ気もないことで彼女に関する浮いた話は聞かなかったから、あれだけの美人でありながら「処女であろう」というそれなりの根拠もある噂も相まって、余計に彼女の人気に拍車をかけていたと思う。
でも実際に彼女に告白して、成功したという勇者はいなかった。
もともと彼女は恋愛には興味がなさそうだったし、何かのタイミングで彼女に告白した猛者が現れても、すげなく断られたという話しか聞かなかった。
「松川さん、好きです! 僕と付き合ってください!」
「はい!?」
だから高二の学祭のときに僕が思い切って松川さんに告白したのは、正直血迷っていたとしか言いようがない。
僕、須藤賢介(すどうけんすけ)はごくごく普通の男子高生で、その時点での松川さんとの繋がりは「二年連続でクラスが一緒である」くらいしかなかったのだ。
会話だって、数える程度。
そんな僕を、彼女が意識してくれているとは思えない。
だから一世一代の賭けで、僕は自分をできるだけ大きな男に見せようとした。
「松川さんは、すごく強くてカッコいい女性だと思います。そんな松川さんに、一年の頃からずっと憧れてました」
そのときの松川さんは、すごく複雑そうな顔をしていたと思う。
告白されることに慣れていないのかというとそうではなく、むしろ「またか……」という感じだった。
実際、彼女にアタックして玉砕した男子は、二年に入ってからだけでも五人いると言われていた。その面倒くさそうな雰囲気からも、彼女の中で「告白される→振る」というルーティンが既に確立されているだろうことがわかった。
分の悪すぎる賭け。
可能性すらない玉砕戦。
でも僕は、この告白を一世一代の賭けにしたかった。
それだけ松川さんのことが好きだったのだ。
「でも僕は松川さんを守れるような、強い男になりたいんです。女の子としての松川さんを、一生かけて僕に守らせて下さいっ!!」
頭を深く下げて、右手を差し出す。自分が叫んだ言葉が、放課後の廊下にこだましていた。
返事はない。
顔が見えないので表情も探れない。
僕はもしかして、とんでもなく失礼なことを言ってしまったのだろうか。
――松川さんを守れるような強い男になる
言ってから、自分が物凄く恥ずかしくなった。勢いに任せてとんでもないことを言ってしまった。僕みたいな平々凡々の帰宅部男子が、どうして松川さんを守れるのか。思い上がるのもいい加減にしろ。
断られる。
そうに決まっている。
僕の中の第三者がそう告げた。
玉砕戦だった。でも想いは本物だ。僕はこの一年半、松川紅音さんへの想いを募らせてきたのだ。
でも、自分自身の予想通りの結果に終わる。
僕は本気の恋で傷つく覚悟を決めて、そのまま歯を食いしばった。しかし頭上で聞こえて来たのは「ごめん」でも「いいよ」でもなく、必死にお腹を抱えて笑いを堪える松川さんの声だった。
「お前、それじゃプロポーズじゃねえか」
一足飛びでプロポーズに至ってしまった僕の口上に、松川さんは涙が出るほど笑っていた。
ろくに話したこともない男子にいきなり告白されるのが、彼女はそんなにおかしかったのだろうか。
「ご、ごめん」
「謝んなくていいよ。私もこの歳になって色恋沙汰とか全然わかんねーけどさ、そこまで気合い入った告白なら、嫌な思いをする女はいねーんじゃねーか」
松川さんは僕の告白の口上をひどく気に入ったようだった。その証拠に、僕が顔を上げてからもしばらくお腹を抱えて笑っていた。
どうやら、彼女に嫌われずには済んだ。
でもその反応は、あくまで少し面白いクラスメイトに向けるもの。単に笑える武勇伝に出くわした程度の反応だった。
手応えなし。
そう捉えるのが普通だった。
だから僕の高校二年の学祭は、盛大な失恋の思い出になるはずだったのだ。
「須藤……だよな? 私全然女らしくねーし、多分喧嘩したら私の方が勝つと思うぞ?」
「はい?」
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
お前は私を守るって言ったけど、私の方が全然強い。そういう言葉の訂正を求めているのかと思った。
「でもお前は、そんな私を守れる男になりたいって言った。その言葉、信じていいのか?」
「え?」
真っ直ぐに、松川さんに見つめられる。物凄く綺麗な黒い瞳が僕を捉えていた。
見つめられるというより、見据えられると言った方がいいのかもしれない。
松川さんは今の僕ではなく、強くなると言った僕の未来を見据えているのだ。
その言葉に信用する価値はあるか、と。
自信なんてなかった。
松川さんを狙うライバルは多い。
そんな中で、彼女を守り切れる自信なんてない。
でも僕は、一世一代の賭けをすると決めたのだ。
ここで想いを豪語できなくてどうする。
「守れる、守ります! 神に誓って、あなたを守らせて下さい!!」
もう一度頭を下げる。さすがにもう笑いはない。彼女が僕を真剣に見つめているのは空気でわかる。
そこでふと頭上で聞こえたのは、先程のような笑いではなく、張り詰めていた空気を弛緩させるような、かすかなため息だった。
「それにはまず、敬語を直さないとだな。二年も同じクラスなのになんでいまだに敬語なんだよ」
さっきよりも弛緩した笑い。松川さんのトレードマークは少年のような笑顔だが、そのときの松川さんは、少しだけいつもと違うように見えた。
「私のこと、恋人にしたいんだろ? だったら敬語は無し。普通は紅音。いきなり呼び捨てが厳しいなら、せめて紅音ちゃんじゃねーか?」
「それって……」
それは彼女なりの、OKという意味らしかった。
夢でも見てるんじゃないか。そんな風に思ったが、次の日になっても僕らの恋人関係は解消されておらず、そのまま僕は学校の“ヒーロー”松川紅音とお付き合いすることになったのだ。
自分でも信じられなかったし、周りからも「からかわれているだけ」と言われたが、他でもない紅音本人に「そんな言葉気にする必要ねーよ」とおでこを小突かれながら言われたことで、自分が正式に彼女の恋人になったことを実感した。
そこから残りの高校生活の一年半、そして同じ大学で四年間を過ごしてから、僕らは社会人二年目となるタイミングで結婚した。
松川紅音、今は――須藤紅音。
正直今でもたまに信じられなくなる瞬間があるが、僕と“紅音”は結婚したのだ。
大学在学中のある日、なんで僕の告白をOKしてくれたのかと聞いたことがあった。
本当は高校時代に聞きたかったが、それだと自信のなさを自分から白状しているようで、聞くのが憚られたのだ。
僕がそれを聞けたのは、大学一年のゴールデンウィーク。大学から一人暮らしを始めた僕の家で、僕が紅音と、生まれて初めて性行為を経験した後だった。
男というものは情けないもので、そういう既成事実がないと自信が持てない。
正真正銘紅音の処女を“貰って”、気が大きくなったタイミングでしか、その質問を放り出せなかったのだ。
「なんだよ今さらそんなこと」
紅音は呆れながら笑っていたが、正直に全部話してくれた。
あの時点で、僕に対してとくに恋愛感情はなかったこと。
噂通り、紅音は裏で結構男子から告白を受けていたこと。
その告白の内容が、強い女性としての紅音に憧れるだけのものか、逆に紅音の身体(たぶん胸のことだと思う)にしか興味がないような、二種類しかなかったこと。
その中で、紅音を「守りたい」と言ったのは僕が初めてだったこと。
憧れの対象でも、肉体として都合のいい女でもなく、一人の女の子として扱ったから。それが勝因だそうだ。今思えば、告白の最初に憧れていると言ったとき、紅音はうんざりしたような顔をしていた。あのときの紅音は普段から同じような告白ばかりで本当にげんなりしていたのだ。
「べつに本当に守られたいって思ったわけじゃない。お前がどんなに努力しても喧嘩じゃ負けないって思ったし、そういうことじゃないんだよ」
要するに、誠実そうだったから。
それが紅音が僕を選んだ理由だという。
今さらだけど、僕はあのときの一世一代の賭けに、本当に勝っていたのだ。
喧嘩ではお前には負けない。
たしかにあの頃はそうだったと思う。
でも大学受験を境に紅音は空手をやめたし、化粧やオシャレにもそれなりに気を使うようになった。高校時代はFカップだったという胸もさらに成長しているし、だんだんと女らしくなっているという表現が正しかった。
それについても一度理由を聞いたことがあるけど、赤面した紅音に「好きな人がいるからだろ……」と返されて、僕自身もかなり赤面したことを覚えている。
僕はべつに格闘技はやっていないけど、筋トレも普通の大学生並みにしているし、成長期が終了した今では、筋肉量でも骨量でも、紅音にはまず負けないと思う。
それが男と女というもの。
僕は少しずつ、紅音を守る側に回りつつあったのだ。
だから大学を卒業して二年後のプロポーズの言葉は、もう決まっていた。
「今度こそ、紅音のことを守らせてくれ」
夜景の綺麗なレストランで指輪を渡したとき、紅音は珍しく涙を流していた。
もちろん返事は「はい」で、ずっとこうなることを彼女も望んでいてくれていたという。
実は――高校生のときから。
学校のヒーロー松川紅音は、誰よりも“女の子”だったのだ。
「紅音」
「賢介……」
いわゆる新婚初夜、僕らはいつもよりも激しく求め合った。
端正な顔立ちの紅音と見つめ合う。
高校時代もかなり可愛い女の子だったが、今はそのときよりも綺麗で、可憐で、大人の魅力が増している。
リップだけ塗られたその瑞々しい唇に吸い寄せられるように、僕はキスをした。
高校時代はプラトニックなソフトキスだったが、セックスをするようになってからは一丁前に舌を絡めて、お互い誘い合うように唾液を混ぜた。
「触って、くれないか……?」
興奮したペニスを触るようにお願いする。今でも紅音は、コレを触ったり見るときに顔を真っ赤にする。男勝りな女の子である反面、紅音はものすごく純情なのだ。
「いつもより硬くないか……?」
「そりゃ、紅音が綺麗だから」
指示通り、紅音が僕の勃起チンポを揉む。
男女間、とくにセックスの関係で言えば、とっくに僕の方が上になっていた。
「フェラして」
床の上で跪いた紅音が、ゆっくりと僕のジッパーを下ろす。するとギンギンに勃起したペニスが飛び出して来た。それを見て、紅音がさらに顔を赤くする。
「興奮しすぎだろ……」
「紅音が可愛いから」
「そんな褒めてもなんも出ないぞ」
「出すのは俺の方でしょ?」
「……ばか」
揶揄う意味でも何でもなく、上目遣いをする紅音はとんでもなく可愛かった。
紅音を守れる男になる。ことセックスの場では、自分がその言葉を十分に体現しているように思えた。
「咥えるからな……」
いつも通り、紅音が僕の余った皮を剥いて亀頭を露出させる。赤い部分が露わになった竿を、紅音がゆっくり咥え込んだ。
(ああ……松川さん……)
高校時代にヒーローだった松川さんに、チンポを咥えさせている。そう思うと興奮もひとしおだ。あの当時、“鋼鉄の女”こと松川紅音にチンポを咥えさせたかった男は、きっと一人や二人じゃないだろうから。
もちろん、そんな妄想は紅音には言えない。
今はもう、僕は紅音を守る側だ。それを誓った日の夜にこんなことを妄想するなんて、我ながら少し倒錯していると思う。
「気持ちいいか……?」
「ああ、いいよ……」
紅音が僕のペニスをフェラする。
一生懸命舌も使って、そのたどたどしさが逆に可愛くて、この人をお嫁さんにできて本当によかったと思った。
「胸で挟んで」
「もう……お前は本当にそればっかだな」
呆れながらも、ブラをとってたわわな胸を披露する紅音。
文字通り、ブラから飛び出してくる巨乳。
高校時代にFカップだった胸は、今ではHカップまで成長している。
これだけの大きさなのに、重力に逆らう張りのあるおっぱい。
程よい大きさの乳輪は綺麗な薄桃色で、つんとした瑞々しい乳首が可愛らしくも、艶っぽい。こんなこと言うと紅音は怒るけれど、巨乳モノのAV女優みたいに綺麗なおっぱいだった。
「ああ――」
そんな紅音のHカップおっぱいにチンポを挟まれる。ずっしりとした重さを持つ乳房が、僕の陰茎を金玉ごと包み込んだ。
温かい。
めちゃくちゃ柔らかくて、張りがある。
僕は紅音以外のおっぱいを触ったことないけど、間違いなく紅音のHカップは極上品のおっぱいだった。
高校時代、誰もが憧れた松川紅音のおっぱいを僕だけが独占している。
好き放題触ったり揉んだりして、チンポまで挟ませている。
この世の何よりも代え難い優越感だ。
「ああっ、出るよっ!!」
そんな紅音のおっぱいで、僕は容赦なく射精させられる。極上すぎるパイズリは僕にはもはや凶器だった。
「んっ――」
当然ながら、精液は紅音の顔にぶちまけられる。
あの松川さんの顔に、ぶっかけ。
これまた高校時代に誰もが憧れた行為だ。
「これで終わりじゃないよな?」
「当たり前じゃん」
紅音の可愛すぎる反応と、いやらしすぎる身体を見ていると、僕は何回でも勃つことができる。実際、射精の後も数分のフェラで復帰して、挿入する気満々の勇姿を愛する嫁に見せることができる。
「挿れていい?」
「ああ……」
紅音をベッドに押し倒す。
衣類を全部剥ぎ取って、そのまま脚を開かせた。
紅音の身体は、はっきり言って胸だけじゃない。
空手道場の末娘である影響で今でも運動は欠かさないおかげか、全体的に身体がいい具合に引き締まっている。
高校時代はある程度筋肉質だったかもしれないが今ではそれも緩和されて、程よい皮下脂肪がある。女として理想のプロポーションを保っているのだ。
背が高く綺麗に伸びた脚も、
本人は意外と気にしている大きなお尻も、
腰のくびれも、
毛並みの極めて薄い、女子高生みたいに綺麗な“スジ”も、
僕には全てにおいて理想的な女性だった。
その上、Hカップの綺麗すぎるバスト。
こんな嫁を抱けるなんて、僕は須藤家始まって以来の果報者だ。
「ぁあんっ!」
クンニと手マンで前戯した後、十分に濡れそぼった紅音の割れ目に怒張した男性器を、正常位で挿入する。
高校時代からは想像もつかない“女の声”を上げた紅音は、ぬめり気を帯びた肉襞を僕の男性器に絡みつけてきた。
新婚初夜。
僕は生まれて初めて、女性の生膣を堪能していた。
「あんっ! あんっ♡」
ピストンをするたび、紅音が面白いように喘ぐ。顔を真っ赤にして、足と腕を僕の身体に絡み付けてきた。
「これ……やばいっ――」
「紅音の中もやばいよ――」
正直、堪えなければ数秒で果ててしまいそうだった。
まさか、ゴムなしのセックスがこんなに気持ちいいなんて。
いや多分、これは紅音特有だ。
聞いたことがある。
いわゆる、名器。
紅音のおまんこは、男を射精させるための理想の形をしているのだ。
「ああっ! 賢介っ! 賢介っ――」
「ああ紅音っ! 中で出すよっ!!!」
紅音の初生おまんこに耐えきれず、僕はあっけなく射精してしまった。
もちろん、中出し。
人生初の膣内射精だ。
チンポから出された精液が、紅音のおまんこに搾り取られるのを感じる。
まるで搾乳されているかのように、紅音のおまんこは僕のザーメンを搾り尽くした。
「愛してるぞ賢介……」
「僕も、愛してるよ紅音」
中出し後も結合しながら、愛する“お嫁さん”とキスをする。
新婚初夜。もちろんその後僕と紅音が三回戦、四回戦、五回戦に臨んだのは、言うまでもないことだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
それから二年後、僕らの夫婦生活は問題なく続いていた。
僕は会社員で、紅音はパートに出ている。仕事は順風満帆だし、最近は少し金銭的な余裕も出来て、新しい賃貸マンションに引っ越すことができた。
誰もが羨む幸せ夫婦。
そんな二人に、僕らはなることができていると思う。
ただ一つ、悩みがあるとすれば、
「ぁあっ、あぁんっ!!」
僕と紅音の夫婦の営みが、以前よりも増していること。
それだけだと幸せな悩みにしか聞こえないかもしれないが、僕は僕で、そのことを悩みに感じていた。
「あ、紅音っ――」
「賢介っ、そこいいっ――」
僕ら夫婦の寝室でまぐわっていた。
体位は後背位――バックだ。
四つん這いになった紅音に、僕が怒張した男性器を突き立てている。
紅音のおまんこは相も変わらず名器で、僕のペニスを容赦なく搾り上げてくる。
もちろんゴムは着けておらず、中出し前提だ。セックスの回数が増えているのは、できるだけ若いうちに子供を作りたいという意味も込められている。
「あんっ、あんっ!」
後背位になった紅音は、ある意味正常位よりもエロい。
大きいお尻が揺れるのが丸見えだし、いまだに型崩れしないHカップが大きく揺れるところを間近で堪能できる。
でも二年前と違うのは、紅音もみずから腰を振っていること。
元々空手家、スポーツウーマンの紅音は、筋肉も運動性も普通の女の子より優れている。
セックスとは、ある意味で身体を動かすスポーツ。元来アスリートの紅音が、セックスにおいてもその特性を発揮するのは当然のことだった。
「賢介っ! あっ――」
「ああっ、紅音っ――」
紅音の後ろからの腰振りに限界を迎えそうになる僕の股間。
お互いセックスは素人から始めたけれど、大学から数えていざ六年間も継続すると、如実に生まれ持った身体能力の素養が露わになる。
有り体に言うと、僕はだんだんと紅音のセックスに押され始めていたのだ。
「ああっ、出るっ!!」
堪えきれず、僕は紅音のおまんこに思い切り射精する。
相変わらず、搾り取るような女性器。その名器具合は、むしろ歳を重ねるごとに増していた。
愛する女性への中出し。男としては極上に気持ちいいが、気になるのは紅音が少しだけ、物足りなさそうな顔をすることだ。
「まだ、できるか?」
「あ、ああ」
ゴムを着けていた大学生時代は、まだお互い五分だったように思う。
でも歳を重ねるごとにどんどんいやらしく成長する紅音の身体と、ゴムなし解禁で明らかになった紅音の“名器”に、僕はだんだんと主導権を握られるようになったのだ。
「あんっ、そこいいっ――」
「あ、紅音っ」
紅音は自分もイキたいとき、決まって騎乗位を選ぶ。
自分が一番気持ちいいように動けるから。言われなくてもなんとなくわかる。そしてこの体位なら、僕の大きさでも一番奥に届くからだ。
「賢介っ、賢介っ!」
僕の上で、自分主体で腰を振る紅音。
張りのあるHカップのおっぱいが、激しく、そしていやらしく跳ねている。
おまんこは夫のチンポをがっつり咥え込んで、絶対に離さないという気概が感じられる。
「紅音のまんこ、気持ちいいよ」
「賢介のチンポも、めっちゃ気持ちいいっ!」
チンポ。
そういう言葉も結構使うようになった。
最初はその方が僕が興奮するからという経緯だったが、今では自分から使っているように思う。
「ああっ、やばいっ、出そうだっ」
「待ってっ、もう少しでイけそうなんだっ!」
僕の腹筋に両手を置き、自分から激しく腰を振る紅音。
激しいセックス、というより、僕のチンポを使った自慰行為(セックス)。
そんな感じで、激しくおっぱいを揺らしながら腰を振り、
「ああっ!! イクっ!!!」
実に十回ぶりのセックスで、紅音は僕のチンポで絶頂に至ることができた。
もちろんそのタイミングで、僕も限界を迎えて射精した。
(す、すご……)
紅音のおまんこはイクとき、物凄い膣圧でチンポを締め付けてくる。
アスリート特有なのか、名器だからなのか、男を射精させてなお、搾り出す気満々のおまんこだ。
僕の上で、色っぽく呼吸を整える紅音。
言外の雰囲気でわかる――まだ行けそうだと。
でも僕の方は既に三回射精しており、限界だった。ここから何度フェラされようがパイズリされようが、三時間は音沙汰なしだろう。
それを察した紅音は、決して不満そうな顔をすることなく、
「すっげー気持ちよかったぞ」
そのまま、僕の胸板に額を乗せてくる。
嘘はない。元より嘘が物凄く下手な性格だ。今のセックスが気持ち良かったのは事実だろうし、紅音の方が不満を感じているということはないだろう。
不満を覚えているのは、僕の方。
紅音に対してじゃない。紅音を本当の意味で満足させてあげられない、僕自身に対してだ。
最初は僕の方がリードしていたセックスだったのに、年を増すごとに勝てなくなった。
ある意味、人妻としてのエロさを増した紅音の前に、僕は自分を抑えきれなくなり、暴走気味でセックスしてしまうのだ。
よく、嫁の身体に色気を感じなくなってセックスレスなんて言うけれど、僕の場合はまったく逆だった。
嫁の身体がエロすぎて、つい制御が効かなくなる。それであっけなく射精してしまうのだ。
須藤紅音は間違いなく理想のお嫁さんだ。
美人だし、スタイルもいいし、古風な言い方だけど気立てもいい。
夫の僕のことは立ててくれるし、本当は正社員でバリバリ働ける能力があるのに、パートタイムの仕事に抑えている。
もちろん紅音がパートなのは、若いうちの子育てを見据えているから。
いつでも社会復帰できるように、正社員という縛りのある環境にはいかない。僕もそれを望んでいるし、紅音の方も妻として、母親として生きる道を望んでいる。
だからこそ僕らは毎晩のように、ゴムなしで交じり合っているのだ。
でも、僕の方がその期待に応えられていない気がする。
中出ししているのだ。EDというわけではない。むしろビンビンに勃つ。子作りの観点では十分男としての役割を果たせていると思う。
でも紅音を本当の意味で満足させられているかと言われれば、自信がない。
紅音はもっとイけるだろうし、イキたいと思っている。
でも僕の方がついていけない。こんなに綺麗でエロい嫁さんを貰っているのに、みずからのブツで満足させてあげられないのだ。
紅音が、それに関して不満を漏らすことはない。
というか多分、そこまで不満に思っていない。
紅音はセックスの快楽よりも、夫婦の愛を大事にする。おそらく世の中のほとんどの女性がそうだろう。
セックスで死ぬほど気持ち良くなるのが一番だというのは、むしろ男の側の固定概念だ。
でもその固定概念に縛られているのは、他でもない男の側の僕。
僕は、紅音を性的に満足させられない自分が許せないのだ。
こんな理想のお嫁さんを貰ったのに。生涯かけて守ると誓ったのに、結局は男として情けないところを晒している。
そういう気後れとか劣等感のようなものが、根拠はないけど紅音の不妊に繋がっているような気がする。
僕にもっと自信があれば、実力があれば、紅音をもっと幸せにできるのに――。
そんな想いや焦りが原因になったというのは自分でもわかる。
気付けば僕は――ED(勃起障害)になっていた。
「ごめん……」
「気にしてねーよ! 子供なんていつでも作れるんだし、焦る必要なんてどこにもねーだろ」
紅音はそんな僕にも真剣に向き合ってくれた。
セックスができないことじゃなくて子供が作れないことに言及するのも、実はセックス自体には全然興味がないからだと、暗に察することもできる。
要するに、気にし過ぎ。
自爆なのだ。紅音は僕のセックスでイけないことを全然気にしてなかった。
僕が勝手に落ち込んで、勝手にインポになった。そういう情けない事態なのだ。
僕らはその後も変わらず夫婦生活を続け、時折思い出したように営みにチャレンジしてみたりはしたがあまり上手くはいかず、定期的にクリニックにも通ったりして、およそ一年の時間が経過していた。
その間、紅音とのセックスに成功したことは一度もない。
一度だけ同僚に悩みを打ち明けて、紅音に内緒で風俗に連れて行かれたが、無反応。考えてみれば僕は紅音の身体が世界で一番エロいと思っているのだから、他の女で勃つわけがなかった。三万円の無駄金だった。
二十四で結婚して、三年。
僕らも今年で二十七歳になる。同級生でもちらほら第一子誕生の報告が聞こえ始めた頃。
本当に子供が作りたいなら、いよいよ体外受精などにも頼らないといけないかもしれない。
僕がそんなことを頭の片隅でうっすらと考え始めたとき、僕と紅音宛に、一通の手紙が届いた。
――◯◯高等学校 ✕✕年度卒業生 同窓会のお知らせ
それは僕と紅音が通っていた高校の同窓会の知らせだった。
卒業して来年で十年。そろそろこういう連絡も来るかもとは思っていた。
しかし同窓会に参加すれば、かつてのクラスメイトたちから出産や、子育ての話を聞かされることもあろうだろう。
僕はそれを聞くのが気重だった。紅音だって、妊娠や僕のEDのことを焦ってしまうかもしれない。クリニックの先生から、変に焦らないことが大事だと何度も言われているのに。
「いいじゃん、行こうぜ同窓会。久しぶりにみんなにも会いてーしさ!」
意外なことに、紅音はむしろノリノリだった。
考えてみれば紅音は高校にたくさん友達がいた。結婚したことで交友頻度は少なくなったが、久しぶりにかつての友達と会って話したいことはたくさんあるだろう。
それに紅音の友達ということは、必然的に僕の友人でもある。僕と紅音は結局、三年間同じクラスだったのだから。
「気分転換だよ気分転換。昔の仲間と馬鹿話してたら、お前のインポも治るかもしれないだろ」
昔からだが、紅音は結構あっけらかんとしている。
僕が気にしている病気のことだって構わず話題に出すし、逆にその明るさで、僕が救われているのは事実だった。
他でもない紅音自身が、僕のインポのことをそこまで気にしていないのだから。
こういう前向きな女性と過ごしていると、自然と「なんとかなる」と思えてしまう。
クリニックの検査で種無しじゃないことはわかっているのだ。最悪体外受精に切り替えても、僕と紅音が子供を作ることはできるのだから。
あくまで、気分転換。
夜の営みの悩みを忘れるため、久々の友と笑い明かすための時間。
そういう軽い気持ちだったんだ。それにそういう目的がなくても、僕らはこの同窓会には参加していたと思う。同じ高校で結ばれた夫婦が、自分たちの出会いの場である学校の同窓会に参加しないはずがないからだ。
だから、ある意味で必然。
僕と紅音は、行くべきしてあの日の同窓会に行ったのだ。
まさかそれが、あんな形で僕のED解消に繋がるなんて、そのときは一ミリも思っていなかったけれど。