【お知らせ】活動終了につきまして【長文お気持ち付き】
活動終了のお知らせ
いつもお世話になっております。赤宮です。
現在まで成人向け音声作品の依頼を停止しておりましたが、
今後年齢制限問わず、音声作品・音効等の依頼の受付を全て停止いたします。
現在ご依頼・ご相談頂いている案件の終了を以て、
音屋としての活動を終了する運びになりました。
これまでご支援いただき、本当にありがとうございました。
本Ci-enにつきましては、一部除き非公開とさせていただきます。
また、Twitter(X)やその他SNSは停止する予定はありません。
御用がありましたらTwitterやdiscord、メールまでご連絡ください。
今後、赤宮むむ名義では依頼をお請けすることはないかと思いますが、
同業者様・フォロワー様および知人、取引のある皆様につきましては、
予定や案件の内容次第ではお手伝いできるよう体制を整える所存です。
以下、お気持ちを含む活動終了の経緯です。
活動終了の経緯
以下は特定の人物・サークル様を指すものではありません。
私はビジネスで音屋をやってない。
私はビジネスとして音屋をやっているわけではありません。
結構な方が勘違いなさっているのですが、私は趣味で音声作品や音効のお手伝いをしているだけであり、ビジネスマンではありません。
無論金銭のやり取りが発生する以上、その責務は誠意を持って果たして参りました。
ここに依頼者の皆様──より主語を大きく表現すると近年の同人音声サークル各位──と私の間で乖離があると判断しました。
私は金銭のために同人活動をしているわけではありません。好きな活動をして、発生した作業に対して対価を頂いているだけでした。
言い方を変えます。
同人活動は金銭のためにやるものではないと認識しています。そして、同人活動において発生する金銭というものは好きな活動を継続するための活動資金であると考えます。
ここに近年の同人音声サークル各位と私との間で意識の乖離が明確にあります。そして、私はこの考えを改める気は一切ありません。
私は工場の作業員ではない。
私は商品を組み立てる作業員ではありません。
私は依頼者の皆様が作りたいモノを実現させるために技術を提供しているのであって、例えば原稿データを紙に印刷する印刷所の従業員ではありません。
強調するために何度も言いますが、近年の「同人(?)音声サークル(?)」各位と私の同人の定義には乖離があります。もちろん私と彼らがやり取りするデータに対する価値観にも乖離があります。
ハッキリと述べます。
私は金銭のために作られた、養殖イクラのようなデータの検品をするのが非常に苦痛でした。
量産されたありきたりの台本を何度も読み、それを演じる声優様のデータチェックすらされていない音声を何度も何度も繰り返し、割れた音を修繕し、読み間違えを修整し、バイク・パトカーなどの音を除去する日々が苦痛以外の何物でもありませんでした。
粗製乱造
大して好きでもない金のなる木を、誰が丁寧に育てるのでしょうか?
音声作品サークルのサークル主様とよく話をする機会がありますが、多くの方が売上の話をします。それは間違っていないと思います。同人活動にとって活動資金は命綱ですので。
しかし、残念だなぁと思うのは「○○が流行り」「ターゲットは○○」などという話題が飛び交うことです。
それって同人サークルが気にすることなのかな? と気になる次第であります。
こういった会話が常態化していることをお話すると、私が何千回「オホ声」を修正して、何千回「ヤンデレ」「シスター」「妹」の典型的なセリフを修正したか、もはや日本人全員を総動員しても数えられない程度だということをご理解いただけるかと思います。
ひたすら同じ淫語を聞きました。EDにもなりました。回復はしましたが、みさくらなんこつ氏のミームを見るのすら忌避感を覚える程度に苦手意識がつきました。
「とりあえずこのテーマなら売れるだろう」という適当なテーマで制作され、
劣悪な録音環境で録音され、テイク管理はされていないのが当たり前、明らかな録音ミスに私以外気づかないことからデータチェックすらされていないことが容易に想像できる、そんな作品の数々を毎月5~6件ほどやっていました。
ノイズ除去は、私の作業で最も負荷の大きいプロセスです。
リップノイズだけでなく、喉が閉じたときの音や舌の遷移音も可能な限り除去して、
エンドユーザが聴きやすい音源を作ることを至上命題に掲げています。
そんな中、セリフ中にマイクにぶつかってもリテイクしない、などのようなデータの扱いを見ると辟易してしまいます。
私は1分の音源に10分程度時間をかけてノイズを除去しています。それもこれも依頼者様の「作りたい」を最も満足のいく形で叶えたく、エンドユーザの皆様にも幸せな気持ちで作品を視聴してもらいたいためです。それが私の同人活動であるつもりでした。
それを、マイク接触ノイズの除去という本来あるはずのない、綺麗に除去する難度の高い作業が発生して、しかも頻発されるときたら、私の1分あたりの作業時間は15分にも20分にも延びていきます。
ふと気付いたのです。
「私が声優様に発注する側なら、魂のこもった作品でこのような録音ミスを許容するだろうか?」
私なら絶対に許容できません。追加料金がかさんでも、声優様にリテイクを依頼します。
残念ながら、私に届く数多くのデータは、そんな疑問を拭いきれないものばかりです。
私はこれらを、率直に「粗製品である」と判断するに至りました。
私は粗製品の組み立て作業員ではない。
繰り返します。私は、音響という趣味のなかで、依頼者様の作りたいモノを実現させるために、お手伝いをしています。
そのために数年前にこの活動を始めたのでした。
そして、この哲学は一切変えません。
この考えの乖離がある限り、私はサークルの皆様と友好的な関係を続けていくのは困難だと思い、活動終了に踏み切りました。
中には、大きな声では言えないような虚偽の内容を介する案件や、
素性不明の現金取引などすらありました。
そういった危険なことから身を守るためにも赤宮むむとして第三者と取引することを停止いたします。
資本主義だよね
金銭が先んじる創作活動というのは、決して悪ではないとも考えています。
ただ、私の考えが少し古いだけなのだろうと認識しています。
産業というものは常に栄枯盛衰です。
Webの発展に伴い、誰もが発信できる時代となり、
情報発信の基盤は情熱や芸術的欲求から金と承認欲求へと変遷し、
そして私の同人の価値観というものは過去のものとなりました。
多くの金銭が発生するという事実は、可視化可能な絶対的評価に相違ありません。
dlsiteさんもこの音声作品バブルをウキウキで推進しているようですしね。
音声作品のみならず、日本のオタク的文化活動はまさに先進的で、
経済的発展の絶頂にいるのだろうなと認識しています。
(経済学、社会学は門外漢ですが)
かつての日本産業のようで、今の中国産業のようだ、と喩えるのが早いでしょうか?
私はたまたま海外の活動者や事務所と出会い、
まさに私の同人観と一致したオタク文化に触れることができ、
ゆるく楽しく真剣に、趣味としての音屋を歩んでいく活動基盤が見いだせたところです。
上で喩えた産業と対比するなら、それは発展途上国の産業とでも言うべきでしょうか。
まとめると、
私にはみんなの高度な同人活動についていく元気はなかったよ。体も悪くしたしね。
ってことです。
今後
上で少し触れたように、赤宮むむ名義での活動をやめ、
身内と今ある取引(海外案件含む)だけをほそぼそとやっていく予定です。
また、アシスタントくんに読んでもらっていた音声編集や整音について記した虎の巻があるので、
必要に応じて講習とかも開催できたらいいなぁなどと考えています。
最近はお絵描きも楽しいし、そろそろ復職も検討しなきゃだしね。いろいろやることが増えて大変です。
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