【感想】彼女の肢体に付いたアイツの唇痕

「彼女の肢体に付いたアイツの唇痕 ～幼馴染みの巨乳彼女は先輩の大きな腕に包まれ淫蕩けた笑みを浮かべる～」（ANIM.teamMMさん）をプレイしました。
総プレイ時間は私の読む速さで11～12時間くらい、初回は思うままに選択肢を選んだ結果、すぐ終わるエンドに辿り着いたので40分ほどでタイトルに戻されました（笑）。

以下は感想です。たぶん偉そうなこと言ってるかもしれません。
上手くまとめられる気がしないので、プレイ中メモった走り書きを見ながら箇条書き風に記しますね。
未プレイの方はネタバレ注意です。

【システム】
クリック後も音声が継続されるように設定できるのはありがたいです。ウィンドウ左下に再生中のボイスの長さがわかるメーターが表示されるシステムは初めて見ましたがこれも便利ですね。
テキスト表示にデフォルトでフェードのようなエフェクト？が付いていて消せないのが個人的に不便でした。仕方ないので今回に限りノーウェイトでプレイしました。
それとタイトル画面ではCONTINUE（ロード）のすぐ下にCONFIGがあるため、見間違えて誤クリックすることが多かったです。ゲーム中のテキストウィンドウでは「ロード」というボタンになってるので、できればLOAD表記で統一してほしかったかな。
クリア後の立ち絵鑑賞モードは素晴らしいです。これだけでもかなり遊べそうｗ

【音関連】
ボイス、素晴らしかったです。木多野ありさん大好き。淫語も嬉しい無修正。
せっかくの寝取られ作品なので、榛名先輩や時宗くんにもボイスは欲しかったかな。
でも特典のドラマCDには先輩にボイスありましたね。スタッフロールにゲーム内のCGが表示されるエンディングは、まだ見ていないシーンのCGも含まれていて思わぬネタバレを食らうことがあるためクリックで飛ばしていたのですが、コンプ後初めてじっくりとスタッフロールを眺めていたとき、先輩のCV表記があって驚きました。どうせなら本編でも喋ってほしかったなぁ……。

【グラフィック】
E-mote良いですねぇ。目パチ口パクがあると断然臨場感が違います。
ヒロインだけじゃなく男キャラにも実装されてるのが丁寧で好感が持てます。
HシーンのCGは「これを同一基本CG内の差分としてカウントしちゃっていいの？」ってくらい大きく差分が変化するので見応えが有ります。通常、前戯と挿入は差分で同一CGにされることが多い印象ですが（うちの作品も……ｗ）、今作は前戯と挿入の基本CGが違うシーンも多く、とても豪華な使い方をされていました。
背景に溶け込んだ引きの構図のCGもいくつかあったのが嬉しかったです。
そして絶頂シーンが殆どアヘ顔になってること！ それほどきつくない微アヘですが、トロトロ具合が本当にエロかった。あとよ～く観察すると鼻水も出てるのが良いですね～。大好きですね～（笑）

ひとつ気になったのは、明らかに寝取り男の顔が含まれる構図なのに、眉毛しか描かれてないのが不自然に感じられたことです（眉毛が太いだけに妙に印象に残る）。榛名先輩の髪型を考えると前髪で目元を隠す技法が使えないのはわかるのですが、それなら徹底的に男顔が入り込まない構図にするか、わりきって顔を描き込むかにしてほしかったです。

【テキスト】
システムの項目とどちらに書くか迷ったけど、こっちに書いてしまおう。
ヒロイン視点ですごくすごーく気になったことがあるんです。それはヒロイン視点で話が進んでいるのに、選択肢が「告白された」「告白されなかった」などの受動的な表記になってること。
三人称ではなく一人称で綴られる物語で、こういう神視点の選択肢を設置してはいけないと思います。主人公視点の場合は「告白した」「告白できなかった」と能動的な選択になっているので良いのですが、ヒロイン視点では違和感が最後まで拭えませんでした。
これは主人公視点とほぼ同じくヒロイン視点で物語るための措置だとはわかります。でも、地の文が主人公かヒロインかの違いだけで展開がほぼ同じなので、いっそのこと思いきって省いてしまってもよかったんじゃないかと思います。

選択肢と関係してやや不満に感じたのは分岐やエンドが多いこと。
同じ展開をなぞるルートも多いため、ヒロイン視点だと自分が今どのルートを読んでいるのかわかりにくい。寝取られるルート、付き合う前に持っていかれてしまうルート、寝取られた後に復縁（再構築）するルート、寝取られずに終わるハッピーエンド、この4つのみに凝縮してもよかったのではないかなぁ。

それと誤字脱字がわりと高い頻度で目に付きました（1.02パッチ適用済み）。一瞬で現実に引き戻された気分になるので、テストプレイは念入りにしてほしいところ。

複数ライターによる違和感はさほどありません。ライターの癖が感じられるテキストも一部ありましたが、最初から最後まで読みにくいということはなかったです。
個人的には、マットプレイあたりのテキストがエロに外連味があって、ヒロインも打算で動いてる悪女っぽい感じに書かれていて好感が持てました（笑）。

初回は40分で終わったと書きましたが、最初に私が見たエンドは、主人公視点でヒロインに告白する前にいつのまにかヒロインと寝取り男がくっついているエンドでした。初めて二人の野外セックスを目撃し、「来た！」とプレーヤー（私）のテンションが一気に上がった……と思ったら、そのまま終わってしまって
「ええっ！？」と（笑）。そこから悶々とする苦悩の日々が読みたかったのに！！
まぁこの場合いわゆる片想い寝取られになる（厳密には「寝取られ」ではない）ので、あっさり終わってしまうのも仕方ないのですが。

【キャラ】
美雪と時宗はよい友人キャラでした。サブカプ好きなので普通にくっついて幸せになってほしいｗ
主人公のセーちゃんは「なぜそのような行動をとる！？」というようなプレーヤーの感情との乖離もなく、ごくごく普通の、思考がまともな人でした。ヒロインの身勝手な言い分や間男の見当違いな説教に怯むことなく、言いたいことをきちんと伝えている点はよかったです。裏切られた絶望に心を痛めながらも、未練がましく縋るようなことはせず、すっぱり切り捨てるところもポイント高し。いつか彼が女性不信を克服させてくれるような素敵な女性と巡り会えることを祈るばかりです。
また、再構築ルートでは若干S風に……主人公の悪堕ちっていうんでしょうか？ 調教物の主人公のようなダークヒーローに変貌するところもよかったです。

ヒロインの遥奈は正直なところ「寝取られるヒロイン」という役目以外のパーソナリティを見出せませんでした。コンプしても彼女がどんなキャラなのかよくわからないのです。優柔不断で流されやすく、まったくと言っていいほど主体性がない。どうして彼女が主人公を好きになったのか、浮気がバレた後も「一番はセーちゃん」と執着するのかが見えてこない。なので今ひとつ愛着が持てず、彼女が寝取られてしまう経緯にはすんなり納得させられるのですが、そのかわり「寝取られて悔しい」という思いは沸いてこないのでした。
寝取られものを好んでプレイする私ですが、第三者視点で楽しむことが多いためプレイ中「悔しい」と思うことはあまりありません。しかしながら本作はそれに近いモヤモヤを抱いたので、「寝取られもの」としては機能している作品だと思います。ただ、それはヒロインを取られてしまう悔しさではなく、ごくまっとうに生きている主人公がヒロインと寝取り男にコケにされる姿に憤りを感じる、というものでしたが。

寝取り男の榛名先輩。「純愛寝取られ」という触れ込みで、彼の働きにとても期待を寄せていました。
しかしヒロイン同様、どうも彼には好感が持てませんでした。理由は色々ありますが……

・ヒロインに会うたびに馴れ馴れしく頭ポンポンする。それをイケメンな所作だと思っている（ふしがある）
・告白してきたモブ女子をフる時の冷たく乱暴な物言い。
・自分のかわいそうな身の上を語り出して同情を引き、泣き落としでヒロインと強引に関係を持つ。
・奪ってでも幸せにしたいはずの愛しい相手とのセックスを撮影して記念に残したいとか言い出す。
・奪ってでも幸せにしたいはずの愛しい相手とのセックスをWEB配信する。
・学生の立場で無計画に中出し、妊娠させる。責任を取ればいいという問題ではない。
・スジを通すこと、（自分の中の）ルールを遵守すること、体面を保つことに関してはマメだけど、そのくせ相手の都合や立場をいっさい考えず、常に自分の欲望優先。基本的に相手への配慮に欠けている。
・一見相手を気遣うような進言をするが、その多くは自分に都合のいい方向に誘導するためのフリ。
・とにかく独善的。
・なのに作中では「いい人」という扱い。

彼が作中で見せる「優しさ」や「誠意」（と遥奈が思っている）って、真心から相手を思いやった行動ではなく、自分を「優しい人」に見せる演出ないしは遥奈を口説き落とすための策略にしか思えなくて。
エロゲのキャラに対して飛躍しすぎですが、どうも近い将来モラハラ夫に変貌しそうな要素盛りだくさんでダメでした……。でも優柔不断で主体性のない遥奈なら上手くやっていけそうな気がするし（主人公とよりを戻す調教ルートを見てもその片鱗が伺える）、ある意味ベストカップルなのかもしれません。
主人公視点でいきなりWEB配信シーンに遭遇した時、「あぁ、榛名先輩はいい人と見せかけて実は腹黒な、よくあるゲス寝取り男タイプなのだな」と思ったのですが、そのようなどんでん返しはなく、最後まで（彼女を寝取ること以外は）善人という扱いだったので困惑するしかありませんでした。「実は裏表のある黒い人」という設定なら、いっそ好感が持てたのですが。
個人的には、これを「純愛」とは思えないかなぁ……。
でも、↑に書き連ねたネガティブ要素は、ヒロインに浮気させるルートではなく、主人公がモタモタしてるうちにくっつく二人にとって何の後ろめたさもないルートでなら気にならないかもしれません。

【総括】
CG、ボイス、エロ、テキストどれも良かった。でも肝心のヒロインと間男に魅力を感じられなかった。
コンプしてふと思ったのですが、タイトルにもなっている唇痕（キスマーク）はストーリーにあまり絡んでこなかったような……。

案の定えらそうな感想文になってしまった。気分を害された方、申し訳ありません。
無駄に長い文章になりましたが、それだけいろいろ考えさせられる作品でした。寝取られ作品としてのツボは抑えているので、商業作品では意外と見られない学生寝取られを楽しみたい方におすすめです。