ProjectRepadars 2022/05/29 10:33

あやよさんSS「工事現場だっ! つるはし台風であやよさん」

□前書き


2003年ごろに作られた個人誌に収録されたSSです。ボイス化されドラマCDにも収録されました。せっかくなので色々公開してみます。

□工事現場だっ! つるはし台風であやよさん

「♪雨雨振れ振れ母さんがー、じゃのめでお迎え嬉しいな~」
「ちっとも嬉しくないアルヨ」

 学校からの下校途中。
 台風で一時休校となってしまったまでは良かった三人組だったが、この突然の暴風雨に傘も差さずに帰らなくてはならないのには勘弁ごめんである。
 もちろん、お金持ち様のメガネが自家用車で優雅に帰宅していったのは言うまでもない。

「ちっ、雨風に雷様か。これも仏の道を辿る為の試練か」

「何意味分からない事言ってるアルカ。越塚はついに、酸性雨をその身に受けて貧乳の精霊にワープ進化したつもりアルカ。そうか、そんな不可解世界に行きついたとは天晴れアル。安心して昇天するといいアルナ。香典には米と米茄子を持って行ってやるから、せいぜい感謝するアルヨ」

「……勝手に殺すんじゃねぇっ!」
 その時、今までで一番強い風が吹き、トモコさんは面白いぐらいに壁のタイルと結婚した。

「♪雨雨振れ振れ、トモちゃんの平らなお胸がぶつかった。ピチピチジャブジャブ、ランランラン~」
「すごいアル。ハイテクアルヨっ! ウチたちは胸の容量の関係上空は飛ばないって事が判明した瞬間アルっ! 沢島、どうやら越塚は地平線の上に成り立つ貧乳乳首が陥没すると、日本海を飛び越えて宇宙に飛んでいけるみたいアルヨっ!!」

「うぉう、すごいっす。トモコちゃんは、胸の軽さで空中浮遊するんすかっ?
 シょーコーもびっくりっす。ムーに投稿して賞金をゲットするっす」

「それはナイスナ考えアルナ。越塚の貧乳は天下一品アル。ここまで無いのは人間で無いアル。戸籍上の話だとしても女子として認識されているのも驚きだったあるが、このままナイチチ新興宗教の教祖となるべき変態アルっ!!」

「て、てめえら。本当に友人なのか?」
「友人? それは、おひたしにしてお醤油つけて食べると美味いアルカ?」
「きっと、干してから味噌をつけて食べるとうまい気がするっす」

「ぐおぉぉぉぉぉぉっ!!」
 プラス電池とかそんな感じな力で、トモコは立ち上がる。
 馴れ合うという言葉の意味が無い一同だ。そもそも、友情というものがあったら一瞬名前さえ忘れ去られたメガネが、三人を自家用車で送るぐらいの事はしたはずである。

「凄いっすっ! オームの法則っす!」
「さすがは真っ平ら星人アルナ。沢島、よく聞くアルヨ。実は越塚は、ピリウス星のパイポパイポ星人によって改造手術を受けた変態人間アル」
「変態人間っすかっ! ムーじゃなくて、スナイパーの公開雌奴○のコーナーに投稿変更っすっ!」

「よく見るアルよ、あんな薄っぺらい感触すら感じられないような戸籍上は女な生物。ヒトであっていいはずないアルっ! あんなペラいの下着メーカーが十年の歳月をかけても専用ブラジャーは製造不可能アル。ヒトと違うアル。否、ヒトとしての存在は許されないアルヨっ!!」

「て、てめぇらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
 黙って聞いていれば、好き勝手言いやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」

「ヒィー。パイポパイポ星人の変態怪人来襲ですぅっ!!」
「恐れる事はないアルよ……悪は必ず滅ぶアルネ。
 沢島、お前は夜空に輝く星になるアルヨっ! あの星は、M71性雲の輝きネ」

「うっし、あちしはウルトラあやよぴょんにジョグレス進化するっすっ!!
 春麗しゃん、合体ジョグレス進化っすっ!!」
「おっし、あやよ隊員。うちは高速プラグインを持ってないしだるいから一人で進化するアルっ!! つべこべ言わずに最前線に立つアルヨっ!! お前はヒトではなく弾丸になるアルっ! フォースの力を使うアルヨっ!」

「わかりましたであります隊長っ!! 自分は、米国の潜水艦を打ち落とすでっかい塊となって、太平洋の荒波に散りますでありますっ!!」

「よろしいっ!! とっとと逝ぬアルヨっ!!」
 さらばラバウルよ、また来るまではと歌いだす二人。
 当のトモコさんはプルプルとコブシを突き出して怒り狂っていた。

「逝くアルっ!! 相手は血に飢えたゴリラアルヨっ!!!」
「隊長っ! 沢島一等兵はアメリカの戦艦に激突するでありますっ!! おかあさーんっ!!!」
 あやよさんの追撃。だが、胸の軽さで全人類に勝っているトモコさんは、さっとその動きを見切ってよける。

「はぁぅっ!! 不名誉戦死っすっ!!」
 都合悪く風が吹き。あやよさんは、台風のためそのままになっていた工事現場のマンホールに転げ落ちていく。

「たーすーけーてーくださいっすーぅぅぅっ!!!!!!」
 声すら反響していく。10m、20mと過ぎていき、反響音も薄れた辺りでゴツンという大きな音が鳴り響いた。

「ううっ、名誉の戦死を遂げられたようだっ……」
「あやよぴょん、あたしを祟るなよ。恨むならアメリカ兵士を恨んでくれ」

 トモコと春麗は、いつまでも「さよなら友よ」を歌い続けた。
 終

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