どくへび紹介その9「ナイリクタイパン」
『ナ…ナイリクタイパン…です。人が多いところは苦手…です。あ…あまり脅かしたりしないで下さいね…』
解説
前回は最凶の毒蛇の話をしましたが、今回は最も毒の強い毒蛇の話をしましょう。
毒の強さを表す単位でLD50というものがあります。これは日本語で半数致死量と言われているもので、投与した動物の半数が死亡する容量のことを言います。
たとえばLD50=1gと言った場合、1gのを投与すれば100匹中50匹の動物は死んでしまう毒だということになります。
つまり、LD50の数字が小さいほど強力な毒を有しているということですね。
さて、話を戻して毒蛇の種類ごとにLD50を表したリストがあるのですが、その中でもっとも数字が小さい蛇が今回紹介する「ナイリクタイパン」あるいは「インランドタイパン」となっています。
LD50=0.025mg/kgで、わずか0.025mgの毒量で1kgのマウスの50匹の半数(つまり25匹!)を殺してしまえるほどの強さの毒を有しているとのことです。
体長は1.8~2.5mで大きいものでは4mにも達する大型の毒蛇で毒量も多いためにこの種に咬まれたら非常に危険です。
ただ、本種による死亡事故は発生しておらず、さらに幸いなことに本種はその名前の通り、オーストラリアの内陸部の人があまり住んでいない地域に生息している上に、人の足音を聞いただけで怖くなって隠れてしまうほどに臆病な性格をしています。
そのために本種は19世紀の後半には発見されていたのですが、最近になって再発見されるまで謎の蛇という扱いになっていました。
基本的に見た目は地味な茶褐色の蛇なのですが、本種は季節によって体色が変化する特性があり夏になると美しいオリーブ色になります(冬になると戻る)。
昼行性の蛇で、夜や暑い時は巣穴に隠れ身体を休め、哺乳類や鳥類などを食べて生活しています。
現在では個体数が減少しており、希少動物として保護されている蛇としても知られています。
前回のブラックマンバもそうですが、顔がなかなか可愛い蛇なので写真を探してみましょう。