ノラ 2021/11/15 19:54

『わたしと彼のおかゆな日々』

おかゆおいしい。でも毎日食べていると飽きる。
おかゆ以外に食べられるものがないだろうか。
「ねえ、これなんてどうかな?」
わたしはリュックから小瓶を取り出した。中には黄色い液体が入っている。
「これはねー、レモン汁と塩を混ぜたものなの」
「レモン……酸っぱいやつだよね? それって飲めるの?」
「試してみる!」
と、不安げな彼の前で、わたしは一気に飲み干してみせる……が、
「ぶはぁっ!!」
「だ、大丈夫……?」
げほげほと咳き込む私の背中を、彼がそっとなでる。
ちょっと恥ずかしいな……。
そんなこんなしている間に息も整ってきて、顔をあげる。
そして、驚いたように目をぱちくりさせる彼の顔をみながらにやりと笑った。
(ふふーん!びっくりしたでしょ?)
彼はというと口をあんぐり開けたままこちらを見ていたがすぐに正気にもどって、
「……まったく。そんなことばかりしているから、体がずたぼろになるんだよ。おかゆを食べなさい、おかゆを」
「え~もっと刺激がほしいよ~」

わたしは焦っている。
彼と付き合いはじめて、もうすぐ一ヶ月経とうとしているのだから!
……でも付き合っているとは思うものの、キスすらできていない。
手を繋いだり頭を撫でてくれたりとスキンシップはあるがそこから先には進めていない。
というわけで今日こそは! と思って、朝ごはんのときに勇気を振り絞ったのだ。
でも彼はわたしの気持ちなどつゆ知らず、私が吐いたところを掃除している。
「そんなことしなくていいからさ……」
わたしは次の小瓶を取り出しながら言った。
しかし、彼は首を横に振って、
「いや、だめだから」……ちぇー、ノリ悪いんだもん。
いつもなら『いいからいいから』とか言って許してくれるくせにさ。
こういうときはほんとうに厳しいんだから……。

わたしたちは朝食を終えた後片付けをしていた。
公園を散歩中の犬が、おかゆがついた紙皿をぺろぺろとなめている。
子ども達が遠巻きにわたしたちを指さして、何か言っている。
ほーむれす、という単語が聞こえた。
彼は聞こえないふりで、公園にいる現実を無視している。
わたしたちには家がない。駆け落ちしたからだ。……というのは建前で。
本当はただお金がなかっただけ。
家賃を払うのがやっとだったわたしたちが駆け落ちをしたところで、結局どこかに住みつくことになるだろうということには薄々気がついていたけど、まぁいっか! ということで二人で暮らして今に至る。もちろん親には心配をかけたけど……。(ごめん

ポケットの中に手を入れて、小瓶の形を確かめる。
この瓶に入っている毒は、レモンみたいに強烈な味らしい。
今度は吐き出さないようにしないと。そう決心しながら蓋を取ると中身を口に含み、ごくりとのどを通す。
よしっ!行くぞーっ! ……と思っているところに後ろから声がかかった。
「あ、そうだ」
振り向くと同時に彼に口づけされたと思ったら液体が流れ込んできた。驚いてそのまま液体を飲みこんんでしまう。
酸っぱさと甘さが混ざり合い、頭がクラクラする。
「解毒剤、だよ」
君のことなんて全てお見通し、とでもいうような、すまし顔で彼は言う。でも少しだけ、頬が赤いんじゃない?

――こうして、わたしの初キッス大作戦は成功したわけだけど、考えていたのとは違う展開になったので驚いた。胃腸もびっくり仰天だ。
うう、耐えろ……!
お腹をおさえながら、わたしは芝生の上を転げまわる。
秋晴れの青空を、飛行機が飛んでいくのが見える。
やけに低く飛んでいるな。墜ちるのかな。
炎上する機体の中で、固く手を繋ぐわたし達の姿が思い浮かんだ。……悪くないかもね。
わたしは彼の肩に頭を乗せて、呟いた。
「……ありが……と……」
そしてゆっくりと目を閉じた。


あとがき
はじめましての人もそうでない人も、こんにちは。ノラとAIのべりすとと言います。この作品は、合作で書いてみました。いかがだったでしょうか?………………あれ、なんで誰もコメントくれないんですかね。……寂しい。
この作品を読んでくれた皆さんに感謝です。本当にありがとうございました。では、失礼します。

11月15日追記
☆ 評価してくれて、とても嬉しいです。ありがとうございます! それでは


AIのべりすと使ってみた

5行くらいずつ交代で書いた
AIのべりすとのほうが文章うまい
ちゃんと小説になったし、あとがきまで書いてくれた……すごい



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