【テキスト】100kg超えデブ絵描きのワークチェア選び
◆まえがき◆
長らく悩んでましたが、ついに高級ワークチェアを購入しました。
椅子の納品は2021年の4月以降の予定らしいですが……。
買うにあたって色々と紆余曲折がありました。それはもう。
こんなご時世なので、テレワーク対策にオフィスチェアを買う方も多いと思います。
そこで、自分が今回悩んだことなどを時系列順に、忘備録も兼ねて書きます。
パトロンサイトで出せる絵がないから、苦し紛れに書いてるというのが80%ぐらいです。
◆デブの話◆
ぼくはそれはもうデブです。
お恥ずかしながら、体重は105kg。身長は180cmちょい。
まだ成長の余地があります。
おやつは食べないジュースも飲まない、炭酸水と無糖紅茶とブラックコーヒー、そして三度の飯が好きなデブです。
筋トレしたり有酸素運動したりを1年半ほど続けてますが、全然減ってません。
言い訳は手短に。とりあえず、体型の参考にしていただければ幸いです。
それと絵を描く作業環境ですが。
現段階で75cmの高さの机で、安い椅子に座って、ほぼ垂直に液タブを立てて絵を描いています。
勘のいい方はここでもうお気づきだと思いますが。
この環境だと下記にある前傾姿勢に対応した椅子は「必須ではありません」。
あってもいいとは思いますが、前傾姿勢の椅子が欲しくなるのは液タブを寝かせて描いていたり、アナログ原稿を描かれている方がメインだと思います。
それに気付いたのは試座してからだったので、今後何度も書きますが試座は大事だと思いました。
◆ネットで下調べ◆
高級オフィスチェアといえば!アーロンチェアだな!!!
……でも逆に有名過ぎて嫌だな。他のにしたいな。
そういうタイプの人間だったので、逆張り的に調べました。
条件:前傾姿勢に対応している
絵を描くなら前傾機能つきの椅子だろう、という素人知識で前傾機能のある椅子を調べました。
前傾姿勢の椅子なんか座ったことないもので、ネットでの知識だけで決めてます。
この段階で割と選択肢は少なくなりました。
ある程度候補の椅子が決まったら、実際に座りに行きました。
◆試座(1回目)◆
候補を8個ほど絞って試座しに行きました。
試座は絶対行った方がいいです。これは椅子を決めるときに必須です。マジで。
ぼくは試座しに3回行きました。
試座できる店まで往復5000円ぐらい、往復に4時間以上ぐらいかかるんですけど、正直この段階でちょっとした椅子が買えます。
実際、今ぼくが使ってる安い椅子が2つ買えます。
それでも、試座しに行ってよかったと今でも思ってます。
店によっては、店員さんがオフィスチェアに詳しくて、聞けば色々教えてくれます。
正直、調べるのが苦手な人はそれでもいいんじゃないかなって思います。
「こういう環境で、こういう姿勢で、これぐらいの頻度で使いたいんです」と言えば、数点紹介してもらえるはずです。
ここでようやく、候補に出した椅子を挙げつつ、座ったときの感想も記載します。
あくまで最初の感想です。2回目以降の試座で感想は変わるものもあります。
また、他のネットレビューとか見てると見た目がいいとか有名デザイナーが手掛けたとかそういうのをよく見ますが。
ぼくは美的センスが死亡していて致命的に欠落しているので、見た目に言及はしません。
仕事道具をぼんやり見てる暇があったら絵を見ます。
あと、基本的にヘッドレストは全く使わないのでそこも評価には入れてません。
1回目試座したときの服装:スーツ+ソール入りの革靴
アーロンチェアリマスタード (ハーマンミラー)
価格 約21万円
○ サイズがA・B・Cサイズがあり、特にCサイズは座面がゆったりしていてお尻が楽。
Cサイズは肘置きも背もたれ幅に余裕があり、かなりゆったり座れる。
腰を支えられてる感じがする。
前傾機能は角度が浅めだけど、長時間座るのならこれぐらいがいいのかもしれない?
メーカー保証期間が12年。(新品に限る)
135kgまで耐荷重がメーカーで出てる。柴犬抱いて座っても大丈夫。
△ 高い。べらぼうに高い。値引きもしない。強気の価格設定。
人気商品だからか、品薄で納期が遅い。早くて3ヶ月、遅いと半年とか言われた。
Bサイズは座面がキツく感じたし、前傾すると座面の長さが足りていない感じがした。
Cサイズはリクライニングしたり、前傾していないと膝裏が椅子の端に当たり地味に痛い。
メッシュの椅子に慣れていないので、太ももの裏がひりひりしそう。
ガス圧シリンダーの保証期間は2年らしい。デブなので壊れるならここから壊れるかもしれない。
セイルチェア (ハーマンミラー)
価格 約9万円
○ アーロンチェアに比べて半額以下。そして前傾機能がある。
アーロンチェアと同じ保証期間12年。
座面がクッションで慣れた座り心地だった。
158kgまで耐荷重がメーカーで出てる。米俵抱いて座っても大丈夫。
△ あくまでアーロンチェアより安いだけで、値引きがないので高く感じる。
前傾姿勢がアーロンチェアより浅く感じた。ちょっと物足りない?
座面が小さい。尻も窮屈で、太ももがはみ出てる感じがする。
背もたれが小さい。
肘置きも距離が近く、窮屈に感じる。
品薄で納期もよくわからない。
シルフィー (岡村製作所)
価格 約8万円(ヘッドレストなし・可動肘)
○ 国内メーカーだけあって、ここから更に値引きしてくれる店もあり比較的安い。
前傾姿勢の角度が深く「前傾してる!」感があっていい。
リクライニングするとシートに背中がすっぽり収まる感じがある。
肘置きが高く上がる。液タブをほぼ90度に立てて使うので、肘置きが高いのは嬉しい。
座面クッションがいい感じ。背中もクッションにできるのがいい。
1ヶ月以内で納品できるらしい。
△ 座面が小さい。座面が前後に動くので太ももは問題ないが、尻が狭い感じがする。
肘置きも少し狭くて窮屈に感じる。
調整すれば違うのかもしれないけど、腰のサポート位置がいまいち感。
耐荷重が100kgない感じがする。懸念。
サブリナスタンダード (岡村製作所)
価格約11万円(ヘッドレストなし・可動肘)
○ 国内メーカー。安心感はある。
多少、シルフィーよりはゆったりしている気がする
肘置きが高く上がる。
座面クッションがいい感じ。
納品もシルフィー並に早くできるらしい。
△ やっぱり座面が小さい。肘置きも狭い気がする。
前傾してるのかわかりにくい。もしかすると展示品は前傾がないスマートオペレーション版だったのかもしれない。
リクライニング機能を重視してないので、あまりシルフィーと大きく違いは感じなかった。
耐荷重が100kgない感じがする。懸念。
エルゴヒューマンプロ (エルゴヒューマン)
約10万
○ 実は国産。ここから更に値引きしてくれる店もあり比較的安い。
耐荷重が100kg。ちょっとオーバーしてるけど、まあ誤差。
背もたれも座面もゆったり系。肘置きも広め。
納期は聞かなかったけど、ハーマンミラーほど遅くはないみたい。
△ ゆったり系のはずなのに、なぜか座り心地が気に入らなかった。原因は不明。
座面のメッシュが合わなかったのか、ふとももがすこしひりひりした。
前傾の操作が少し面倒。試座した椅子が前傾機能が故障中で、座り心地よくわからず。
ゾディチェア (ヘイワース)
約16万円
○ あまり聞いたことないメーカーだけど、日本以外では有名な椅子メーカーらしい。
かなり座り心地がいい。下手するとこの日座った中では一番だったかもしれない。
座面も背もたれも広く、クッションもいい。
作りがしっかりしていて、がっしりしているので頑丈そう。耐荷重は不明だけど。
△ 前傾モードにしても、前傾してるのかちょっとわからないぐらいだった。
肘置きがガタガタしているのが少し気になった。ゆるいというか、軽く触るとカチッと動いた。
値下げがあまりないので、割とがっつりした価格。
リープチェア (スチールケース)
約18万円
○ 特別ゆったりとしているわけではないけれど、窮屈さもあまりなく座り心地はいい。
背もたれも座面も割といいクッションって感じ。
作りもしっかりしているし、腰回りも支えられてる感じがする。
座面の位置、角度、背もたれの形、リクライニングの強度等々が個別に弄れるので、細かく調整できるのはよさそう。
△ 肝心の前傾はあまり前傾してるのかわからなかった。
値下げがあまりないので、割とがっつりした価格。
ベゼルチェア (コクヨ)
約10万円
チェックしていたけど、店では取り扱っていなかったので未調査。
メーカーもいいとこですし、気になる人は是非試座してみてください。
◆1回目の試座を終えて◆
この段階では、アーロンチェアCサイズとシルフィーが有力候補でした。
ゾディチェアの座り心地は本当によかったのですが、このときは前傾しか見ていなかったので。
アーロンチェアのCサイズはゆったりしていて、前傾していてもそこまで窮屈感がなかったので印象的でした。
シルフィーはそのアーロンチェアの半額で、しっかりした「作業椅子」といった感じが好印象でした。
ただ、シルフィーはどうしても座面と背もたれの小ささが気になるな……と引っかかっていました。
少し間をおいて、しばらく考えてみよう……と保留のような形にしました。
◆2回目の試座◆
2回目試座したときの服装:作業時に着てるラフな在宅用の服+ソール入りの革靴
よく考えると、スーツのようながっしりとした服で家でいるわけがありません。
作業時に着てるラフな服で試してみないと意味がないなと思い、服を変えての試座です。
平たく言うと上下ジャージで行きました。
ジャージでボサ髪で眼鏡でちょっとぽちゃっとしたオタクの女の子って可愛いですよね。
ぼくは壮絶デブのおっさんですが。
今回は前回気になった椅子を更に厳選して試座しました。
アーロンチェア(ハーマンミラー)
ジャージでCサイズに座ると、更にゆったりしてました。
Bサイズもスーツで座ったときよりもゆったりとして感じましたが、やはり座面はCサイズが楽でした。
背もたれはあまりスーツの時と違いは感じませんでした。
メッシュがスーツのときよりも太ももを削る感じがしました。ひりひりしました。
ぼくはこのとき、前傾姿勢での試座ばかりを試していました。このせいで、3回目の試座が必要となりました。
シルフィー(岡村製作所)
驚いたのが、スーツで座ったときに比べるとだいぶ窮屈さが軽減したことです。
これなら全然アリだな、と感じるレベルでした。ここで更に迷いました。
それでも肘置きにどこか窮屈さがあることは否めなかったのは事実です。
基本的に岡村製作所の椅子は日本人の体型に合わせて作られているので、いわゆる中肉中背の方や、細身の方にウェイトを重く置いているようです。
必然的に百貫デブのぼくは、海外製の大柄な体型をターゲットとした椅子の方が狙った購入層として惹かれていくわけです。
余談ですが、岡村製作所のコーラルという椅子(前傾姿勢はなし)は割と大柄な体型向けに座面が作られているそうです。
店に試座サンプルがなかったのでわかりませんが、見かけたデブの方は是非試してみてください。
◆2回目の試座を終えて◆
この段階では、アーロンチェアCサイズを買おうとほぼ決定していました。
そこで、他にアーロンチェアを使っている方々(非デブの人たち)にこれまでの経緯を話をしてみました。
「でもCサイズ、身長もうちょい高い人でも座面の縁が膝裏ギリギリで痛いって聞くよ」
「えっ。ぼく割とちょうどよかったんだけど」
「……それ、ソールのついた靴脱いで、前傾せずに座って試した?」
「……あ。前傾姿勢しか試してなかった」
「もしかして貴殿、馬鹿でござるな?」
「はい(小声)」
という会話があったりなかったりしまして。
即日、最後の試座をしに行きました。
◆3回目の試座◆
アーロンチェアのCサイズとBサイズに改めて座ってみました。
もうアーロンチェアを買うのは決めていて、ほぼどちらかを決める感じでした。
お店の方に許可をとって、長時間試座をさせていただきました。
ちょうどこんなご時世でお客さんも全くいなかったので、がっつり5時間ほど。
時間を忘れて飲まず食わずでした(午前11時ぐらいから5時過ぎまでいた)。
ついでにデスクの前で、モニターを液タブと同じ位置に配置させてもらいました。
できるだけ姿勢を作業環境に擦り寄せて確かめたかったので……。
ちゃんとそれができるスペースがあるお店だったので、ある店なら許可を取ればやらせてもらえると思います。
3回目試座したときの服装:作業時に着てるラフな在宅用の服+靴を脱いで
アーロンチェア
Cサイズはやはり、通常状態やリクライニングをすると膝裏が当たる感じがしました。
Bサイズは通常状態やリクライニングはぴったり収まる感じでしたが、前傾すると脚がはみ出る感じがしました。
座面と背幅のゆったり感と前傾姿勢の強みでCにするか、通常状態の汎用性でBにするか。
正直言うと「どっちかを決めてしまうと、どちらかの利点を捨てなければいけない」という状態でした。
4時間ほど交互にアーロンチェアを座り続け、メッシュに負けて腿裏は擦り切れてヒリヒリ、踏ん張って座ったため太ももと腰がダルくなってきた頃。
どっちか決めるため、手近にある椅子に座って1時間ほど考えてました。
ものすごい優柔不断です。だって20万ですよ。
そこでふと。今適当に座っている椅子がものすごく楽であることに気付きました。
へとへとに疲れているのに、どこも身体に負担がかかっている感じがない。
自然といい姿勢にしてくれるのに、楽な感じがする。
試しにデスク前に行っても、前傾なしでちょうどよく液タブに向かう体勢になれる。
そんな椅子でした。
エンボディチェア (ハーマンミラー)
約23万円
○ 座っていてとても楽。疲れていても姿勢良く座っていられる。
座面のサイズもゆったりしており、奥行きも調整可能、クッションもいい具合。
背中の包み込み具合が調整できる。
肘置きが割と色々動かせる。
耐荷重は安定の136kg。安心。
△ 前傾機能がない(ただし、調整で楽に背筋を伸ばしたまま座ることはできる)
値段が高い。べらぼうに高い。アーロンチェアよりも更に上がる。
納品時期が未定。早くて3ヶ月、下手すると5ヶ月ぐらいかかるらしい。
前傾はできないけれど、普通に座る分にはとても楽なので、自分の作業環境を後傾姿勢で作業するように矯正すればいいと思いまして。
結果的に、エンボディチェアを購入しました。
最終的に、前提にしていた「前傾機能の椅子」というものを捨ててしまうほど、気に入ってしまいました。
勿論、座ったのは1時間程度、まだ届いてすらいないので、実際に作業をして試したわけではありません。
しかし、普通に1時間程度座って、疲労を忘れるというのも体感できました。
これに座って作業できる日が楽しみです。
◆まとめ◆
そういうわけで紆余曲折ありましたが、色々悩んで自分で納得した椅子の購入に至りました。
長くなったので、高級ワークチェアを買った経験から、買うときのコツをまとめます。
①買う前には必ず試座を
今どきはネットで情報は簡単に手に入りますが、その情報はあなたの話ではありません。
健康食品のCMでいう「効果には個人差があります」レベルの情報です。
高い椅子が、必ずしも誰にでも合う万能の椅子ではありません。
高級ブランドのバッグがあらゆる人の用途や趣味に合うわけではないのと同様に、椅子も同じです。
多少のコストを払っても、試座することをおすすめします。
それに試座しに行くことで、思わぬ椅子との出会いがあるかもしれません。
②試座するときは、実際に座る状態に可能な限り近付けて
靴を脱いでみる、服を家で椅子に座るときに近付ける、デスクを前にして作業の姿勢をとってみる……などなど。
色々な調整ができる椅子なら店員さんに尋ね、自分に合うように調節して、リクライニングをしてみたりしてみてください。。
可能であれば、少し長めに座ってみることもおすすめします。
あくまでお店に迷惑がかからない範囲で、ちゃんと許可を取って試座しましょう。
いきなり全裸になったりするとお店に迷惑がかかります。
③評判も気になるけど、最後は座った自分の直感を信じて
たぶん、これが一番大事です。椅子に限らない話ですけど。
ぼくは、評価を他人に依存してしまうタイプです。
ネットレビューとか、アドバイスとかされると「そっかー」と思ってしまい、情報に引っ張られてしまいます。
それでも、今回は最後に自分で座った直感に従ってエンボディチェアを選びました。
それが正解か不正解かはまだわかりませんが、その結果も含めてこの選択は全て自分のものです。
結果がどうあれ、納得できます。
他人の評価に依存してしまうと、外れたときに酷く後悔しますし、他人のせいにしてしまい、また同じ過ちを繰り返します。
ぼくのレビューは「エンボディチェアが最高なのでみんな買おうな」という話ではありません。
いやまあ、実際いい椅子なんですけど。
なにか重要な決断をするとき。
今回は高級オフィスチェアを選ぶという状況で、自分はどういう風に解答に辿りついたのか、解答に辿り着く道のりで失敗したことは何か、それを残しておきたくて書きました。
勿論、もっとスマートな方法もあると思います。
ぼくはあまり頭のいい方ではないですし、要領は壊滅的に悪い人間です。
それでも、こう書き残すことで今後の選択に、かつての自分がどう動いたかを俯瞰して見られるようにしておきたかったのです。
皆様の人生における「選択」を、他人に委ねず、後悔なきように。
自分の「選択」が増えること、それがきっと「生きる」ということなんだと思います。
乱文長文を失礼しました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
幾枝 風児でした。
◆画像借用・写真引用◆
・いらすとや
https://www.irasutoya.com/
・Herman Miller Official
https://www.hermanmiller.com/ja_jp/
・岡村製作所(okamura)
https://www.okamura.co.jp/
・Ergohuman Official
https://www.ergohuman.jp/
・ヘイワース アジアofficial
https://www.haworth.com/ap/ja.html
・スチールケース
https://www.steelcase.com/asia-ja/
・コクヨ ファニチャー事業部オフィシャル
https://www.kokuyo-furniture.co.jp/