MOMOKA。(柚木桃香) 2023/06/30 23:18

【小説】PlatonicAngels洗脳プロジェクト外伝 前日譚Vol.1

挿絵とトップ画完成しました!お待たせしました!(文章のミスや誤字脱字等適宜修正しております。。。)

皆さんこんばんは!MOMOKA。です。
PlatonicAngels洗脳プロジェクト、楽しんで頂けているでしょうか??
先月~今月までは『DarksideMoon編』を投稿しておりましたが、今月のここ~来月はPlatonicAngels編となります!

DarksideMoon(前半)*前半は全て無料で読めます。
https://ci-en.dlsite.com/creator/4076/article/879043

DarksideMoon(前半+後半)*後半のみ白桃プラン様~公開
https://ci-en.dlsite.com/creator/4076/article/897465
まだの方は是非楽しんでくださいね°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°💗


なお、私は中学生~大学生くらいまで趣味で一人で小説を書いていましたが、一人でもくもく書いていただけの人なので、プロの人に見てもらったりアドバイスをもらったり…等ということは全くありません💦
なので、完全素人の書くものという認識で読んで頂ければと思います;;
(あまりこう…普通に書籍で売ってるプロのライトノベル作家の方みたいなのを期待されるとなんかアレなので一応言っておきますwwwwww)

なお、小説は基本縦書きだと思うのですが、Ci-enの仕様上横書きになってしまいちょっと(結構)見づらいので、DL版で縦書きPDFのものをアップさせて頂きます!
推奨はこちらをDLして頂くことです!
(画像貼り付けだとより見にくい気がするので;)

小説は全て各キャラ

序章~第一章までを全体公開(プランに加入していない方まで公開)

前編(Vol1)までを無料プランの方に公開

後編(Vol.2以降)は白桃プラン以上の方に公開

*章は便宜上で分けております。

とさせて頂きます。
もし続きを読みたい!と思ってくださった方は是非続けて読んで頂けると嬉しいです💕

皆さんに楽しんで頂けますように…!(/ω\)💦✨


DLはこちらから↓↓(DLが推奨)
*会員になっていなくても読めるVer
序章~第一章まではこちら。(無料会員様は第三章まで読めますのでこちらはDLしなくて大丈夫です!)

PlatonicAngels 立花ハルカ編前日譚前編(全員読める).pdf (1.24MB)

下载

―PlatonicAngels編 前日譚ー


―序章―

「ライブ、すごかったね!」
 児童養護施設前広場で開かれたライブが終わった後、立花ハルカは覚めない興奮をそのままに、隣を歩く水色髪の少女に抱き着いた。ライブ会場からの帰り道、夕方というのもあり駅までの道は人で溢れかえっていた。その視線が2人に注がれる。
 もう中学二年生にもなった女子二人が往来で抱き合っていれば注目も集まるはずだ。
 クスクスと笑う周りの人の目に頬を染め、水瀬さやかは抱き着いてきた親友に訴える。
「は、ハルカちゃん…!恥ずかしいよ…!皆見てるよ…!」
「えへへ~!だってだって、テンション上がっちゃってー!」
 悪びれなく笑うと、ハルカは先ほどまで見ていたライブを思い出すようにうっとりした顔をして、さやかの両手を握った。
「こう二人で手を握り合って~音楽と一緒に~くるくるしながらバッて手を挙げて!」
「ひゃ…は、ハルカちゃん!皆見てるからっ!」
 手を握ったまま、効果音と同時に手を振り上げてバンザイのポーズをとったハルカに巻き込まれ、さやかまで公衆の面前でバンザイをする羽目になった。
「うう…ら、ライブはすごかったから、ね?す、座って喋ろ?ね?」
「えー!もーさやかちゃんは恥ずかしがり屋だなぁ!あはは、いいよ!じゃあカフェいこ!私―今日は全財産持ってきたからリッチだよぉ!」
 にへへと笑って、ハルカはポケットから猫の形をしたピンク色の財布を取り出した。チャックを空けて中身を確認しだしたハルカに、さやかはほっと胸を撫でおろす。
 早く座れるカフェを探さないとまたハルカの暴走が始まりそうで、さやかは周囲に目を馳せた。まだ1か月近くも先なのにもう街はすっかりクリスマスの色になっていた。
 土曜日の夕方は一番人が込み合うタイミングだった。どこも人で溢れかえっている。
そんな中、一軒だけクリスマスの装飾もなく、閑散としている店を見つけた。
「ハルカちゃん、あそこはどうかな?」
「せんえん…にせんえん…五百円玉と百円が…え?あ、うん、いいよー」
 お金を数えるのに一生懸命なハルカは、さやかが指した店を見ずに頷いた。
 人混みが苦手なさやかは、できるだけ人のいない店を選びたかった。ただそれだけだった。
 まさかこの選択が――この後の人生を大きく変えることになるとは思わずに。
 運命に導かれるように、ハルカとさやかは人混みを歩き出した。
 早すぎるジングルベルが、街の喧騒を包む。
 何故か高鳴る心臓が、この先を暗示しているかのようだった。


―第一章 はじまり―

 高校生になって初めての夏休みの――前半はよかったのだ。前半は。
街で行われた数日に渡るゴミ拾いイベントには参加できたし、ボランティア団体が主催するチャリティーイベントにも学生お手伝いスタッフとして応募し参加できた。母の友人のヘルプにも応え、養護老人ホームを手伝うこともできた。誰かのためになる!と思うことには全て参加でき、大満足の夏休み前半だった。
 ――ハルカは『正義の味方』に憧れていた。
 子どもの頃から見続けてきた戦うヒーローや変身ヒロインのアニメが大好物で、高校生になった今でも「子どもっぽい」と笑う親にふくれ面をしつつ、毎週日曜の朝は早起きしてテレビの前を陣取っている。
 正義の味方が困っている人を助ける――
 皆のために戦う彼女たちは、ハルカの瞳にキラキラ輝いて映った。
 そして、自分もそうなりたいと幼少の頃から思い続けてきた。
 そんなわけで、ハルカの趣味は『人助け』である。
 よくそんな面倒なことできるね、と言われることも多いが、ハルカは自分の行動で皆が笑顔になってくれることが大好きなのだ。皆が趣味や遊びを楽しむのと同じ感覚で、人助けが楽しい。笑顔でお礼を言ってもらえると、自分が大好きなアニメの、正義のヒロインになれたような感覚がして、嬉しくて嬉しくて仕方ないのだ。
 ――だが、現実世界はアニメ程甘くはない。
 夏休み後半。灼熱の太陽が部屋に差し込みセミが煩く喚く昼下がり。
 ハルカは母親がスーパーの大安売りで大量に買ってきた棒状のバニラアイスを咥え、ベッドに寝転がっていた。ちらりと勉強机を見遣(みや)ると、大量の問題集と目が合った。
「はー…宿題やだよぉ…勉強したくなぁい…」
 夏休みの課題が山のように出されただけでも眩暈がしそうなのに、夏休み前のテストが赤点ギリギリだったせいで誕生日には両親からありがたすぎる問題集の束を頂いた。
 抗議を試みるも母は「ならプレゼントは夏期講習がいい?」と微笑み、鬼のように厳しい塾長が運営していると評判の塾のチラシを突き付けてきて――泣く泣く引き下がったのだ。
 学校の宿題と親から渡された十冊の問題集を習った範囲まで終わらないと外出禁止!と命じられ、サボって外に出たら夏期講習!と言われてしまえば、ハルカにできることは大人しく家で勉強をすることだけだった。
「はぁあ‥さやかちゃん、呼んだら来てくれないかな…勉強教えてくれないかなぁ…」
 クーラーの風を少し強め、ハルカはスマホを手に取った。画面をタップして水色髪の親友を思い浮かべる。優しくて成績優秀な彼女が教えてくれればなんとかなりそうな気がしなくもない。ハルカは枕もとの目覚まし時計を見た。
「もうこんな時間…」
 机に向かって十分ほど課題と格闘したが、わけのわからない呪文のような数式に辟易し、今に至る。休憩時間は机に向かった時間の約五倍になろうとしていた。このままだと永遠に外に出られない――そう悟ったハルカは、急いでアイスを食べきりさやかに電話をかけた。
 電話は3コールで繋がった。
『ハルカちゃん?久しぶりだね。どうしたの?』
 小鳥が鳴くような可愛らしい声が聞こえる。その声に、縋(すが)るようにハルカは足をじたばたさせて訴える。
「さやかちゃーん!聞いてよ!おかーさんがさー!」
 さやかとは2週間ぶりに声を交わす。ハルカと一緒に全行事に参加してくれていたさやかとは、夏休みの前半はよく会っていた。だが、親に家で謹慎を言い渡されてからは話せていなかったのだ。ハルカはその2週間の出来事と、夏期講習に行かされそうなことや学校の課題と問題集を全て終わらせるまでは家から出してもらえないことを喧々囂々(けんけんごうごう)と愚痴った。
 そんなハルカに、さやかはいつも通り控えめに笑いながら「大変だね」と相槌をくれた。
 共感してもらえて嬉しくなったハルカは、愚痴のついでに問いかける。
「さやかちゃんだってまだ学校の宿題終わってないよね?」
「…え?あ、うん。まだだよ」
「だよねだよね!あんな量、夏休み中に全部なんて無理だって!」
 口を尖らせつつ、さやかもまだ課題を終わらせていなかったことにほっとしたのも束の間。
「…え、えっとね、私はあと数学2ページで終わりかな。今日中に終わらせるつもりだよ」
「……え?あと2ページ…?」
 さやかの答えに、ハルカは固まった。自分とまったく同じ行事に参加してきたのに、あの量の課題があと2ページ――?
 ショックを受けたが、それなら明日からは教えに来てもらえたり…?という期待がむくむく膨らむ。
「あ、じゃあさじゃあさ!」
 言いかけるが、さやかの
「実はね、明日から」
という言葉と被り、ハルカは問いかける。
「何?どしたの?」
「あ、えっと、明日から親戚の家で過ごすことになってて…今日までに終わらせないといけなかったからちょっと詰めてやってたんだ」
 その言葉を聞いて、ハルカはぐっと言葉を呑みこんだ。
 明日から、親戚の家で――
「そ、そうなんだ…!へ、へぇ…き、気を付けて行ってきてね!」
 ヤバイヤバイヤバイヤバイ!
「ハルカちゃん?さっき何か言おうとした?」
「う、ううん、なんでもない…」
 さやかは仲良くなってからいつもハルカと一緒にいれてくれたし、どんな我儘でも困ったように笑いながらいつも付き合ってくれた。多分ハルカが「宿題終わらないから助けて」といえば、親戚の家に行くのをやめて勉強に付き合ってくれるだろう。だから、言えない。
 口が裂けても「宿題が終わらないから助けて」なんて。

 彼女の場合、ハルカが言えば本当に助けに来てくれてしまうに違いない。
 親友にそこまでさせて自分に付き合わせることは、さすがにできない。
「…えっと、宿題とか大変なら私…」
 空気を察して言いかけたさやかに、ハルカは慌ててストップをかける。
「大丈夫!大丈夫だから!さっきさんざん文句は言ったけど、私もそこそこ終わってるから大丈夫!自分で頑張れるよ!」
 涙を呑んでそう言うしかなかった。
「そ、そう?じゃあ…。えっと、夏休みが終わる3日前には帰ってくるから、もし大変だったら教えてね?」
「う、うん…ありがとう…!」
 通話終了ボタンを押してスマホを投げ出し、ハルカはベッドに突っ伏した。
――終わった。
学校と親に出された課題量はとてもじゃないが自分一人でなんとかできる量ではない。
――詰んだ。
チーン。という効果音が頭の中に流れる。これはもう、本格的にどうにもならない。
夏休み終了まであと2週間――ハルカは絶望のまま、全てを諦めて目を閉じた。
とりあえず、寝よう。
起きたら小人さんが宿題を終わらせてくれているかもしれない。
窓から射し込む眩しい日差しから目を背け、ハルカはそのまま枕に身を委ねた。


            ***


 目が覚めたのは、夜だった。母が仕事から帰宅してご飯だと呼びに来るまで結局寝てしまったようだ。
当然のごとく、小人さんは宿題を終わらせてはくれなかった。
一応課題のプリントを確認してみるが、寝る前と同じく真っ白のままだった。
しばらく絶望に打ちひしがれていたが、夕食が大好きなオムライスだったことで、とりあえず宿題のことは忘れることができた。母が作るふわふわのオムライスはハルカの一番の大好物だったからだ。ケチャップライスが絶妙にパラパラで、甘い卵としょっぱいチキンライスが舌の上で最高のハーモニーを奏でるのだ。
「お父さん今日は遅いの?」
 口いっぱいにオムライスを頬張りながら、母に聞くと、母はそんなことないと思うけど…と呟きながら時計をみた。
 ハルカはなんとなくテレビをつけた。今は丁度ニュースの時間で、今日あった事件がリストアップされている。そのリストの1つを見て、母は顔を顰(しか)めた。
 丁度、その話題がピックアップされる。
『本日、都内××で昼間から乱交が行われ、警察が――』
 ――乱交…
「お母さん、乱交って何?」
 すると母は嫌そうに顔を歪ませながら、溜息をついた。
「…特に好きでもない複数人の男女がそういうことをすることよ」
「…そういうことって?」
「…」
 きょとんとするハルカに母はやれやれと首を振った。そして重い口を開く。
「…性行為よ。あんたも保健体育で習ったでしょ」
 言われて、ハルカは思わず咽(むせ)た。
 今日は父の帰りが遅くて本当に良かったと思う。
「…え?お昼間からそんな広場で?変な人たちもいるんだね…」
 微妙に気まずい空気になって、ハルカはしまった――と思った。まさかそんな意味だったとは。このニュースは、最近ちらほら耳にしていた。ネットでも騒ぎになっていたし、SNSでは『乱交』がトレンドに入っていた。だが、ハルカは『乱交』という言葉をなんとなく『喧嘩か何かだろう』と思い込んでいたのだ。
 だがまだこのタイミングで母に聞けたことは良かったと思いたい。父や先生、増してクラスの男子なんかに聞かなくて本当によかった。
「なんか最近いろんなところでそういう事件が起こってるみたいだから気をつけなさい」
 あーやだやだ、と母は残ったオムライスを口にかき込んだ。
「あんたはそんなことしちゃダメよ。そういう友達とも関わらないこと。変なことに巻き込まれそうになったらすぐ防犯ベルを鳴らすのよ」
「わかってるよー。ってゆーか、私がそんなことするわけないでしょ」
「それならいいけど…それよりハルカ、宿題は…」
 ギクッとして、ハルカは慌てて立ち上がる。
「ご、ごちそうさま!宿題もうちょっと!片づけたら部屋戻ってやらなきゃ!」
 残ったオムライスを口に流し込み、慌てて流し台に向かう。
 母のじとーっとした視線が背中に刺さるが無視するしかない。
 とりあえず、お皿を洗って、点数稼ぎにお風呂掃除でもしよう。


            ***


 父が帰ってきたのはそれから2時間後だった。いつもは帰ったらすぐにお風呂に向かう父が、何故かハルカの部屋をノックした。
 サボって漫画を読んでいたハルカは、慌てて引き出しの中に漫画を隠してドアを開ける。
「お、お父さん?おかえり…どうしたの?」
 スーツ姿の父からは、少しだけお酒と普段吸わない煙草の匂いがした。誰かと一緒に飲んでいたのだろうか。
「ハルカ、明日時間あるかい?」
「え…?う、うん、特に予定はないけど…」
 宿題が終わらないから…という言葉は飲み込み、首を傾げる。
「そうか。いや、さっき兄さんに呼び出されて飲んでたんだけど…、なんかゆかりちゃんがハルカに会いたいらしいんだ」
「ゆかりお姉ちゃんが?」
 ゆかりお姉ちゃんは、父の兄――ハルカから見れば伯父さんの娘。いわゆる従姉のお姉さんのことだ。年は十歳くらい上だったはずだ。優しくておっとりした面倒見のいいお姉さんで、小さい頃はよく遊んだり勉強を見てくれたりしていた。だが、父である伯父さんが国の何かの偉い人で、ゆかりがそのサポートとして働きだしてからは全く会えていない。かれこれ6年程顔を見ていない気がする。
「ああ。何でも最近起こっている事件のことでいろんな人に話を聞いているらしい。ただ、女子高生の話があまり聞けてないらしくてね。ハルカに協力してほしいんだって」
 父は少しだけ眉を寄せ、あまり気乗りしなさ気に言った。
「ふぅん?全然いいよ!久しぶりにゆかりお姉ちゃんと会えるの楽しみ!」
 よくわからないが、自分がゆかりの役に立てるのなら嬉しかった。以前伯父に、ゆかりは世の中の人の役に立つための仕事を一生懸命している、と聞いていたのでそんなゆかりをハルカは尊敬していた。できればそのお仕事のことを詳しく聞いてみたい。
「わかった。伝えておくよ。明日の十三時頃、駅前のカフェ『ローザ』って店に来て欲しいらしいんだ」
「はーい!」
 ハルカの元気のいい返事に、父は苦笑し、お風呂場に向かった。
 父はあまり気乗りしていないようだが、どういう話だったのだろうか。
 最近起こった事件についてと言われても――何かを思い出しかけたが、振り返って目に飛び込んできた課題の山を見て、思考が全て停止する。だが、ややあってハルカはぽん、と手を叩いた。
――これはチャンスかもしれない。ゆかりは成績優秀で、常に学校では学年トップの成績だったと聞いている。宿題を手伝ってもらえるかもしれない――!
ぱあぁ!と道が開けたように感じ、ハルカはガッツポーズをしてベッドにダイブした。
そうだ、そうしよう。明日、ゆかりお姉ちゃんに相談して一緒に宿題を――!
そう思ったら、今一人で頑張る必要もないような気がしてきた。
間違った答えを書いてたら恥ずかしいもんね!と自分に言い訳しつつ、うんうんと頷く。今日はもう、歯を磨いて寝よう!
鼻歌を歌いながら、ハルカは洗面台に向かった。

――明日、宿題どころではなくなることを、ハルカはまだ知らない。


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PlatonicAngels編前日譚 Vol1

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