「音声作品の作り方」のようなもの


皆さんこんにちは、パースペクティブ少女幻奏のオオシマPです。
昨今ASMR作品は大変人気がありまして、日々新しいサークルが増えております、ランキングを見ても「このサークル見たことないけどご新規さんかな?」と思うことが多々ございます。
そんなわけで、「いっちょ自分も音声作品作ってみっか! ゲーム作るより簡単だろ?」という感じかどうかは知りませんが、音声作品作りを目指す方が増えていると。

音声作品の作り方に関しては、声優さんやサークルさんが色々書かれておりますので、今さらウチのような木っ端サークルがどうこう言うのもあれなのですが、一応オオシマPが商業出身ということもありまして、その辺も加味しながら簡単に書いてみようかなと。

つーか、どうも声優さんやクリエーターさん側に「音声作品の作り方教えてください」って凸る世間知らず、礼儀知らずが多いらしく、これもSNSが普及・発達した弊害と言えましょう。友達じゃねーんだから、そんなこといきなり聞かれて、個別に丁寧に教える人はいません。そこまで皆さんヒマではない。ボクならガン無視します。

最後まで読むと音声作品を作る意欲を削ぐかもしれませんが、それはボクの責任ではないので知ったことではございません。まあある種の参考くらいに読んでいただくのが一番良いかと思います。


◆大まかな流れ

これはTwitterでも書きましたが、音声作品制作の大まかな流れは以下になります。

1)企画を立てる

2)企画に従ってシナリオ、イラストの発注をする(もしくは自分で書くor描く)

3)声優さん、スタジオの手配をする(もしくは自分で声をあてる)

4)収録音源の編集の手配をする(もしくは自分で編集する)


◆もっとも重要な「企画」

ここからは、ある程度DL数が欲しい方向けの内容になります。
まず先ほどあげた過程において最も重要なのは「企画」です。作品は最初の企画に従って制作されるわけですので、そもそも企画が悪ければ売れるものも売れません。

じゃあどうするかという話ですが、まずマーケティングが挙げられます。
簡単なのはランキング調査で、直近2~3年でどういう傾向の作品が売れているのか、作品内容やストーリー、ヒロインの傾向やキーワードなど調べていくと、人気作品の共通性が見えてくるのではないかと思います。
人気作品というのはつまりユーザーが求めているものですので、マーケティングするのとしないのでは、出来上がった作品の売れ行きに多少は影響してくると思います。

で、これ別にマーケティングは必ずしろという話ではないです。これ弊害もありましてそれは後述します。
ウチはサークル立ち上げ当初の半年くらいはマーケティングしてたんですが、最近は他サークルの動向を見るくらいしかしません。まずまずサークルが軌道に乗ってくれば、マーケティングの必要ってなくなると思います、自分の作りたいものとユーザーが求めるものの折り合いが付いてくるので、する必要が特になくなるわけです。
もっとも商業の場合は常に綿密なマーケティングが求められますが、別に同人なんだから素人がそこまでする必要はないと。

マーケティングの弊害ですが、素人がマーケティングし過ぎると、人気サークルの単なるパクり作品が出来上がる可能性が強い。これ売れそう、あれも売れてるって要素を積み重ね過ぎて、ヒット作のデッドコピーが出来ちゃうわけです。これが売れるかと言うと、売れるわきゃない。
最も、プロがヒット作パクって大ヒット作を作った例が最近ありましたね。「おいおい、企業同人がそれしちゃダメでしょ、プロのプライドねえの? 恥を知れ」って思いましたが、まあそういうこともあります。
大事なのは、パクリはやめたほうがいいということで、マーケティングは参考程度にとどめるのが最も良いです。「自分の作りたいものとユーザーが求めるものの折り合いを付ける」、これが重要だと思います。

「パクリをしない」と同様に重要なのは「自分が何を作りたいのか」を固めることです。これはサークル作って作品を世に出すための大きな動機であって、これがあやふやだと出来上がったものもあやふやなものになります。
そもそも「声優さんに会いたいから音声作品作りたい」みたいな動機もあるようで、そんなクソみたいな動機でサークル作っても声優さんも迷惑だし、まず売れないのでやめましょう。

ウチの存在理由は明確で「本物のヤンデレを作る」という一言に尽きます。このためにサークルやってるので、ぶっちゃけこれに関しては売れようが売れまいが関係ないです。作りたいから作る。
とは言っても、『ヤンデレCD』シリーズは制作に非常な労力がかかりますので、大量には作れません。粗悪品を出すくらいなら出さないほうがマシ。それだと年に1回か2回しか作品出せないので、他の作品も作ると。もちろんヤンデレ以外にも作りたいものはありますので、真剣に作りますけどね。

ちょっと脱線しましたが、企画の作り方ですね。これは音声作品に限りませんが、とにかく色々な作品に触れていることがとても大事だと思います。漫画、映画、小説、なんでもいいです。常に良質な作品の良いところを自分にストックしておくと、企画作りに大変重宝します。
ウチの『お嫁ガチャ』なんかは、当然スマホアプリでガチャやってる最中に思いつきました。なんのガチャか忘れましたけど、当時だから『ロマサガRS』かな。これは思いついた瞬間に「勝てる」と思った数少ない作品で、その通り6000DL以上いただけました。あとは直近だと『耳舐めコンシェルジュ♪』。これは東野圭吾さんの『マスカレードホテル』を読んでて思いつきました。ホテルが舞台のミステリー小説ですね。
こんか感じで、きっかけを自分なりに希釈して企画を立てるのも良いかと思います。

これはご新規さんには無関係な話ですが、「成功体験に囚われない」というのも重要です。どういうことかと言うと良い例が最近ありまして、ディライトワークスが『サクラ革命』でアプリ史上類を見ない大失敗をかましました。
あれの原因は、「『FGO』の大成功が『Fate』という作品自体の人気に依るものであることを忘れて自分たちの手柄だと勘違いしたディライトワークスが、その成功体験を『サクラ革命』に持ち込んで『FGO』の『Fate』抜きを作った」ことにあるわけですが、要するに一度成功してもそれを引きずらずに新しいものを作っていこうということです。
もちろん人気作の続編を作るのはいいことですし、ウチも作るんですが、例えばウチが延々と『〇〇ガチャ』みたいなものばっかり作ってたらユーザー飽きるじゃないですか。そういうことです。
最近だと、どっかの作品がガワだけ変えて中身一緒のためにいい加減ユーザーが飽きてきたのか、数字が落ちてますね。さもありなん。


◆シナリオ、イラストの発注

自分で書ける、もしくは描ける場合は自分でこなすのがコストの点では良いですが、初めてだと難しいですよね。なので大体は外注になるかと思います。

シナリオは募集しているライターさんも多く、大体は見積もりを公開しています。ボクはエロゲ出身なので1kBいくらの計算に慣れてしまってますが、音声作品の場合は1文字いくらの場合が多いです。結果的にはどちらも似たような金額に落ち着きます。
地の文がないため小説書くよりは音声作品のシナリオ書くほうが楽っちゃ楽なので、未経験者でもシナリオ制作にトライするのはもちろんアリです。
ただし、これまで小説を読んだことがない、もしくはラノベしか読んだことがない、と言う人は、天才でない限りシナリオ制作には全く向いていません。誤字脱字、設定の矛盾、キャラ崩壊、などのおぞましいシナリオもどきが出来上がる可能性が高いので、素直に外注にお任せするのが吉です。純文学とは言わないまでも、エンタメ小説くらいは読んでおかないとまともなテキストは書けないと思います。
これはボクが編集長経験者なので、ちょっとテキストに過剰になってる部分もあります。まあ右から左に聞き流してください。

イラストは大半の方が外注にお任せということになると思います。はたしてイラストレーターさんの稿料はどのくらいが適正なのか? 初めての方はこれわかりにくいですよね、ボクも適正価格ってなんだろとは思いますが、一応それらしい基準はあります、が、ちょっと大っぴらに書きにくいので昔の話を出しますね。

2008年にボクが商業で製作した『ヤンデレCD』のジャケットイラストは稿料5万円でした。10年以上前の話です。これも、お友達価格というのはあったと思います。

CDのジャケイラは要するに音声作品のメインビジュアルですね。ウチがイラストをお願いしている方は全てプロの方でして、初代『ヤンデレCD』から10年以上たった現在、先ほどの価格は全く適正価格ではないと言えます。もちろんお願いする方によるのですが、アタマの片隅にでも置いといてください。

たまにTwitterでイラストやシナリオを募集されているサークルがいらっしゃいますが、この手法は個人的には懐疑的です。いや、いいんですけどね、ボクは絶対やらない。
そもそも、こちらの求める基準に満たない方が10人募集してきたら、10人全部いちいち断らなきゃいけないじゃないですか。その手間を考えるだけでも面倒くさい。
ボクは日ごろからTwitterやpixivを巡回して、いいなと思ったイラストレーターさんをピックアップしています。で、自分の企画にあわせてイラストレーターさんの過去のイラストを出来るだけ拝見して、これなら! という方にオファーを出させていただきます。そのほうが、企画にあった結果が出る気がします……が、やり方は人それぞれ、募集するのがダメと言っているわけではないです。


◆声優さんへの対応

音声作品を作るにあたり、これまでの話は忘れてもいいので、これだけは覚えておきましょう。

「声優さんにセクハラする奴は死ね」

常識をもって仕事を依頼して音声収録をする分には何一つ問題ないのですが、どうやらごくまれにセクハラ紛いの行為を働く奴がいるらしく、これは新規、ベテランサークル関係ありません。むしろベテランサークルにありがちなのでは。少なくとも、ボクの耳に入っているサークルはベテランだと思います。

商業エロゲの場合はほとんどセクハラないんですけどね、ボクの編集長時代の前、エロゲ黎明期ならいざ知らず、現役時代にはそういったことはなかったんじゃないかと記憶しています。まあボクは媒体側でエロゲブランドの中にいたわけじゃねえので、ホントのところはわからないけど、多分なかったと思う。

もっとも、ボクも出演させていただいた『テックジャイアン』の連載漫画「お姉さまの逆襲」において、過去の連載で某声優さんが枕に誘われた云々の発言をしており、目玉が飛び出た覚えがあるなあ。

それはさておき、セクハラ以外にも迷惑行為をする輩がいるわけで、これは声優さんがたまにTwitterなどで言及してらっしゃいます。とにかく、声優さんには常識と礼儀をもって接してください。普通にしていれば問題ないはずなのですが、昨今バカが多いので、自分がバカだと思ってる輩は音声作品に限らず作品作らないほうがいい。バカが自覚をするがずがないので、この記述は無駄ですが。


◆がんばってください

そんなわけで、たぶんに雑談が多くなっている感は否めないですが、音声作品の作り方についてでした。今は新規参入が多く、最初からランキング上位にいくことは極めて難しいと思いますが、自分の作りたいものを信じて頑張ってください。

出来ればウチよりDL少ないとありがたいです。

冗談です。ウチなんか踏みつぶすくらいの意気込みで頑張ってください。

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