仁王ツィクルス8:女郎蜘蛛

大和国、信貴山に連なる村々――
そこでは、巨大な蜘蛛が村人を襲う事件が続発していた。
その蜘蛛どもは老若男女を問わずに襲いかかり――
運の悪い者は、その場で食われてしまった。
しかしその一方、粘糸で体を巻き上げられ、さらわれてしまう者も多い。
連れ去られた先は、今では廃城となった近隣の城――
信貴山城というのが、もっぱらの噂。
からくも逃れた村男の話によれば、そこにいるのは蜘蛛のあやかしを束ねる主――
息を飲むほど美しい女郎蜘蛛が、信貴山城に君臨していたのだという。
そんな凶事の主を討つべく、多くの力自慢が信貴山城へと向かった。
しかし、無事に戻った者はいなかったという――



「う、うぅぅ……」
粘糸にくるまれた少年は、繭のような姿で呻いていた。
ここは、おそらく信貴山城の中――
薄暗く朽ち果て、戦禍の跡を色濃く残す廃城。
大蜘蛛にさらわれた者は、信貴山城に連れて行かれる――
そんな村の噂は、本当だったのだ。
少年は、姉と一緒にいるところを大蜘蛛に襲われ――
姉ともども、粘糸に巻かれてさらわれた。
そして、この薄暗く崩れた信貴山城の一室に連れ込まれたのである。
周囲には、少年と同様に誘拐された人々が繭とされていた。
みな声を放つほどの元気もなく、半分以上はすでに骸となっている。
そして隣には、少年と同じく粘糸にくるまれた姉の姿もあった――

苦難に見舞われたのは、姉の方が先立った。
巨大な蜘蛛が姿を見せ、粘糸にくるまれた姉ににじり寄る。
「助けて、助けてぇ……!」
その叫びも虚しく、姉は大蜘蛛に犯された。
雄の大蜘蛛は、その子種を人間の女の腹へと植え付ける。
そのため、捕らえた女を○すのだ――
少年の見ている前で、姉は蜘蛛に何度も何度も蹂躙された。
女の機能を備えたばかりの膣に交尾器をねじ込まれ、子種をどっぷりと注がれた。
姉とおぞましい蜘蛛との交わりは、何時間も続き――
少年は、それを泣きながら見ている事しかできなかった。
しばらくして雄蜘蛛は去り、繭の中で体を弛緩させた姉が残された。
蜘蛛達の大切な産卵道具ゆえに、当然ながら息はあれど――
その目からは光が消え、少年の呼びかけにもいっさい応えない。
姉は蜘蛛に陵○され続け、心が壊れてしまったのだ。
しかし、少年に嘆く暇はなかった。
姉と同じ災禍が、自身の身にも訪れるのである――

拘束された少年の前に現れたのは、雌の大蜘蛛だった。
雄の大蜘蛛は、人間の女を犯して種付けをするが――
雌の大蜘蛛はというと、人間の男を犯して子種を搾るのだ。
そして、卵嚢に備えた大量の卵に受精させる。
大蜘蛛のあやかしは、異性の人間と交わり子作りをするのである――
「あぁぁ……く、来るな……!」
少年は、自身も犯されるなど考えもしなかった。
このまま、蜘蛛に貪り食われるとばかり考えていたのだ。
雌蜘蛛は少年にのしかかり、腰の部分を覆う粘糸を爪で裂き――
そして、縮こまった肉茎が露わになる。
「あぁっ、やめろ……!!」
よりにもよって、なぜこんな所から食べるのか――
少年が、そう思った時だった。
雌蜘蛛は少年の股間に、下腹部を向け――射出口から、粘糸を吹き出した。
「あ、あぁぁっ!」
粘った糸が、べっとりと少年のモノに絡み付く。
その異様な快感に、彼のモノはむくむくと膨らんでいった。
雌蜘蛛は、大きくなった肉茎を視界に捕らえ――
そのまま少年にのしかかると、腹部を密着させてくる。
「はぅぅっ!!」
それは、恐るべき早技だった。
雌蜘蛛の腰元に備わった生殖孔――そこに、少年のモノを迎え入れたのだ。
彼の分身は、おぞましき蜘蛛の雌器に包まれた。
そこは熱くうねり、ぐねぐねと柔肉が蠢いてくる――
「あっ……あーっ!!」
雌蜘蛛に犯されたおぞましさと、そして異様なまでの快感に少年は悶えた。
そして、あっという間に生殖孔の中へと子種をぶち撒けてしまう。
これが、かくもおぞましき人間と蜘蛛の交尾。
廃城となった信貴山城において、あちこちで人間が蜘蛛の繁殖道具とされていた。
この少年も、これから何体もの雌蜘蛛に輪○される運命にある。
そしてどの人間も、繁殖道具としての価値がなくなれば――
無惨にも、蜘蛛達に捕食されてしまうのである。



「我こそは鈴木源治郎寅泰!
 罪なき民を苦しめる蜘蛛のあやかしを討ちに参った!」
名乗りも猛々しく、信貴山城の最奥に踏み込む若きもののふ。
ここまで来ただけあり、その剣の腕前はかなりのものだった。
大蜘蛛程度なら、苦戦もせずにあしらえるほどの腕だが――
「ふふ……ずいぶん威勢の良い若造よ」
その天井に張り付いていたのは、蜘蛛達の主――
巨大な蜘蛛の下半身に、美しい女性の上半身を備えた女郎蜘蛛だった。
その身にまとった上等の着物も、今では傷んでしまっているが――
それでも、寒気が走るほどの美貌は一切遜色なかった。
「貴様が、このあやかし共の頭目か……」
「いかにも……妾こそが、蜘蛛共を束ねておる」
女郎蜘蛛の巨体が天井を離れ、若武者の前に降り立った。
その威厳と美貌の前に、彼は思わず尻込みする。
「くく……美味そうな若造よ。じっくり愛でてやろうぞ」
「戯れ言を……斬る!」
こうして、若武者と女郎蜘蛛との戦いが始まった。
確かに彼は、大蜘蛛程度なら難なく仕留められる腕前だが――
相手が上級のあやかしともなると、やはり劣勢は否めなかった。
振り回される八本の足を、何とか刀でさばくのが精一杯。
そして防戦一方になった時――ふとした隙を突かれ、粘糸を浴びせられた。
「うわぁっ……!」
粘糸は若武者の体に粘り着き、その動きを封じてしまう。
「くく、妾の勝ちよな……」
そのまま女郎蜘蛛は、若武者の体を粘糸でぐるぐる巻きにし――
繭のようにして、完全に拘束してしまった。
「ぐっ……!」
若武者は必死でもがくも、粘糸の拘束は非常に強靱。
この状態で内側から脱出できるものではないことは明らかだ。
糸に巻かれる際に刀も取り落とし、もはや勝機はない。
自分は、このまま女郎蜘蛛の餌食にされるしかないのだ――

「命乞いなどせん……殺すならば殺せ」
「くく、そうよな……縊り殺すか、頭から食らうか……」
仰向けのまま拘束された若武者を八本足でまたぎ、女郎蜘蛛はその顔を覗き込む。
結構な腕前の割に若く、そして見目の良い美男子だ。
このまま殺すなど、勿体ない。
せっかくの機会、存分に愉しむとしよう――
「本当に、ここで死んでも良いのか?
 臭いで分かるぞ、お主は童貞であろう……?」
「だ、だからどうした……いいから殺せ!」
荒ぶる若武者の体に、女郎蜘蛛は覆い被さり――
そのまま、上半身の女体でぎゅぅっと抱き締めた。
その温かく柔らかな感触に、若武者は思わず脱力してしまう。
「お主が死ぬ前に……その操、妾が奪ってやっても良いぞ?」
そして女郎蜘蛛は、若武者の耳元でそう囁いた。
明らかに、彼は動揺したのが分かる――が。
「だ、誰が……! あやかしなんぞを相手に……!」
若武者は、身をよじって抗った。
「ほう、据え膳は食わぬと申すか……面白い」
女郎蜘蛛は若武者の体を離し、彼は再び仰向けに転がった。
それを見下ろし、美貌のあやかしは艶めかしく笑いかける。
「妾の肉壺を味わいたくなければ……こちらの穴で犯してくれよう」
女郎蜘蛛は、蜘蛛そのものの巨大な下腹部を前へと回した。
そして、先端に備わった粘糸の射出口を見せつける。
「この糸壺で、お主のモノを咥え込んでやろうぞ。
 くく……どれだけよがり狂うか、見物よな」
女郎蜘蛛は、強情を張る男は糸壺で○すことにしていた。
この穴は、本来は粘糸を織り込んで外に射出するもの。
それゆえ中を締めたり、こね回すように動かすことが出来るのだ。
男のモノを咥え込んで、粘糸を織り込む動作を送ってやれば――
どんな男も快楽によがり、無様に泣き喚くのである。
「や、やめろ……!」
おぞましい蜘蛛の腹部に備わった、異様なすぼまり。
そこがひくひくとうねり、どろりと唾液のように粘糸をこぼす。
自分のモノが、こんな異様な穴に咥え込まれてしまう――
しかし、いかに抗おうとも粘糸の拘束から逃れられなかった。
「己を恨め、妾の誘いをはね除けた事をな。
 そのせいで、童貞を散らす穴は蜘蛛の糸壺よ……」
「やめろ、あぁぁ……!」
若武者の亀頭が、女郎蜘蛛の糸壺に押し当たる。
そこは肉質で柔らかく、そして粘糸のヌメヌメ感がまとわりついた。
「嫌だ、こんな……」
「ほぉれ、妾の糸壺で男になるが良い……」
ぐっ、と女郎蜘蛛は腰を入れ、己の糸壺に男のモノを奥まで咥え込んだ。
その肉穴は狭く、そして絞るように若武者の分身を締め付けた。
ひく、ひく、と肉壁が波打つような収縮を繰り返す。
さらに、粘度の高い糸が亀頭にぬらぬらと絡みつき――
「はぅ……あ、あぁぁぁぁ~~!!」
身も世も無い快感に、若武者は悲鳴を上げていた。
彼のモノはぐちゅぐちゅにこね回され、肉壁のうねりに晒される。
中で粘糸をこね回し、織り込むための動作――
それを、男のモノを巻き込む形で行っているのだ。
女の肉を味わったことがない肉棒に与えられる、魔性の快感。
それは、あまりにも熾烈なものだった――
「はぅ、あぅぅぅっ!!」
あっという間に、若武者は達していた。
糸壺の中でびくびくと肉茎が脈打ち、どっぷりと子種を吐き出す。
強烈な快感に耐えることもできず、たちまち果ててしまったのだ――
「くくくっ、妾の糸壺に種付けをしおったわ。
 何を勘違いしておる? そんな穴に子種を放っても、子はできんぞ?」
くすくすと笑い、女郎蜘蛛は若武者を嘲る。
「う、ぐぅぅっ……」
「うぶなモノには、女の壺と糸の穴の区別もつかんか?
 そこで良いなら、存分に子種を出すが良いわ……」
さらに女郎蜘蛛は、糸壺の中を激しく攪拌した。
射精直後の肉棒が、粘糸の渦に巻き込まれる。
じゅぶじゅぶ、ぐちゅぐちゅと肉壁が収縮し――
若武者のモノは、甘いうねりに絡め取られてしまう。
「はぅ……あ、あぅぅっ……!」
たちまち男は、二度目の絶頂に達してしまった。
粘糸の中でこね回された肉茎から、どぷどぷと子種が溢れ出る。
「くく……また漏らしおったわ。
 中が熱くうねっておれば、どの穴でも構わんか?」
「う……あぅぅ……」
短期間で二度も果て、若武者は放出感に呻く。
それでもなお、糸壺の中は無慈悲にうねり続け――
そして若武者のモノは、ひたすらに絡め取られた。
じゅるじゅると肉茎の回りを流動する粘糸。
ひくひくと収縮し、締まっては緩まりを繰り返す肉壁。
延々と絡み続ける快感に、若武者はびくびくと腰を跳ね上げ――
「はぅぅぅっ……!!」
そしてあえなく、三度目の絶頂へと追い込まれてしまった。
「くくく、漏らし放題よな。そろそろ、きつくなってきたであろ?」
「うぅぅ……もう、やめてくれぇ……!」
糸壺は若武者の肉茎を咥え込んだまま、延々と粘糸の攪拌を続ける。
それはまさしく、快楽での虐○だった。
糸壺は男性器への○問危惧と化し、狂おしい刺激を与え続けている――
その一方的な責めの前に、彼は無様に悶えるしかなかった。
「もう、嫌だ……うぅっ、離してくれぇ……!」
「妾に命令か? 頼み方が気に入らぬな……」
冷たく告げ、そして糸壺を締め付ける。
若武者の分身は、中でぎゅぅっと絞りたてられ――
「あ……はぅぅっ!」
責められるがままに、どっぷりと精液を吐き出してしまう。
とうとう四度目にして、若武者は完全に音を上げてしまった。
どんな屈辱を受け入れてでも、この快楽地獄から逃れたい――
「お、お願いします……」
「ほう? 声が小さいぞ……?」
「どうか、もうやめて下さい……離して下さい……」
ほとんど涙声で、若武者はそう懇願していた。
その醜態は、女郎蜘蛛を大いに悦ばせる。
強き者が屈する様こそ、彼女にとって何よりの愉悦だった。
「くく、素直な男は好きぞ……」
気を良くした女郎蜘蛛は、糸壺から肉茎を抜いてやる。
若武者のモノはすっかり萎れ、粘糸にまみれながら股上に横たわった。

「では……今度こそ、妾と交わるが良い。
 女の穴に、たっぷりとお主の子種を注ぐのだ……」
女郎蜘蛛は、若武者に己の雌器を見せつけた。
糸壺とは別の、腰元に開いた肉穴――
そこは艶めかしい桃色で、透明な粘液が垂れ落ちている。
「ほぉら、こんなに熱く濡れておる。
 お主のモノを奥の奥まで味わおうと、誘っておるぞ……」
ひく、ひく……とその肉穴は蠢いた。
肉壁が妖しくうねり、淫らな動きで男を誘う。
ごくり……と、若武者は思わず唾を飲み込んだ。
彼の分身も固さを取り戻し、みるみる隆起していく――
「妾の中で、お主のモノをたっぷり温めてやろう。
 くくっ、天国の心地を味わってみたかろう……?」
「あ、あぁぁ……」
「昨日、抱いてやった男など……涎を垂らしてとろけておったぞ。
 どっぷりと子種を吐き尽くし、極楽に逝ってしまいおったわ」
若武者は魅入られたように、女郎蜘蛛の女陰を見つめている。
この穴に、自分のモノを咥え込まれたい。
そうすれば、自分は破滅するのは分かっている。
それでもなお、人外の交わりを体験してみたい――
若武者は、とうとう破滅的な誘惑に屈してしまった。

「あぁぁ……挿れたい、挿れさせてくれ……」
すっかり魅了され、若武者はそう懇願してしまう。
その醜態は、女郎蜘蛛を大いに満足させた。
「くく……最初から素直に言っておけば良かったのだ。
 それでは、たっぷりと交わろうぞ……」
女郎蜘蛛は、若武者の体を優しく抱き寄せた。
そして、腰同士を密着させ――彼のモノを、己の肉壺へと導く。
柔らかな肉壁が、獲物を丸呑みにするように――
若武者のモノは、根元まで肉壺の中に包み込まれてしまった。
「あ……はぅぅぅ……」
たちまち若武者の表情はとろけ、その体から力が抜ける。
彼のモノは、熱くとろけた柔肉に抱かれ――
そして、やんわりと締め付けられたのだ。
それは、男に全てを忘れさせるほどの快感。
あまりに甘いその心地に、若武者も一瞬で骨抜きになってしまった。
「う、あぁぁぁ……」
とろけた男を、女郎蜘蛛は優しく抱きすくめる。
蜘蛛の抱擁を受けながら、彼は体をぶるっと震わせ――
「はぅぅっ……」
そして、夢見心地のまま果てていた。
熱い肉壺の中に、どぷどぷと子種を漏らしてしまったのだ。
先に糸壺の中で四度も放ったとは思えないほどの量。
女郎蜘蛛は肉壺の中をうねらせ、子種をごくごくと飲み干していく。
「くく……妾の肉壺は極上であろ?」
「はぅぅ……」
若武者はすっかり骨抜きになり、女郎蜘蛛の抱擁に身を任せている。
それゆえ、この交わりで精気を奪われている事にさえ気付いていなかった。
子種と共に、彼の精気が女郎蜘蛛の肉壺へと吸い取られていく。
この交わりは、男の精気を捕食する魔性のまぐわいなのだ――
「ほぉれ、もっと妾の腹を満たすが良い……」
「はぅ……あぁぁぁ……」
もはや若武者は、女郎蜘蛛のなすがまま。
熱い肉壺の中で、逸物がドロドロにとろけるような快感を味わい――
そして、その頭の中も快楽に染め上げられてしまう。
柔肉がうねうねと波打てば、悦びのままに腰を震わせ――
「はぅぅぅっ……」
肉壺の求めるがままに、子種を捧げていた。
どっぷりと吐き出される精液と共に、精気も搾取されていく。
「う……あぁぁぁ……」
女郎蜘蛛に抱かれながら、若武者は己の命を差し出していた。
その代償に天国の快楽を味わい、至福の悦びに浸っている――
「くく、すっかり夢心地よのう。このまま逝かせてやろうぞ……」
「あぅ……はぅぅぅ……」
じゅぶり、じゅぶり……と、女郎蜘蛛の肉壺が艶めかしくうねる。
肉壁が妖しく収縮し、若武者のモノを搾りたてる。
「あぁぁ、すごい……はぅぅぅ……」
肉壺の中で締められ、扱かれ、吸われ――
彼の分身は――いや、彼自身が女郎蜘蛛に貪り食われていた。
若武者は恍惚に浸りながら射精を繰り返し、精液を搾り取られていく。
そして果てれば果てるほどに、精気まで吸われていく。
「うぁ……あぁぁ……」
「極楽よのう……妾に抱かれ、肉壺に精を貪られ……」
みるみるうちに、若武者の意識は薄れ――
そして、指一本さえ動かせないほど衰弱してしまった。
「ぁ……ぅぅ……」
「くくっ、お主の子種は飲み尽くしたぞ。
 それでは、そろそろ逝かせてやるとしよう……」
じゅぶ、じゅぶ、じゅるるっ……と、肉壺のうねりが激しくなる。
若武者に残された僅かな精気をも、無慈悲に搾り出しにかかったのだ。
「あぅ、あぁぁぁ~~!!」
肉壺の中で、若武者のモノがびくびくと脈打ったが――
空撃ちを繰り返すばかりで、子種は一滴たりとも出ない。
しかし若武者の精気は吸い取られ、残り少ない命さえ削られ――
「ぅ……ぁ……」
快楽の中で、若武者の生命は枯渇していった。
女郎蜘蛛に抱かれた彼の体は、みるみる痩せ衰えていき――
「妾の胸で、果てるが良い……」
「ぁ……」
そして若武者は、干涸らびた屍と化してしまった。
その死に顔は悦びで歪み、最期まで快楽を味わっていた事を証明していた――
「くく……実に美味い若者であったぞ」
干涸らびた屍を抱いたまま、女郎蜘蛛はくすくすと笑った。
こうしてこの女あやかしは、何百人もの男を貪ってきたのである。
そして、これからも――
当分の間、餌に困る事はなさそうだ。
「くく……くくくくくっ……」
信貴山城の奥の間に、女郎蜘蛛の笑い声が響き渡った――



こうしてまた一人、若くして高名な猛者が信貴山城の奥へと消えた。
蜘蛛の棲む城は村人達に恐れられ、その犠牲者は増える一方。
いったいどれだけの村人が、大蜘蛛の餌食となったのか。
いったい何人の若者が、女郎蜘蛛に犯され貪られたのか。
もはや信貴山は蜘蛛のもの、人の地にあらず――
人々はそう囁き、その山には近付かなくなってしまった。

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