○逆らえない鬼55○

そういうと白澤はヤツの下半身に取りつき、妖しげな動きを見せた。



鏡の場面をヤツの上半身だけに切り替え、再び表情だけに焦点を当てる。



どこか気持ち良いところを触られているのか、いつもの無表情がほんのり紅潮し、キュっと引き結ばれた唇に、揺れる睫毛が色っぽい。
さらに感じる部分を触られたのか、とっさにヤツの上半身がビクッと動いた。



『うっ・・・ダラダラしてないで、とっとと済ませてください・・・』



下半身にパンしてみると、ヤツのモノを片手で握りながら、舌で脚の付け根に愛撫をしている。少し引いて全景を見ると、時折手を上下にゆっくり動かし、わざと一番感じる部分を避けて愛撫をしているようだ。



どうやら焦らし責めでもするつもりらしい。
面白くなった俺は、こう命令してお膳立てしてやった。



「イクまで絶対に逃げるなよ・・・おとなしく白澤の愛撫を受けて、それで絶頂するんだ」



これでヤツは逃げたくても逃げれない。白澤の焦らし責めが終わるまで、このままだ。
さあ、一体どこまで我慢してくれるものか・・・。



ヤツの頭に指を乗せると、思考が流れ込んでくる。



(うっ・・・わざと焦らすつもりか・・・?悪趣味ですね、どうしてこんなことをされる謂れが私に・・・んんっ!くっ!そ、それは感じる・・・)



ビクビクとヤツの首が震え、細顎がクイ、と上を向く。
感じる部分を触られ続けられているらしく、顎をヒクヒクと動かしながら、目を強く瞑っている。
快感を我慢する顔に、乱れた上半身の姿がエロい。
はだけた着物の間からわずかに乳首が見て取れたが、完全に立ってたな・・・。確か、ここも俺の命令で責められてるんだっけ?じゃあ、もっと激しくしてやろう。



「胸をチュパチュパ吸い上げられろ」



その命令の直後、ヤツの上半身が急に反り返った。



『あぁあっ・・・!』



(む、胸に、胸に吸い付かれる感触が・・・!これ、ダメですっ・・・!)



くく、どうやらかなり効いているらしい。今度抱くときは、同じ愛撫をしてやろう。



『ん?どうしたの?』



『なんでも、ありま、せんっ・・・!うぁっ!やめろっ・・・!』



『やめろって何を?これ?』



『んんっ!うっぅぅっ・・・!この、わざとらしいっ・・・!・・・あぁぁっ!』



(そんなに激しく擦るなっ!感じる、我慢できない、醜態をさらしてしまうっ・・・!)



さらせさらせ、エロくて無様な姿を、惚れている相手に思う存分みせつけてやれ。



『んっ・・・ふ・・・ぅぅ・・・』



(胸が異様に感じて・・・下半身まで敏感になってしまう・・・はぁ、やっと手を止めてくれた・・・うっ!そこは微妙に感じる・・・)



引き結んでいた口が少し開き、そこから間違いなく熱い吐息がゆっくりと吐き出されている。
どんどん乱れていくなあ・・・白澤がいい感じに煽ってくれているのも手伝って、うまい具合にヤツを追い詰めていってる。



ここで新たな刺激をまた追加してやるか・・・ちょっと強烈なのをお見舞いしてやれば、ヤツも音をあげてイカせてほしいとか、哀願するかもな。



「あそこの先っぽも吸い上げられろ」



『んんっ!あぁっ!あっ!あぁぁっ!』



俺が思っていたよりもずっと激しく喘ぎ始めた。これをされると男は一番感じるが、ヤツは特にこれが効くようだ。白澤がいるのに、どうだこの乱れよう・・・



『え?何?どうしたの?』



そりゃびっくりするわな。自分はやってないのに、いきなり相手が激しく感じ始めるんだから。



『んんっ!な、なんでも、ありま・・・せんっ・・・あぁっ!ぅぅっ、くっ!んん!』



腰から下を激しく動かしているらしく、ヤツの上半身もつられて身悶えている。



『うぅっ・・・あ!あぁぁあっ・・・!』



(先を舐められながら、白澤さんの手に擦られている・・・!んんっ!こんなに感じているのに、まだ果てない・・・!遠・・・いっ・・・)



『どうしちゃったんだよ、ほら、ほら・・・』



『あぁぁっ!や、やめなさいっ!悪戯、するなっ・・・!感じて、たまらな・・・』



本音がつい出てしまい、ぐっとヤツは口をつぐんだ。



『何?そんなに気持ちいいの?また何かされてる?』



『うっ・・・そんなところですっ・・・』



(あぁぁ・・・もう、無理です、たまらない、身体がっ・・・こんなに感じて、声がっ・・・我慢でき・・・ない・・・!)



ヤツは首を捻って、拘束されている自分の手首を見る。



(手で口をふさぎたいのに、これでは・・・っ)



悔しさで眉間に皺をよせるが、すぐに気持ちよさで眉を垂れ下げてしまった。
コイツは本当に気持ちいいのに弱いな・・・鉄面皮の補佐官様が、こんなに淫乱とは、本当に呆れるぜ。
だから俺はさらに命令を追加してやる。



「ケツを指でほじくられろ」



『!?うあっ!あぁぁぁっ!そこは、だめっ・・・!』



途端に背を弓なりに反らせて、誰ともなしに叫びかける。クク、ここが一番効くか?胸を吸い付かれて、あそこの先っちょも吸い付かれて、ケツに指を入れられてかき回されているんだから、どうにかならない方がおかしいよな。



さらに白澤が本当の愛撫を上から加えているのだから、気持ちよさはうなぎのぼりだろう。



『今度は何されたの?もしかしてここ?』



そう言って、白澤が言った直後、再びヤツの身体が激しくのたうった。



『んうぅぅぅっ!ああぁっ!ちが、あぁぁっ!やめ、はぁ、はぁ、んんんっ!』



どうやら的を射た部分を触られているらしい。カンがいいのか、それほどコイツの身体をわかっているのか・・・



『また何かされてるんでしょ?言わないと、もっと深く入れちゃおうかな~』



『んんっ!・・・あぁ、やめてっ・・・』



随分情けない声を出すもんだな。本当にいつもとのギャップがすごい。



『だったら全部言ってよ。治療にも差し支えるし』



『・・・・・』



ヤツが一瞬悔しそうに口をつぐんだが、白澤が何か仕掛けたらしく、激しくのたうった。



(やめてそこはっ!だめ、だめです、感じすぎる、あぁぁ・・・っ!)



一息をゆるされてから、とうとうヤツは言葉を口にした。



『胸と・・・性器・・・と・・・後ろ・・・』



『ここ?』



『あぁぁっ・・・そ、そこですっ・・・』



『ナニされてるの?』



しつこく聞くなあ。こいつほんとにベッドの上じゃSだ。



『・・・・・』



『言いたくないなら、もっとやっちゃおうかな~』



(っ!そこはっ・・・!あぁぁぁっ!タダでさえ感じているのに、もうこれ以上の刺激はっ・・・!んんっ・・・!?触らないのか、うぅ・・・じれったい・・・でも、触られると、火傷のように熱くて、感じる・・・)



『く、口でっ・・・吸いつかれてっ・・・!何度も、繰り返し・・・っ!はぁぁ・・・』



ビクビクとヤツの身体が痙攣し、上半身が身悶えるたびに黒い着物が乱れていく様が、本当に色っぽい。



ヤツの首元からはあの香りが立ち上って、白澤を煽っているんだろうな・・・。鏡じゃなくて目の前にいたら、間違いなくむしゃぶりついて即挿れだ。
白澤はそんなヤツに色っぽさに気付いていないのか?
鈍いのか、克己心が強いのか、こなれているのか・・・
全くつかみどころのないヤツだ。
まあ、この鏡のおかげでもう一人のつかみどころがなかった男が、完全に暴かれているんだけどな。
そして毎晩俺の身体の下に抱かれ、可愛く喘ぐんだから、性格ってわからないもんだ。



『ふーん・・・結構激しくされてるんだね・・・それって、気持ちいい?』



『っ・・・!答える必要は』



『あるあるある。治療に必要だよ?』



『う、嘘だ・・・っ』



『じゃあ、このまま帰れば?』



『・・・・・』



(う・・・それは辛いですね・・・また手洗いで自慰をせねばならないのですか・・・)



『気持ちいい?悪い?』



白澤の笑いを含んだ声に、心底ではオロオロしながら、表情は苦々しく、声も苦虫をかみ殺したようなものだった。



「気持ち・・・ぃぃ・・・です・・・」



自分で言った言葉に激しく恥ずかしさを感じたらしく、言ってすくに、首を捩じってベッドに顔をうずめた。


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