●いろかにほへと5●
鬼灯の身体はもともと性感に対しては凄く敏感に仕立てあげられている。
特に性感帯は息が触れただけで妖しく震えてしまうほどの感じようだ。
今その一か所を執拗に指で転がされ、押さえつけられ、こね回されて、その児戯に等しい接触だけで、鬼灯は大きな快楽の波が訪れるのを感じていた。
昨夜何度も味わった抗いがたい甘美な快感がどんどん高まり、切なさで泣きそうな気分になる。
「ふぁ、あっ、あぁぁっ!んっ・・・んんっ・・・」
白澤の愛撫は実にじれったいもので、もっと強くしてほしいのにタッチ程度の愛撫しかしてくれない。
それが余計に鬼灯の身体を火照らせ、身体は快感を求めて下半身が妖しくくねり始める。
「はぁ、はぁ、ああっ・・・!あ、あぁあっそれ、だめっ・・・!」
指先で陰核を上から押しつぶされ、そのままクルクルとこね回されて、一気に快感が上昇する。
(イク、果てる、だめ、あぁぁっ・・・!我慢できないっ・・・!)
白澤の指の動きが激しくなり、鬼灯はそのまま一気に絶頂へと登り詰めてしまった。
「んんっ!うっ!あぁぁああ・・・っ!」
腰がガクガクと痙攣し、下半身にジュンジュンと絶頂の快感が染み渡ってくる。その愉悦に支配される感覚はたまらないが、身体は貪ろうと努め、両足が緊張で硬直し、ブルブルと痙攣しながら、絶頂を味わっている。
「ああっ!やぁ、はぁぁ、ああっ!」
絶頂しても白澤の指の動きは止まらず、頂点から落ちかけたところを再びすくい上げられ、息も止まる絶頂の余韻は驚くほど長く続いた。
「はぁっ・・・・あ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
ようやく快感の波が去り、ブラン、と鬼灯の両腕が投げ出され、空しく宙を掻く。
イクために強張らせていた全身の力を一気に抜き、鬼灯は息を荒くして椅子の背もたれに体重を預けた。
鬼灯の身体は軽く熱に包まれ、きめ細やかな肌からはしっとりとした汗がにじみ、籠った熱を吐き出している。
絶頂した直後の美貌は紅潮し、いつものつりあがった眉がハの字に垂れ、僅かに開かれた小さな唇からは熱い息を吐き出し、絶頂直後の凄艶な表情を浮かべている。
その顔を白澤の手が撫で、鬼灯に安堵の感情を与えて心地よい脱力感に浸らせる。
「んん・・・」
その掌に自分の手を重ね、そのまま無意識に白澤の指に唇を付けた。
すると、突然手が引かれ、何事かと鬼灯の意識が一瞬で絶頂のまどろみから重い腰を上げる。
「エロっ・・・!そんな事するなよ、お前・・・」
非難するような白澤の言葉に理不尽を感じたが、無意識にとった行動なので鬼灯にはよく理解できていない。
「んん・・・うるさい・・・淫獣・・・」
涙のにじんだポヤンと焦点の合わない目に、甘えた声で言われ、その罵声の内容も白澤には入ってこない。
「女のお前ってズルいよね・・・。お前でも、なんか可愛くみえてくるよ」
可愛く見えるどころか、立ち上る色香は傾国の美女裸足と言ったところだ。紅潮した頬や色づいた唇、汗ばんで額に張り付いた黒髪、快感で潤んだ目元、乱れた禁欲的な黒い着物。
全てが性的な色香に転換し、鬼灯を凄艶に仕立てあげている。