●広翼の孔雀1●
「鬼灯様・・・」
いつも仕事の話しかしない現場監督の獄卒が、麗しい青年鬼に力強く迫る。
「や、やめてください、来ないでください・・・」
そう言って金棒を振り上げようとするが、いつもの鬼神の力が全く発揮できず、持ち上げることもできない。
鬼灯が焦っている一方で現場監督の獄卒は鬼灯へ一気に近づき、その鬼にしては細い体を強く抱きすくめた。
「あぁぁっ・・・!」
鬼灯の背中が弓なりに反り返り、顔を苦痛にも似た表情に変え、頭のてっぺんから足のつま先までをブルブルと痙攣させた。
「やっぱり、噂は本当だったんですね・・・」
獄卒がそう言ってニヤつき、鬼灯の白い耳を舐める。
その感覚に再び体を痙攣させながら、鬼灯は桃の息を吐きながら問うた。
「う、噂、とはっ・・・?」
「全部終わったら、教えて差し上げますよ・・・さあ、みんなが帰ってくるまで、時間はあります・・・俺と愉しんでください」
「い、嫌です、んんっ!んっ!あぁ・・・っ」
両足の間に足を食い込まされ、一気に膨れ上がった体の快楽に、鬼灯は戸惑いながらも必死にこの状況を打開する策をめぐらせる。
しかし明晰な鬼灯の頭脳も、獄卒のいやらしい手つきで惑わされ、何も考えられなくされてしまう。
「はあ、はあ、あぁぁ・・・っ」
「すげえエロい・・・そんな声、どこから出してるんですか?鬼灯様・・・」
嘘みてえだ、と付け足し、獄卒は鬼灯の着流しの隙間に手を差し入れ、白い素肌へ直接触れてくる。
(嫌なのに、嫌なのに・・・!)
どうしてこうなってしまったのだろう?
変化があったのは一週間前。鬼灯の身体から鬼神の力が失われ、代わりに誰の手で愛撫されても感じてしまうようになってしまったのだ。