●広翼の孔雀34●

「美しいですね、鬼灯様・・・」



そう言って一人の獄卒が鬼灯の美貌に近づくと、顎をとって無理矢理に口づける。
望んでいない者との口づけなど嫌悪する以外のなにものでもないのだが、今の鬼灯は意識が半分熱にうかされて、これを快楽として受け入れてしまう。



「んんっ・・・んっ、んっ・・・!」



嫌なはずなのに、首の後ろから背筋にかけてゾクゾクと快感が走り抜け、唇で感じてしまう。鬼灯は自分がなにをされているのか理解しているのに、抵抗することも反骨の心を持つことも許されず、ただ獄卒から与えられる快感に身もだえるしかなった。



「ほらほら、鬼灯様・・・」



鬼灯自身を嬲っていた獄卒の手の動きが複雑になり、布ズレの音を響かせながら最も感じる性感帯を、容赦なく責め立ててくる。
布ごと鬼灯自身をにぎりしめ、そのまま上下に激しく扱き、意識が飛ぶほどの激感を与え始める。



「んんんっ!んっ!ぐっ・・・!ん、んぁ、あぁあ、あっ!あっ!あっ!」



鬼灯自身の先端からとめどなく先走り液が零れ、長襦袢をますます濡らしてゆく。湿りが強くなった布はさらに滑りがよくなり、鬼灯を快楽で苦しめる淫具として弄ぶ。
獄卒の手の動きがどんどん早くなり、上下に扱かれるたびに鬼灯の下半身の快感が否応なしに高まってゆく。それは屈辱的なのに、恐ろしく甘美な感覚で陶酔にながされそうなほど魅惑的だった。



(ううっ、我慢できない、気持ちいい、どうして、こんな行為が気持ちいいなどと・・・!)



湧き上がる歓喜の感情に鬼灯自身も戸惑いながら、腰をヒクつかせて絶頂の瞬間に耐える。
獄卒の手の動きが最高潮に至った瞬間、頂点の瞬間が訪れ、鬼灯は射精絶頂に至った。



「あっ・・・あぁっぁあああ!」



思わず叫びださずにはいられないほどの激悦が走り、まるで性感神経を削られるほどの快感だった。
通常の射精絶頂でここまで深い快感を得られることなどないというのに、この快感は異常すぎた。



「ふふ、鬼灯様、イキましたね・・・襦袢から、精液が染み出していますよ・・・」



鬼灯を絶頂させた獄卒は満足そうに言い、鬼灯自身を未だゆるゆると擦りながら、放たれた精液もまとめてこね回す。淫らな水音がサウナ内に響き、周囲の獄卒たちを耳から欲情させた。



「はあ・・・はあ・・・い、イってません・・・」



意識が半分遠ざかりながら、それでも鬼灯は荒い息を吐いて反論の言葉を吐く。しかし、誰の目から見ても鬼灯が射精絶頂に至ったのは明白で、それでも否定するのは鬼灯の意地と言えた。



ヒクヒクと全身を震わせる鬼灯をギラついた目でながめ、獄卒たちは次の遊戯にかかる。



「鬼灯様、お身体が緊張されているようですね。俺たちがマッサージしてさしあげますよ」



そう言うと周囲の獄卒たちは一斉に鬼灯の美肌に手を触れ始めた。
これまで鬼灯の身体半分を隠していた朱い長襦袢を完全に寛げ、上半身も下半身もほとんど裸にまで剥かれてしまう。両腕に通った裾と、腰ひもだけを残して長襦袢は広げられ、ただの裸よりも淫らな恰好にされてしまう。



「んっ・・・や、です、触らないで・・・!」



ミストの影響か、身体が驚くほど敏感になっている鬼灯に、全身愛撫は強烈すぎた。
ゴツゴツした皮膚の獄卒の掌が鬼灯の美肌を撫でまわしまくる。
ある者はクルクルと胸を撫でまわし、ある者は下腹を上下にスルスルと撫で、一方で首筋を猫の愛撫のように触り回し、下半身では瑞々しい太ももの感触を楽しみ、大胆にも鬼灯自身を掌に包み、根元や裏筋、先端を探るように撫で続ける。



「はぁ、あぁ、あぁぁ・・・っ」



最初は抵抗の意思を示していた鬼灯だったが、愛撫が二分とたたないうちにその精神は蕩け、純粋に体に走る甘美な快感に身をゆだね切っていた。



胸の突起に指がかかり、上下に素早く擦られた瞬間、快感が弾けて鬼灯はあられもない嬌声を上げる。



「あ、あ、あっ、あっ!」



「ふふ、かわいい・・・」



日頃の鬼灯からは想像もできない媚態に、獄卒たちも満足げにほくそ笑む。
高嶺の花であったあの鬼灯を色で見悶えさせているのだという征服感と優越感に、どの獄卒も歓喜していた。そして、その花が想像よりもずっと蠱惑的で淫らだということに極上の喜びを感じ、ますます鬼灯を快感で楽しませたくなってしまう。


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