●夢白桃11●
「んうっ・・・」
鼻にかかるような甘い息を吐いて、鬼灯が喘ぐ。
その様子を微笑みながら眺め、桃太郎がさらに動きを速めると、鬼灯自身は再び力を取り戻し、桃太郎が部屋に訪れたときと同じぐらいの高さにまで引き上げる。
「んふ、ん、んん・・・」
気持ちいいのか、鬼灯の声はいよいよ、聞いているこちらの耳が蕩けるほど甘くなってくる。
(鬼灯さん可愛い・・・)
心の底からそう思う。そして桃太郎は鬼灯自身を両手で掴み、そのまま何の抵抗もなく先端を口に咥えた。
「んあぁ・・・っ、や、あぁ・・・」
男の一物など口でしゃぶったことなどないが、同じ男なのでどこをどうされたら気持ちいいのかわかるため、鬼灯を喘がせるのは簡単だった。
裏筋を固くした舌でゾリゾリと上下に何度も撫でまわし、先端を吸い上げ、柔らかくした舌で全体をぐるりと撫でまわす。
「あっ・・・あぁ・・・」
(マジ可愛い・・・このままやってたら、射精するかな・・・)
鬼灯が相手なら、このまま口の中に精液を放ってくれても構わなかったが、そろそろ桃太郎の雄も我慢ができなくなってきた。
鬼灯の身体に覆いかぶさり、先日鬼灯が感じていた耳に舌で愛撫を施す。
どこもかしこも敏感になっている鬼灯は可愛らしい反応で桃太郎を楽しませ、そのまま首筋を通り、胸を伝って、再び鬼灯自身に到達する。
口で鬼灯自身を愛撫しながら、両膝に手をかけて立たせると、M字に開脚させていよいよ最も奥まった部分へと手をかける。
肉付きが良く、弾む臀部の感触を指で楽しみながら、とうとう鬼灯の最奥へと到達する。
相手の菊座など普段ならば触れたくもないが、鬼灯に関しては、その先に最上の快楽が待っているのだと思うと入り口を何度も指で撫で、ヒクヒクと痙攣する感触が愛おしく思えてしまう。
「んっ・・・はぁ・・・」
感じる部分を撫でられて、鬼灯の口から悩まし気な吐息が漏れる。
それに触発されて、桃太郎は一気に指を秘孔につき込んだ。
しかし・・・
(あっ・・・)
とろ、と液体の流れる感覚が指先に伝達し、慌てて引き抜くと、慎ましやかな蕾から白液が零れている。
すでに白澤に乱された後なのだと理解し、桃太郎の身体の熱は急速に冷めていくのを感じた。
思えば、今夜の展開は白澤のイタズラで始まった甘露の時間だった。
白澤からすれば、まさか桃太郎が鬼灯に岡惚れしていると思いもせずに、セフレをしばらくの間預けただけなのだろう。
桃太郎の身体の熱は急速に冷め、目の前で仰臥する鬼灯の裸体は美しく淫らだと思うが、これ以上の性欲はわかなかった。
そのまま桃太郎は静かに寝室を後にし、リビングで上半身裸でくつろいている白澤と向き直った。
「あ、どうだった?最後までやった?」
天真爛漫な白澤の明るい声を聴いて、桃太郎の堪忍袋の緒が切れた。
「ふざけるんじゃねーよ!」
その剣幕に気おされた白澤が、身体を引いて桃太郎を驚愕の表情で見つめる。
白澤になにか言われる前に桃太郎はすぐさま身をひるがえし、自室へと戻って乱暴にベッドへと体を投げ出した。
(人をからかうのもいい加減にしろ・・・!)
桃太郎の心は白澤への恨みでいっぱいになり、知らず布団を激しく握りしめる。
しかし、一度射精した徒労もあって、桃太郎はほどなくして眠りについた。