●スキャンダラスブラック5●
(な、なんでこいつら、こんなに用意周到なんですかっ・・・!)
偶然乗り合わせただけの乗客だと思っていたが、集団でする痴○と言い、怪しげなスプレーといい、鬼灯があらかじめ乗ってきたことを把握し、全員で示し合わせたとしか考えられない。
しかし鬼灯のスケジュールなど把握している者などごく稀だ。誰かが漏洩したのだろうか?
「んんっ!」
胸の突起を摘まみ上げられ、甘美な電流が走る。怪しげなスプレーのせいか、歪んだ意識のせいで体で受ける反応が鋭敏になってしまっている。
(こ、声を出すと周囲にばれる・・・っ!)
慌てて口をつぐむが、下半身のローターをさらに強く押し当てられ、身体が思わず縦に揺れてしまう。
微弱だが確実な振動が鬼灯の性感帯を刺激し、身体の反応を制御できないでいた。
さらに右の男が鬼灯の太腿に手を回し、陰湿な手つきで着物越しにゆるゆると撫でまわしてくる。
「っ・・・・!」
スプレーのせいで敏感になってしまったのか、いつもなら何ともない、この程度の刺激でさえ大きく拾うようになり、鬼灯は思わず出そうになった声を飲み込む。
くすぐったさが昇華され、快楽となった感覚が足先まで伝わり、どんどん足の力も抜けてゆく。
(ううっ、逃げるためには、この組まれた足をほどかないといけないのに・・・!)
しかし鬼灯の焦りとは裏腹に、足はすっかり快楽を貪るだけに集中してしまい、ゾクゾクと這いあがる快感に淫らな吐息が出そうになってしまう。
「おら、気持ちいいか・・・?」
そう言って両足の間のローターを一つ食い込まされ、背筋に怖気が走るほどの快感が突き抜ける。鬼灯の背中がビクンと反り返り、その反応をみた男たちが小さい声で笑いあう。
(くっ、笑うなっ・・・!)
自分に無礼を働く男たちへの怒りで鬼灯の頭は一瞬冷え、鋭い目線で周囲を睨みつける。
しかし、一方的に与えられる快感で頬に朱がさしてきた美貌では、目力も緩んでしまう。
普段なら、黙らせるばかりか気の弱いものならば腰を抜かしてしまうほどの鬼灯の「睨み」だというのに、通用しないことが悔しく、思わず唇を噛んだ。
「いやあ、こんな場所で鬼灯様と出くわすなんて、思わなかったぜ」
「そうだなー、ターゲットは別の女だったもんな」
(なっ、何をしでかす気だったんだこいつら・・・!)
勝手に会話し始めた男たちの話の内容に、鬼灯は聞き捨てならない部分を耳に入れた。
「いやー、ホントはこいつの彼女が引っかかるハズだったんですけれどねえー」
「最近鬼灯様にメロメロで・・・ウザかったから、みんなで輪○してから写真撮って、脅してやろうとしてたんですよー」
「そこの席、彼女が本来乗るハズだったんですけれど、朝から風邪ひいてダウンしちまってねえ・・・せっかく色々用意したってのに・・・」
(ぐっ・・・この下種・・・!)
なんという最低な輩だろうか、鬼灯は再び怒りに燃えた目で男たちを睨みつける。
「おおっ、そんな怖い目しないでくださいよ、実際やってないでしょー?まあ、代わりにあんたがされてるんですけれどねえ・・・」
「いやあ、準備が無駄にならなくてよかった」
「憧れの鬼灯様のこんな格好見せたら、さすがに彼女も幻滅すんだろー・・・と、思いまして・・・」
自分勝手な犯罪者集団に、鬼灯は低い声でつぶやく。
「集団暴行未遂に、痴○行為・・・おそらく、あなたたちまだ何かしているでしょう・・・すぐに、カラス天狗警察に通報して・・・しょっぴきます・・・」
発情で顔を上気させながら、鬼灯は威勢の良い言葉を吐くが、男たちは完全に舐め切った態度だった。
「くくっ、乳首勃起させてローターで責められて・・・滑稽ですよ、鬼灯様」
そう言うと、男たちが鬼灯の身体に手を伸ばし、体中を撫で触りに来た。
「さ、触るなっ・・・!」
しかし男たちは当然言う事を聞かない。
鬼灯の長い耳を撫で、首筋を指で伝い、晒された裸の上半身を直接撫で、両の太腿や背中にまで手を回してくる。
体中を一気に感じさせられ、ただでさえ理性のタガが飛びそうな状態にあるのに、鬼灯の身体は簡単に刺激を快楽に変換し、身体をどんどん熱くさせる。
「へへ、いい触りごこち・・・」
「女でもそうそういねえぜ、こんな綺麗な肌」
鬼灯の美肌を撫で回し、その感覚に喝采を上げる男たちだったが、彼らの掌が感じている以上に、鬼灯の身体は強い快感を感じていた。
ソロソロと上半身に掌を這いまわされただけで、そこに無数の虫が這うような感覚が生じ、しかし気持ち悪いどころか快感としてそれを受け取ってしまう。
体中に虫が這いまわり、ぞくぞくとした快感がこみあげ、鬼灯はすでに体の制御ができずに身体を蠱惑的にくねらせていた。
「はあ、はあ、はあ・・・」
とうとう熱い吐息がこぼれ、男たちが顔を見合わせて喜色を浮かべる。
すると一人の男が下半身のローターをさらに強く食い込ませ、とどめのように下半身へ快感を打ち込んだ。
「んんんっ!」
とうとう快楽の呻きを上げ、上半身を反らせる鬼灯の痴態に男たちが熱気が上がる。
「どうだ?勃ったか?」
聞かれた男はローターを退け、着流しの上から鬼灯の両足の間を撫で回す。
その感覚のあまりの甘美さに、鬼灯は軽く痙攣し、思わず固く目をつぶった。
「ああ、硬いぜ・・・ほら、着物の上からでもポッコリしてるのがわかるだろ?」
「はは、まぬけな恰好だぜ!」
男たちに笑われるが、鬼灯は身体に蓄積された快楽の熱のせいで頭が霞み、今は怒るどころではなくなっている。
「よし、写メとれ写メ!上半身裸と、勃起してる下半身と、顔を一緒に写すんだぞ!」
「オッケー、まかしとけ」
そう言って、正面の男がスマホを鬼灯に向けるが、写真の角度が定まらないのか、難しそうな顔をして、何度もスマホを傾けている。
「うーん、撮りにくいなあ・・・ちょっと足ほどくぜ・・・」
そう言って鬼灯の両足に絡めていた足をほどき、座席に足をついてスマホを再び向ける。
「よーし、これなら・・・」
無残にも、スマホからはシャッター音が放たれた。