●スキャンダラスブラック7●

痴○に囲まれ所在を失くした鬼灯も、次の停車駅で降りた。
なにより、鬼灯の身体に残っている変化をどうにかしなければ、自由に動くことができないと判断し、鬼灯はそのまま厠へ駆け込んだ。



妙な輩に怪しげなスプレーを拭かれてから、身体が浅ましく疼き続けている。
鬼灯だから平静を装えるが、常人なら膝から崩れ落ちて動けないほどだっただろう。
通常の鬼神ならこのような俗な道具など通じないところだが、鬼灯は性的な攻撃に対して非常に弱い。
それ以外は鉄壁の耐久力を誇るが、これだけは唯一の蟻の通り道のように、複雑な防御を通って鬼灯の芯を打つ。



(全く、いい加減にこういうことは勘弁してほしいです・・・)



そうため息を吐きながら、鬼灯は蓋をした便座に座り込み、着流しをめくった。
これまではステテコを履いて下着もつけているのだが、ある事件が起こってから白澤に命じられるがまま、鬼灯は下半身は裸だった。
別に白澤の言う事を聞くわけではないが、いつの間にか下半身になにも着けないのが普通になってしまい、せめて下着だけはつけなくてはと思いつつ、しばしば鬼灯は無防備なままで日を過ごしていた。



荷物の入った風呂敷でずっと見えないように隠していたが、鬼灯の下半身は完全に反応し、着流しの上からでもわかるほど主張をしている。
いつもは閻魔大王のことを考えれば収まるというのに、今回ばかりは妙なスプレーの仕業か、何を考えても身体はゾクゾクと疼きを繰り返し、気を抜けば熱い吐息が漏れてしまうほどだった。



(まったく、面倒くさい・・・)



着流しをめくって外気に触れさせただけで、背中が反りかえるほどの愉悦が体を走る。
反応している自身を見れば、薄桃の表面は淫液で濡れ、今にも触れてほしそうに切なげに震えている。



(わ、私の身体、こんなに・・・)



自分でも思うほど淫らで、生唾を飲んでしまうその様子に、鬼灯は再び体の芯が熱くなるのを感じた。
自分の興奮した姿を目の当たりにして、身体中が一気に疼き始め、触れられていない洞内までもが妖しく悦を欲し始める。



(うっ・・・冷静になれ・・・)



気を抜けばぬるい愉悦に浸ってしまいそうになる鬼灯は、自らを叱咤して淫欲を沈めようとするが、それで収まれば今、こんな場所にいる世話はない。
鬼灯はごくりと唾を飲み、屹立した自身に手を添えて、軽く触れた。



「くっ・・・んんんっ・・・!」



表面を軽く撫でた瞬間、甘やかな戦慄が鬼灯を貫き、ドア一つ挟んだだけで外には人がいるという状況下で思わず声を上げそうになり、慌てて口をつぐんだ。
しかし少し刺激を受けてしまったせいで内に燻る淫炎が強まり、到底これ以上我慢することなど不可能になってしまう。



鬼灯は着物の襟を噛み締めて声を抑える準備をすると、自らの手を再び自身に添えた。
妖しく甘美な感覚が下半身を中心に体中を駆け巡り、それだけで鬼灯は動けなくなってしまう。足の先から角の先まで快楽の電流が走り、体が官能という軽い電撃に打たれて痺れてしまった。



(こ、これほどとはっ・・・!)



予想以上の悦が走る身体の快感に、鬼灯は焦りを感じながらも胸が快楽を期待して高揚してしまうのを抑えられなかった。



熱を帯びた自身を掌で握りしめると、快感が肉体に染み入って、涙が出そうなほどの愉悦がこみあげてくる。
襟を噛みながら細顎を天に向け、鬼灯は快楽の声を耐える。



(と、とっとと済ませるんです、これは作業、作業・・・!)



自らにこれから行うのはただの排泄行為と言い聞かせ、鬼灯は手を上下に動かしたが、摩擦されるたびに快感が倍加され、口元から漏れる熱い吐息が抑えられず、体中が火照り始めて身体の深い部分までざわざわと騒ぎ立て始める。



(うう、浅ましい・・・!)



しかし、もうすでに自身を慰める手の動きは止められず、撃ち込まれる快感に声をあげないでいるのに精いっぱいだった。
鬼灯が入っている個室は、トイレという空間を設けせず、ドア一枚を隔てて外界には大勢の人の行き交いがあるプラットホームの一角だ。
すぐ向こうで人がせわしなく歩き、または重い荷物を引きながら歩いている向こうで、一人自慰と言う非常識な行為に挑んでいる自分が本当に滑稽で浅ましく、鬼灯は羞恥と焦りでじりじりと心も追い詰められていた。



「ふっ・・・ぐうぅ・・・」



こんなことをしている場合ではないのに、最早自分で自分が制御できない。公共の空間の中、はしたなく下半身を晒して自らを慰めているという浅ましい行為は自覚しても、漏れる甘い声は抑えられなかった。



「んっ、んっ、んん・・・」



幸い鬼灯の悶声は、電車の汽笛や雑踏の音で外にまでは及ばないようだが、鬼灯の耳には痛いほど澄んで聞こえてくる。
鍵はかけているが、こんな場面を人に見られやしないかという緊迫感ですら、鬼灯を愉しませる快楽の種になってしまう。



(は、早く終われ、早く・・・!)



しかし激しく擦れば声を抑えられないほどの激悦が走り、声を辛うじて抑えられる程度の刺激しか与え続けることができない。



自身の先端からは透明な淫液が零れ、摩擦をさらに潤滑にさせ、快感がいよいよ高まってしまう。
鬼灯は身体を走る愉悦に背中を反らせながら、必死に声を抑えるものの、首元がどっと熱を帯び、額からも汗がしたたり落ち始めていた。
最早止めることができない状況まで追い詰められ、鬼灯は快感に身もだえる。
認めたくないが、下半身の愉悦に囚われてしまい、懸命に自慰に耽る鬼灯。美しい鬼が自らを慰む姿は、男女問わず魅了する妖艶な色香を放っていた。



(んん、だ、出しそうです・・・もう少し・・・)



ようやく絶頂が見えてきたと思った瞬間、なぜか内からしかかけられないハズの鍵が、勝手に動いてその戒めを解いてしまった。


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