●スキャンダラスブラック8●

扉が勢いよく開け放たれ、鬼灯は身なりを整える隙すら与えられなかった。
しかし一人の人物が狭い個室に侵入を果たすと、扉は再び閉じられ、鍵は自動的に掛けられた。一瞬何が起こったのか理解できない鬼灯の眼前に立ち、その男は高らかな声で言った。



「はあーい、ホオズキさん!お久しぶりぶりです~!」



そこに現れたのは、光り輝く銀髪をボブカットにし、青いメッシュを入れた、彫像のように美しい顔を持った長身の青年だった。



その青年は「アスモデウス」というEU地獄では三番目の位にあり、好色の王として世界的に有名な高位悪魔だった。
鬼灯が以前EU地獄へ訪問した折、この悪魔からまさに「悪魔の所業」と言わざるを得ない性的な責めを受けたが、結局鬼灯が自力で逃げ出し、後遺症は残ったが無事に日本地獄に帰還できたのだ。



脱出の際、アデスの身体をスプラッタにして憂さを晴らしたが、それだけでは気が収まっていないほど、鬼灯は未だにアデスを恨んでいる。
その怒りの標的がすぐ目の前にいるが、鬼灯には手出しできない理由があった。



「あ、あなた何故ここに・・・!」



「いえいえ、日本地獄の視察ですよー!こちらには美人ばかり集めたジゴクがあると聞き、はるばる駆けつけちゃったんですー。でも僕電車乗り間違えちゃって・・・ぐすん!」



そう言ってアデスは仰々しく顔を覆って泣きべその演技をする。
鬼灯よりも拳一つほど背丈のある青年だが、普通の大人がこれをしても気持ち悪さが先に立つが、さすが好色の王と言ったところだろうか、その姿は不思議と愛らしく見えてしまう。
目の前の鬼灯には、忌々しいだけだが。



「でもでもラッキー!目的・・・じゃなかった、メアテの??あなたに出会えて僕嬉しい!感激だなあ、ヨクジョーしちゃう!」



アデスの片言の日本語に、鬼灯はおぞましさで苛立ちながら睨みを効かせる。



「先ほどから日本語がおかしいですよ、ちゃんと勉強してきたんですか・・・?」



「だってニホンゴ難しいんですもんー!なんですか?オン読み、クン読みってー?難しい!どうでもいいから抱かれやがれー!ですよ!」



そう言ってアデスは鬼灯の目の前にその美貌を突き出し、迫ってきた。



「っ・・・・!」



アデスの放つイランイランの香りを鼻孔に入れた瞬間、鬼灯の身体が熱くなる。
閉じられた鍵が開けられてアデスが登場し、驚いた衝撃で一瞬萎えた自身も、再び力を持ち始めてくる。



「それにしても・・・プププ!こーんなところでナニしてるんですかァー?相変わらずエロインランですねえ、ホオズキさん!」



便座に座って両足を大きく開いている鬼灯の様子を見て、アデスはあからさまに笑う。



「くっ・・・黙りなさい・・・!」



鬼灯は再び睨むが、すでに身体の芯が熱くなり始め、性感神経が疼き始める。



「あっ・・・!」



アデスに手を伸ばされ、急に襟元を引っ張られると、中を覗き込んだアデスは満足そうに微笑んだ。
鬼灯がEU地獄に来たときにつけられた、アデス専属の性奴○の刻印が、紅く妖しい光を放っている。
白澤の治療で暴発することは無くなったが、やはり術者本人が接触すると、効力を発揮してしまうらしい。



「ふふん、素直じゃない悪い子ちゃんにはお仕置きです!」



悪戯っぽく言うと、そのまま鬼灯の両肩を抱いて、口づけをしに顔を近づけた。



「や、やめてください!」



そう言って首を捻ってキスを避けるが、代わりに耳を舐められてしまい、こらえられないほどの愉悦が背筋を走って、鬼灯の口からは思わず嬌声が放たれた。



「あぁぁああっ!」



自分の声で我を取り戻し、鬼灯は慌てて手で口を押さえる。
だが、この大声なら間違いなく外の空間にも漏れてしまっただろう。
自分で自分の失態に舌打ちしたくなるが、第一何故こんな時に、狙ったようにアデスが現れたのだろうか。
偶然を装っているが、鬼灯を目当てにやってきたのは明らかだと言える。
しかし鬼灯の息はすでに熱くなり、呼気が妖艶な香りを醸しだし始めていた。
性奴○の刻印が光を強め、鬼灯の身体をどんどん抱かれる身体に仕立て上げてゆく。
アデスに捕まれている両肩からも熱が伝播し、背筋がゾクゾクと震えてしまう。
舐められ続ける耳は、そこが性器になってしまったかのように鋭敏で気持ちがよく、鬼灯は怒りも忘れて快楽に陶酔しそうになってしまう。



「んっ・・・は・・・あぁっ、やめて、ください・・・」



そう言って鬼灯がアデスの胸板を両手で押し返そうとするが、すでに力は入っていなかった。



性奴○の刻印で強○発情させられ、超絶テクニックの動きを持つアデスの舌に舐られ、これで陥落しないわけがない。
アデスの舌は鬼灯の首筋を舐め回し、肩を掴んでいた手は首元の襟にかかり、それが左右に開かれて白皙の肌が露にされてしまった。



「ん、んっ、んん・・・」



拒んでいた口づけも簡単に許してしまい、アデスの唾を飲み込まされると、身体の奥がカアと熱くなってしまう。
体中がアデスに触れてほしくて暴走し、鬼灯はいよいよ荒い息を吐いて、興奮を隠せなくなってしまった。


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