●スキャンダラスブラック１１●

「あらー、シロサワさんこちらにやって来やがるんですかー？」

「はい、急遽こちらに来るそうです。全く、あんなヤツの手を借りないといけないなんて、誰かのせいで屈辱です」

そう言ってアデスを上目遣いに睨む。

「やだー、そんなコワイ顔しないでくださいよー！ではでは、あのヤローがやって来やがる前に・・・」

そういうとアデスは長い腕を伸ばし、鬼灯の形の良い臀部に掌を這わせた。

「このっ！」

鬼灯は反射的に金棒を振り上げ、アデスを打とうとした。しかし一瞬早く近づかれ、不意に耳を舌で舐め上げられる。

「うあっ・・・！」

胸元の紋章が朱く光り、快楽の電流が全身に行き渡り、鬼灯は金棒を取り落としてしまった。
そのままアデスに壁と柱でくぼみになっている道路端へと追い込まれ、そのまま抱きすくめられ、ずっと耳を舐められ続ける。

「ちょっ・・・！や、やめてくださいっ・・・！」

鬼灯は先ほどのようにアデスの胸板を押して離れようとするが、以前よりも力が入らない。
アデスの両腕に包まれている部分から魔力を流し込まれ、胸の刻印はさらに朱さを増してゆく。それに比例して、鬼灯の身体の力も弱まり、その空いた部分を埋めるかのように、激しい官能が突き上げてくる。

「んっ、んん、ひ、人が、見て・・・！」

しかし細顎を取られて口づけを無理矢理され、再びつばを飲み込まされてしまう。

「んは、はぁ、はぁ・・・」

色にまみれた熱い息を吐いて、鬼灯は身体を小さく震わせる。
見たところ普段の鬼灯と変わりはないが、その実、胸の紋章のせいで身体の内はすでに激しく発情しいていて、指先でなぞられただけでも快楽の衝動が喉元につきあがってくるほどの熱が体中を駆け巡っていた。
精神力の強い鬼灯だから平静を装えているが、常人ならばすでに床に這いつくばっていても不思議ではない発情状態だった。

「ふふふ、鬼灯サン、そろそろ足元がおぼつかなくなってきてませんかー？」

「そ、そんなわけ・・・ふあぁっ！さ、触るなっ・・・！」

着物越しに両足の間を鷲掴みにされ、完全に反応しきっている自身に触れられる。
体の他の性感帯ならば耐えられたが、快楽の源泉である部分を責められては、鬼灯も大きな反応を返さざるを得ない。
両足が力を失い、ガクガクと震え、そのまま床に頽れそうになるが、アデスが両足の間に自らの片足を差し込んで支えた。
しかしアデスの足が食い込む形になり、性感帯を強く押しあてられる快感に、鬼灯は背中をのけ反らせて激しく反応するが、その背中にも手を回されて引き寄せられ、快感の逃げ場を奪われる。

「あらあら良い匂い・・・それに、あれ？どうして下を履いていないんですかぁ？」

足を揺さぶられ、下半身に快感が走破し、鬼灯が息をのむ。アデスの足の揺れごとに着物のすそが大きく割れ、中から眩いほど白い美脚が現れる。

「ああ、さっきご自分でシコってやがったから、下が裸なんですねえー？それにしても、ほーんと迂闊なお人・・・自分から蝶をおびき寄せる体質なのに、全く自覚がないんですねえー」

「んぐっ・・・誰が、蝶ですかっ・・・せいぜい、蛾がいいところ・・・です・・・あ、あぁっ！」

鬼灯の腰を両手で包み、足を細かく動かしながら上から押し付ける。
自身の先端から透明な液が零れ落ち、アデスの黒いスーツを濡らした。

「あらあら、オモラシはこまりますねえ・・・スーツのクリーニング代、請求いたしますよ・・・？」

アデスも興が乗ってきたのか、その声は甘く優しく、妖しい響きがこもり始めている。

「んっ、んん、や、め、こんな・・・人に、見られて・・・あっぁあっ・・・！」

ゾクゾクと湧き上がってくる絶頂感をこらえながら、鬼灯は周囲の状況を気に掛ける様子を見せる。
しかし、道ゆく群衆の誰もが二人に注目せず、鬼灯の背中に触れそうな距離にありながらも、こちらに気を留めることはなくすれ違ってゆく。

「だーいじょうぶですよ。このスペース８０センチ四方ぐらいですかねえ？誰にも僕らが見えないように魔術で結界を張りました！でもでも～、声は聞こえちゃうかも？だ・か・ら、せいぜい我慢してくださいましー」

そういうとアデスは急に鬼灯を支えている膝を引き抜いた。
鬼灯の身体が支えを失ってそのまま床に倒れそうになるが、アデスが脇を掬い上げて立った状態を保つ。
もし床に倒れ伏してしまえば、結界の外に身体が出てしまい、欲情で熱を上げた鬼灯の姿が群衆にさらされてしまうだろう。鬼灯は当然そのことに気づいているが、身体が疼きすぎて両足が動かないほどに発情してしまっていた。

「鬼灯サン、確かこれお好きでしたよね・・・？」

そういうとアデスは自らのスボンのファスナーを下ろすと、中からすっかり猛った肉棒を取り出した。

「んっ・・・な、なにを・・・」

すると鬼灯が制止する間もなく、着物を大きくまくり上げて、その裾を帯に引っ掛けた。
裸の下半身がさらされ、鬼灯は羞恥で首を熱くするが、誰にも見えていないのだと気づいても、やはりいつアデスに結界を消されるのかと気が気ではなかった。
しかし鬼灯の心配をよそに、アデスは楽しそうな様子でその白い臀部を鷲掴み、自らに引き寄せる。

「んっ・・・！」

あまり背丈の変わらない者同士が向かい合い、下半身を密着させると、互いの雄がふれあい、その熱がそれぞれに伝わってくる。
アデスの剛直からは魔力が流れ込んできているのか、密着しているだけで吐息が漏れそうなほど、下半身が昂ってくる。

「ふあ、ああっ・・・は、離して・・・くださ・・・」

「うふふ、まだまだこれからですよー？鬼灯・・・」

そういうとアデスは鬼灯の白い腰を抱え直し、自分は腰を動かしてゆるゆると互いの肉棒を摩擦し始めた。