●スキャンダラスブラック16●

「よいしょっと」



鬼灯を寝台へ仰向けに寝かせると、白澤は上半身裸になる。
その様子を、桃太郎が出入り口に立って眺めていた。



(俺、なにやってんだ?)



白澤が鬼灯にまたなにか不穏な事をしでかすと感じ、桃太郎はとっさに白澤が困るであろう言葉を吐いたはずだが、逆に困っているのは自分だ。
これから行われる二人の情事を見せつけられるのかと思うと、嫉妬と興味で頭が混乱してくるが、自分で言った手前、この場から簡単に去ることもできない。



「ううっ、着物を、脱がせてください・・・汗で・・・」



「うんうん、後でね。これからまた汗かくから、どうせ一緒でしょ?」



無神経と言える言葉を吐きながら、白澤が鬼灯の上にのしかかる。



「あっ・・・」



正面から白澤に見つめられ、鬼灯の胸が切なく締め上げられると、繋がっているかのように全身が一気に発情してしまう。



着物の上を完全に開けられ、同じく裸の白澤の胸が押し付けられ、直接流れ込んでくる神気がさらに鬼灯を昂らせる。



「んん・・・」



そのまま口づけをされ、鬼灯は聞く者の性欲を煽らずにはいられないため息を吐く。当然、それを間近で聞いた桃太郎は身体を熱くさせた。



鬼灯の位置から桃太郎の姿は見えず、第三者に見られながらの情事とは把握していない。
知っていれば、こんな甘い声など出さないし、反応も返さないだろう。
愛しい人物に愛撫されているという安心感と高揚感に、鬼灯は耽溺し、白澤のされるがまま、艶めいた反応を返し、耳が蕩けるような淫声を上げる。



「あっ、あっぁあ、んんっ・・・はぁ、そこは・・・」



普段の鬼灯からは考えられない甘やかな声に、桃太郎は驚愕しながらも本能はもっと聞きたいとばかりに身体が前のめりになる。



白澤は鬼灯の耳を舐めながら胸の突起に指をかけ、すっかり反応した桃色を指先で何度も弾く。



「あぁっ!あっ!あっ!か、感じるっ!うぅ、ぁぁあ!」



鬼灯の身体がビクビクと痙攣し、自由にされている足がシーツを掻きむしる。
黒い着物から覗く生足が眩いほど白く美しく、淫らに舞う両足に桃太郎は釘付けになった。
元々緩んでいたのか、着物の開け具合が激しくなり、鬼灯の腰の、際どい部分まで露見してしまう。



白澤の手がその白く瑞々しい太腿を這い上がり、着物の暗がりに隠れた性感帯へたどり着く。



「んうぅぅぅっ・・・!」



快感で鬼灯の背中が弓なりに反りかえるが、白澤が上半身を押し付けて無理矢理抑え込んだ。
着物が重なって未だ姿を現さない暗がりの奥で、忍び込んだ白澤の片手が妖し気な動きをする。掌で撫でまわしているのだろう、白澤の肘が円を描き、鬼灯の両足の動きが大人しくなったかと思うと、時折ヒクつく様を見せつけた。



「ぁあっ、あ、あぁぁ・・・っ、ああはぁぁあ・・・・」



快楽に濡れた鬼灯の淫らな声が、桃太郎の耳にどんどん届けられる。
クチクチと淫らな音が響き、しばらく愛撫を続けた白澤の手は暗がりからようやく姿を現したが、その掌は明らかに濡れ光っている。



「んんっ、ん、んん・・・・」



白澤に口づけられ、鬼灯は乙女のように目をつぶってそれに応える。
瞬けば音が出そうなほど長い睫毛を伏せさせ、吊り上がった眉を垂れ、完全に抱かれる身体になっている鬼灯を見て、桃太郎は眩暈がするほどの色香を感じ、ゴクリと生唾を飲んだ。



むき出しになった鬼灯の胸に口づけ、わき腹を丁寧に撫で上げる。



「はぁ、あぁ・・・んん、んふうぅぅ・・・」



その快感で、鼻にかかった甘い吐息を漏らすが、投げ出された白い両足が、何かを訴えるように蠢いている。



「んあ、あぁ・・・はぁっ・・・」



鎖骨に口づける白澤を蕩けた目で見下ろし、その頭を両手で抱えるが、何かを言いたげでそれを何度も飲み込み、鬼灯は身体を妖しくくねらせて白澤の愛撫に応え続ける。



「んんっ・・・はぁ、あの・・・」



とうとうしびれを切らした鬼灯が、蕩けた声で白澤にささやく。原因は、途中で放り出された着物の奥だろう。
中途半端に放り出されたそこは、上半身の愛撫でさらに熱を持ち、着物の布を押し上げるほどに反応している。



白澤は姿勢を変えて、さらに鬼灯の上半身の上に覆いかぶさり、胸板と胸板が互いに押し付けられるほど密着する。しかし、腰から下は鬼灯の自由にさせ、快楽の行き場がなくなってもどかしく悶える両足をそのままにする。



鬼灯から直接の強請りがあったにも関わらず、白澤は胸の突起にしゃぶりつき、歯で捏ねて舌先で先端を上下に舐めまわす。



「あぁっ!あっ!あっ!あぁぁぁあ!」



突如与えられた上半身の快感に、鬼灯が派手に艶声をあげる。大人しかった白い両足は再びあばれはじめ、シーツの上を何度も滑り、これでもかと桃太郎に妖艶な姿を見せつける。
白澤は一瞬鬼灯から目を逸らし、立ち尽くしている桃太郎に目配せをする。



(一体何・・・・?)



桃太郎が白澤の意図を汲めずにいると、白澤は鬼灯の腰回りに巻き付いていた着物を完全に広げ、まとうものが帯だけとなった鬼灯の裸体を見せつける。
そして、晒されたその暗がりの奥には、切なげに反応している鬼灯の半身があった。



(おおおおお・・・)



普通男の雄など見たくもないものだが、鬼灯のは別で、白く穢れがない子供のようで、快楽が巡っている今は薄桃に色を変えて可愛くさえ見えてしまう。



白澤は桃太郎に悪戯っぽい目線を投げかけ続け、顎でその部分を何度も指示した。



(え・・・どういう・・・こと・・・?)



動かない桃太郎に見せつけるように、白澤は手を伸ばして鬼灯自身を掴み、軽く上下に動かして見せる。



「あぁぁあぁあっ!」



弾かれたように鬼灯が嬌声を上げ、曝け出された白い身体をベッドの上で跳ねさせる。
しかし白澤はまた動きを止め、再び桃太郎にニヤリと微笑みかける。



(え・・・まさか・・・)



『加われ』という白澤の意図をようやく汲み、理解した直後、桃太郎は信じがたい思いにとらわれた。


この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

最新の記事

記事のタグから探す

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索