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官能物語 2021/08/07 10:00

美少女との生活/29

 そして、Xデーはいとも呆気なくやって来たのだった。その週の週末、土曜日の朝を美咲と同じベッドの中で迎えた貴久は、今日のスケジューリングを考えていた。今日は朝から一緒にどこかに出かけて、夕食を取って、そのあと、今腕の中にいる可憐な子と結ばれることになっている。とても正気の沙汰ではないように思われた。そんなことあるはずがないと思っても、今から12時間くらいしたら、そんなことになるのだった。そこで、貴久は、

――あ、コンドームがない。

 避妊具のことについて、気がついた。一番大事なものがないではないか。これがなければ、いざシようと思ったときにできないという最悪の事態に陥ってしまう。やはり、これは現実感を持っていないということのあらわれだった。しかし、気がついてしまえば何ということもない、あとは忘れなければいいだけの話で、コンビニや薬局でそっと買えばいい。

 それにしても、コンドームが無いとは、一体いつからシていないのかと言えば、前の彼女と別れてからである。そのときからだから……もう相当年数シていないことになる。特にシたいとも思わなかったのは、それだけ性欲が少ないからだろうかと思わないのでもないが、美咲が来る前はよくポルノ動画を見ながら抜いていたので、少ないというわけでもなかった。

 それなのに、恋人を作らなかったのは以前の彼女のことを引きずっているからという理由が立ってまだしも、風俗にも行かなかったのは、そんなものにはまってしまったらマズいと思っていたからである。恋人を持たない分、貴久は資産形成に注力しており、それを台無しにしたくなかったからだった。そのおかげで、美咲を迎えることができた。まあ、とにかく久しぶりだったので、

――できるのか……?

 と思わないでもない。まさかできないことはないと思うし、やり方はいたってシンプルなのだが、あるいは、もしかして、「入らない」などということは無いだろうか。これまでそれを経験したことがあるのは童貞の時だけだったが、もしも入らなかったら、これは大問題である。

 貴久は急に緊張してくるのを覚えた。貴久にとっては、何十回目かのそれでも、美咲にとっては初めてなのだった。最高の経験にしてあげないといけない。しかし、その自信は無い。

 こんなことなら、きちんと調べておくべきだった。処女とするときの作法を。そんなものがあるのかどうか分からないけれど、情報社会である、おそらくは何かしらはあるだろう。しかし、その日の朝ではいかにも遅い。遅すぎる。こうなったら、ぶっつけ本番で行くしかなかった。せめては、できるだけ痛い思いをさせないようにしようと、それだけを貴久は心に決めた。

「おはようございますぅ……」

 美咲が目を開いて言った。

「おはよう」
「あの……今日はよろしくお願いします」
「努めます」

 真面目な声を出すと、美咲は微笑んだようである。

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官能物語 2021/08/05 12:00

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官能物語 2021/08/04 14:00

美少女のいる生活/28

 広いとは言えないかもしれないが、都心で2LDKは、独身者にとっては狭いとは言えない。実際、もてあましているくらいだったのだ。とはいえ、確かに2人で住むとすると、もうちょっとは広いところでもいいのかもしれない。

 親友とその妻を駅まで送っていったあとに、美咲に提案すると、

「必要無いです。広いところに住めば、物が増えるだけですよ。わたしは、大好きな貴久さん以外に、何も要りません」

 彼女が微笑みながら言った。

「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
「ところで、お父さんは、おれたちの関係性に気がついているのかな?」
「どうでしょう。分かるけど、分かりたくないっていう気持ちなんじゃないですか?」
「なるほど」
「でも、景子さんには話しておきました。貴久さんのことが好きで、結婚したいと思っているっていうこと」
「感じのいい人だったな」
「好きになっちゃダメですよ。人妻なんですから」
「了解」
「でも、いい人です。あんなにいい人がお父さんと出会っちゃうんですから、世も末ですね」
「きみは、ちょっとお父さんに対して厳しすぎるんじゃないか? 彼はおれの親友でもあるんだぞ」
「でも、本当に昔から口うるさかったんですよ。わたしの好きにしていいって言いながらも、事あるごとに、ある方向――自分の理想の女性像――にわたしを誘導しようとするんです」
「お母さんの役割もこなそうとしていたんじゃないのかな」
「一人で二役なんていうことはできないですよ。できないことは、無理にやらない方がいいんです。早めに、景子さんみたいな人を見つけていればよかったんですよ」
「お父さんは、きみのお母さんを深く愛していたんだよ」
「貴久さんは、お母さんと親しかったんですか?」
「おれの元カノなんだ」
「ええっ!」
「失礼」
「そういう冗談はやめてください!」
「了解。でも、こういうところにも慣れてもらわないとな。一緒に暮らすわけだから、おれの素のところもちょっとは見てもらわないといけない」
「悪ぶっても、貴久さんがいい人だっていうことは分かります」
「そうかな」
「はい。だから好きになりました」

 貴久はこの短い会話の間に、彼女は何度、「好き」という言葉を言ってくれただろうかと考えた。二回、それとも三回? それに対するに、貴久も好意をあらわにした方がいいだろうと思って、

「おれも、美咲ちゃんのことが好きだよ」

 その通りにすると、美咲は頬を染めた。
 言葉にしてみると、貴久はずっとその言葉が、すっきりと胸に響くのを感じた。
 確かに、このほんの1週間前に同居を始めたに過ぎない少女のことが好きなのだと、貴久は自覚せざるを得なかった。

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官能物語 2021/08/03 12:00

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官能物語 2021/08/02 12:00

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