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サークルSBD 2011/09/06 23:30

『シリアルスカンク』 3匹目 子リスのチャックル(重)

2匹目→ コウモリのビギンズ
3匹目(軽)→ 子リスのチャックル


3匹目 子リスのチャックル   こうひー・著


「ねえねえ、お姉ちゃんのシッポ、大きいねぇ!」
不意に可愛らしい声が聞こえて、ミシエルは辺りを見回しました。
ですが声の主はどこにも見当たりません。
(空耳・・・・・・?)
彼女はその体の中から湧き起こる疼きのあまり、木陰で休んでいたのです。
ですから、いよいよ例の病に神経までもが侵されたのかと、少し不安になりました。
(ううん、そんなに早く進行するはずは無いわ)
「誰?どこにいるの!?」
彼女は不安を払拭する意味も込めて、少し強めに呼びかけました。

すると「ひゃあ!」と間の抜けた叫び声がして、

「きゃっ!?」
ぽてっ

何か小さなものが落ちてきて、ミシエルの頭でワンバウンドして、彼女の目の前に落っこちました。

「うう・・・痛いよう・・・」
その薄茶色の小さな物体がもぞもぞと起き上がると、それがリスであることが分かりました。
どこか幼さの残る眼差しでキョロキョロすると、彼はくるっとミシエルに向き直りました。
「あ、ごめんなさいっ!ボク、びっくりして・・・」

彼はそこまで言うと、凍りついたように黙り込みました。そして真ん丸の瞳を見開いて震え上がりました。
「あ、あわわ・・・す、スカンク・・・・・・!!」
彼の脳裏に、その恐ろしい毒ガス使いについての記憶が、次から次へと浮かんでは消えました。
(おかあさんがいってた、白黒のけものを見かけたらすぐに逃げろって・・・うう、でも足が動かないよう!
あの大きな怖いオオカミだって、ぷぅ~ってされたら、あっというまにやられちゃうんだもの・・・
きっとボクなんて、このあいだ巻き込まれたお隣のおじさんみたいに・・・
おっきなお尻で、いっぱいおならされて・・・くさくてくさくて・・・死んじゃうんだ!やだ!いやだよぅ!!)

「ね、ねぇ・・・ボク・・・?」
ミシエルが固まっている子リスに恐る恐る声をかけると、彼はビクッとして後ずさりを始めました。
「ひぃ・・・っ!こ、来ないでぇ、オナラしないでぇ!!」
「・・・えっ?」
「あわわ・・・誰か助けてぇ!臭いのイヤだあぁぁ!!」
「・・・・・・・・・」

「えぅ・・・やだ・・・ひぃぃ・・・」
背中が木に当ってそれ以上後ろに下がれなくなってもなお、顔を背けて震えている小さなリスに近寄ると、ミシエルはやさしく
頭を鼻先で撫でてやりました。
「怖がらなくてもいいよ・・・」
「えっ・・・オナラ、しないの?」
「フフッ・・・スカンクだからって、誰にでもオナラする訳じゃないのよ。身を守る時だけ」
(本当はもう1つ、出しちゃう時があるけど・・・ね)

「ほんとう?見逃してくれるの?」
「見逃すも何も、あなたにオナラする理由なんてないもの。あなた、お名前は?」
「グスッ・・・うん、ボク、チャックルっていうの!」



「わぁい!やっぱりお姉ちゃんのシッポは大きいや!」
すっかりミシエルと打ち解けたチャックルは、彼女の周りをちょろちょろ動きながら、はしゃぎ回っていました。
特にミシエルの大きなシッポがお気に入りで、「ボクのシッポに似てるけど、すごく大きい!」などと言っては、よじ登ったりぶら下がったり
して遊んでいました。
「ふふ・・・」
ミシエルは病気のことを忘れ、慈愛に満ちた眼差しでチャックルを見守っていました。
(このまま、あんな病気――ラヴィなんか、消えてしまえばいいのに・・・)
ひとときの平穏に身を委ねながら、ミシエルはそう願っていました。



しかし、それは叶わぬことでした。



「ふぅ・・・つかれちゃった」
遊びつかれたチャックルが大きなミシエルのお尻にちょんと寄りかかって座ると、彼女が細かく震えているのが感じられました。
「? お姉ちゃん、どうしたの?」
「!! はぁっ!・・・・あぅぅ・・・!!」
苦しそうな、それでいてどこか艶かしいミシエルの喘ぎ声に、チャックルは驚いて彼女の顔を見上げました。
「ね、ねぇ・・・大丈夫?どこか痛いの?」
チャックルは心配そうにミシエルの背中に――小さな彼ではお尻までしか届きませんでしたが――撫でようとして触れると、彼女は敏感に反応しました。
「ひゃうっ!?」
かすかな感覚は大きな快感としてミシエルの全身を駆け巡り、その興奮は腰周りへと伝わっていきました。
ふわっ
「わぁっ!?」
ミシエルのシッポは一瞬のうちに膨れ上がり、そばにいたチャックルは跳ね飛ばされて転がりました。
「ひゃ、ぁぁ・・・だ、ダメ・・・」
ミシエルはそこから離れようとしましたが、快感に痺れた足はいうことをききません。
起き上がったチャックルの目の前いっぱいに、ミシエルのお尻が広がっていました。
「・・・え?」
既に大きく膨れ上がった彼女の蕾を、何が起きたか分からないチャックルは呆然と見つめることしか出来ませんでした。
「あっ・・・はぅっ!・・・・・・チャック・・・・逃げ・・・・・・」
ミシエルは体内から込み上げる衝動に最後まで抗らおうとしましたが、彼女の体を侵す伝染性性的興奮暴走病「ラヴィ」はそれを許さず、
小さなチャックルに、最も残酷な仕打ちを与えたのでした。



プゥッ スゥゥ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ・・・



「・・・・・・ひ、ぁぁっ・・・!!」
ミシエルの強烈なガスに包まれたチャックルは、一瞬きょとんとしてから、弾かれたようにもんどりうって倒れました。
「・・・ぅぅ・・・ぎぁ・・・・・はぁ・・・ぅ・・・・!!」
小さな体を苦しみに震わせて、チャックルは悶えていました。
引きつったようにのけぞり、必死に鼻を覆っては、小さな喘ぎ声を漏らしながら浅い呼吸を繰り返していました。
(ああ、チャックル!わたし・・・わたし何てことを!!)
ミシエルは小さな友達の余りの苦しみように、そのままの姿勢で動けずにいました。
ただでさえ強烈なスカンクのガスが、ラヴィによってもたらされた性的興奮によってその威力はパワーアップしていました。
猛獣さえ悶絶させるであろうそれを、まだ小さなチャックルがまともに吸い込んでしまったのですから、平気なハズがありませんでした。



「はぁ・・・はぁ・・・ぁぅ・・・くさいよぅ・・・お姉ちゃん・・・どうして・・・っ」
チャックルは激臭に喘ぎながらも、ミシエルに訴えかけました。
ミシエルはそれに答えることもせず、自分のオナラで苦しんでいるチャックルを見下ろしていました。
(可哀想、こんなに苦しんで・・・)
「チャックル・・・ごめんね、チャックル・・・私が悪いの・・・」
(でも・・・)
臭さに霞んだチャックルの目は、ミシエルの眼差しが今までの慈愛に満ちたものではなく、妖しく笑うものになっているのを見ることはできませんでした。
また、目の前に彼女の豊満なお尻が迫っていることに気づくのにも遅れてしまいました。

(でももう、ガマンできない!!)
ミシエルは抵抗できないでいる仰向けのチャックルの上に、ゆっくりとお尻を落としていき、彼の目と鼻の先に肛門を合わせました。
「・・・な・・・!?や・・・やめて・・・」
チャックルはようやく、目の前にあるミシエルのお尻と、妖しく蠢く肛門を確認することができました。
・・・・・・でも時すでに遅く、ミシエルはまさに毒ガスを放たんとしていました。
「ごめんね、チャックル。みんな私が・・・私のこの病気が悪いの。
もうあなたを、こうして愛さずには、いられない・・・・・・」

プシュ スゥ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・・

彼女の肛門が緩み、生暖かい強烈なオナラガスがチャックルの全身を包み込みました。
「ぁぁぅ!・・・・・・うああああああ!!」
再び悶え苦しむチャックルを肩越しに見て、ミシエルは例えようのない快感に陶酔しきっていました。
(かわいい・・・この子を、もっと・・・)
ミシエルはバタバタと転げ回るチャックルをゆっくりとお尻で押さえつけると、

むっすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ

静かにガスを放出し、チャックルを激臭の海に沈めていきました。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
最後の力を振り絞って暴れるチャックルですが、どんなに足掻いてもミシエルの柔らかいお尻にすべて吸収されてしまいます。
かえって彼女のデリケートな部分を刺激して、快感を与えることになっていました。
「んっ、はぁぁん!チャックル、チャックルぅ!!」
ミシエルが思わず腰を動かすと、大きなお尻はチャックルをグリグリと圧迫するとともに、ぷすん ぷすんとガスを漏らして、
虫の息の彼をさらにいたぶりました。
「ぅあっ!・・・へぐぐ、むっう!?・・・んぁっ・・・・っん!!」
彼の苦しみの声が尻の下から漏れるたびに、ミシエルは息を荒げながら、グラインドとガスとで応えていました。

「はぁはぁ・・・ふぅ・・・チャックル、私のかわいいチャックル・・・」
どのくらいの時が過ぎたでしょうか。
ミシエルは腰の動きを止めて、お尻の下のチャックルに語り掛けました。
「こんなことになって、ごめんね。でも私もう、止まらない・・・
あなたを私のものにしたくて、私の香りで染めたくて、たまらない・・・のっ」
そう言うと、お尻をすこしずつずらして、肛門をチャックルの鼻先にあてがいました。
「・・・・・・ぁ・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・」
もはやチャックルは身動きひとつできず、自分がどうなっているかも理解できませんでした。
彼の最期の視界には、キレイなピンク色の蕾が迫って・・・次の瞬間、圧迫感と、ミシエルの体温と、暗闇とが訪れました。

「ごめんね・・・チャックル。最期に、私のとっておきをあげる」


ボブッブブブップゥ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!


ミシエルの肛門と、チャックルの鼻との間で爆発したオナラは次から次へとチャックルの鼻腔になだれ込み、命もろとも嗅覚を侵しつづけました。

ブゥッ ブスッ ブススゥ~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ

熱い気体の中、臭気と衝撃に翻弄され続けたチャックルの意識は、次第に真っ白になっていきました。

「ああっ!チャックル!!可哀想なチャックルぅぅ!!ああ~~~~んっ!!」
チャックルが息絶えた後も、ミシエルは快感と征服感に我を忘れて、ガスの放出が終わるまで叫び続けました。



プゥッ

「あっ」
つい漏らしてしまった一発に、ミシエルは思わず振り向きました。
チャックルの亡骸を埋めた場所の土が少し飛びました。
「ウフフ・・・まだ少し残ってたみたい。ゴメンね」
ミシエルはどこか吹っ切れたような虚ろな笑顔でささやくと、その場を後にしました。
夕暮れの、気味が悪いほど真っ赤な世界に、大きなシッポを持った獣のシルエットが消えていきました。


~つづく~

突発的外伝 → ???

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サークルSBD 2011/09/06 23:00

『シリアルスカンク』 3匹目 子リスのチャックル(軽)

2匹目→ コウモリのビギンズ


3匹目 子リスのチャックル   こうひー・著


「ねえねえ、お姉ちゃんのシッポ、大きいねぇ!」
不意に可愛らしい声が聞こえて、ミシエルは辺りを見回しました。
ですが声の主はどこにも見当たりません。
(空耳・・・・・・?)
彼女はその体の中から湧き起こる疼きのあまり、木陰で休んでいたのです。
ですから、いよいよ例の病に神経までもが侵されたのかと、少し不安になりました。
(ううん、そんなに早く進行するはずは無いわ)
「誰?どこにいるの!?」
彼女は不安を払拭する意味も込めて、少し強めに呼びかけました。

すると「ひゃあ!」と間の抜けた叫び声がして、

「きゃっ!?」
ぽてっ

何か小さなものが落ちてきて、ミシエルの頭でワンバウンドして、彼女の目の前に落っこちました。

「うう・・・痛いよう・・・」
その薄茶色の小さな物体がもぞもぞと起き上がると、それがリスであることが分かりました。
どこか幼さの残る眼差しでキョロキョロすると、彼はくるっとミシエルに向き直りました。
「あ、ごめんなさいっ!ボク、びっくりして・・・」

彼はそこまで言うと、凍りついたように黙り込みました。そして真ん丸の瞳を見開いて震え上がりました。
「あ、あわわ・・・す、スカンク・・・・・・!!」
彼の脳裏に、その恐ろしい毒ガス使いについての記憶が、次から次へと浮かんでは消えました。
(おかあさんがいってた、白黒のけものを見かけたらすぐに逃げろって・・・うう、でも足が動かないよう!
あの大きな怖いオオカミだって、ぷぅ~ってされたら、あっというまにやられちゃうんだもの・・・
きっとボクなんて、このあいだ巻き込まれたお隣のおじさんみたいに・・・
おっきなお尻で、いっぱいおならされて・・・くさくてくさくて・・・死んじゃうんだ!やだ!いやだよぅ!!)

「ね、ねぇ・・・ボク・・・?」
ミシエルが固まっている子リスに恐る恐る声をかけると、彼はビクッとして後ずさりを始めました。
「ひぃ・・・っ!こ、来ないでぇ、オナラしないでぇ!!」
「・・・えっ?」
「あわわ・・・誰か助けてぇ!臭いのイヤだあぁぁ!!」
「・・・・・・・・・」

「えぅ・・・やだ・・・ひぃぃ・・・」
背中が木に当ってそれ以上後ろに下がれなくなってもなお、顔を背けて震えている小さなリスに近寄ると、ミシエルはやさしく
頭を鼻先で撫でてやりました。
「怖がらなくてもいいよ・・・」
「えっ・・・オナラ、しないの?」
「フフッ・・・スカンクだからって、誰にでもオナラする訳じゃないのよ。身を守る時だけ」
(本当はもう1つ、出しちゃう時があるけど・・・ね)

「ほんとう?見逃してくれるの?」
「見逃すも何も、あなたにオナラする理由なんてないもの。あなた、お名前は?」
「グスッ・・・うん、ボク、チャックルっていうの!」


「わぁい!やっぱりお姉ちゃんのシッポは大きいや!」
すっかりミシエルと打ち解けたチャックルは、彼女の周りをちょろちょろ動きながら、はしゃぎ回っていました。
特にミシエルの大きなシッポがお気に入りで、「ボクのシッポに似てるけど、すごく大きい!」などと言っては、よじ登ったりぶら下がったり
して遊んでいました。
「ふふ・・・」
ミシエルは病気のことを忘れ、慈愛に満ちた眼差しでチャックルを見守っていました。
(このまま、あんな病気――ラヴィなんか、消えてしまえばいいのに・・・)
ひとときの平穏に身を委ねながら、ミシエルはそう願っていました。



しかし、それは叶わぬことでした。



「ふぅ・・・つかれちゃった」
遊びつかれたチャックルが大きなミシエルのお尻にちょんと寄りかかって座ると、彼女が細かく震えているのが感じられました。
「? お姉ちゃん、どうしたの?」
「!! はぁっ!・・・・あぅぅ・・・!!」
苦しそうな、それでいてどこか艶かしいミシエルの喘ぎ声に、チャックルは驚いて彼女の顔を見上げました。
「ね、ねぇ・・・大丈夫?どこか痛いの?」
チャックルは心配そうにミシエルの背中に――小さな彼ではお尻までしか届きませんでしたが――撫でようとして触れると、彼女は敏感に反応しました。
「ひゃうっ!?」
かすかな感覚は大きな快感としてミシエルの全身を駆け巡り、その興奮は腰周りへと伝わっていきました。
ふわっ
「わぁっ!?」
ミシエルのシッポは一瞬のうちに膨れ上がり、そばにいたチャックルは跳ね飛ばされて転がりました。
「ひゃ、ぁぁ・・・だ、ダメ・・・」
ミシエルはそこから離れようとしましたが、快感に痺れた足はいうことをききません。
起き上がったチャックルの目の前いっぱいに、ミシエルのお尻が広がっていました。
「・・・え?」
既に大きく膨れ上がった彼女の蕾を、何が起きたか分からないチャックルは呆然と見つめることしか出来ませんでした。
「あっ・・・はぅっ!・・・・・・チャック・・・・逃げ・・・・・・」
ミシエルは体内から込み上げる衝動に最後まで抗らおうとしましたが、彼女の体を侵す伝染性性的興奮暴走病「ラヴィ」はそれを許さず、
小さなチャックルに、最も残酷な仕打ちを与えたのでした。



プゥッ スゥゥ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ・・・



「・・・・・・ひ、ぁぁっ・・・!!」
ミシエルの強烈なガスに包まれたチャックルは、一瞬きょとんとしてから、弾かれたようにもんどりうって倒れました。
「・・・ぅぅ・・・ぎぁ・・・・・はぁ・・・ぅ・・・・!!」
小さな体を苦しみに震わせて、チャックルは悶えていました。
引きつったようにのけぞり、必死に鼻を覆っては、小さな喘ぎ声を漏らしながら浅い呼吸を繰り返していました。
(ああ、チャックル!わたし・・・わたし何てことを!!)
ミシエルは小さな友達の余りの苦しみように、そのままの姿勢で動けずにいました。
ただでさえ強烈なスカンクのガスが、ラヴィによってもたらされた性的興奮によってその威力はパワーアップしていました。
猛獣さえ悶絶させるであろうそれを、まだ小さなチャックルがまともに吸い込んでしまったのですから、平気なハズがありませんでした。



ほどなくチャックルは力尽き、小さな手足が力なく地面に投げ出されました。
「チャ・・・チャックル!?」
ミシエルはハッと我に返ると、自らのガスに倒れた子リスの様子を伺いました。
ほんのかすかに、かろうじて聞こえる呼吸音と、上下する胸に、彼がまだ生きていることが見て取れました。
安心したミシエルでしたが、チャックルの股間を見て目を見張りました。
まだ小さな性器が勃起し、天を指してピクピクと痙攣しています。

「こんな小さな子がどうして・・・?もしかして、私の病気が!?」
ミシエルも彼女の体を侵す「ラヴィ」について完全に知っているわけではありませんでしたが、今までのスキンシップや、チャックルを気絶させた
強烈なオナラを介して、病魔を彼に伝染してしまったのかも知れないと考えました。
動物を色情狂に変え、やがて破滅をもたらす恐るべき病「ラヴィ」。
こんな小さな子がどれだけ耐えられるだろうか・・・そしてその苦しみは・・・。
ミシエルはしばらくの間、思いつめた表情で横たわるチャックルを見下ろしていましたが、意を決したようにおもむろに後ろを向きました。

「それならば、いっそ私の手で、安らかに――」

ミシエルはお尻をぐっと突き出すと、チャックルの顔面に突きつけました。
自分の肛門から彼の鼻先まで、いくばくも無い距離です。
このままオナラを嗅がせ続ければ、彼は天に召されることでしょう。
途中で目を覚まして悶え苦しむかも知れないけど、その時はこのままお尻で押さえつけてガスを注入し、天国に送るまでの事・・・。
ミシエルは先ほどのチャックルの苦しみようを思い出しました。体の疼きとともに、ある種の衝動が込み上げてきます。
冷たい笑みを漏らしながら、ミシエルは肛門に神経を集中させました。



さようなら、チャックル――



ブッシュゥぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ



咄嗟に逆立ちしたミシエル放出したガスは、あたり一面に撒き散らされました。
はぁはぁと苦しそうに息をしながら、ミシエルは姿勢を戻しました。
「ん・・・・うぅ・・・・・・」
ガスを吸い込んだチャックルが、苦しそうな声を漏らしました。
ミシエルは彼を咥えると、彼女の香りが停滞した場所から遠ざけて、木の洞の中に彼を隠しました。
これなら肉食獣が来ても安全でしょう。

「愛し合うのも天国へ行くのも、あなたにはまだ早いわよね、坊や」

ミシエルはチャックルの顔をペロッとひと舐めすると、足早に去っていきました。
(治療法が見つかったら、また戻ってくるわ。だからそれまではどうか、生きていて!!)

「・・・んっ」
あの衝動がまた、彼女の体を駆け抜けました。
(次に会う獣には――わたし・・・我慢、出来ないかも)


~つづく~

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サークルSBD 2011/09/04 23:30

『シリアルスカンク』 1匹目 ドブネズミのスヰミー

1匹目 ドブネズミのスヰミー   こうひー・著


「フゥ、やっと森にたどり着いたぜ。下水を出てから2ヶ月くらいか・・・長かったなー」
スヰミーはようやくにして移住の成功を確信することができました。
下水にいた仲間たちはみな散り散りになってしまいましたが、ここでも新しい仲間がみつかるさと探していると、やがてネズミの集落にたどり着くことが出来ました。

「やぁ、オイラはスヰミーってんだ。あっちの下水から来たんだ。ヨロシクな!!
・・・・・・な、何だよ?やけに暗いじゃねぇか。何があったんだ?」
「・・・バケモノ、だよ。最近このあたりにバケモノが出て、森の動物たちがたくさんやられてるらしいんだ。鳥たちの話によれば、そいつがこの村にも向かってるって話だ」
「マジか!?なんてこった・・・折角命からがら、引越しを敢行したってのに・・・・・・んで、そいつはどんなヤツなんだ?」
「詳しくは知らないが、どうも食う為に殺してるんじゃないらしいんだ。死体は残ってるらしい」
「そいつは・・・もしかしたらニンゲンっていう連中じゃないのか?それなら俺らみたいな小さい体の動物は・・・」
「いや、どうやらそうじゃないらしい。むしろ小さい動物のほうがやられてるくらいだ。・・・それで、その残されたエモノの死体ってのがやたら臭いんだそうだ」
「腐っても放置してるのか・・・ハイエナやハゲタカじゃないみたいだな」
「ああ、でもキツネやオオカミなんかも殺されてるっていう話だし、体の大きいヤツかも知れない。だからもうこの村を捨てて、みんなで逃げ出そうかと・・・」
「冗談じゃない!こちとら必死の思いでここまで来たんだ!・・・よし、俺に考えがあるぞ。相手がデカいヤツなら、こっちも・・・」

「来たぞ!まだ良く見えないけど、きっとアイツだ!!」
「よし!みんな行くぞ!アイツを追い返すんだ!!」



「うふふ・・・あそこにネズミの村があるのよね」
彼女はうきうきしながら歩を進めていきました。大きなシッポを揺らしながら、白黒で縞々の毛皮も心なしかツヤツヤと光っています。
「さっきの坊や、一気に仕留めないでジワジワ嬲ってよかったわぁ。おかげでこ~んないい場所教えてもらっちゃった♪あの子、リス・・・ううん、やっぱネズミだったっけ?ま、いっか。ああなったらもう関係ないよね。ふふっ」

その時、思い出し笑いを浮かべながら歩く彼女の目の前に、突然大きな影が現れました。
「な、何!?コイツ」
「チュウチュウチュウ・・・立ち去れ~立ち去れ~チュウチュウ」
(本当にコイツか?ヤマネコ程度の大きさしか無いぞ?オオカミを仕留められるようには見えないけど・・・)
(いや分からんぞ!?とにかく追い返すんだ!!)
「チュウチュウ・・・出て行け~早く出て行け~チュウチュウチュウ」

「何だか分からないけど・・・・・・」
彼女は不意に背を向けると、その大きなシッポをピーンと逆立てました。
そして影に向かってお尻を突き出したまま振り向きました。
「これでもくらえっ!」

プッシュ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ゥ

「ギャヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」
「臭いよぉ!臭いよぉ!!」
「な、は、ふ、ギャハーーーーーーーーーーーーっ!?」

彼女のオナラが立ち込めると同時に、無数の呻き声が上がって、大きな影はグニャグニャと揺れ動きました。
やがてその足元からバーッと何かが沢山走って逃げていきました。
それはネズミの群れでした。逃げれば逃げるほど、影は小さくなっていきます。
ネズミたちは固まって大きなシルエットを作り、彼女を脅かそうとしたのです。
でも彼女は臆することなく、その大きな影に向かって、得意の毒ガスを吹き付けたのでした。

そう、彼女はスカンク娘だったのです。

一発繰り出して影の正体を見破ると、彼女は考えました。
「こんな小賢しい事を考えるイケナイ子には、キツ~イお仕置きが必要ね」と。
やがて大きな影の頭が降りてくるにしたがって、それが巨大なネズミをかたどった物であるのに気が付きました。
その頭の部分も、「目」のネズミが転がり落ち、「耳」のネズミが逃げ出し、他のネズミたちも散り散りになると、「鼻」の部分に収まっていたネズミが足場を失って、彼女の前に落ちてきました。

「うぅ・・・いてぇ・・・くせぇ・・・何なんだ一体・・・ハッ!?」
「うふふ・・・どうやらあなたがリーダーね?『お鼻』ちゃん♪」
「うう・・・畜生、失敗か・・・」
「ふふっ、やっぱりお鼻に直接、トドメを刺さないと、ね」
「えっ?う、うわぁ!!」

落ちた衝撃と強烈なニオイで立ち上がることも出来なかったスヰミーの上に、スカンク特有の大きなお尻が降りてきました。
お尻の穴のあるあたりがフリフリと揺れながら、スヰミーをむぎゅうううっと仰向けに押さえつけたのでした。

「えっ ふぐっ ぅっ むぅぅ!!」
スヰミーは、今まで下水道の中で生きていても嗅いだ事の無いような強烈な臭さを感じてもがき苦しみました。
でも彼の体は、その何倍もあるスカンク娘のお尻の下でモゾモゾするばかり。逃げることなんか出来ませんでした。
「ふふふ、元気がいいわね。あんなこと思いついた貴方に、ご褒美あ・げ・る♪」

ぷぅぅっ

スカンク娘のお尻の、スヰミーを押さえつけたあたりから、黄色い煙がもわわんと立ち込めました。
スヰミーは全身が温かくなったのを感じて、次の瞬間、鼻先から臭~いニオイが注ぎ込まれたのを感じました。

「いぇぎゃおえう!ぼぼべ!!ぶぎょあ!!げええ!!えぅぅ!!!」
スヰミーはあまりの臭さに、体中が痺れていく様な苦しみを味わいました。
重くて柔らかくて暖かいスカンク娘のお尻の下で身動きもとれず、ただただ叫び散らしていました。
鼻の中だけに留まらず、喉の奥、まぶたの隙間、門歯の先・・・ありとあらゆるところからそのニオイが襲ってくるかのようです。
まるで体全体が鼻になって、スカンク娘のオナラを吸着させているかのようでした。
臭い臭い思いをしながら、スヰミーはスカンクのオナラのニオイ以外だんだんと何も分からなくなっていきました。

スヰミーは臭い臭い空気の中で、下水道でのことを思い出していました。
あそこの空気もこんなだったかなぁ。みんな何してるかなぁ。楽しかったなぁ・・・・・・。
臭くて堪らないはずなのに、スヰミーは何故か離れ離れになった仲間のところに行けるような気がしました。

「あらら、すっかり大人しくなっちゃったわね。そろそろおねむの時間かな?
ふふっ、いいわ。それじゃ・・・・・・オヤスミナサイ」

むっす ぷすすすすぅ~~~~・・・・・・・・・・・・・・・

ジュビュビュビュビュビュ・・・・・・・・

スヰミーの涎や鼻水、もしかすると他の体液などにオナラが染み付いたのでしょうか。
お尻とスヰミーの間から、黄色い泡が吹き出してきました。
もうスカンク娘がお尻をムニムニさせても、スヰミーはピクリとも動きませんでした。
スカンク娘は立ち上がって彼を見ると、少し笑ったような顔で泡まみれになって、もう息をしていませんでした。
ヒゲだけがヘナ~ッと力なく垂れ下がっていきました。
「ふぅ、残りの子たちはどこ行ったのかなぁ~?」
スカンク娘は辺りを見回すと、シッポをフリフリしながら何処かへ去っていきました。



スカンクは本来、外敵に襲われたときにだけオナラをして、それを撃退します。
だからこのスカンク娘のように、相手を死に至らしめるまで・・・ましてや自分よりも弱い小動物を積極的に
「狩る」ためにオナラでいたぶることなど、まずありえないはずなのです。
それでは何故、彼女がこんなことをするようになったのか・・・

それは、ある恐ろしい出来事から始まったのです。


~つづく~

2匹目 → コウモリのビギンズ

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サークルSBD 2011/09/03 23:00

「K a i d a n ~怪談~」 後編

前編


そうか!あの尻尾・・・
アレは・・・スカンクだ!!
スカンクの屁は、ショック死を招くほど強烈だと、何かの本で読んだ気がする。
このままでは、俺も・・・・・・
頭ではそう考えていても、一向に脚がいう事を聞かない!!
スカンク車掌は、一歩また一歩と近づいてきて、やがて扉の前に立ち止まった。

来る!!

しかし、彼女はその場で屈みこむと、そのままの姿勢でゆっくり後ろへと下がっていった。
「・・・・・・?」
俺は気になって扉に近づくと、その向こうを覗き込んだ。
彼女は何か引きずっている。人間?ぐったりとしていてなすがままだ。
扉の向こう、俺から死角になった位置に、もう一人、犠牲者がいたらしい。
ソイツの顔を確認し、俺は息を呑んだ。

「部長・・・・・・!?」
俺のいっこ上の先輩で、サークルの部長その人だった。

部長は失神しているのか、目は堅く閉ざされ、口は半開きで、ピクリとも動かない。
ただ、スカンク車掌に引きずられるまま、扉から少しはなれた通路上に手足を投げ出し、
ぐったりと横たわっている。
スカンク車掌は部長を跨ぐように立つと向きを変えて背を向けた。
そのまま腰を落として部長の顔面に尻を落とすと、あろうことか・・・・・・

「ぷすっ すうぅぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

その場で少しずつガスを噴射した!いわゆる「すかしッ屁」だ!!
俺は鼻を抑えながら、その光景をただ見守っていた。
部長の顔面と、スカンク車掌の巨大な尻との間から、黄色い煙が立ち昇っている・・・。
あの強烈なガスを、密着した状態で送り込まれたりしたら・・・・・・

びくんっ

そのとき、巨尻に組み敷かれていた部長の体が、大きく痙攣した。
あまりに強烈極まりない極悪ガスの責め苦に意識を取り戻したのか、彼は何度もびくんびくん
痙攣を繰り返した。
それはまるで、毒ガスから生き延びようと必死に抵抗しているようだったが、ついに
自らを封じ込める巨尻を跳ね除けることは叶わなかった。
部長の痙攣はピク、ピクと弱まっていき、やがて完全に止まった。

スカンク車掌は満足げに尻を上げて、ゆっくりと立ち上がった。
彼女の足の間では、白目を剥き、だらしなく舌を伸ばした表情で「座布団」が事切れていた・・・



「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
俺は恐怖に怯えた叫びをあげながら飛び起きた。
もはや朝と呼ぶには遅い時間になっていた。
床に転がる携帯が鳴りひびく。
俺は悪夢の恐怖も覚めやらぬまま、通話を受けた。
「・・・・・・もしもし?」
「あぁ、先輩ですか!?」
サークルの後輩だ。なにかとてつもなく悪い予感がする・・・。

「大変なんです!今日部長さんの家に行く約束してて、それで今朝行ったら、鍵空いてて、
え~と、あの、部長が、その、亡くなっ」
ピッ

俺は携帯の電源を切ると床に放って、跳ね除けたばかりの毛布を被って震えた。
次は・・・次は俺だ!!
今度眠りに就いたら、きっと・・・・・・
寝ちゃ駄目だ!寝ちゃ駄目だ!寝ちゃ・・・!!
俺は何とか眠らないようにした。何度も顔を洗い、水風呂に浸かり・・・・・・
そうして何日かが過ぎて、

俺はついに、眠りに落ちてしまった・・・・・・。



「お客様・・・」
目の前に、あのスカンクの女車掌が立っている。
静かに微笑んで・・・
遮る扉は、もう、ない。

「う、うぅ・・・」
いやだ!死にたくない!!
逃げなきゃ!そうだ逃げろ!!
俺は彼女と反対の方向、列車の末端を目指して走り出した。
次の車両が最後尾だ。もう電車から飛び降りたっていい!
逃げなきゃ、彼女のオナラに包まれて殺される!!

また嫌な予感がした。
この扉も開かないんじゃないか。パンク野郎みたいに、ガス室送りにされるんじゃないか。
だが予想に反して、ノブを引くと、車両扉はたやすく開けることが出来た。
俺は最後尾の車両に転がり込んだ。乱暴に扉を閉める。
見れば、スカンク車掌の姿は消えていた。
助かった・・・のか?
俺は扉を背にへたり込んだ。
そして顔をあげた時、目に飛び込んできたのは


車両いっぱいに広がる、巨大な尻だった・・・・・・!!


「あぁ、ぁ・・・」
そ、そんな・・・・・・
俺は慌てて引き返そうとして、扉を開けようとした。
だがノブにふれるはずの手には、なにか毛皮のような手触りがあった。
「なッ!?」
振り返ると、扉も壁も消えて、視界いっぱいに黒と白の毛皮の壁が立ちはだかっていた。
周りを見ると、車両の中には一切の座席が無く、いっぱいに広がった巨大すぎる尻は、
俺のすぐそばまで迫っていた。
「あっ、ひぃ・・・!!」
白黒の毛皮に張り付くようにして、俺はただひたすらに首を振り、迫る巨尻を拒んでいた。
「えっ?あ!」
後ろからも押される!?毛皮の壁は俺を巨尻に向けて押し出そうとする!!
いつのまにか、俺は巨尻と毛皮で塞がれた空間の中に閉じ込められていた。
「そんな・・・んむっ!?」
ついに俺は、巨大な尻割れの中に埋まり、白黒の毛皮との間に密封された。
まるで、下着の中にでも閉じ込められたかのように・・・。

「まもなく~終点~、おおしり~、大尻です」
アナウンスは死刑宣告のように響いた。
「お忘れ物、思い残しのないよう、たっぷりとご堪能ください・・・」
はるか前方から、あのスカンク車掌の声が聞こえたような気がした・・・・・・。

「嫌だ!嫌だぁ!!死にたくない!!
やめてくれぇ!やめてくれぇぇ!!やめ・・・」



「ぶっ、ぶぶぶ、ぶっしゅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
「んかっ!?かぁっ、がぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
くっ、臭い!臭すぎる・・・・・・っ!!

「ぶぶぶぅ~~~~~~~~~~~~~、ぷすぅ、ぷすすっ、ぷぅぅ~~~~~~~!」
「ハッ!ハカッ!?ヒィ・・・・・・っく・・・・・・・!!」
やめてくれ臭い臭いやだやめ臭い死ぬ助けて臭いダメ臭い臭い誰かぁ臭い臭い臭ぅあ!!

「ぷっ、ぷぅぅ~~~~~~~~~~~、ぷっす~~~~~~~~~~~~~~~~」
「ふ、は、は、かっは、はぁ・・・・・・・・!!」
臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭・・・・・・いぃぃぃぃ


臭いよぉぉぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!・・・・・・・・

「ぷすすす、ぷす、すかぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」



「で、仏さんの状態は?」
「はい、全身に軽い圧迫の跡、鼻腔から呼吸器系にかけて激しい炎症。
直接の死因は心臓麻痺だとの事です」
「心臓麻痺、ねぇ・・・今月何人目だよったく」
中年の刑事はそう呟いて遺体の表情に目をやった。
心臓麻痺にしては、笑ったような顔で死んでいる。そう思った。
「とても自然死にゃあ見えねぇな。ガスか何か・・・か」
「しかしこの近辺で、そういったものは検出されませんでしたねぇ」

若手の刑事が答えると、中年の刑事は肩を竦めた。
「事件のニオイはすれども、何一つ見えてこない・・・。
こいつはまるで・・・・・・」



「屁みてぇな事件、だな」


END

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サークルSBD 2011/09/02 23:00

「K a i d a n ~怪談~」 前編

こうひー 著 / SBD 挿絵


気が付いたら、列車に揺られていた。
ボックス席に前向きに座って、ゆっくりと走る列車の何両目か先を眺めていた。
席の一つに、一人寂しげに腰掛けている少年の姿があった。
その後ろから、つまり少年のいる車両の前のほうから、車掌らしき人影が近づいていった。
切符を改めに来たのだろう。

ガァーーーーーーーッと音を立てて、列車はトンネルに差し掛かる。
「まもなく、に・・・・・・りです」
停車駅の案内か、車内放送が聞こえるが、騒音でよく分からない。
外を見ると、ちょうど列車はトンネルをくぐり終え、車内には再び静かなレールの響きだけが
聞こえるようになった。

ふと視線を前に戻すと、車掌はすでに少年の前を過ぎていた。
少年は座席にもたれかかるようにして、眠りこけていた。
・・・俺も一眠りしようか。
まだまだ俺の降りる駅は先だ。そんな気がした。



それにしても、奇妙な夢だった・・・。
今朝見た列車の夢のことを考えながら、俺は夕暮れ時の住宅街を歩いていた。
学校の帰り道。いつものように、近所の主婦の井戸端会議を通り過ぎようとした時だった。
「・・・かわいそうよねぇ。あそこの坊ちゃん。まだ中学校にも上がってないのに・・・」
「心臓麻痺だとか何とか・・・・・・若くても油断できないわねぇ・・・」
近所で誰か子供が亡くなったらしい。



また列車の夢を見ていた。
窓越しに前の車両の方を見ると、この前よりも近い車両に車掌がいた。
・・・ん?
よく見ると・・・あの車掌、女だ。珍しいな。
夢であるにもかかわらず、俺はそんなことを考えていた。
「まもなく、はなふき~、はなふきです」
次の停車駅は「はなふき」だそうだ、どんな字を書くのだろう。
・・・そういえば妙だ。前の夢でもそうだったが、停車案内のアナウンスがあってもこの電車は一向に止まる素振りを見せない。
通過駅なのか?

そんなことを考えていると、ふと女車掌に違和感を覚えた。
切符の改めにしては、やけにボックス席の中に入っている。
前傾姿勢で、体はあっち側を向いているし・・・。
たしかあの席の乗客は、こちらに背を向けて座っていたはずだ。
あれじゃ客にケツを向けるようにならないか?

やがて女車掌は席を離れ、こちらにの車両に向かって歩いてきた。
ボックス席からはみ出した乗客の腕が、力なくぶら下がっているように見える。寝てるのか?
目を向けると、車掌は既に次の車両に続く扉を開けていた。
室内には、若い男が一人座っている。派手に髪を染めた強面のソイツと目が合い、ひと睨みされた。
夢と分っていても気分が悪い。
とっさに窓の外に目をそらすと、日差しが目に飛び込んできて・・・

(こりゃ遅刻だな・・・)
俺は一限に出席するのをあきらめて、のんびりと自転車を漕いでいた。
酒屋の曲がり角の風景に、少し黒が多いことに気づく。
「葬式・・・かぁ」
どうやらあそこの爺さん、とうとう逝っちまったらしい。



またこの電車の夢か・・・。
その日の夜、同じ夢を3度見るという事態に、俺は遭遇した。
いや、まったく同じではないな。動きはある。
変わらないのは、電車に揺られているところから始まって・・・アナウンスがあって・・・
「まもなく、ガス室~、ガス室です」

って、えぇ!?
どういうことだよ?ガス室って!?
そんな駅名、有る訳がない。
なんだか嫌な予感がして、席を離れてあたりの様子を伺おうとした。

まもなく俺は、2つ先の車両の異変に気づいた。
車内が煙のようなもので真ッ黄色だ!
煙幕・・・か?
でもなんで電車の中なんかで?

頭の中を疑問で満たしていると、黄色い気体で充満した車両の扉に、人影が張り付いているのが見えた。
「・・・・・・・・・!!」
俺は息を飲んだ。昨日の強面野郎が、ここからでも分るぐらい苦悶の表情を浮かべて、
扉の窓を叩いていた。
・・・その動きもやがて弱くなり、男は窓に顔面を張り付けるようにしてもたれると、
白目を剥き、口の端に泡を浮かべながら、ずるずると崩れ落ちていった。
これじゃ・・・、これじゃまるで・・・
「ガス室・・・・・・だ」
俺は微動だにできず、呟いた。

がちゃ

そのとき急に「ガス室」の扉は開いた。
ハッとして、あふれ出た黄色いモヤの中に目を凝らす。
やがて姿を現したのは、あの女車掌だった。
目が合って、彼女はこちらにむかって微笑んだ。
「お客様、もうしばらくお待ちくださいね」
そんな声が聞こえたような気がした。

一体なんなんだ?あの夢は・・・
俺はクラブ棟前のベンチに腰掛けて一服しながら、頭を捻っていた。

「大変だぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
突然、悲鳴にも似た叫びが聞こえてきた。
見ると、クラブ棟の一角に人だかりが出来ている。パンク同好会のある所だ。
「・・・・・・。」
妙に気になって、行って見ると、部員の一人が「中で誰々が死んでる!!」
と慌てふためいていた。
甲高い悲鳴や、人を呼びに行く怒号をかき分けて覗き込むと、

・・・夢の中で「ガス室処刑」された男が、あの苦悶の表情のまま、事切れていた。



馬鹿馬鹿しぃ。ただの偶然だ。
そう自分に言い聞かせても、不安を拭い去る事は出来なかった。
でも明日は試験だし、寝ておかなければ・・・。
あのパンク同好会の男だって、部室に泊まってる最中の心臓麻痺だって話じゃないか。
俺は毛布を引っ被ると、もうあの夢を見ませんようにと願いながら、眠りに就いた。

「・・・また・・・かよ」
気が付いたら、あの電車の中にいた。
「まもなく、座布団~、座布団です」

座布団・・・・・?どういう意味だ?
あの男は「ガス室」で殺された。
その前は、その前の駅名はなんだっけ?
たしか・・・「はなふき」だったはずだ。
「花ふき」?「花吹き」?「鼻吹き・・・・・・・
なんだろう?引っかかるものがある。
そもそも、停車駅の知らせごとに、停車しないで車内改札の光景ばかり見てきた。
3日前の少年。彼は寝ていた。・・・本当に寝ていたか?
・・・死んでいたんじゃないか!?
おとといの爺さんは?・・・いや何で爺さんだって分るんだ俺?
頭が・・・混乱する!!

そうだ、車掌!
あの女車掌は一体・・・!?
俺は車両扉まで走った。

彼女はいた。
俺と目が合うと、昨日のように笑ってみせた。そしておもむろにスカートに手をかけると、ホックをはずし、ファサッと床に落とした。
彼女は下着をつけていなかった。白い太股の付け根に黒い茂みが見えた。
思わず見とれていると、彼女は踵を返して、前屈みになって、膝を少し曲げた。
突き出される巨大な尻。その上に持ち上がった・・・・・・尻尾?
幅広の尻尾。リス・・・?いや白黒のあれはたしか・・・

「ぷぅぅぅうぅぅぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」

噴出音がして、彼女の尻から黄色いモヤが放出された!!
「くっ!?」
思わず鼻を抑える。扉で隔てられているはずなのに・・・なんてニオイだ!
強い硫黄臭のこの気体は紛れも無く「オナラ」だった。
あの男は「オナラ」で殺されたんだ!!

彼女はこっちへ向き直るとゆっくりと近づいてきた。
「あ・・・ぁ・・・」
俺は恐怖のあまりその場に凍てついた。
「次はあなたの番よ」
微笑んだ彼女の目は、まるでそう語りかけてくるようだった。


後編につづく

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