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ニンニク屁の記事 (2)

サークルSBD 2013/06/18 23:00

「GASSASSIN 2 外伝」

GASSASSIN 2 外伝


こうひー 著



「こらぁー!カイン!待ちなさ~い!」
「へへーんだ!待たないよ~~!ケツでかエミリ~!!」

「やれやれ・・・またやってんのねぇ・・・」
メリッサは山盛りにニンニクの入った籠を傍らに置くと、汗をぬぐいながら、農作業にいそしむ村人たちの間を走り回る少年と、それを追いかける少女の様子を眺めていた。
10歳かそこらの少年は、一回りは体格の違う年上の少女が息を切らせて追ってくるのを
明らかに楽しんでいるようであった。
少女は額に汗を光らせながらもなんとか少年を捕まえると、その肩を両手で掴みながら腰をかがめて少年と目線を合わせた。
質素なスカートに包まれた形のよい尻が後方に突き出されると、近くで作業をしていた村の若者が思わず視線を向ける。
そんな視線は気にも留めずに、エミリーはカインの目を見ながら語りかけた。
「はぁはぁ・・・カイン、はぁ・・・謝りなさい!」
「ん?何を謝るって?」
「何って・・・さっき私の・・・その・・・・・・」
「何だよ、はっきり言えよ」
ニヤつくカインに、エミリーはかすかに赤らめた頬で唇を噛むと、意を決して言った。
「私の、お、お尻に、触ったでしょう!?」
「いや~悪い悪い、姉ちゃんの尻があんまりデカいんで失敗しちゃってさぁ」
「なっ・・・・・!?」
乙女の尻を撫でておいて悪びれもしないカインに、エミリーが呆気にとられていると、
カインはかまわずトコトコと彼女の後ろへ歩いていく。
「今度は失敗しねぇから・・・・・・・・さッ!!」
カインの日に焼けた腕が翻ると、ぶわぁぁっと彼女のスカートは翻り、幸運な村の若者は美しい造形をもつ、魅惑的な肉の塊を目の当たりにした。
「・・・・・・・・・っこらぁ~~~~~~~~~~!!」
下着の白、素肌の白――――
春先の太陽のような、淡く眩しい光景に呆然とする若者を差し置いて、エミリーとカインは、この日12回目の追いかけっこに興じるのであった。

「・・・すっかり眠っちまったようだね」
「疲れたのよ。今日はさんざん遊ばされたもの」

夕暮れ時、エミリーはすっかり眠りこけたカインを背中に背負い、メリッサとともに帰路についていた。
「それにしても、この子はあんたに随分と懐いてるねぇ」
「ええ・・・お互い早くに両親を亡くした身だから・・・」
慈愛に満ちた表情で語るエミリーに、メリッサは遠慮がちに呟いた。

「今日・・・分かってるわね?」
「・・・うん」
エミリーの表情から、慈愛の色は消えて、かわって強く冷酷な光が目に宿った。
義務を、果たさねばならない。この村の乙女として。
それに報酬が手に入ったら、背中で眠る少年を自分が育てていこうと決めていた。



夜も随分と深まった頃、カインは目を覚ました。
ふと隣のベッドを見ると、いつも安らかに寝息を立てているエミリーがいない。
不安を覚えてベッドに潜りなおすには、その日の月は明るすぎた。
夕方前からたっぷりと睡眠をとっていた彼は、その輝きに誘われるように家の外へと出て行った。
持ち前のイタズラ心と少年特有の冒険心は、いつしか彼を村はずれの廃墟へと押し進めていた。
昼間に来ようとしても、いつもエミリー姉ちゃんや、おっかねぇメリッサ姐さんに連れ戻されてしまう謎の場所であったが、今この時間に彼を咎めるものはなにもない。
その開放感からか、廃墟の床から漏れる怪しい光を見たときも、嫌な予感の類など微塵も感じずに、少年は床についた取っ手に手を伸ばすのであった。


「終わったのね・・・」
キャシーとアリアが薄暗い地下道に目を向けると、エミリーとメリッサは音も無く現れた。
メリッサはカラスのようなマスクを身に付けており、エミリーの厚ぼったくて黄色いスカートが揺れ動くたびに、辺りには硫黄を煮詰めたような悪臭が漂っていた。
彼女らがキャシーとアリアのいる部屋まで戻ってきたとき、すでに二人もマスクを身に付けて、エミリーのために代えのローブを用意しているところだった。



エミリーが肌にまとわりつく悪臭を薬草の煮出し汁ですっかり拭き清め、代えのローブに身を包んだ時であった。
突然、地下室の入り口が動いた。
この時間、ここを訪ねてくるものは居ないはずだ。
思わず身構える4人の前に現れたのは、年端も行かない少年であった。
「あれ・・・エミリー?」
「か、カイン・・・どう・・・して・・・?」



面と向かって叱られたわけではない。
メリッサ姐さんに引っ張られて、部屋の真ん中の小さないすに座らされただけだ。
それでもこんな夜中に家を抜け出して出歩いていた負い目がある。
小さな椅子に腰掛けて、落ち着き無く辺りを見回す少年をよそに、4人の女性たちは
密談していた。
「わかってるね、掟は・・・掟だよ」
「でも・・・あの子はまだ・・・小さいのに・・・」
「気持ちは分かるわ、でも・・・ダメなの。こらえて頂戴、ね」
「あなたはもう帰ったほうがいいわ、エミリー。ゆっくり眠って、何もかも忘れるの」

「ううん・・・私が、やるわ。私にやらせて・・・」
「エミリー・・・・・・」
「わかったよ、あんたが・・・送ってやりな」



ふとカインが顔を上げると、自分の周りにアリアとキャシー、そしてエミリーが立っていた。
みんな通気性のよさそうな、簡単なローブに身を包んでいる。
ふんわり。
「?」
ふと自分の後頭部に、柔らかいものを押し当てられた感覚を覚えた。
振り向こうとしたカインの肩を、エミリーが強く掴んだ。
「!・・・エミリー・・姉ちゃん・・・?」
「カイン・・・じっとして目を閉じていて、何も怖くないのよ・・・ね?」
「・・・・?うん」
少年は、言われるままに目を閉じた。これが苦しみの幕開けとも知らずに・・・。



ふぁさ ぎゅ ぎゅうううう

「んぅ!?」
顔に柔らかいものが押し付けられたかと思うと、前と両斜め後ろの3方から強烈な圧迫感を感じた。
カインは必死に暴れたが、圧迫はその場からピクリとも動けなくなるほど強いものであった。
それでも痛みを感じないのは、顔に当るものが信じられないほどに柔らかく、弾力があったから。またそれは暖かく、かすかに懐かしい匂いがしていた。
やがてカインはそれが何であるかわかってきた。これは・・・尻だ!
女の尻・・・エミリー姉ちゃんの・・・でっかい尻・・・。



ブゥゥゥゥゥゥッ
低い音がして、顔面が揺れた感じがした。温もりを帯びた振動のあと・・・・・・
不意に強烈な臭気がカインを襲った。
「はんむっ!?んふんんんんんぅ!!!!????」
(臭い!!・・・ニンニクのニオイ?・・違う!お、おなら!?)
思わず立ち上がろうとするが、3つの尻は押さえつけるように彼を閉じ込めた。
「お願い・・・大人しくして」
「ごめん・・・ごめんね」
キャシーやアリアの声が、頭の上のほうから聞こえた。
いつもの、ニンニクを吊るしながら談笑する時の様な楽しそうな声じゃなく、感情を押し殺したような冷たい声だった。
「ああ・・・カイン・・・カイン!」
エミリーは悲痛な呟きを漏らしながらも、圧迫を緩めることなくさらに放屁した。
ぷぅ ブウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ
「んんわ!?はっぷぅ!あ゛ぷぅぅ!!」
いよいよもって彼は渾身の力で暴れ始めたが、日ごろの野良仕事で鍛えられ、さらに特別な食事を与えられた娘たちの強靭な足腰は、哀れな少年を柔尻の牢獄に閉じ込め続けていた。
ブズビゥゥィィィ
今度は右の耳の辺りから音が聞こえた。ほどなくして眩暈を起こしそうな強烈な臭気が
彼を責めたてた。
「んぐがぐ!ふんんんぅ!!!!」
カインの涙がエミリーのローブを濡らしても、尻の圧迫は緩まらなかった。
ブウゥゥゥゥゥン
続いて左の耳の裏のあたりから、低い音と重い臭いが彼を苦しめる・・・・・・。
「んっあぅ!ふがああああああああああ!!」
カインの嗚咽が部屋の空気をいくら揺らそうと、放屁の嵐は彼を嬲り続けた。


ぷぶぅ・・・・ぶううう・・・ぷすう
ぶぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~~う プゥッ ボプゥゥゥゥゥッ
ブッ ぷしゅううううう ぷす・・・ぷすすす ぷぅぅぅぅぅぅぅ~~~~



カインの暴れる動きがやがて静かになり、放屁のたびに走る痙攣のようになったとき、ばたつく腕は前方をまさぐり出していた。
それがやがてエミリーの肢体に抱きつくように絡みついたとき、彼女は思わず、かすかに圧迫を緩めていた。
カインは初めて、哀願を口にすることが出来た。

「ぷはっ・・・!姉ちゃん、エミリー姉ちゃん・・・臭いよう、臭いよう・・・」

エミリーは一瞬ハッとなったが、すぐに後ろでにカインの腕を掴むと、ぎこちない動きで、彼をゆっくりと、柔らかき尻の処刑台へと押し戻していった。
「エミリー姉ちゃん、臭い・・むぐ・・・ふはいよぅ・・・・・もう、やめへぇ」
カインはエミリーの尻に顔を埋めたまま、尚も哀願していた。

「カイン・・・ごめんね。見られたからには・・こうするしか、ないの。
でも、安心して・・・きっとお姉ちゃんが、あなたのお父さんやお母さんが待っているところに、あなたを送って・・・あげ・・・っ」
それ以上は、言葉にすることは出来なかった。
エミリーがそっと後ろに目配せすると、キャシーもアリアも尻を突き出して、カインの小さな頭を、エミリーの豊満な尻へとめり込ませた。

(出して・・・もう臭いおならを嗅がせないで・・・!!)
ローブの裾をぎゅっと握るカインの手は、必死にそう訴えかけているように思えた。
だがそれでも、エミリーはその手に優しく自分の手を添えて押さえると、
ぷふぅぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・
なおも哀れな少年の鼻腔を自らの屁の臭いで侵し続けた。



(臭い・・よぉ・・・何でこんな事するんだろう・・・・・・。
姉ちゃん・・・怒ってるのかなぁ・・・?
何か言ってたけど・・何だろう?・・・もう何も聞こえないや・・・
臭くって、アタマ・・・ぼうっとする・・・このまま死んじゃうのかな・・・?
でも何だろ・・・怖くないや・・・姉ちゃんのお尻で死んでいくのなら・・・おいら・・・
・・・あ・・・ぁ・・・姉ちゃんのおなら・・・臭い・・・なぁ・・・・)



もはやカインは何の抵抗もせず、かすかに残った力でエミリーの尻にすがっているようだった。放屁の激臭に翻弄された呼吸は浅いままであったが、いつしか小さく静かなものになっていた。



「ごめんね・・・おやすみ、カイン」
プッ プゥゥゥウゥゥゥゥ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・
・ ・・・・・・・・ッ・・・・・・
この世のものならぬ屁臭の子守唄は、少年を二度と目覚めぬ眠りへと沈めつつあった。
カインはエミリーにすがっていた腕を痙攣させ、いびつな木の枝のようにピーンと張ると、そのまま動かなくなった。
ようやくにして圧迫を解かれた彼の体は、まず腕からダランと垂れ下がると、虚ろに半開きな瞳のまま前方へと倒れこんだ。
「カイン・・・ごめんね、ごめん・・・・・・」
エミリーは彼を抱きとめて、静かに泣いた。
ともに処刑に携わった2人の乙女も、一部始終を監督していたメリッサも、ただ黙って見守ることしか出来なかった。



「カイン・・・・うう・・・ぐすっ・・・・・・」
エミリーが泣き続ける傍らで、メリッサは他の二人を帰した。あとは自分が何とかするから、と。
二人を見送って地下室に戻ったとき、彼女はカインの亡骸を胸に抱き、メリッサを見上げて言った。
「メリッサ・・・お願い。このまま・・・・・・」






「ただいま。いい子にしてた?」
「・・・・・・・・」
遠く離れた土地のある質素な家のなかで、エミリーは虚ろな目で一人、外を眺めていたカインに微笑みかけていた。
エミリーたちの屁臭の凄まじさに「壊れて」しまった彼は、もはや口を封じられたようなものであった。
いつか彼の心が元通りになった時、ニンニクの村で遭遇した恐ろしい事件のことを思い出さないとは限らなかったが、その時は自分が彼を葬る。
そう言って、エミリーは自分がカインの亡骸とともに、彼の魂を弔うべく旅立ったことにしてくれるよう、メリッサに懇願したのであった。
メリッサがどこまで、自分のことを信用してくれたかは分からない。
だが、二度と村に近づかないことを条件に、彼女は村はずれに馬車を手配してくれた。
あの日、カインの口を封じる前に、吸血鬼とされた男を屁臭の中に葬った。
その時、教会から前金で受け取った「報酬」がある、2人が当面、食べていけるだけの貯えは持っていた。
いま2人は、人目を避けるようにして、この地で暮らしていた。



「おなか空いたでしょ?いまご飯作るから、待っててね」
「・・・・・・ん・・・」
カインが虚ろな目で自分を見上げる視線さえ、今のエミリーには愛おしかった。
少年の頭を撫でて、台所へ向かう彼女。
(メリッサにはああ言ったけれど・・・)
夕飯の支度をしながら、彼女は考えていた。
(あの子の記憶が戻ったとき・・・出来るかしら、私に・・・?)



「きゃっ!?」
腰の辺りに不意に何かが押し付けられる感覚を感じ、考え事を中断するエミリー。
見ればカインが後ろから抱き付いて彼女のふくよかな尻に顔を埋め、甘えていた。
フゥ、と苦笑して耳のあたりを撫で下ろしてやると、彼はかすかに微笑みながら、エミリーを見上げた。
「もう・・・いけない子・・・・・・」
エミリーが慈愛に満ちた目でカインを咎めると、その声はどこか押し殺したような、妖しい冷たさを感じさせた。
カインは一瞬怯えた眼をしたが、そんな思いを振り払うかのように、すぐにまた目の前の柔らかく巨大な肉塊に顔を埋めて、甘い香りの中に沈んでいった。



END

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サークルSBD 2013/05/30 23:00

「Gassassin 2」

G-A-S-S-A-S-S-I-N


こうひー 著



「3日後の夜に、吸血鬼審判を執り行う」
教会からの使者は手短にそう告げて去っていった。
吸血鬼――――そんなもの、現実に存在するものかどうか、少なくとも権力欲にとりつかれた司祭どもになど分りはすまい。
だがこの村の村長にとって、それはどうでも良いことであった。
教会から出される報酬は村を、そして彼女らの家を潤してくれる。
「今回はシェリーナになるかのぅ・・・」
つぶやきながら庭に出る。
どの家の畑も、この村の特産品の収穫で大わらわだ。
きっと今年のニンニクも豊作だろうと、村長は思った。

「行っておいでシェリーナ。しっかりね」
「うん・・・行って来ます。お母さん」
母親にだけ挨拶して、シェリーナは迎えのものに連れられ、この村の女たちしか知らない場所へと赴いた。
村の女性だけに伝わる秘儀。
興味本位で探ろうとした男が、次々と神隠しにあう、恐ろしい秘密。

シェリーナは驚いた。村はずれの廃墟の下に、こんな地下室があったなんて・・・。
「来たねシェリーナ。さあ、中へお入り」
促されるままに階段を下りると、たいまつに照らされた薄暗い部屋の中に、村の若い女性たちの中でも面倒見がよく、姉御肌で知られているメリッサがいた。

「・・・ちゃんと食べてきたかい?」
「あ・・・うん」
「じゃあ、この服に着替えて。キャシーとアリア、手伝ってあげて」
見た目よりも重い布の塊を渡されると、案内役であった2人の娘によって着付けが行われる。
妙な服だった。厚ぼったい、薄い黄色の地味な布地ではあったが、腰のくびれからスカートの裾まで、まるで高貴な女性たちが着るような形に膨らんでいた。
腰の所できつく巻かれたコルセットは、この日のために母親がこしらえた料理によって膨らんだ下腹には辛かった。

しかもスカートの裾の周りには、外側に重い金具のようなものがびっしりと縫い付けられていた。
腰から下が妙に風通しが悪い。

「ちょっとキツいだろうけど、我慢するんだよ。じゃ、行こうか」
メリッサが地下室の奥の扉を開くと、長い通路の先にまた扉が見えた。
「シェリーナ、しっかりね」
「がんばって、シェリーナ」
着付けをしてくれたキャシーとアリアの声に背中を押されるようにして、薄暗い通路を進むシェリーナと、その重い裾を持ってやるメリッサ。
「んっ・・・歩きづらい・・・」
「ここでやらないでよ?シェリーナ」
背中からメリッサの声が聞こえると、シェリーナは思わず顔を赤らめた。



「そろそろ、来る頃だな。」
たいまつに照らされた薄暗い部屋には、文官風の男が一人と筋骨隆々の○問吏が二人。
それに部屋の中央には、若い男があぐらをかいた姿勢で座っている。
その胴体と手首は床に生えた金属製の柱に縛り付けられていた。
さらに首はかすかに斜め上を向いた状態に、専用の拘束具で固定されていたので、男は声を出すのも辛そうに見えた。
「お、俺は吸血鬼なんかじゃ・・・ない」
それでも必死に弁解する男を、文官は一瞥した。
「貴様に血を吸われかけたという証言があるのだ。調べぬわけにはいかぬだろう」
冗談じゃない!どうせ博打で金を巻き上げてやった奴らのデッチアゲだ!!
俺だけじゃない、吸血鬼裁判のほとんどが同じようなもんだろうが!!
男は思ったが、なにぶん体勢が苦しくて声を荒げる気がしない。
そんな様子を見て、文官が○問吏に命じた。
「おい、もう少し首を起こしてやれ。息が通らぬでは話にならんからな。
・ ・・ん?来たようだな。扉を開けてやれ」

男の後ろで扉が開くと、二人の村娘がゆっくりと通り過ぎた。二人とも結構な美人であることは、薄暗い部屋の中でも見て取れた。
そのうち一人は地味なドレスに身を包んでいたが、その裾は床に触れるたびにカリカリと音を立てていた。
「ふむ、美しい娘だな」
文官が頷くと、シェリーナは恥ずかしそうに俯いた。
文官は縛られた男に向き合ってしゃがみこむと、説明を始めた。
「ではこれより審判を始める。この村の特産品は知っているかね?」
「・・・?確か、ニンニク・・・?」
「そうだ、吸血鬼はニンニクを恐れる。それを含んだ、清らかなる乙女の息吹もまた然り」
「・・・?」
「貴様が吸血鬼ならば、汚らわしいバケモノならば、耐えられずに息絶えるはずだ!」
それだけ言うと文官は立ち上がり、シェリーナに目配せする。
文官が退いた場所に、シェリーナが進み出て、床の男と目を合わす。
「あ、あの・・・その、よ、よろしくお願い・・・します」
顔を赤らめ、しどろもどろになりながら挨拶する村娘を見て、男は何が何だか分らずに目を白黒させていた。

「始めろ」
文官が命じると、2人の○問吏が男の傍にしゃがむ。
シェリーナが不安そうな顔でメリッサを見ると、メリッサは力強く頷き、シェリーナを促す。
シェリーナはおずおずと男に近づくと、ゆっくりと踵を返した。
スカートの金具が、男の目の前にカチャンと音を立てる。見れば金具一つ一つに親指くらいの直径の穴が開いている。
今まで薄暗くて模様だと思っていたが、自分を取り囲むようにして、床にも同じくらいの大きさの穴が開いているのに、男は気づいた。

ふと顔を上げて、男は息を飲んだ。
目の前の村娘のスカートが○問吏たちに高々と持ち上げられ、隠された若い娘のふくよかな尻があらわになっていた。
その体勢のまま、娘は後ろ向きに、男のほうに数歩歩み寄った。娘の尻は丁度、かすかに傾いた男のすぐ前にまで迫った。
「お、おい、何を・・・あっ、うわぁ!?」
突然、周りが暗くなった。
○問吏は持ち上げたスカートの裾を、男の頭から被せるように落としたのだ。
ジャラン、と裾の金具が床に触れる音がした。

「動くな。危ないぞ」
シェリーナの頭上から、○問吏に支えられた重い鉄の輪が下ろされた。
彼女をくぐらせるようにして足元に到達したそれは、スカートの裾の金具を床に押さえつけるように設置された。
さらに輪と金具と床の穴とをネジによって固定され、縛られていた男はシェリーナのスカートの中に密封された。
「では、頼むぞ。夜明け前にはまた来る」
文官は○問吏たちを連れて、シェリーナたちの入ってきたのとは反対側の扉から出て行った。
彼らの足音が遠ざかったのを確認したメリッサは、懐からカラスのくちばしのようなマスクを取り出して装着した。
疫病を調べる医者のようなマスクであったが、くちばしには海綿のほかに、香草の類が仕込んであるそれがモゴモゴと揺れた。
「さ、始めるよ。シェリーナ・・・」
俯いていたシェリーナの肩がビクッと震えた。
「うう・・・ほ、本当にやる・・・の?」
「今更何言ってるのさ!ほら、体の力抜いて、ゆっくりでもいいからさ・・・」
「う・・・うん」
シェリーナは諦めた様子で目を閉じると、意識を下腹へと集中させた。

スカートの中の男は、自分の置かれている状況を考えていた。
(ニンニクを含んだ・・・清らかなる乙女の・・・・・・。
この状況で「息吹」なんてのは、やっぱり・・・アレ・・・だよな?)
暗くて周りの様子は見えないが、男は若い娘の体臭に包まれ、目の前に揺れるふくよかな尻の気配に、いささか興奮気味であった。
(よ、よし。おれは吸血鬼なんかじゃないんだから、ニンニクの屁なんかで死ぬわけ無いんだし、美人の尻なんか拝めたんだから、も、儲けモンだよな)
「は、はは・・」
恐怖心が薄らいで、安堵の声を漏らしたその時だった。

ぷぅ・・・しゅぅ

スカートの中に漏洩音が響いた。
(うへ・・・だ、出しやがった。さすがにクサ・・・!?)

「げばっはぁ!?ぶへっ!ぶげっへぇ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
シェリーナの尻から放たれた臭気は、男の呼吸を乱すほどのものであった。
「うぇー!!うげぁー!!臭ぇー!くせぇえー!!」
男は全身を震わせて暴れ、ギシギシと拘束が食い込んでもお構いなしに悶え狂った。

「ひ、ひぃ・・・」
シェリーナは自らの放屁でもたらした、男の狂いように恐怖を覚えた。
「メ、メリッサ!私・・・」
「しっかりおしよ!シェリーナ!!吸血鬼を成敗してやるんだ!!」
「うう・・・」
「さぁ、もう一発!!」

ぷうううっ ぶふぅ~~~~~~~~~~っ ぷぅっ

「うっはぁぁがぁはっ!!はっあ!あはっは!!」
男はなおも悶えていた。
もはやスカートの中には、さきほどまでの若い娘の甘い体臭は残ってはおらず、男の顔へと吹き付けられたシェリーナの強烈なガスだけが篭っていた。
男の顔を撫で回すようにして蹂躙したオナラは、特殊に加工された厚ぼったい生地に遮断され、2度3度と男を責め立てた。

ぶぶすぅ ぷううぅ~~~~~~~ぅ ぶぅーっ

「おごぇ!があぁ!!」
鼻から口から、乱れた呼吸をさらに掻き乱し、やんごとなき乙女のスカートの中で、男の意識は猛烈なガス嵐の中でもみくちゃにされた。

「はぁ・・・ふぅぅ・・・」
シェリーナは顔を紅潮させながら放屁を続けた。
(一時はどうなるかと思ったけど・・・なんとかなりそうね)
そんなシェリーナを見ながら、メリッサは安堵していた。
シェリーナは半ば恍惚としながら、自らのスカートに閉じ込めた男に向かって放屁をしている。
村に伝わる「血」がそうさせるのだろうか。メリッサは思った。

その時、恍惚の余り一瞬シェリーナの意識が薄らぎ、カクッと膝が折れた。
ハッとなって体勢を立て直すと、自らの尻が男の顔に沈む感触を感じてあわてて姿勢を正す。
彼女は我に返った。放屁が止まった。
「どうしたの?シェリーナ」
先ほどまで恍惚に染まっていたシェリーナの表情は、激しい羞恥の紅潮へと替わっていた。
「メリッサぁ・・・私・・・私、恥ずかしい・・・」
消え入りそうな声で目に涙を浮かべていた。
(まったく、この娘は・・・)
メリッサはシェリーナの傍まで来ると、マスクを外した。
シェリーナのオナラの臭気は、スカートの中に閉じ込められているため、ほとんど匂わなかった。
それでも強烈なのにはかわりは無いが、メリッサもかつては「吸血鬼審判」に携わったことのある、この村の娘である。耐性は備わっていた。
「いい?シェリーナ。この審判は私たちの村の乙女が代々受け継いできた神聖なものなの。
恥じるべき事など、どこにもないのよ」
「でも・・・恥ずかしいもん、男の人の顔にオナラなんて・・・・
それに、この人だってきっと吸血鬼なんかじゃないもん!!」
「シェリーナ・・・」
シェリーナの言い分も分かる。だが、審判を途中で終わらせるわけにはいかない。

「シェリーナ。もういいよ」
「・・・メリッサ?」
「もういい、この男は生き延びたんだ。無罪放免ってことになるよね」
「本当?本当にもういいの!?メリッサ!」
「あたしたちは村に帰る。この男も街に戻る。そしてみんなに言いふらすんだ」
「・・・・・・えっ?」

「『俺はニンニクの村の女の屁を浴びても生きてたんだぞー』ってね」

「ぁ・・・・」
「バレるね。あたしたちや、アンタの体質のこと」
シェリーナの顔が青くなった。
私の・・・私のオナラのことが・・・みんなに・・・知られちゃう!?
「ぃ・・・ぃゃぁぁ・・・」
「村の男どもにも知れ渡るよね・・・なんつったっけ、アンタの好きな、あの」

シェリーナの放屁が終わっても、スカートの中では立ち込める濃厚な屁臭の中、男が意識を朦朧とさせていた。
(もう・・もう吸血鬼でいい。早く楽に・・・してくれ・・・)
強烈きわまる悪臭の中で、朦朧とする意識の中で、それでも徐々に闇に慣れた男の目は白い球体らしきものを捕らえていた。
(あ・・・ニンニク・・・?でっけぇニンニク・・・・)
男の目には、巨大なニンニクがゆっくりと降ってくるのが見えていた。
やがて男の顔は、巨大ニンニクに埋もれた。
(この・・・ニンニ・・・ク・・・柔ら・・・けぇ・・・?)
柔らかい塊が、蠢動した。

すぅ・・・すぅぅ・・・すぅ~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・

生暖かい空気の塊が男の鼻腔に押し込まれた。
「・・・・んっ!?かっ・・・・!?!?」
男はオナラを直に注ぎ込まれて、全身に痙攣が走るのが分かった。
それほどまでに、シェリーナの、この村の女性のオナラは強烈だった。

すぅぅ~~~~~~~~~~ぷぅっすぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

濃くなってゆくオナラのニオイ。
もはやスカートの中は、シェリーナの凶悪なオナラガスのみが席巻する断罪の間と化していた。
「・・・・・っがぁ!・・・・っがはぁ!!」
男は白目を向き、歯をむき出しにして、必死に首を振って地獄の責め苦から逃れようとした。
それはまるで、吸血鬼が苦しみぬいているかのようであった。

薄暗い部屋に、男の暴れる音がギシギシと鳴る。
シェリーナは涙目になりながらも、それでも放屁を止めなかった。
秘密を漏らすわけにはいかない・・・・
生かして帰す訳にはいかない・・・・
・・・・・逃がさない!!
シェリーナの目が見開かれ、冷酷な光を湛えた。
「ごめん・・・なさい」

ぶぶぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!

スカートの布地を震わせるほどの爆音が響いた。
もはやスカートの中から、拘束具の軋む音は聞こえなくなっていた。

「よく頑張ったわね、シェリーナ」
「メリッサ・・・私・・・人を・・・」
「いいのよシェリーナ。アンタは吸血鬼を成敗した。ただそれだけなんだから」
「・・・・・・・・・うん!」
「さぁ、まだ時間はあるよ。ソイツが化けて出ないよう、しっかりトドメを刺しておあげ」
「うん!」

シェリーナは後ろを振り向いて小さくつぶやいた。
「・・・ごめんなさい」
口元に、かすかに笑みが浮かんでいた。

シェリーナは満ち足りた表情で目を閉じると、胸の前で手を組み、ゆっくりと、下腹に力を込めていった。




END

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