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サークルSBD 2012/07/27 23:30

『さよなら人類』 第五話 後編

第五話後編 :SBD・著



ディーバ・ルは、亀頭の鈴口におもむろに自分の唇を押し当てた。
そして、ガリッという鈍い音と共に、プッと頬を膨らませると、”何か”を思いきり、ハムサンのペニスに吹き入れ始めた。

「ぐっ、ぐゃあああああーーーーッ!!!!」

痛みとも何ともつかない異様な刺激に襲われ、ハムサンは思わず叫んだ。
精液が逆流するような感覚だった。
睾丸の中に、何かを注入された。
熱い液体。
どんどん侵食されていく、痺れが広がっていく!

「私の血よ」

顔を上げて、ディーバ・ルがニッと微笑んだ。
その唇の端から、真紅の血の筋が垂れていた。

「人間よ。私の血を受けるがいいわ。
所詮、私達とお前達とは相容れない存在。
知らないのかしら?
私達の血は、お前達にとっては毒なのよ!」


「くッそおお、おお!ぉぉぉお!」

カイトが背中を弓なりにして叫んだ。彼は泣いていた。
叫ぶことで彼は、射精を堪えようとしていた。
今度発射してしまえばもう、通算三度目にもなる。
一度射精する毎に、脱出への体力も気力も奪われていくのだ。
ハムサンが死を賭して自分に託してくれた、結果がこれか!

しかしディーバ・ルは、拳を握って耐えようとするカイトを肩越しに見下ろし、冷ややかに宣告した。

「黙れ、と言っておいたのに。
そんなに反抗したければ、どうせならもっと激しくいやらしく動いてみなさいよ。
この私に、腰を使わせるつもり?
どうなるか、わかっているのかしら」

ディーバ・ルのヒップが、ぐるぐるっと、軽く8の字を描くように円運動した。

きつく締まった膣内では、たっぷりの粘液に覆われた無数のヒダや細かな柔突起が彼のペニス一面に絡みつき、蠕動を繰り返して、休む事なく貪欲に責めたてていた。
じっとしているだけでも強烈な快感をもたらすディーバ・ルの膣。
そのためにカイトはなるべく動きを無くすべく堪えていたのだが、ディーバ・ルが自ら腰を振ったために、いやでもカイトの肉棒は上下左右からモロに膣壁に擦られ、にゅるにゅると刺激されまくる事となった。

「アーーーーーーーーー~~~~~ァァァァァァ!!!」

カイトは、ビクビクと全身を引きつらせながら、盛大に三度目の精を放出した。

「ね?これを続けさせたら、命の保証はできないわよ」

しばし放心状態に陥ったカイトを見下ろしたディーバ・ルはそう言って、ふん、と嘲るように鼻を鳴らした。


下腹部が熱く、ジンジンとした妙な痺れに支配されてきた。早くも毒が回ったのか。
一度は観念したつもりのハムサンも、これからどうなるか想像もつかない不安に、ただ怖れおののいていた。
友の悲鳴を聴きながら、どうすることもできない自分を呪った。

この毒で、俺は死ぬのか?
ハムサンは思った。
どんな毒なのか、それがはっきりしない。
ナイルスネイルが復讐の手段として選んだものだ・・・・
苦悶しつつ死に至るという、細胞組織そのものを破壊していくタイプの毒か?
しかし、今となってはむしろ、痛みはまるで感じない。
すると、神経を侵し、呼吸困難や心臓麻痺を引き起こすというタイプの毒なのか・・・
軍の教官に教えこまれた戦闘の為の毒の知識が、ハムサンの脳裏に皮肉な形で甦ってきていた。

ディーバ・ルが、ハムサンに向き直って言った。

「お前の仲間はいい声を聴かせてくれたよ。お前にはもっと素敵に唄ってもらうからねぇ」

「へッ・・・・知るかい。どうせ俺はもう、くたばるだけなんだろ。
畜生、得物にさえ手が届けば・・・・・もう一度ぶち込んでやりてえぜ、キサマのドテッ腹によ!」

ハムサンは、遠くの床に落ちたショットガンに向かって手を伸ばし、身悶えた。

「こっのクソ化け物がっ、はなせ、はなしやがれっ!コケにしやがって!殺るならひとおもいに殺れぇっ!」

「そう。お前は死ぬのよ・・。
ただし誤解しているようだから教えておいてやる。
もう一度言う。私は化け物じゃない、ディーバ・ルだ。
このディーバ・ルの手にかかって死ぬ事を誇りに思うがいい。
そうとも、お前の願い通り、毒がお前を殺す前に、私が直接、息の根を止めてあげるわ。
最初からお前の死に様は、狂い死にって決めてあるんだから!」

ディーバ・ルはいたずらっぽく二ッと笑うと、アカンベーをするように舌を出してみせた。
そしてその桃色の舌で、胸の谷間から顔をのぞかせたままになっていたハムサンの亀頭を、ペロリとひと舐めした。


黙って顔をしかめているハムサンを見て、ディーバ・ルの舌がもう一度、テロテロと亀頭をねぶった。

「う・・」

ハムサンは低くうめいた。

「な・・・なんだ、この感じ!?」

「ふ、ふ、ふ・・」

ディーバ・ルは、ハムサンの動揺した顔を愉しげに見ている。

「ックックッ・・・何て顔」

ハムサンは、何とも複雑な表情でディーバ・ルの目を見返した。

「ほら、もっと気持ち良くしてあげる。刺激をもっと増し加えてあげるわ」

ディーバ・ルは再度、舌をハムサンの亀頭に這わせた。
そして、すぐにスッと舌を引いた。

「どう?」

「う、う・・なんだ・・!これは、毒の効果か・・・!?
貴様、はじめからこれが目的で・・!」

「気づいたみたいねぇ。でもどうしようもないわよ。お前は死ぬの。
そら、もう一撃、くらいなさい?」

ディーバ・ルはそう言ってさらに一舐め、ハムサンのペニスの裏筋へ舌をぬるりと往復させた。

「哀れな人間。もうお前の感覚は二度と、慣れるという事が無い。
味わった刺激は味わった時のまま決して薄れる事無く、ただただ積もり積もって、命尽きるその時までお前を責めさいなむ・・・。
ほぅら、もう一撃よ」

ディーバ・ルの舌が、そろりと亀頭を這う。

「・・・く・・・ぅ」

「ふふ・・・どうかしら。
私の与えた快感の一部始終を、今もそこに感じるでしょう?
どう?無数の幻の舌に舐められ続ける気分は」

「だから・・・・どうした!クソ面白くもねぇ手品だぜ・・!」

「クックックッ・・。いいわその言葉、後でもう一度聞かせて頂戴。
一つだけ教えておいてあげる。
一度でもイったら、お前はおしまいよ」


しばらく活動を止めていたディーバ・ルの乳房が、再びふゆふゆと揺れ動き始めた。
これまでとは異なる、柔らかな乳房の感触を味わわせるようなソフトで緩やかな圧迫が、断続的に繰り返される。
谷間に埋まったハムサンのペニスは、意思とは裏腹に、限界にまで硬く膨れあがっていた。
それが、ハムサンにとっては屈辱であり、恐怖でもあった。

「ほうら、こんなに大きくしちゃって。
私が憎いんでしょう?でもダメね。
この私にかかれば、結局こうなっちゃうの」

「く・・そ・・・・!」


ぷにゅぅ・・

やわやわと波打つ乳房に呑まれ、ハムサンのペニスは再び完全に谷間の奥へと埋もれてしまった。
ハムサンのいきり立った大きめの一物も、ディーバ・ルの乳房の圧倒的なボリュームの前には、子供のそれ同然だった。

ぷにゅう、ぷにゅぅぅぅ・・・

ペニスは、マシュマロより柔らかく弾力のある乳肉に四方八方からピッチリと包み込まれていた。
カイトを捕らえている膣とはまた一味違う独特の動きで、乳房はハムサンのペニスを強烈に刺激していた。

「う・・・く・・・!」

「ックックッ・・。どんなに耐えてもあがいても、もうその快感から逃げられはしないよ。
あとは加速度的に刺激が増していくだけ・・。
私の編み出した、一番残酷な処刑法よ。お前にはこれがふさわしいわ・・」

ぷにゃっ、ぷにゅぷにゅ・・・

「あっあ、やめろっ!くそぉっ!あふ、やめろッ!やめろぉーッ」

「ほうらほうら、さっきまでの威勢はどうしたのかしら」

「あーっ、ぐっあ、ぐ・・ぞ・・!ぐぐぐゥ・・・ウ・・!!」

「どう?私のおっぱい、大っきいでしょ、柔らかいでしょ、気持ちいいでしょ?
これに包まれて、平気でいられた人間なんて、一人もいないの。
舌でねぶり回す感触だって、いまだに感じられるでしょう?
ほおら、もう止められない。イくしかないのよ」

ふにゅ、ぷにゅぅ・・ぷにゅぷにゅぅ・・・

豊満な乳肉による、あまりにも柔らかな圧迫。めくるめくその感触。
ヴァギナに勝るとも劣らない"性器"としての乳房に、怒張した肉棒をあの手この手で執拗に責めたてられ、ハムサンは絶頂の淵へと追いつめられつつあった。

彼はついに、無意識の内にか、自ら腰を動かし始めていた。

「ち、ちくしょおぉーーーーっ!!」


どぴゅうっっ!!!!

悔しげに一声叫んだハムサンは、身をよじりながら思いきり射精していた。
それだけは阻止しようと歯をくいしばって必死に堪えたハムサンだったが、到底、意思の力で押しとどめきれるものではなかった。
精液はかなりの勢いで発射されたが、ディーバ・ルのあまりにも豊かな乳房はそれを外に漏らすことなく、全てを谷間深くに閉じ込めていた。

しかし、一旦射精したにも関わらず、ハムサンの腰の動きはまだ止まらない。
ハムサンは目を丸くして、奇声を発した。

「は、う、わぁっ!?こ、れ、は・・!?あ、が、がぁ!」

「イったらお前はおしまいになるって言っておいたでしょう。
どうかしら?イク瞬間の快感が、消えずに永遠に続く気分は・・・ックックッ。
さぁ、これからが、本当のお仕置き・・」


にゅるるぅぅ・・・!

精液でぬらぬらと滑るようになったディーバ・ルの柔肌が、再びハムサンの亀頭をぴったりとくるみこみ、密着して刺激を加えてきた。
しかも今度は、射精したばかりで敏感になっているところへである。

にゅるにゅる・・ぬるぅ・・・!

「ごはぁっ!!」

ハムサンは、びくびくと肩を痙攣させながらのけぞった。

「ぐっぞぉーッ!うううっ、うぅーっああ!!」

「もっと、強烈にイかせてあげる・・・。死んでよ」

ディーバ・ルの言葉と共に、ペニスを包み込んだ乳肉が蠕動し、亀頭をまた谷間の上へと押し出した。
柔らかな大地を割って芽吹いたつくしのような亀頭を、ディーバ・ルの唇が、にゅぷっ!ときつく咥えこんだ。

「や、め、ろォォォオオオオオオオ!!」

耳に刺さるハムサンの絶叫を涼しい顔で聞き流すと、お返しとばかりにディーバ・ルは、

ニュプッ!ニュプッ!ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ、くちゅくちゅくちゅ・・・!

小さな唇で強くペニスを締め付けしごきながら、敏感になっている亀頭に舌を当ててぐるぐると回転させた。

「あひいぃーーー!!!ひいっイイィーーーーッ!!!!」

下半身をガッチリと押さえつけられているハムサンは、上半身を床に打ちつけるようにして転げ回った。


ちゃぷっ!

ディーバ・ルの唇が淫らな音をたてて亀頭から離れた。
乳房が揺れ動いて、再び亀頭を完全に呑みこんだ。
その直後、


ドピュッ!ドクッドクッ!

乳房に閉じ込められたハムサンの亀頭が大量の精液を放出した。

「うわァ、わああぁぁぁぁーッ!!いッぎゃぁぁはあああーーーーー!!!!」

ハムサンは絶叫した。
しかしディーバ・ルは情け容赦無く、ぬるぬるの乳肉を激しく上下にすり合わせ続けた。

・・・にゅるにゅるんちゅ・・・にゅるにゅるにゅるん・・・にゅるっぷりゅっ・・にゅるっちゅ・・・

ハムサンは半狂乱になって叫びまくった。

「ひいぃっ!あっ!あひひいいいいぃ!!もういやっ、やーっ!やめ、やめでぐれぇぇっぇぇ」

「ダメ。さ、もう一度イくの」

・・ぷにゅんちゅ、にゅるうぅっるぅ・・・ぷゅんっ


ドピュッ、ピュピュゥーーーゥッ!

ディーバ・ルの声に導かれるように新たな精液が噴出させられ、射精の強烈な快感が更にまた、それまで積もり積もった刺激に上乗せされた。
しかもその度に、放出した精液のせいで、刺激的なぬめりもいっそう増していくのだ。
ディーバ・ルはその為に、肌からの吸収をわざと無くして、精液がペニスの周りに溜まるようにしていた。
彼女の先の言葉通り、消えない快感が無限に増幅されてゆく、これは実に残酷な処刑法であった。


「ハ・・・ム・・サ・・ン・・・・!」

カイトは、突っ張ったハムサンの両足の震えと叫び声から、ナイルスネイルのおそるべき性技がハムサンを死の淵に追いやりつつある事を悟ったが、どうしようもなかった。
カイト自身、もはや余力は残されていなかった。
少しでも起きあがろうとすると、ディーバ・ルは先手を打って腰をグラインドさせ、ペニスのあらゆる場所を、ぬるぬると絡みつくヒダや柔突起の密生した膣壁で嬲りまくるのだ。
カイトがのけぞって床に倒れ、たまらず射精するまで、そのグラインドは容赦無く続くのだった。


「あっひィ!!ヒ・・・ィィ!ヒィィーーッ」

・・・ぷゅにゅん・・にゅうるにゅるる、にゅるるん、にゅるっ!ぷにゅぅっ・・

「やめでッやめでェッ、だずげでぐだざぁぁっィ、やめ、やーーッ!!やめでェーーーッ!!」

ハムサンは、あまりの快感に、のたうち回った。

「ふん。止めて欲しいの?そう・・・ふふふ」

「ううーッうッ、も、もう、やめっ、やッ、うふぅっ」

「ダメよ」

・・・ぷるん、にゅぅぅる、にゅぅぅぅるるるう!

「はぎゃぁああぁぁああぅふ!!!!あぎゃ!はぐっ、ぐぷぷ・・」

息を詰まらせ、痙攣しながら悶えるハムサン。

ディーバ・ルはその様子を、ほのかに頬を上気させてうっとりと眺めていた。


・・・ぷにゅにゅ、ふにゅにゅ、ぷにゅにゅ、ふにゅにゅ・・・

「ぐぷっ・・うぐふーっ、ふぁっぁっ、あっ、ああんっあああーっ!!」

・・・ぷにゅる、ふにゅ!ぷにゅる、ふにゅ!ぷ、にゅぅ・・・

「あっあっぐぅ!!あーっ!!ふっ、ぁぁあン、アッ!ぁぁぁぁあああぁァアアア!!!!」

・・・にゅぅるるっ、ぷゅん、にゅるにゅるにゅるにゅる!


ドピュッ、ピュルルッ、ピューーーーーー!

「はひィィーィーッ!!!アヒぃいゃやいいイイッ!!ひぎぁぁあゃああぁぃぃいひいぃィイイイイ!!!!!」

もはや快楽の喘ぎというよりは断末魔に近いハムサンの痛切な悲鳴に耳を澄ませていたディーバ・ルは、目を細め、うっとりとして言った。

「あぁん・・なんて良い声。生命のまたたきを感じるわ。もっと聴かせて・・・ほら、聴かせるのよ」

・・ぷるん・・っぷるん・・・にゅるるるるる・・・にゅぅるる・・プニュゥニュニュゥッ・・・

「ナブラマージャのペット、お前もだよ?・・聴かせなさい、素敵なレクイエムを」

ディーバ・ルは、ダンスのように優雅に腰を振った。
膣とペニスがきつく擦れ合い、溢れた粘液が淫らな音を立てた。

くちゅくちゅぅくちゅくちゅぅ・・・

ひとたまりもなく、カイトは絶叫のようなよがり声を上げた。

「は!ああはあああっ!!ァァアアアア!!!」

たちまちカイトは、もう何度目かわからない絶頂に達し、白濁液をディーバ・ルの熱い膣内にぶちまけた。


ハムサンは、もはや声も無い状態で、顔を真っ赤に染めて悶え狂っていた。
決して消退しない、感じた時のままの強烈さで永遠に続く性感。果てしなくどんどんと増し加えられてゆく刺激。
数度の射精を経て途方もなく積み重なり膨れ上がったその快感は、既に人の耐えられる限度を超えていた。
しかしディーバ・ルの魔性の乳房は、なおも容赦無くぷにゅぷにゅとペニスを柔らかにくるみこんで責めたて続けていた。

肺の中の空気を搾り出すように、ハムサンの喉が震えた。

「・・・あひぅ・・・ぐぎひぎ・・・ぃ・・・・ぃ!!」


ぴゅ・・・

ハムサンのペニスが、さすがに量の減った精液を発射した。
と同時に、涙でぐしゃぐしゃになった真っ赤な顔から、鼻血が噴き出し始めた。

ドクドクドク・・

おびただしい量だった。

・・・にゅうるにゅるる、にゅるるん、にゅるっ!にゅぅっ!

水のように揺れる柔らかな乳房は、なおも官能的にその身をくねらせ続けている。
ハムサンは床に上体を静かに横たえたまま、鼻血を出し続けた。


「ぶぁ」

一言、意味の無い言葉を残して、ハムサンの顔がガクッと力無く横を向いた。


ぷりん・・

ディーバ・ルの乳房が、ハムサンの股間を離れた。


ドサ、ドサッ!

ハムサンの両足が、床の上に投げ出された。
全身の力を失くして横たわるハムサンの肉体、その中で唯一股間のペニスだけが、ビクビクと脈動を繰り返していた。
やがて、見る間に睾丸がきゅうっと収縮し、


ぴゅっ!

もはや何も触れてはいないむきだしの男根が、水じみた薄い精液を少量、放出した。

二、三度同じように射精を繰り返した後、ペニスの脈動も徐々に弱まっていき、ハムサンはそれきり二度と動くことはなかった。

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サークルSBD 2012/07/26 23:30

『さよなら人類』 第五話 前編

第五話前編 :SBD・著



「カイト・・・! カイト・・・!」


穴ぐらの中で座りこみ、うなだれるように一人うとうととしていたカイトは、何者かの呼ぶ声に気付いて振り返った。

「カイト無事か!?無事なんだな!」

「ハムサン、お・・おまえなのか・・!?」


入口の扉が、いつのまにか開かれていた。
その向こうから聞こえる懐かしい仲間の声に、カイトは思わず弾かれるように立ち上がっていた。
「ハムサン、こんなところで何してるんだ!死にたいのか!」

「馬鹿野郎!そいつはこっちのセリフだ!いいからさっさと来いっ!!」

そう言ってハムサンはカイトの腕を掴み、穴ぐらから引きずり出した。


ショットガンを構えたハムサンは、素っ裸で無防備なカイトを先導しつつ、生き物の体内めいた複雑に入り組んだ回廊を慎重に進んでいった。

「あの後・・・・あのナイルスネイルとお前の後を、こっそり尾けてみたのさ・・・」

ハムサンは、緊張した面持ちで辺りをうかがいながら、低い声で言った。

「すまん、カイト・・・。
お前があそこに閉じ込められているのがわかっていてみすみす、今の今まで手が出せなかった」

「わかってるさ・・。おまえは最高の相棒だ」

カイトは、目頭に熱いものを感じながら、同じように声を低めて言った。
ハムサンは、鋭い目つきのまま唇の端だけをきゅっと歪め、無理に笑顔をつくって言った。

「へへ・・・。だろ?」


二人は、曲がりくねって奇妙なでこぼこのある、洞窟というよりは虫の腹じみた通路を、暗がりから暗がり、物陰から物陰へと移動しつつ、ハムサンが侵入してきた外界への出口へと、着実に歩を進めていた。

「儀式の日・・・・連中は、そう言っていた。ちょうど今がその儀式とやらの真っ最中なんだろう。今のうちさ・・・」

「・・儀式?・・そういえば、ナプラマージャもそんなようなことを・・・・。なるほど・・・」

ナプラマージャという聞きなれない語に、ハムサンは一瞬首をかしげる仕草をしたが、また口の端をきゅっと歪めるようにして言った。

「それにしてもあのナイルスネイルは、妙な奴だったな・・」

ハムサンは、低い声で続けた。

「お前をここに連れ去った奴さ。
奴がお前の腹を殴ったあの時・・・俺はてっきり、お前は殺られたとばかり思ったが、違った。
あのナイルスネイルが、それからお前に何をしたと思う?カイト」

「・・・・ナプラマージャが・・俺が気絶している間・・・に・・・・?」

「奴は、お前にまずキスをして・・・とびきりのお熱いやつをな。
脅えながら見てた俺までもとろけそうになるような、濃厚なのをさ」

「な、な・・」

「それから、キスする場所が、だんだん下にさがっていった・・ 首から胸、胸から腹、それから腹の下、股間・・・・」

「・・・・」

「いくらも経たないうち、すぐにお前はぶちまけちまった。だが無理もないさ。気を失ってるとはいえ、あんな濃厚なのをくらっちゃあな・・。
ナイルスネイルは、飛び散ったお前のあれをきれいに舐め取った。あいつは笑っていた・・・・ううっ・・あの微笑みときたら!」

「・・・ハムサン、おまえ・・」

「頭から離れない・・・畜生・・・・・ 俺は・・・・・・・ちくしょう・・」

ハムサンは、指から血の気が失せて真っ白になるほど、ショットガンの銃身を固く握りしめていた。
その顔に何ともいえない苦悶と迷いの表情が浮かんでいるのを、カイトは見た。

「そうはいかない・・・・フッフッ、そうはいくもんか。
そうそう簡単にナイルスネイルどもに踊らされる俺かよ、なあカイト?
心までは絶対に屈しない。
・・・証拠が見たいか、カイト・・・?」


ハムサンが手招きした方へ歩み寄ったカイトは、墓穴のような凹みの底に横たわる女体を見て、ギクリとして立ちすくんだ。
窪地になった床の、赤黒い血だまりの中に倒れ伏している大柄な女性。
身につけている装身具は、たしかに地球人のものではない。ナイルスネイルだ。
しかしカイトは、何ともいわく言い難い気分の悪さを感じていた。

「ハムサン、こ、これは・・・・!?」

「仕留めてやったのさ」

ハムサンはショットガンを構えて言った。

「至近距離から心臓の辺りにありったけぶち込んでやった・・悲鳴も上げずに即死したぜ」

ナイルスネイルはうつぶせになっていたので弾痕は見えなかったが、凹みに溜まった大量の血が、彼女の受けた傷の深さを雄弁に物語っていた。
ナイルスネイルの血も赤いのか・・・と、カイトは一瞬、不思議な感傷にとらわれた。

「まあ、ラッキーだったってこともあるか・・・・
こいつはマヌケなヤツで、ショットガンが胸に押し当てられるまで、てんでボーっとしていて、俺に全然気付きもしなかったのさ。
ちょうど、ばかでっかい乳がサイレンサーがわりにもなったしな。
・・・・柔らけームネ、しやがって・・・・化け物のくせに・・・!」

ハムサンがそう言ってショットガンの銃口でナイルスネイルの後頭部を小突いた、その時だった。


バシッ・・!

打撃音と共に、ショットガンがハムサンの手を離れて宙を舞い、床に落ちた。
カイトの目には、その一部始終がスローモーションのように映っていた。


ゆらり・・・

ショットガンをなぎ払った腕を凹みの縁にかけ体重を支えると、赤い雫を滴らせながら、ナイルスネイルの上体が、ゆっくりと血だまりの中から起きあがった。

「ふぅぅぅ・・・・・」

ナイルスネイルは溜息をつくように、大きく物憂げな呼吸を繰り返した。
上目遣いにハムサンを睨んだ目が、ニヤリと笑った。

後退りしようとして足がもつれ、ハムサンは床に尻餅をついた。

「うそだろ・・」

ハムサンは目を剥き、口がOの字になっていた。

「死んだはずだ・・・胸に大穴開けてやったはず・・!」

「ふ、ふ・・・どこに?」

立ちあがったナイルスネイルはこれ見よがしに、ふっくらとまるい乳房を強調して言った。
確かに、胸部の装身具や布がメチャメチャに裂けてはいたが、その破れの向こうに見える薄い褐色の肌は、傷どころかシミ一つ見当たらなかった。


ピシャッ!

血だまりから引き上げられたナイルスネイルの足が、乾いた床の上で濡れた音を立てた。
鮮血にまみれてもなお美しいナイルスネイルの端正な足。
その時、カイトは見た。
生々しい血の赤が、その足にすぅっと染み込んで消えていくのを。

全身の肌からダイレクトに液体を吸収する、その能力。
いちいち物を咀嚼し消化する事で、やっと幾ばくかの栄養を吸収する事ができるようになる人間などとは、わけが違う。
エネルギー変換効率のみに着目してみても、圧倒的に優れているはず。
それがナイルスネイルの脅威的な運動能力、そしてカイトらが今回目のあたりにした恐るべき治癒能力を生み出しているのだ。

「ば、化け物・・・」

「口に気をつけなさい、ナプラマージャのペット」

ナイルスネイルは耳もいいらしい。
カイトのつぶやきを聞きとがめた彼女は、目を細めて言った。

「命ある限り覚えておくがいい。私は誇り高きナイルスネイルのディーバ・ル。
お前達人間の言葉で、豊穣なる者という意味よ!」

ディーバ・ルはそう言うなり、未だ申し訳程度に胸を覆っていた布の残骸を破り捨てた。
透き通るように美しい柔肌の、二つのふくらみが露わになった。

「ち・・」

カイトは我知らず、間の抜けた声を出していた。
血と言ったわけではない。ディーバ・ルの肌の上にはもはや、一片の血痕も見当たらなかった。
彼が思わず声を漏らしてしまったのは、彼女の乳首を目にした衝撃からだった。
本能を刺激する薄桃色をした花の蕾のようなそれは、全く地球人の女と変わりが無かった。
本当に、敵なのか?こんなにも美しいのに。
カイトの脳裏をそんな、訳のわからない口惜しさのような思いがよぎった。

半裸のディーバ・ルが、まぶしい程の愛らしい微笑みを浮かべ、両手を差し伸べて歩み寄ってくる。
まるで、愛しい男と再会した娘のように。
可憐にして妖艶としか言いようのないその迫力に、二人の男は一瞬、恐怖も何も忘れてただただそれを見つめている事しかできなかった。


「さぁ、お前。つかまえた。つかまえたよ」

ディーバ・ルは、地面に尻餅をついたままのハムサンを抱きしめ、のしかかるようにして地面に押し倒すと、優しくささやいた。

「お前だけは・・・さあ、どうしてやろうかしら。
人間ごときが、よくも儀式の邪魔をしてくれたわ。
おかげで私は、もう絶対に次期シ・ケーニョにはなれない。
種族全体とリンクする精神和合の儀式に乱れを生じさせた私が、選ばれることはもうないのよ・・」

微笑んだ顔のまま、ディーバ・ルの目がきりきりと、糸のように細められた。

「ナプラマージャ・・・これできっとあなたがシ・ケーニョに・・・」

「カイト!!逃げろ!逃げるんだぁぁっ」

呪縛から解けたように我に返ったハムサンは、カイトの方を向いて叫んだ。
その声に弾かれたように、カイトは脱兎のごとく走り出した。

「振り向くな、走れぇぇっ!!」

ふり絞るような叫びを背中に聞き、カイトの脳裏に、ハムサンとの訓練の日々がよぎった。
悪い冗談の好きだったあいつ。勇敢だったあいつ。死を賭して、救援に来てくれたあいつ・・・・・

カイトは足を止め、後ろを振り返ってしまった。


ひゅっ!

風のうなりのような音が聴こえたかと思うと、次の瞬間、カイトは地面に突き倒されていた。
胸を強く打って、肺に空気が入っていかない。
苦しみに見開かれたカイトの目に映ったのは、奇妙な動物だった。
二本の脚の上に乗った歪んだ胴体からは、ばたばたとねじれ動く腕が何本も生え・・・・

いや、違う。
よく見れば、ベアハッグの体勢でハムサンを抱え上げたディーバ・ルがそこに立っていたのだった。
ただ、両者の体があまりにぴったり密着していたのと、ハムサンの頭が見当たらなかったために、一個の生き物のように錯覚したのだ。
ハムサンの首から上は、ディーバ・ルの大きな二つの乳房の間にはさまれ、完全に埋まってしまっていた。
ハムサンは両手両足で何とかディーバ・ルを引き剥がそうと暴れるが、圧倒的な力の差の前になすすべもない。
そして、どんどんと息が詰まってきているのだろう、暴れ方が無茶になっているのがカイトには見て取れた。
そんな事には一向にお構いなしといった顔で、ディーバ・ルは、カイトを見下ろして言った。

「逃げられるとでも思ったのかしら?・・まあいい。今は殺さないでおくわ。
いずれ、ナプラマージャにもまた会わせてやる。その時まではね・・・・・」

ディーバ・ルはハムサンを抱えたまま、くるっとカイトに背を向けた。
不安と安堵が入り混じった表情でカイトが息をついたその時、彼の胸の上に、ディーバ・ルの尻が落ちてきた。

ボム!!

奇妙な柔らかさを持つこの建造物の床の構造とディーバ・ルの豊満な尻の脂肪でいくぶん衝撃が吸収されたとはいえ、カイトは再び、今度はもっと手酷く肺にダメージを受け、深刻な呼吸困難に見舞われていた。
二人ぶんの体重にモロにのしかかられたのだ。むしろ、肋骨が折れなかっただけ幸いだったとも言える。
ディーバ・ルはさらに、いったん尻を上げると、仰向けのカイトの股の上へと、優しく腰を下ろした。

ムニゥ・・ムニムニ・・

ディーバ・ルの尻肉は、波打つように動きながらカイトのペニスに吸いつき、尻割れの間にそれを運び、挟み込んだ。
ナイルスネイルだからできる、地球人には不可能な動きだった。
その動きの延長で、尻に挟みこまれたカイトのペニスは、ゆっくりと搾られ始めた。
えもいわれぬ尻の感触に裸の股間を刺激され、苦悶の中にあってなお堪らない快感に、カイトは声無き声を上げて身悶えた。

カイトの反応を見て満足げに微笑んだディーバ・ルは、ベアハッグを解いてハムサンの顔を胸の谷間から出してやった。

「ゲホ!ゲーホッ!ゲホッゲホ・・・」

ハムサンは、ゼイゼイと喉を鳴らし、咳き込むように息を吸い込んだ。
愉悦の眼差しでそれを見ていたディーバ・ルは、笑って言った。

「あらあら大丈夫?あっけなく殺しちゃうところだったわねぇ。
ダメよ。お前だけはね・・・楽はさせてやらない」

ディーバ・ルは、ハムサンの肩を捕まえていた手を彼の腰へ回すと、履いていた軍用の迷彩パンツを引きちぎれんばかりに引っ張り、力任せに脱がせてしまった。
突然の事にハムサンの上体はあっけなくひっくり返り、床に叩きつけられた。
すかさずディーバ・ルの腕がハムサンの両の太腿に絡み付き、自分の胴体をその間に挟ませる格好になるよう、彼の腰をさらに引き寄せた。
むき出しになったハムサンの股間を自分の胸にピッタリと引き寄せたディーバ・ルは、身をよじると、豊かな乳肉を全てハムサンの腰の上へと乗せた。

ハムサンはまるで彼女のテーブル代わりだった。
そしてカイトはまるで、彼女の椅子だ。
ディーバ・ルの尻はなおも淫らに波打ち、カイトの精を搾ろうとうごめいていた。

「う・・・お・・おお」

ようやく声の出るようになったカイトはうめいて、何とか起き上がろうとした。
目の前に、ハムサンの両足が突き出されていた。

「ハ・・ムサ・・ン、無・・事・・か!?」

「黙れ。動くな」

振り向いた肩越しにカイトの方を見据えて、ディーバ・ルが警告を発した。

「お前はまだ殺さないと言ったはずだ。私の気が変わらないよう、おとなしくしていることね。口で言ってもダメなら・・・」

ディーバ・ルは、サッと尻を上げた。

バリバリッ!

あっという間にディーバ・ルは、自分の尻から股間にかけてをピッチリと覆っていた布様の装身具を片手で破り捨てた。

露わになった生尻を、すかさず再びカイトの股間に下ろす。


ヌチャ・・!

「ひっ・・・!?」

ぬるりとした熱い粘液の感触に、思わずカイトは息を呑んだ。
愛液だ。ナイルスネイルの、愛液!
カイトはそう直感した。

ディーバ・ルの尻の筋肉が再び動き出し、カイトのペニスを誘導し始めた。
愛液に濡れそぼった、ナイルスネイルの会陰部へ。
それを悟ったカイトは、ハムサンの両足につかまり、必死に体を起こそうとした。
が、

「わ、あぅ!!」

カイトの上体は、もんどりうって再び床に叩きつけられた。
ディーバ・ルの陰唇が彼の亀頭を捕らえ、呑み込みはじめたのだった。
それを見てディーバ・ルは、くすくすと笑っていた。

「ほら、そんなに反抗したいのなら、してみなさいよ。・・どうしたの?私だって感じるのよ。
お前も戦士なら、もっと突いて、私をめちゃめちゃに乱れさせてみればいい。
仲間を、助けたいんでしょう?助かりたいんでしょう・・・?」

「あぅ、あぅ!あぅ!」

カイトは、脳が蕩けるような熱い快楽のうねりに翻弄され、全身を突っ張らせてがくがくと震えるだけだった。


ゴツッ!!

鈍い音がした。
カイトの方に目をそらしていたディーバ・ルの頭を掴んでの、ハムサンの頭突きが決まったのだ。

「うおお!!」

よろけたディーバ・ルにもう一撃叩き込もうと、すかさず頭突きを繰り出すハムサン。
しかしもともと無理のある体勢だったため、スッと首を後ろに引かれ、今度は簡単にかわされてしまった。

ディーバ・ルの顔から微笑みが消えた。
代りに、凄艶とでも呼べばよいのだろうか、名状しがたい雌の表情がそこに浮かんだ。

「ち・・く・・しょぉおおお!!」

ハムサンは、破れかぶれの拳骨を振りかざした。
鼻っ柱を狙ったつもりだったがまたもかわされ、拳は結局、ディーバ・ルの巨大な乳房の上に深々とめり込んで止まった。


「・・・お前、なかなか面白いわね。
いいわ。さあ、それじゃご褒美の時間。
素敵なお仕置きをプレゼントしてあげようかしら?」

「な・・・あ!?く・・!あ・・!」

ハムサンは、自分のペニスが突然、強大な圧力で締め上げられ始めたのを感じた。
しかしディーバ・ルの両腕は依然として、彼の太腿を脇に抱え込んだままだ。手ではない。

「む、ムネ・・だと!?」

ハムサンは見た。
ディーバ・ルの二つの胸のふくらみが、まるで別の生き物のように自ら波打ち、妖しくうごめいているのを。
ハムサンの肉棒を両側から挟み込んで万力のごとく締め上げていたのは、彼女の巨大な乳房に他ならなかった。
総じて大柄な事や耳の形が多少尖っているのを除けば、見かけ、体つきはまるで地球人と変わり無く、妙齢の娘そのもの。
しかし、やはり異星人なのだ。ハムサンはそれを改めて思い知らされた。

睾丸を潰されそうなまでに圧搾され、痛みと恐怖に脂汗を流しながらも、ハムサンはぎらりとディーバ・ルを睨みつけ、言い放った。

「ぐ・・・く・・・貴様・・・俺を殺しても、人類は・・死なない・・!
いつの日か・・・貴様らナイルスネイルを打ち滅ぼす方法が・・・必ず・・!!
その日が来るのを・・・地獄で笑いながら待っているぜ・・・・貴様らの最期を・・!」

口の端をきゅっと歪めて無理に笑顔を作ると、ハムサンは静かに頭を垂れ目を閉じた。


「・・・・本当に面白い人間ね。でも、ちょっと大袈裟じゃない?
うふふふふ。アハハハハハ!
だって・・・私のお仕置きはまだ、始まってさえもいないのにね?」

ディーバ・ルがそう言ってハムサンの股間に顔を近づけると、乳房がふるふると動き、谷間からハムサンのペニスの先端が顔を出した。
乳肉が緩み、ペニスにかかっていた圧力が、マッサージのような優しく揉みしごく動きに変化した。



続く

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サークルSBD 2012/07/23 23:30

『さよなら人類』 第四話

第四話:レミングス・著/挿絵



チリトがムキになったおかげで、カイトの命は逆に救われた。すっかり衰弱しきったせいで暫くの間検査の対象から外されたのだ。もちろん後ろにはナプラマージャの指示もあった。
しかしおけげで、カイトは重体のフリを続けて、充分な体力の回復を待つことができたのだ。


「あの人間は死ななかったんだって?」

薄暗い洞窟に似た部屋の中で、不満げな声が浮かんだ。
ゴツゴツした壁面の一部が赤色に光り、血を水に薄めたようなぼやっとした光に包まれていた。
ディーバ・ルは壁から伸びた血管のような管を持ち、ラッパ状になった先端に話しかけた。

「でも死ななくて助かったのは君もでしょチリト?
ナプラマージャの奇妙なこだわりを君だって知ってるはずでしょ?」

うつぶせのディーバ・ルのヒップが、弱い光の中で揺れた。
片手で管を握ったまま、もう片方で前髪を掻き分ける仕草をした。その時ジャンボサイズの胸に半身の体重がのしかかった。
その途端、薄赤い光が床を照らす中で、ディーバ・ルの影になった部分に 苦しそうに荒げる息が聞こえる。

「ふー、」

ディーバ・ルの自慢のバストの隙間から、大岩をこじあけるかのように、筋肉の震える指が這いでた。そして若干間を置いて、少しの隙間から、人間の髪の毛が覗いた。


「ふー、ふー、」
地底から響くような呼吸に気付き、ディーバ・ルは片肘をついて体重を緩めたが、その顔に押し潰した者を思う影は少しもなかった。

「ところであの人間を捕獲した南東エリアに、まだ人間のコミュニティが残ってる話は聞いた?このところ収穫が少ないチリトなら聞き逃せない話だと思うけど?」

管の向こうから喜々とした声が聞こえる。
「あたし?あたしは別にいいよ。あなたとは違うも・・の。」
一息つくような声だった。ディーバ・ルの腰が左右に軽く振られた。

「ぅ・・」

つまるような声。
下敷きになっていた男のぺニスはディーバ・ルの太腿の間にあり、
今の動きで、腿の摩擦を受けたペニスが呼応したのだ。

ムッッチリとした怠惰な感触が続く。

「ぅ・・ぅぅ・・」
ビュビュ・・・

ディーバ・ルの腰が左右した時、部屋の明かりが太腿に反射した。そしてその光が伸長するように白い液が跳ね上がり、周りの太腿や尻に降り掛かると、潮が引くように吸い込まれていった。
ディーバ・ルは、ほんのつまみ食いをしたあと、男の顔をジッと不思議そうに覗き込み、

「・・・・どう?人間君?
私とお友達になれそう?

私?

私はあなたを見てるととってもつらい、
だって食べるの我慢しなきゃならないもの…」
舌舐めずりをしながら男に話し掛けた。
そしてすぐに醒めた表情になり、

「・・・・フン、まじに人間を飼うなんて、そんな奴の神経がわからないわ。こうして食事をする時さえ自分を随分諫めてるっていうのに、意味なく側に置いておくなんて到底私には耐えられない!」


男を飲み込むような胸を少しズラし、今の言葉に恐々とする男の顔を見て、クスっと笑う。

「でも大丈夫よ、人間は一度に搾るよりじょじょに搾った方が出る量が多い事は知ってるの、・・・うーん、でもいっぺん一度に搾ってみようか?」
悪戯っぽく笑い、首を横に振る男の表情を楽しむ。

管の向こうからはチリトの声が返事をしないディーバ・ルを探す。
ディーバ・ルの笑顔は嫌がる相手を見て楽しむ物から次第に好奇心の目に変わっていった。
「そう言えばあたし、もう何年も本気を出したことなかったわ。」
ディーバ・ルの目の変化に気付いた男の反応は激しくなった。肩から上すべてを振って否定の意志を示した。


ディーバ・ルの瞳の輝き方はかわらなかった。じょじょにバストを男の上に降ろし、盛んに暴れる首を制した。周りの弾力に力が分散される事に気付いた男は息をあげて飲み込まれながらディーバ・ルを睨むことしかできない。

「ふーん、怖くていい顔するじゃない、」

男の目はまるで親の仇のような憎悪に満ちていた。
ナイルスネイル達の性技を受けて、本能が砕けるような快感を味わってしまった者の最後の抵抗は、相手を脳の奥から憎むことである。そうすることで快感を紛らわすのだ。

ディーバ・ルはそれも承知しているかのように含み笑いをして男の頬をなぜるようなキスをした。
しかし男は蠅がついたように顔をしかめる。男は自由の利かない体に愛想を尽かすことで返って勇気が沸いたようだ。
男の気持ちを代弁するならば、
「自分は死ぬかもしれない、しかし気持ちでは決して屈しない。どこまでも抵抗してやる!」
憎しみ溢れる瞳が、徹底して目の前の女の愛撫を否定した。


ちょっとしてディーバ・ルは半身を少し上げ、男の顔は少し自由になった。

少し高い所から見下ろすディーバ・ル。あらん限りの憎悪を眼光に乗せてぶつける男。男に心の隙など無かった。
赤く滲む部屋のなかで、曲線に富んだディーバ・ルの体が大きなバストを携えて男の前にそびえ立つ。
しばらくして睨み合いを続けていた男が苦しむような声で呻いた。


やがてディーバ・ルが囁いた。

「フフフ・・どう?ちょと素敵でしょ?」

ナイルスネイルの外観は人間と同じだが機能はまったく違う。人間にはない筋肉が発達しているのだ。

「う・・ぷ、う・・ぷ」

男の口の中に、何かが強引に潜り込もうとしている。男は懸命に口を締めてそれを拒むが、じょじょに歯と歯に隙間ができてくる。

「ぐむむむ・・ぐもおお…!」
「ハハハ、あーん、もう少し、もう少しで私の乳首でお口いっぱいになるわよー♪」

ディーバ・ルが動かしていたのはなんと少し大きめな乳首だった。ピンク色のぷりぷりな乳首が男の顎の力に勝り、その唾液の中に突入した。

「ふもおお!」
「あはははは!」

ディーバ・ルの乳首が男の口の中を逆に舐め回す。柔らかくて弾力ある乳首は口のどんな隙間にも入り込み、丹念に刺激する。

「あっぷああああ!」
「あれ?おやおや…」

ディーバ・ルは溜め息をついてみせた。
男のペニスに再び力が入り始めたのを太腿の間に感じたからだ。

「むあああ!」

メキメキと音を立てて男のペニスはむっちりと締め付ける太腿の間に割り込んでいく。もう男の意思では無い。

「よかったわね?こんなにいっぱい乳首を舐めれて。嬉しいって大喜びじゃない。」

憎むことで悟りを開いたように快楽から逃れたはずだったが、体中を巡る快感のシグナルにもはや心持ちでどうこうできる状態では無かった。

「さっきみたいに睨まないの?」

ディーバ・ルは勝手に自分の太腿で脈を打ちながら、乳首で口を犯される男を、微笑して眺めた。

柔らかいピンク色の塊が唾液に濡れて輝きながら男の口をまさぐる。

「んももお!!」

太腿の締め付けに男の背筋が反り返る。

「あ~ら、素敵だこと。勝手に私の太腿をこじあけて、そのか弱い皮膚が締め付けられるのが
たまらないんでしょ?いいのよ、私にいっぱいちょうだい♪」
「んがうぅぅ!!」

こぼれそうな程に目をひんむいて、男は丸太のような太腿に埋もれた先端から、命の白液を搾り出した。
ビュビュビュビュビュビュ・・

「あー、すごい量ねー。昨日食べ尽くした人間と同じぐらい・・いえ、あなたの方が少ないかも・・。昨日の奴はもっと生きながらミイラに近い顔になってたし。 でも、もっとも表情は気持ちよさそうだったけど。」


人間をどこまでもぞんざいに扱う敵、仲間を思う気持ち、その気持ちが男に火をつけた。

ガブ!!

「!」

男は失いかけていた闘志に火をともし、目の前の憎い乳首に歯を立てた。
ガリガリガリ!!

「キャア!!」

ディーバ・ルは堪らず声をあげた。
「ああ あ!!


いい!

いいわ!!

もっと!もっと!やってぇぇぇぇ!!」



ディーバ・ルの唇から涎がこぼれ、嘲り笑った瞳は、余裕のない恍惚の表情へと変貌した。

ガコォォォ!

凄まじい破壊音が男の脳裏をつんざく。
ディーバ・ルの激情を感じ取った乳首が、その猛烈な押し込みで男の顎を破壊したのだ。


「んが!ゴボォゥォ!」


乳首が這うなどという生易しい物ではなかった。それは男を口から引き裂かんとするほどの勢いだった。

「ああぁぁ!素敵! お前の命は私がもらうからねー!!」

太腿がかつて見た事の無い動き、人間では不可能な振動を始め、男のペニスを下から優しい万力のような矛盾した力で押し上げる。

ムニュゥゥゥ・・・・・・・・
ムニュゥゥゥ・・・・・・・・

男の表情はすでに喜怒哀楽では判別できない物になっていた。
「あはは、・・・わからないでしょ?気持ちいいって言うべきものかどうかも。
無理も無いわ、この星のどんな技術をもってしても表現できない快楽だもの。ところが私の太腿は、こんな涼しい顔でやってのけちゃうの。」

ムニュゥゥゥ・・・・・・・・

ドバ!!!
怪しい光に包まれた小部屋の中で、女が一人伏せっている。
その女の尻の位置から、白い噴水が立ち昇った。

ドバドバドバ・・・・!!!
しばらくその噴水は止まらなかった。
女の体は、落ちてくる雫をキャッチしてその奥に生命エネルギーとして蓄える。
噴出元の男はいるはずなのだが、噴出が始まってから徐々にディーバ・ルの胸の奥に引きずり込まれていった。そしてもう外からは見えない。
ディーバ・ルは完全に噴出が止むまで動かなかったが、やがて止まると同時に立ち上がり、床に張り付いた、小さい人型の干物のような物を拾った。

「・・・・ナプラマージャ、あなたはきっと私の事が嫌いでしょうね、
でも、私もあなたのことが嫌いなの。

シ・ケーニョ様の様子を見る限り、儀式の日は近い・・・
私は負けないわよ・・・・ナプラマージャ・・・・。」

ディーバ・ルは険しい表情で虚空を睨み、儀式の日の事を想像した。
そして手に持っていた人型の干物を口にくわえると、
唇をうごめかして少しずつ口の中に飲み込んでいった。


続く

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サークルSBD 2012/07/20 23:30

『さよなら人類』 第三話

第三話:レミングス・著/挿絵



「ナプラマージャ・・・・」
カイトを送ったナプラマージャの背後から、威厳に満ちた声がかけられた。
「シ・ケーニョ様。」
ナプラマージャはそびえ立つ自分のボスを見上げた。
「わたしはお前の貢物には特に期待しておるよ。」
一礼するナプラマージャ。
「フム、ついさっきまでお前の人間がここにいたようだが・・・」
クンクンと鼻を利かせる。人の匂いがするらしい。
「は、申し訳ありません。たった今部屋に戻したところです。」
表情を変えないナプラマージャ、シ・ケーニョは横目でそれを確認した。
「・・・・・・・お前はなんのために人を集めておるのだ?」
「は、シ・ケーニョ様の溢れる命と支配のためでございます。」
「よろしい・・・。」
シ・ケーニョは薄い笑みを浮かべてナプラマージャのアゴを人差し指ですくった。
「しかしながら、あの人間については申し上げなければならない事があります。」
アゴを向けられながら話を加えた。シ・ケーニョから笑みが消える。
「・・・・・ナプラマージャ・・・よく考えて喋りなさい。」
警告するようにシ・ケーニョは言った。それに構わぬ様子でナプラマージャは続けた。
「は、あの人間は何らかの病原菌に犯されている疑いがあります。」
「・・・・わたしにそのような物の影響があるというのか?」
「わかりません、しかし宇宙にはまだ未確認の宇宙病が存在します。どんな惑星でも用心はすべきかと。」
「で?」
シ・ケーニョは冷たくうながす。
「はい、我々のチームで現在もこの星の菌に関する研究を進めております。より確かな安全を確認するまでは、今少しお待ちください。」
ナプラマージャの表情をじっと伺って、
「フ・・・・、それではその研究とやらを進めるがいい。もっともその研究はいつ終わるか知れない、私もいつまで我慢できるかわからないがな・・・」
最後まで表情を変えなかったナプラマージャを置いて、シ・ケーニョは立ち去った。


巨大な影が消えたころ、再び背後から声がかかる。
「さすがね、ナプラマージャ。」
「覗き見とは趣味がよくないな、ディーバ・ル」

ナプラマージャと比べると少し肌の色が薄く、髪は短いパールブルーのナイルスネイルが、ゴツゴツした壁の陰から現れた。
大きく純粋な瞳の奥には、薄いブルーが光っていた。ナプラマージャより二周りも大きな胸が、歩みに合わせて悩ましく揺れる。

「あなたの行動は一つ一つ興味があるわ、シ・ケーニョ様に従順かと思えばやたら反抗的なところもある。どっちが本当のナプラマージャなのかしら?」
「ちゃかすな、ディーバ・ル。私は忙しいから失礼するぞ。」
「あの人間を食べる気?」
通り過ぎようとしたナプラマージャを遮って聞いた。
「あの人間はシ・ケーニョ様が目をつけられた。病原菌が無いことをハッキリさせたら、シ・ケーニョ様に献上する。」
「フフフフ・・・、あなたってホント嘘が下手ね。」
「なんのことだ。」
「でも、その無骨さが好きよ、あなたのその何事にも動じないお顔が。」
指先でうっすらとナプラマージャの顔を撫ぜる。
「いい加減にしろ、貴様には付き合っていられない。」
「フフフ、随分お気に入りのようね。かわいいペットといったところかしら? かわいそうにシ・ケーニョ様に目をつけられてしまって・・・・・」
「失礼するよ。」
無理やり通過するナプラマージャ。
「あきらめがつくように、シ・ケーニョ様の前に私が食べてあげる。」
どうしてもナプラマージャの気をひきたいようだ。翼をたたむように、バストを両手で挟みながら言った。
「シ・ケーニョ様が相手だと、怒るに怒れないけど私なら躊躇なく怒れるでしょ?」
「・・・・・・」
ディーバ・ルは壁にすりそって、鬱っぽくひたいを付けて上目遣いで挑発した。

あきれた表情でナプラマージャは切り返した。
「・・・私は気狂いに剣は向けない。」
ナプラマージャには再び振り返る気配は無かった。
「・・・・・・・ふん、あなたも器用な人よね。昨日までの食料が今日は愛しい玩具だなんて。」
ナプラマージャを見送るとつまらなそうに腕を後ろで組んで、ディーバ・ルは通路の暗闇に消えて行った。



その日からカイトの地獄と天国をごちゃまぜにしたような日々が始まった。

死を予感したかと思えばほとばしる快感に狂い、そうかと思えば再び死の淵を覗く。

「く・・・狂いそうだ・・・。」
全裸でちぢこまった姿勢で、独り言を呟いた。
カイトは現在部屋を移され、小さな穴ぐらの中に閉じ込められていた。中は暗く、光がささない。
しかし数時間に一度入り口が開き、目の慣れないカイトを少しだけ苦しめる。



この日も、入り口には、ツインテールの女性のシルエットが浮かんでいる。
チリトだ・・・

カイトはここ数日繰り返されてきた○問を振り返り、決して心が折れてしまわないよう、一息のんで強く心を張った。


「毎日毎日、お役目ご苦労だね」
立たない足腰に力を込めて、サメザメとしたまなざしのチリトに精一杯皮肉った。

入り口に仁王立ちのままチリトが応えた。
「私だって好きでやってるんじゃないもん」
「よく言うぜ、人間が美味そうなご馳走にみえるんだろう?ヨダレがでてるぜ?」
そんな挑発をチリトは無視してカイトに寄って来た。太腿から伸びる細く長い足がカイトの目線上に見える。
2、3歩でカイトに辿り着く。

チリトはカイトの病原菌の疑いを調査するために、体液の摂取役を任命されたのだ。
しかしチリトの顔は浮かなかった。

彼女達は人をイカせて命を得る。チリトにとって人をカラカラになるまでイカせることなど造作もないことだったが、先日のナプラマージャの反応から、この人間を勢いに任せて出ガラしにすることは賢くないと考えていた。
「ホントはお前なんてこの手にもう少しだけ力を込めれば骨と皮にしてやれるのにな・・。」

いつものように抵抗するカイトを押し倒して馬乗りになって呟いた。
片手でカイトの両手をガッチリ掴み、片手でカイトのペニスを包んで生めかしい手首の動きを見せていた。

この快楽に素直に従ってはならない。
いつ命を奪われても不思議ではないのだから。
それに、さっきの哀れな男もそうだが、数え切れない人間の命を奪った奴らなのだ。喜びを感じることなど、考えてみれば何と不義であろうか。

下半身に集められるテンポのよい快感。顔つきはまだ少女ではあるが、その手つきはみるだけで男に性的な興奮をもたらす。きっとペニスを握っていなくとも、この手の平の舞を見るだけで勃起してしまうだろう。

「チリトの手って綺麗でしょ?細くてスベスベでしょ?」

漏らしそうな吐息を舌を噛んで我慢した。
苦しそうな顔を、顔の筋肉を無理して普通な表情にしているカイト。

「ハハ、無理してるんだ。ほんとはチリトの手、大好きなんでしょ?近づいてキスしたいでしょ?」
「ね・・・寝言いうなよガキ。ただ近づきたいのは確かだぜ、その鶏肉みたいな手を噛み千切りたいからな。」
ざまあみろ、といった表情をしてやった。体力も気力もないがイタチ屁をしてやった。

「・・・・そう。」
ブルーの瞳が薄目になって、小さな口が笑みに歪んだ。

ニッチュウゥウゥウゥ・・・
ペニスを上からすっぽりとつぼみのように手の平が覆った。そして不自然なほどヌルっとした汗をかき、きつく握り締めた。

「はぁうわ!!」
指と指の間から逃げ場を失った空気が、汗をかきわけて吹き出る音が聞こえる。
チュウウウウゥゥゥ・・・

ば・・・ばけもの・・・
大きく仰け反りながらカイトは恐れた。

「ウソ、気持ちいいの?じゃあこれは?」
その圧迫するヌルヌルしたつぼみは、カイトの物を強引に滑りあがり、チュポンっという音とともにカイトから離れる。離れる際にカリ、亀頭部分に凄まじい快感を受けた。

「・・・・・・・・・・・」
「お?」
カイトは声を漏らさなかった。
(フーン、がんばるじゃん。)
実際には声にならなかっただけな上、立て続けの刺激に腰が動かなくなっていただけなのだ。

ドクドクドクドク・・・
「ああ!?」
チリトは慌てた。反応のないカイトから射精が始まったからだ。
「なーんだ、感じてたんじゃん。ちょっと感心してあげてたのになー。」

噴出す白濁の液体、左右に暴れる男根。それを見つめていたチリトは再び手を差し伸べた。

キュッ
再び窮屈なつぼみにカイトを収めた。
「・・・・!!!!」
ジュルルル・・・
つぼみがカイトの全体を刺激しながら走る。
「・・・・・・・!!!!」

ギュ・・・・ッポンッ!
「んあああ!!!!」
「あ、やっと声が出たね。」
「おめでとーう、おめでとーう、おめでとーう、おめでとーう・・・・♪」」
どういうつもりか、おめでとうと言う度に、カイトのペニスはつぼみに吸われ、ギュッポンッという破裂音のような音で放たれる。

ギュッポンッ・・ギュッポンッ・・・
ギュッポンッ・・・・

「おめでとーうー♪」
ギュッポンッ

動きがランダムになる。チリトの瞳は弱って死んでいく獲物を見守るライオンのように冷たい。
つぼみの運動がカイトの射精のブレーキをはずしている。ついにカイトの体が痙攣を起こした。
「んんー♪大漁である、大漁である。」
噴水のように沸き立つ射精。止まらない。チリトの手も止まらない。
「あはぁー、さいっこう。お前の今の顔、すっごい好きだよ。」
視点が定まらず、ヨダレと涙を噴出しているカイトの表情をウットリと覗いた。

(もう・・死ぬ・・・?)
カイトのかすかな脳細胞が一瞬だけ考えた。
(強がったのがよくなかったか・・・おとなしくしてればよかったのか・・・?)

「あっははははは!そういえばさっきの態度は何だったのかなー? 今のお前見てると、どうしたかったのかサッパリ意味わかんなーい!!」
これ以上ない嘲笑が大きく響いた。




「そこまでだ!!」



絶好調のチリトの手が止まった。
「ナ・・・ナプちゃん。」
入り口が開き、ナプラマージャの姿が見えた。
「チリト、どういうつもりだ?お前は研究を台無しにしたいのか?」
「ご、ごめーん。ちょっとがんばりすぎちゃったー、エヘ。」
笑顔でごまかすチリト。しかし厳しい表情のナプラマージャはごまかせない。
「さっさとサンプルを持っていけ。それだけあれば暫くは十分だ!」
「・・・え? えーー? しばらくってぇ?」
「こいつが回復するまで暫くだ。さっさと行け。」
「んもー、どうしてナプちゃんはコイツの肩を持つわけ?」
「気に入った物は、サンプルだろうと食料だろうと大事にするもんだ。お前に私の趣味をつべこべ言われるいわれはない。 行け!」

納得いかない膨れっ面で立ち上がり、部屋を出るチリト。
カイトはここで助かったことを知り、意識を失った。

嵐が去って小さな部屋は静かになった。
ナプラマージャは腰を下ろしてカイトのペニスを握り、まだまとわりいている精液をきれいに舐め取った。
そして手についた精液を舐めとりながら部屋をでて、入り口を閉めた。


続く

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サークルSBD 2012/07/17 23:30

『さよなら人類』 第二話

第二話:レミングス・著



ナプラマージャ・・・

ナイルスネイルという最も人類が憎むべき敵。その一人が今俺に向かって笑顔で語りかける。どういうつもりなのかわからない・・・。その笑顔には地球をここまで追い込んだ侵略者としての自覚はないようだ。人と人の笑顔のように、優しさと安心を与える笑顔だ。
いや、馬鹿野郎!
お前の家族だってあいつらに殺されたんだろう?しかも今俺の命を握っている敵を、許そうとしてどうする!?

自己紹介を終えたあと、笑顔に見とれた俺はボディーに一発もらい、気がついた時には見たこともない建造物の中にいた。

「・・・ここは・・・」
壁は全体が茶褐色で、虫の腹のようにデコボコしている。天井はとても高く、壁自体が赤く光っている。
「・・・俺はあのナイルスネイルに運ばれてここまで来たようだな。しかし奴らの姿が見えないな。」
カイトは部屋の奥まで見渡してみたが、何もめぼしいものはない。漠然と、そこに空間が広がっていた。

すると、

スー・・・
壁の一部がほとんど音を立てずに開いた。

「!!」
次の瞬間、開いた口から触手のような物が飛び出し、カイトの体にグルグルに絡まった。
「う・・・うわ!」
そしてカイトがそれを振りほどこうという気になったとき、触手はカイトを掴んだまま物凄い勢いで部屋の外にひっぱった。

ビュン!

部屋の外に出てもカイトの移動は終わらない。長い虫腹の通路を、口も利けないくらいのスピードで進む。

ゴウ!

やがて再び別な広い空間に出た。その移動スピードの速さを物語るように、部屋中に抜けるような音が響き渡る。
ポーンッ


わけがわからず、放心状態のまま勢いついて転がるカイト、しかしすぐに彼に声を掛ける者がいた。
「起きろ、そして部屋の正面を見ろ。」
揺れる頭を必死に正常に戻し、目をやるとそこにはさっきのナイルスネイルがいた。彼女は部屋の中心を睨んでいる。
「ナ・・ナプラ・・・ナプラマージャ・・・」
拘束されているわけではないが、逃げることは場所を考えても、能力を考えても無理である。カイトは素直に部屋の正面を向いた。
「げ・・・!!」


デコボコ岩のクレータのような場所の真ん中に、一人のナイルスネイルが座禅をくんでいる。
髪は紫色で長く妖美にうねり、体には見慣れぬ装飾品と文様が書き込まれ、肌はナプラマージャとは違い、全体的に白く、うっすらとパールの輝きを放っているように見える。
なにやら瞑想にふけっているようだが、やがてその険しい表情がとかれ、鋭い眼光がゆっくりと開く。
するとナイルスネイルに共通する怪しい美しさがその女にも溢れた。

「・・し・・・しかし・・・」
カイトが驚きツバを飲み込んだのも無理はない。ナイルスネイル達は、通常2メートルぐらいで、すごく背の高い人間、といった程度なのだが、そのナイルスネイルは違った。

「し・・・4、5メートルはあるな・・・」
巨大なダンプカーが人の形をしている迫力である。しかしその透明感溢れる肌、心が自然に吸い込まれるような彼女の香りで、それほどの量感は感じなかった。
「あの御方はシ・ケーニョ様だ。」
ナプラマージャはボソっと言った。
「シ・ケーニョ・・?」

ナプラマージャは「様」と呼んだ、やはりこいつらの中にも身分階級のようなものがあるのだな。まぁ、俺が知ったところで誰に伝える事もできないけど・・。
心の中でカイトがそう呟いた途端に、ナプラマージャはカイトの襟を掴むと、屈んでいたカイトを頭より高く持ち上げた。
「わ!」

気がつくと、その巨大なナイルスネイルを中心に、あちこちにナイルスネイル達が立っている。そして手には自分のように人間を持ち上げている。
「ケーニョ!」「ケーニョ!」
「ケーニョ!」
「ケーニョ!」「ケーニョ!」
「ケーニョ!」

期せずして「ケーニョ」コールが湧き上がる、わけがわからず、抵抗も出来ずにぶらさがるカイト。
やがてその騒ぎの中、中央のシ・ケーニョが一人のナイルスネイルを指さした。
さされたナイルスナイルはそこから、まるでゴミを投げるように掴んでいた人間をほおった。

ドサッ

中央に投げ出された人間の男。衝撃で足を痛めたらしい、押さえながらうめく。
立ち上がろうとせず、座ったままの姿勢で、にじりよるシ・ケーニョ。
男は足の痛みも忘れて走り出す。途端にクレーター一帯に地震のような連続した振動が広がった。
ドドドドドドド
男は足を取られて地面に倒れる。その隙に巨大なナイルスネイルが男の足を掴んだ。
ヒィィィィィ・・・・
遠くからか細い悲鳴が聞こえた。男はそのまま、正座を横に崩した姿勢のシ・ケーニョの体に寄せられた。
シ・ケーニョが男に覆い被さると、その豊満な胸も手伝って、男の体は全く見えなった。
大きな白く澄んだ女の体に包まれて、男の悲鳴も聞きづらくなっていく。

カイトにはシ・ケーニョの顔が横からチラリと見えた。恍惚な表情を浮かべ、今恐らく胸から腹の間にいる男を、その冷たく光る体で味わっているのだろう。
怪しい腰の動きが始まる。それは人間の本能に直接響くような、「誘惑」を高純度に絞り上げたような、そんな男にとって最も危険なシグナルだった。
カイトは思わず目を背けた。これ以上見つめていると、そのゆっくり生生しく呼びかける腰に応えて、その肉壁の中に自分も引き込まれそうになるからである。

シ・ケーニョの胸、胸から背中、背中から腰にかけて妖美に蠢く。冷たい肌が重なりあい、擦れあい、つぶしあう。
ウットリした瞳で背筋が凍るような笑みを浮かべる。
どんな精錬された鉄も溶かすような熱く甘い蹂躙。彼女の肌の中で、さっきの彼は何を思う。
地面に押し付けられ、雲のように形を変えるおおきな乳房を見ながらカイトは男の事を考えていた。

「それ以上見るな。お前の命がないぞ。」
見とれるカイトを制したのはナプラマージャだった。彼女はカイトの襟を再び掴むと、ここまで運んできた触手のところへ持って行こうとした。
「ま・・待て」
無言で立ち止まるナプラマージャ
「あ・・あいつはどうなる?あの大きな女は何をしているんだ?」
「知ってどうする」
無駄なことは聞くなと言いたいようだ。ナプラマージャが合図すると触手がこちらに向かってくる。
「言え!俺はお前の命を救った人間だぞ!?今までのような一方的に屈するだけの人間とは違うんだ!」
何ができるわけでもないのに、強い姿勢で出た。
「・・・・フ、いいだろう、知りたければ教えてやるさ。別に隠すことじゃないからな。」
そう前置きしてナプラマージャは説明を始めた
「シ・ケーニョ様は栄養を摂取されているのだ。食事はさっきの男だ。」
ギョ!
「な・・・なんだって?まさかあの女の腹には口がついていて・・・」
「愚かな、私の腹を見ろ、口などついていないだろう。我々は肌から摂取することができるのだ。」
ギョギョ!
襟をつかまれていたが、カイトはとっさにナプラマージャから離れようともがいた。想像もつかないがこの肌に触れるのは危険だ、恐ろしい!
するとナプラマージャはニヤリと笑って、カイトを自分の体に寄せて、その長い腕で抱きしめた。張りのある、何年でもしがみ付いていたくなる肌感。思わず手を腰に巻いてしまう。これまた弾力に富んだ感触。ウットリ・・・
「ハッ!!た、たすけて!!」
一瞬心が溶けそうになるも、肌が触れてる事に気づき叫んだ。
しかし、何もおきなかった。
「愚か者、肌から噛み付くわけではない。お前らから生命のエネルギーを液体として取り出し、それを肌から吸収するのだ。」
「せ、生命のエネルギー??」
見てみろ、とナプラマージャがアゴで指した。
シ・ケーニョは体全体から光る汗を流し、舌をだらしなく垂らして息づかいが荒い。女体が沸騰しているようにも見える。その犇(ひしめ)きはさっきより激しく、乳房が、腰が、太ももが、一体となって中心に向かって押しつぶす。
「ああ・・」
初めてシ・ケーニョが声を漏らす。

「今、ケーニョ様の体は食事前の最高の状態に仕上がったのだ。」
「なに、今食事しているのではないのか?」
垂らしていた舌で、その唇を舐めまわす。熱い熱い吐息が空間に溶ける。
汗にまみれた壮大な肉体が、今、獲物を一気に搾り出さんと締め付けた。
ギュゥゥゥゥ・・・
「ぁぁぁ・・・」
聞き逃すほど小さい悲鳴が聞こえ、彼女の肌と肌の隙間から、白い液体が勢いよく飛び出した。

ブシュウゥゥゥ!!!
「な、なんだあれは!?」
「あれが生命のエネルギー体さ。さっきの人間から出されたものだ。我々は、特にシ・ケーニョ様は相手の生命体に制御しきれぬほどの快感、絶頂感を与えて、一瞬のうちに命を具現化するのだ。」

シ・ケーニョは飛び散った白い液体を丁寧に集め、手ですくうと自分の胸に塗りたくった。
「そして、あのように皮膚から吸収するのだ。相手の生き物は、それが死への道のりだと知っていてもその快感から逃れることはできない、こちらがやめない限り。ま、我々にとっては最高のご馳走だから見逃す気もないがな。」

胸に塗られた液体は、女の皮膚に吸われて消えていった。満足そうなシ・ケーニョ。
「し、食事が終わったわけか。・・・男は?」
「あそこにある皮がそうだ。」
「う、・・・もういい。・・・ところで、シ・ケーニョというナイルスネイル、さっきから俺を見ているようなのだが・・・」
「御気に召されたかな」
「ひ・・・・」
「だからさっさと行けと言ったのだ。」
「お・・俺も、俺もああなるのか???」
泣きそうなカイトの表情を一瞥して
「そうならないようにしてやろうと考えている。だから大人しくしていた方が身のためだぞ。」
「・・・・・・・・」
大人しくしていてどうなる?どちらにしろここは出れない。助からない。抵抗すればああなってしまう・・・

「ナプちゃーん。」
落ち込んだカイトとは別に、明るく弾ける声が、ナプラマージャを呼び止めた。
「・・おお、チリト。獲物は取れたかい?」
ナプラマージャが親しそうにもう一人現れたナイルスネイルと話始めた。
「んん・・・ぜーんぜん。いいな、ナプちゃんは才能があって、あたしてんでダメェ。」

そのナイルスネイルは他の者とは違い、少し小ぶり・・・子供のように見える。
「ナプちゃんのオチチ相変わらずでかーね!」
「こら!」
緊張感もまるでない。ナプラマージャにじゃれ付く。
「ははは・・・・」
こちらも見ているだけで緊張が抜ける。絶望的な状況なのに、細々と笑うことができた。

ガシッ
カイトはその瞬間、自分の体がその子供に持ち上げられたことが信じられなかった。
「!?え?」
「チリトやめな。」
「こいつが今アタシを笑ったよ?ただの食い物のくせに。食われたいか?」

ぞっとするほど冷たい目。さっきまでの子猫のような瞳はカイトを串刺しにする危険な瞳に変わっていた。カイトの首は、その細い指で締め上げられている。

「やめな、人間はすぐに死んでしまう。」
「アタシに頂戴よ、この人間、アタシが食べたい。」

小さな口から小さな舌が這い出して唇を濡らした。
呼吸が苦しい。カイトの顔が青ざめていく。
「チリト、私の言うことが聞こえないのか?」
「・・・・・・・」
その女の子はカイトを下ろした。並んでみて気づいたのだが、ナプラマージャが大きいから小さく見えただけで、小さい女の子というにはやっぱり大きい・・・

「ごめぇーさぁーい、ちょっとふざけましたー!」
殺伐とした雰囲気を強引にゼロに戻す口調。睨みつけるナプラマージャに擦り寄る。
「ナプちゃん、怒っちゃやーだよ?チリトはこういう子なんだから、大人なナプちゃんが我慢しなきゃ!!」
ナプラマージャはチリトを押しのけた。
「あーあ。じゃ、またね! ナマイキな人間君もまたね! ばーい!」

軽快なステップで走り去って行く。
ナプラマージャは呆然とするカイトをさっさと触手に絡ませ、部屋に戻した。


続く

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