音声シナリオにおけるト書きの報酬について

初めましての方が大多数になると思うので真面目にやります。
音声作品サークル『嘘の手助け』運営とシナリオライターをしているお砂糖です。

今回の記事は2～3日前に投稿してシナリオライター界隈でざわついている音声作品の計上に対するシナリオライター側の本音について、改めて話していきます。

※この記事には私個人の意見も含まれています。

そもそも音声シナリオとはどういうもの？

まず音声シナリオについて存じていないライターさんが多数でしたのでそこから解説していきたいと思います。長くなりますがご了承ください。

音声シナリオとは最近、流行りつつあるASMRに音声を導入した音声作品と呼ばれる作品のシナリオに当たるものです。
現環境ではバイノーラルマイクを利用して制作されることが多いです。

小説やADVゲーム等とは違って台詞のみで地の文がありません。
代わりに、差異はあるかと思いますが以下のト書きが含まれます。

・バイノーラルの位置指定
・声優に対する演技指示
・シーンの状況説明
・効果音の指示・指定

他にもありますが大枠は以上です。

察して頂けるシナリオライターなら気づくかもしれませんが
音声作品のシナリオはスクリプターの領分を含んでいます。

これはバイノーラルマイクでの収録が主流の現状、リアルタイムで位置が変わりながらの声の収録となるので必然的に立ち位置やシーンの状況説明が必要になってシナリオライターが書くことが多くなります。
一例を上げるならば以下の通りになります。

■SE夜の公園
■二人、正面で見合ってます。二人分くらい離れた距離です
■正面、左右に揺れながらジロジロと主人公を見ながら台詞
～～～～～～～～
■徐々に近づいて、ゆっくりと右肩付近に移動しながら台詞
～～～～～～～～

極端な例ですが自分はこのくらい書いています。
そしてバイノーラルを活かすならばそれなりに細かく書かなければバイノーラルの意味がなくなります

悪い例を上げてみます。

■SE夜の公園
■お互いに見合ってます
■正面で台詞
～～～～～～～～
■右で台詞
～～～～～～～～

これを声優さんにお渡しした場合、瞬間移動する音声や細かい動作のない、バイノーラルの意味を成さない音声が完成します。バイノーラルのメリットは細かい動きをある程度しっかりと表現してくれることなので、作品の魅力が半減します。

更にこれは音声作品では分業がしづらい作業となるので、必然的にシナリオライターの作業量が通常よりも多くなっているということです。

ト書きの無報酬に対する主張

ここまで、音声シナリオでシナリオライターが手掛けている大まかな内容は理解してもらえたと思うので、改めて今回の本題について話をさせて頂こうかと思います。

私は音声作品のシナリオを書いてる人を集めて、交流する場を設けて運営しています。
その中で話題となったのが現状のト書きの料金が発生していないことに納得しているか否かというものです。

結論から言えば納得している人は居ないか、言われて初めて意識したという方が殆どでした。先程述べた通り、スクリプターも兼務しているのに安すぎる、というものです。

さらに今まで音声作品に関心を示すことのなかったシナリオライターの反応も、報酬が発生してないのかと驚愕する方が大勢を占めています。

それくらい、音声作品界隈におけるシナリオライターは冷遇されている空気が出来上がってしまいました。

勘違いしてほしくないのが、私はこの空気は全体が作ったもので、サークルが悪い、企業が悪い等とは欠片も思っていません。そういう雰囲気でOKだと言ってきたシナリオライター側にも責任の一端はあると思っています。

今回、複数のシナリオライターと一部大手のサークルとも話して現状は不健全でwin-winではない、その現状は変えていきたいとの意見が多かったので、改めて発言した次第です。

結論

結論から言うと、現状はシナリオライター目線だとあまりにも低報酬だと言えます。

また、低報酬が続くとシナリオライターのモチベーション低下に繋がり、母数が減っていって新しい発想の音声作品は産まれにくい、との意見も出ました。

私がプロを自称するのはおこがましいので、他者の言葉をお借りしますが現状のリスナーが求める作品を投げ続ける現状は緩やかな衰退に繋がります。

新しい企画を出してくれるサークル、それを実現するシナリオライター双方が納得できる契約を結べる環境ができれば、それが理由で音声作品業界に新しい風や盛り上がりが期待できるのではないか、というのがイチ、シナリオライターとしての意見です。

ト書きの無報酬は、業界の衰退に繋がるということが私の結論になります。

以上です。
コメントの方に意見等あれば宜しくお願い致します。