サモンマッチ（3）

麻雀部

花魁セツナ

セツナやトワなどクジョウの巫女たちは、遊郭に現れる鬼を狩るためにしばらく遊女として潜入することになった。
遊女として働く以上、不特定多数の男性との性行為は避けられない。
そうなってくると懸念されるのが妊娠の問題で、未だ避妊具が普及していないクジョウにおいては、中出しによる受精のリスクが極めて高い。

幸いにも、巫女たちは結界の呪法が使えるので、胎内に結界を張ることで受精を防ぐことができるのだという。
ただそれにはある程度の鍛錬が必要であり、その練習役としてなぜか抜擢されることになった。
他に男性の知り合いが居ないということで白羽の矢が立ったが、このあとトワとの鍛錬も控えているので体力を温存しなくてはならない。

向こうから指名してきた割にはずいぶん不満そうで、あまり歓迎されていないような雰囲気がする。だが選ばれた以上は使命を全うしなくてはならない。

花魁乙女というのはもっと瀟洒でしゃんなりした仕草をするものだが、セツナの座り方はまだ垢抜けていない、素の性格が現れている。だがそれもいい。

とりあえず今回は全部セツナに任せるとして、ひたすら竿役に徹することにした。

＊

クリスマス特需

「あんたたちはクリスマスやらないのよね？」
なんだか嫌な予感はしていた。
12/24、セツナとトワの二人は、キャトラに呼ばれて飛行島に来ていた。
「別にやらないわけではないけど……。ほら、前に茶熊学園でやったこともあるし」
「ちょうど、どう過ごそうかと二人で話していたところなんです。クジョウの島ではまだあまり浸透してない行事ですし…」
それを聞いて、キャトラは強めの勢いで叫んだ。
「まだ予定は決まってないのね！お願い、手伝ってちょうだい！」
二人の嫌な予感は的中した。

誰が広めたのかは知らないが、クリスマスイブ午後9時から翌3時までは『性の六時間』と呼ばれ、その間にえっちをすると幸せになるらしい。
飛行島の宿屋としても、そのブームに乗らない手はなく、特別キャンペーンを打ち出していたが、ただでさえ需要が多いのに、家族や恋人がいる主力メンバーに欠員が相次いで、穴不足になるのは避けられないらしい。
それでクリスマスに予定がなさそうなセツナ達に動員がかかったというわけだ。

巫女修行